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WCCW:Best of WCCW 1983の分析


名勝負 6マン・タッグ王座戦、3本勝負:フリーバーズ(ch)vs.ファビュラス・エリックス(4/7/83)
好勝負 なし

@ランバージャック・マッチ:マイケル・ヘイズ、テリー・ゴーディ、バディ・ロバーツvs.ケリー、デイビッド&ケビン・フォン・エリック(2/18/83)
 トリオの軽快さの中でフリーバーズの魅力、
 ゴディのごつさ、ヘイズのゆったりした煽りが抑制されているものの
 トリオならではの控え受けをうまく使って盛り上げています。
 中盤はデイビッドの孤立、ケリーの孤立で良質。
 エリックが爆発する要所ではゴディが受け手になるよう調整しているのもにくい。
 最後は6人入り乱れてカオスな状況を作り出すと、
 ヘイズがゴディに相手を託しコーナーでのアピールへ、
 そこを返されて逆転というルチャでは定番のフィニッシュ方法でした。
 ランバージャックの使い方としてはベビーフェイス、ヒールに関係なく
 ただリングにすぐ戻されるだけという単純なものながら
 形式をうまく利用して広げられるタイプのレスラー達ではありませんし、
 そもそもこの形式自体そこまでの可能性があるものではありませんからこの判断は結果的には正しい。
 中々良い試合でした。

ANWA王座戦:リック・フレアー(ch)vs.ケビン・フォン・エリック(4/1/83)
 やっている事は通常のレスリングですが、
 ケビンは常識に縛られずに押せ押せで動くので
 フレアーは指示せずとも良い受けっぷりを示す事が出来ます。
 それよりも観客の他のテリトリーを圧する盛り上がりにアンテナを立てて
 試合を振り幅大きく作る事により力を入れていきます。
 後半はスリーパー、ショルダー・タックル相打ちなどを交えながら
 フレアーがテンポを絶妙に変えてコントロールしました。
 只のニー・ドロップではありましたが、それでデイビッドの勢いが途絶えた印象を作り出すと
 そこからデイビッドがエネルギーの詰まった拳で復活し一気に盛り上げましたね。
 レフェリー気絶からセカンド・レフェリーが現れての幻の王者誕生まで行い、一級品の盛り上がりまで行きました。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

B6マン・タッグ王座戦、3本勝負:フリーバーズ(ch)vs.ファビュラス・エリックス(4/7/83)
 ケリー兄弟vs.フリーバーズといえば歴史的な抗争カードであり乱戦のイメージがあるのだけど
 この試合はタッグの基本、孤立シーンという要素に本気で取り組んだ内容となっています。
 1本目はケビンの孤立。
 フリーバーズが戦略的にケビンを捕えながら
 持ち前のアピール能力で観客も煽りたてます。
 敢えてバディという弱々しいレスラーが入っているのも良い。
 ウォー・ゲームスのJJディロンのような物で
 最高のストーリーを語る上では弱点もあった方が深みが出て良いものです。
 (失敗すればそのまま足を引っ張りますけどね。)
 アイドルが1本取られ背水の陣に追い込まれる状況に。

 2本目。
 ここはデビッドの孤立。
 引き続き上質な孤立でしたが、
 何より注意を一方に引いている隙に裏で別のアクションを行う、という
 ルールを破った二元進行の攻防の見せ方が実に上手かったですね。
 フィニッシュも素晴らしかった。
 2本目終了後に全員で乱闘までして観客の盛り上がりは最高潮。
 逆にいえば3本目がまだ残っているのに盛り上がり過ぎではあるのですが、
 3本目開始前に、ルールを守らせるためにレフェリーがもう1人追加されるというスキットがあり、
 自然と適正なラインまで落ち着いていました。

 3本目は残るケリーの孤立。
 毎回書いていますがケリーのベビーフェイスとしての絵姿はプロレス史上最高です。
 腹狙いという1,2本目の孤立との差別化もあり来たるタッチ成功まで観客のボルテージは最大限に高まっていきました。
 タッチ成功後はヒート・アップして再び控えが動き混沌としながらも綺麗にフィニッシュ。

 最高レベルの技術的孤立を3本勝負という形式を利用して三連でつなげました。
 そしてFeud of the Yearを獲得したカードですから気持ちという面でも最高峰。
 プロレスの歴に残るようなタッグ・マッチになったのも当然でしょう。
 文句なしに名勝負。

CNWA王座戦:リック・フレアー(ch)vs.ケビン・フォン・エリック(5/5/85)
 フレアーが序盤からピンチを演出し、ぎりぎりで凌いでいきます。
 一気に盛り上がった後はフレアーがタイツを掴んでのアブナミドル・ストレッチなど
 コテコテのヒールの見せ方でその盛り上がりをベビーフェイスvs.ヒールに変質させて引き継ぐ。
 フレアーが一回転してコーナーに乗り上げるムーブを利用してもう1つのリングに落ち、
 ケビンが追いかけてダイビング・クロス・ボディを決めるシーンは見事でしたね。
 WCCW、ダブル・リングという状況に対応しながら
 手を変え品を変えで退屈させない攻防を生み出します。
 ケビンは上にかぶさられた所からブリッジで起き上がる動きなど見ても
 レスリングのスキルとしてとても評価できないのは相変わらずでしたが、それにしても凄い盛り上がりでした。
 最後はクロー決めた後両リンでフレアーらしい防衛っぷり。
 中々良い試合。

