TOPアメリカン・プロレス注目インディー →AIW:TPI 2011 Day Two 5/21/11

AIW:TPI 2011 Day Two 5/21/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

3枚、約4時間10分です。
@2回戦:ティム・ドンストvs.アイゼア・ボンズ
 ドンストが積極的に攻撃を繰り出していきます。
 しかし合わせるボンズがどたどたしていてリズムにのれない。
 またボンズは攻めになると野球選手ギミックにのっとって3コーナーを回っての攻撃なんか見せるが
 この実力差が明らかな試合ではそんな余裕を見せる事は許されない。
 普通に雪崩式技でドンストの勝利。
 悪い試合。

A2回戦:グレゴリー・アイアンvs.マリオン・フォンテイン
 昨夜不安要素として認知したアイアンですが、
 この日は気合が入っていて思いっきり良く動いている。
 マリオンが大袈裟なリアクションを取っている事もあって
 試合には勢いがあり多少の粗雑な部分は無視できます。
 尤も物事には加減という物があります。
 終盤のタイミングがずれた過剰すぎるスタナーの受身は無視できないもので、
 せっかく感心していたのに最後に少し評価を下げてしまいました。
 平均レベル。

B2回戦:ファサイドvs.ボビー・ビバリー
 ボビーはしっかりした試合運びが出来ていますね。
 エプロンから胸を蹴り飛ばし、エプロンから柵の外へダイブしたりと
 インパクトのあるスポットも繰り出している。
 前日よりもスタイルとしての完成度が上がっています。
 一方のファサイドはというとこの日も何とかついていって襤褸を出さずに済んでいるという状況。
 トペコンもエプロンの真横というぐらい飛距離が足りずミスといった方が正確です。
 こんなに実力差がはっきりしているのに試合は対等に攻め合う構築を取っているので
 観ている方としては長引けば長引く程醒めていってしまう。
 狙いが誤っているとはいえその構築自体は悪くないし、
 セコンドのフレクサーの介入からボビーの方が勝ったので良いですけどね。
 ボビーはROHとかで試しに使ってみて欲しいですね。
 平均レベル。

C2回戦:BJウィットマーvs.デューク
 デュークは巨漢とはいえ圧殺ファイトが出来る訳でもない。
 それなのにBJがやたら受け手に回るのは違和感がありますね。
 そしてBJが攻め手になると今度はデュークが何もしない。
 終盤になってもBJが元気すぎてバランスが取れず、
 BJのフィニッシャーの新しいサブミッションを認知させる事しか意味がなかった内容。
 悪い試合。

D2回戦:フリップ・ケンドリックvs.シーマ・ザイオン
 序盤は少々わざとらしいが数珠の攻防を見せる。
 ダイブから中盤へ。
 シーマのコンビネーションによる変化のつけ方は見事で
 攻防もフリップを理解して、その技を活かしている。
 そうなるとやっている方ものってくるもので
 終盤になっても勢いは衰えず、キレのあるムーブや閃きが見られる。
 まあまあ良い試合でした。

E2回戦:ジェイク・クリストvs.デイブ・クリスト
 前日は短い事もあって印象の残らなかったデイブだが
 彼もジェイクと同じくレスリングをしっかり学んだようで、面白い切り返しを見せています。
 ジェイクは切り返す際に踏み込んだりと微細な変化付けが上手い。
 ダイビング・クロス・ボディや
 セカンド・ロープから一回転しての飛びつきDDTなど
 今では珍しくもない技の数々ですが、
 非情に優雅に行っていてこれからどんな攻防をしてくれるのか、と見ていてわくわくします。
 いくら兄弟対決とはいえ雪崩式カナディアン・デストロイヤーをカウント1で返すのはナンセンスだし、
 そういう大技を食らってダメージがあるはずの状況でカウンターのためだから、と動きすぎているきらいはあります。
 終盤にそんな問題がある事は確かですが特別な試合を作り上げた事に拍手を送りたい。
 中々良い試合。