Dイリミネーション・マッチ:マイケル・ヘイズ、テリー・ゴーディ、バディ・ロバーツ、ジミー・ガービンvs.ケリー、デイビッド&ケビン・フォン・エリック、アイスマン・キング・パーソンズ(5/27/83)
 乱戦でスタートするとパイル・ドライバーを狙ったゴディがクロス・ボディで潰される形でゴディ脱落。
 フリーバーズのキー・パーソンがいきなり脱落するとはね。
 その後も適当に作られた脱落を数だけ見せる形で盛り上がっています。
 人数が減る中で流れは補正され、タッグの同時技など形式を踏んでいますが、
 やっぱりゴディなしではエリックスと面白い一進一退を生む事は出来ず。
 最後はオーバー・ザ・トップ・ロープ・ルールで一発逆転でした。
 まあまあ良い試合。

ENWA王座戦:ハーリー・レイス(ch)vs.ケビン・フォン・エリック(6/17/83)
 ケビンは序盤にも関わらずハイ・フライを連発。
 まったりペースのレイスからしてみれば信じられない愚行で
 ダイビング・クロス・ボディのために起き上がるのが相当遅れていましたね。
 そんな感じでフレアー程ジャストしていた訳ではありませんが
 自由奔放に動くデイビッドに対し、レイスが共通点を見つけ出し攻防を行うという点でははまっていました。
 後半はケビンが腕を痛めたという見せ方でドラマ押し。
 ケビンは本当に左腕をまったく使わずボディ・シザースなどで対抗していきます。
 普通なら左腕が痛みながら気力で耐えて多少は左腕を使うものだけど、
 敢えてそれをしない素人感覚が彼らの独特の魅力でもありますからね。
 最後は残念ながら、見てられないとデイビッドがリングに入ってきてDQというフィニッシュ。
 平均的な良試合。

 (執筆日:10/12/11)

注目試合の詳細

@6マン・タッグ王座戦、3本勝負:フリーバーズ(ch)vs.ファビュラス・エリックス(4/7/83)
 ケリー対ヘイズ。
 ヘイズがショルダー・タックル。
 ヒップ・トスを食らうも倒れた状態から蹴り飛ばす。
 ゴディ対デビッド。
 ゴディがロープに押しこみ殴る。
 ロープに振るとデビッドがサンセット・フリップ。カウント1。
 デビッドがインサイド・クレイドル。カウント2。
 ロープに振られたデビッドがエプロンのヘイズを殴り倒す。
 ターン・バックルにぶつけタッチ。
 ケビンがゴディをロープに振りドロップ・キック。
 ニーにパンチ。
 スナップ・メアからニー・ドロップ。
 ゴディが殴りつけターン・バックルにぶつける。
 交代したバディがターン・バックルにぶつけニー・ドロップ。
 タッチしたヘイズがセカンド・ロープから飛び殴りつける。
 ロープに振りバック・エルボー。
 相手を挑発。
 交代したゴディがロープに振りバック・エルボー。
 ケリーが入ってきてゴディを殴りまくる。
 レフェリーがケリーを戻しているすきにバディーがケビンに殴りかかる。
 デビッドがバディに殴りかかるもレフェリーに戻される。
 ヘイズがケリーにチン・ロック。
 ケビンが起き上がり腹にバック・エルボー。
 タッチされるも振り切りタッチ。
 デビッドがバディを殴りつける。 
 入ってきたヘイズも殴り飛ばす。
 バディをロープに振りハイ・ニー。
 アピールしている所にブラインド・タッチしていたゴディがダイビング・クロス・ボディ。カウント3。
 フリーバーズが先取!
 