Fジョニー・ガルガーノvs.リッキー・シェイン・ペイジ
 ペイジはビッグ・ブーツがヒットした瞬間下に踏み抜く、といった打撃スポットを幾つも披露。
 これで相手を地にねじ伏せるイメージを生み出します。
 一方のガルガーノはご存知のようにキレを活かした手数で稼ぐタイプ。
 対比化がずばり成功しているので、ペイジの担ぐ、という動作だけで緊張感ある攻防が生み出されます。
 また正攻法の、相手の持ち技を活かしたカウンターもある。
 ガルガーノの両膝を突いた相手へのエース・クラッシャーに対し、
 受け止めてそのままジャーマンに切り返したスポットは見事でした。
 ガルガーノのスタイルがペイジという壁をぶち敗れるか、という
 はっきりした題目で観客を魅了しました。
 平均的な良試合。

 ガルガーノが去った後、ペイジの前ギミック(クリスチャン・フェイス時代)のマスクを被った男が登場。
 マスクを脱がせるとフェイス時代のタッグ・パートナー、ヴィンセント・ナッシング。
 一年以上欠場していた友人を迎え入れようとするペイジにヴィンセントがクローズライン。
 友人なのか気を緩めたペイジにフェイスが襲い掛かりKOします。
 ヴィンセントはマイクを取ると、
 お前がフェイスというモンスターになる事を手伝ってきたのに
 お前はマスクを脱ぎ俺の好意を無に帰した、
 フェイスに戻れ、さもなくばお前を潰す、と言う。

G準決勝:ボビー・ビバリーvs.グレゴリー・アイアン
 障害者だろうと関係ねぇ、とビバリーが容赦ない攻撃を叩き込み、柵に投げさえします。
 こうなると俄然アイアン頑張れ、と盛り上がりますね。
 アイアンも引き続き力を尽くしていて、
 観客席へのダイブを敢行したりしています。
 しかしボビーのように身体的に充実した相手だと
 アイアンを健闘させるために無理が出てくる。
 悪くない試合。
 
H準決勝:BJウィットマーvs.ティム・ドンスト
 試合が始まり組み付くとそのまま場外へ。
 中々離れずレフェリーがリングに戻るよう指示します。
 それに従いBJが戻ろうとした所をドンストが奇襲。
 その後もドンストが隙のないファイトを見せ、
 アマレス・テイストの投げを積極的に打っていきます。
 BJが勢いに飲まれた感があるもののまずまずの内容となりました。
 平均より少し上。

I準決勝:シーマ・ザイオンvs.デイブ・クリスト
 シーマの戦術が勝るかデイブのレスリング・テクニックが勝るか、という序盤。
 結局一極攻めに発展しませんでしたが、
 ここで見せたデイブの軽い脚狙いを見るに、
 デイブはレスリングだけでなくそれを活かした一極攻めのような展開も独創的にこなせそうです。
 中盤はまずデイブの豊かな跳躍力を活かした流れに魅了されます。
 それはルチャを彷彿とさせるけれども
 大きく移動するという同じコンセプトを持った両手ツッパリは同時に諏訪魔のような力強さがある。
 華麗さの中で他の要素も見せてくれそうな興味深いレスラーです。
 シーマもダイブ・スポットから反撃開始。
 細かい一進一退を入れた試合構築能力で引けを取りません。
 終盤も何気なく行っている攻防が魅力的です。
 最後はシーマが見せ方の優れたアーム・バーで試合に幕を引きました。
 MOTNの中々良い試合。

Jタッグ王座戦:オルセン・ツインズ(ch)vs.ダルトン・キャッスル、Kフェルナンデス
 前半は荒っぽい場外乱闘。
 非情にテンションが高く、ゴミ箱にのっての体当たりなんてユーモラスな攻撃も真に迫っています。
 リングに戻ればコリンの孤立シーンです。
 乱戦もリング・ワークもしっかりしたものでしたが、
 もう少し試合時間を短くした方がすっきりするし、
 オルセン兄弟が昨夜ダルトンにやられた車椅子の男を
 セコンドにつれてきたのは正直試合試合の脚を引っ張っている。
 まあまあ良い試合。 