 デビッド対ゴディ。
 デビッドがゴディを突き飛ばすとエプロンのバディにぶつかりバディが落ちる。
 ゴディが組んで自陣に押しこみタッチするも逃げられる。
 デビッドがヘイズに襲いかかりロープに振ってドロップ・キック。
 ケリーと2人でロープに振りドロップ・キック。
 カバーするもレフェリーはケリーをエプロンに戻している。
 その隙にゴディがカット。
 ヘイズがデビッドを殴りつける。
 交代したゴディがアバランシュ・スラム。
 ロープに振りニー・ドロップ。
 カバーするもカウント2。
 交代したバディが殴りつける。
 自陣に這うデビッドを捕まえフロント・ヘッド・ロック。
 ネック・ブリーカー。カウント2。
 ロープに振りドロップ・キックを狙う。
 ケリーはロープを掴んで自爆させるとタッチ。 
 デビッドがバディを殴り倒す。
 入ってきたヘイズを殴りつける。
 ヘイズとバディをぶつける。
 入ってきたゴディをコーナーに振ってぶつける。
 バディがデビッドの顔に攻撃。
 スナップ・メア。
 サード・ロープからエルボー・ドロップ。カウント2。
 交代したゴディがケリーを殴りつける。
 場外のヘイズがロープ越しに攻撃。
 ケリーが迫っていくとヘイズは逃げていく。
 その隙にゴディがデビッドにチョーク。
 持ち上げロープの上に落とす。
 交代したバディがバック・ブリーカー。カウント2。
 交代したヘイズがロープに振りベア・ハグ。
 デビッドが殴りつける。
 ヘイズはひるむも離さずにタッチ。
 バディがデビッドに掴みかかる。
 殴られるも押し倒してタッチ。
 交代したヘイズがフロント・ヘッド・ロック。
 デビッドが押し込んでタッチ。
 しかしレフェリーは注意をそらされていて見ていない。
 レフェリーが抗議するケリーを戻しているすきに
 ヘイズとバディがロープに振りクローズライン。カウントは2。
 バディがデビッドを殴りつける。
 デビッドは殴り返すとバディとヘイズの頭をぶつける。
 バディとゴディの頭をぶつける。
 バディを抑えつけながら自陣へ。
 バディがサミングで動きを止めてデビッドを殴り落とす。
 ケビンが入り、入ってきたヘイズにドロップ・キック。
 入ってきたゴディにアイアン・クロー。
 デビッドが後ろでバディをロープに振る。
 エプロンのケリーと手をつなぎダブル・クローズライン。カウント3!
 エリックスが追いつく。
 全員で殴り合う。
 フリーバーズを追い出す。

 レフェリーがフリーバーズに反則をさせないためにレフェリーを2人にするという。
 ケリーがエプロンのバディをリングに投げ入れ殴り倒す。
 ボディ・スラム。
 ダイビング・バック・エルボー。カウント2。
 バディがショルダー・ブロック。
 殴りつけゴディにタッチ。
 ゴディがロープに振り腹にパンチ。
 ダブル・ストンプ。
 腹に拳を振り下ろす。
 ロープの上にのせ腹をけり上げる。
 タッチし羽交い絞め。
 ヘイズが蹴り。
 ロープに振り腹に蹴り。
 ロープにもたれた所でロープを使ってチョーク。
 ベア・ハグ。
 ケリーがロックをほどきヒップ・トス。
 ヘイズが食らいつつもタッチ。
 ゴディがすぐにベア・ハグ。
 ケリーがコーナーに押しこみ突進。
 ゴディがカウンターでベア・ハグを決めタッチ。
 バディがケリーをロープに振りベア・ハグ。
 ケリーが殴りつけヘッド・ギアを掴む。
 タッチしたヘイズがケリーを殴りつける。
 ロープに走りニー・ドロップ。カウント2。
 ロープに振りショルダー・スルーを狙う。
 ケリーが蹴りつけタッチ。
 ケビンがロープに振りドロップ・キック。
 スナップ・メアからアイアン・クローを狙う。
 ヘイズが手を掴んで耐える。
 ならばと腹にアイアン・クロー。
 ヘイズが髪を掴んではたき逃れる。
 ケビンがロープに走り体当たり。
 ロープに走るもゴディがロープ越しに蹴り。
 交代したゴディが殴りつける。
 ロープに振りクローズライン。
 交代したヘイズが殴りつけパイル・ドライバーを狙う。
 ケビンがリバース・スープレックスに切り返す。
 ロープに走りショルダー・タックル。
 ロープに走るもリープ・フロッグでかわされセカンド・レフェリーに激突。
 ヘイズ、バディがリングに入ってきてケビンに殴りかかる。
 デビッドも入りバディに殴りかかる。
 レフェリーがデビッドとバディを引き離して下がらせようとしている。
 裏でゴディがケリーを羽交い絞め。
 ヘイズがロープに走る。
 場外のケビンが脚を掴んで倒す。
 ケビンはコーナーに上るとヘイズにダイビング・クロス・ボディ。
 カウント3!
 フリーバーズを追い出す。

試合結果

@ランバージャック・マッチ:マイケル・ヘイズ、テリー・ゴーディ、バディ・ロバーツvs.ケリー、デイビッド&ケビン・フォン・エリック(2/18/83)
ANWA王座戦:リック・フレアー(ch)vs.ケビン・フォン・エリック(4/1/83)
B6マン・タッグ王座戦、3本勝負:フリーバーズ(ch)vs.ファビュラス・エリックス(2-1)(4/7/83)
CNWA王座戦:リック・フレアー(ch)vs.ケビン・フォン・エリック(両者リングアウト)(5/5/85)
Dイリミネーション・マッチ:マイケル・ヘイズ、テリー・ゴーディ、バディ・ロバーツ、ジミー・ガービンvs.ケリー、デイビッド&ケビン・フォン・エリック、アイスマン・キング・パーソンズ(5/27/83)
ENWA王座戦:ハーリー・レイス(ch)vs.ケビン・フォン・エリック(DQ)(6/17/83)