Kチャド・ウィリアムスvs.ホボ・ジョー
 フレクサーの用心棒チャドはオートンのような精悍な体つきをしていたので
 試合が見れと分かって喜んでいたのですが、
 対するホボはAIWのグレッグ・エクセレントとでも言うべきレスラー。
 微妙なスカッシュ・マッチでした。
 ひどい試合。

Lインテンス王座戦:マリオン・フォンテイン(ch)vs.AERO! vs.マキシモ・スエーブvs.ルイス・リンドン
 4ウェイという事で場外にはける必要があるとはいえ
 その時間が長く、戻ってくるタイミング取りもひどいです。
 三歩歩けば記憶を失うのかとでも言いたくなるような
 現実からかけ離れた人間関係も頭が痛くなります。
 ひどい試合でした。

M決勝、イリミネーション・マッチ:シーマ・ザイオンvs.グレゴリー・アイアンvs.ティム・ドンスト
 序盤は基本的なレスリングだがヒットするのは3人目というアイディアの攻防。
 最近はこういうのが少なくなりましたね。
 そこからはシーマ、ティムが引っ張る形。
 シーマはヒール要素は出さずあくまで個として正々堂々戦っていますね。
 2人まとめてかける技で盛り上げた後、ジョシュ・プロヒビションが乱入。
 指導してやる、という誘いを断ったアイアンを叩きのめしそれにより脱落。
 グレゴリーの代わりにボビーを入れたなら
 フレクサー軍の中での関係性を扱わなければならないし、
 ドンストに一人ベビーフェイスとして存在感を示せる器があるかというと否なので
 敢えてグレゴリーを決勝にまで持ってきたのは結果的に正解ですね。
 1対1になった所でシーマのセコンドが手を出し、
 ベビーフェイスのドンスト対ヒールのシーマという構図になります。
 勢いにのったシーマが見事な追い込みをかけ、
 ドンストが気骨溢れる力強さで反撃。
 決勝らしい気持ちの付随した攻防で盛り上げました。
 最後は良い意味で全てをぶち壊す、フレクサーの火の玉攻撃で幕。
 トーナメントを通じて安定感・能力を証明したシーマを強烈にアピールするエンディングでしたね。
 平均的な良試合。

総評
 他では見る機会の少ないデイブ、シーマ、ボビー、ペイジが一日目から大きく株を上げ、
 他で既に知っていたドンスト、ジェイク、オルセンズも実力を発揮。
 オリジナルのTPIが持っていたレスラーの花開く場所でありつつ
 それに加えて自団体のレスラーのプッシュ、大きなストーリー展開という新しい魅力もある。
 お勧めの大会です。
 (執筆日:8/21/11)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@2回戦:ティム・ドンストvs.アイゼア・ボンズ
A2回戦:グレゴリー・アイアンvs.マリオン・フォンテイン
B2回戦:ファサイドvs.ボビー・ビバリー
C2回戦:BJウィットマーvs.デューク
D2回戦:フリップ・ケンドリックvs.シーマ・ザイオン
E2回戦:ジェイク・クリストvs.デイブ・クリスト
Fジョニー・ガルガーノvs.リッキー・シェイン・ペイジ
G準決勝:ボビー・ビバリーvs.グレゴリー・アイアン
H準決勝:BJウィットマーvs.ティム・ドンスト
I準決勝:シーマ・ザイオンvs.デイブ・クリスト
Jタッグ王座戦:オルセン・ツインズ(ch)vs.ダルトン・キャッスル、Kフェルナンデス
Kチャド・ウィリアムスvs.ホボ・ジョー
Lインテンス王座戦:マリオン・フォンテイン(ch)vs.AERO! vs.マキシモ・スエーブvs.ルイス・リンドン
M決勝、イリミネーション・マッチ:シーマ・ザイオン(優勝!)vs.グレゴリー・アイアンvs.ティム・ドンスト