TOPアメリカン・プロレスWWE 2012年 →WWE:No Way Out 6/17/12

WWE:No Way Out 6/17/12の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@世界ヘビー級王座戦:シェーマス(ch)vs.ドルフ・ジグラー
 シェーマスは力をしっかりかけたムーブで力強さを感じさせ
 その後の動作で敵ではない、という印象を作り上げている。
 ある意味自己完結したレベルのシェーマス。
 それ故にジグラーは得意の派手な受身はできない。
 受身でシェーマスの強さを助長させると余りに引き離されてしまうから。
 それ故に受身は控えめにして挑発系のストーリー・ラインを粛々と行なっていました。
 尤も受けも抑える必要はなかったのではないか。
 中盤前の攻防は良くも悪くもシェーマスのハード・ヒッティングが目立っている。
 中盤はジグラーのペース。
 一つ一つのインパクトをベースにできている所には可能性を感じさせる。
 これならば相手を引き立てるだけでなく自分も主役になることができる。
 ただしスポットとベースの繰り返しで試合を運ぶ上で
 ベースの位置が常に同じというのが気になる。
 長いこと指摘している点で、試合の高まりがまどろっこしくなりますす。
 この欠点を改善したいですね。
 現在スリーパーで終盤の段作りを行なっている状況を鑑みるに
 ベビーフェイスになって試合を別の視点から見つめなおすのが手っ取り早いといえば手っ取り早い。
 会場人気もヒールには似つかわしくない程あるし丁度良いタイミングなのではないか。
 中々良い試合。

Aタキシード・マッチ:サンティノ・マレラvs.リカルド・ロドリゲス
 下らない茶番です。
 タキシード・マッチもデビアスvs.デュガンのオリジナルは名勝負だったというのに・・・。
 ひどすぎる試合。

BIC王座戦:クリスチャン(ch)vs.コーディ・ローデス
 コーディのストンピングの打ち方や受身の取り方に注目してください。
 それは少し前までの引き立て役で甘んじていた姿ではありません。
 一歩進んで特徴付けることで個性のアピールにもなっている。
 それ故相手を立てつつ自分も魅力を増している。
 同じ性質のムーブをキーとしての豊富な切り返しがこの試合の肝になっていますが
 クリスチャンXオートンを彷彿とさせますね。
 前回のPPVではクリスチャンにベビーフェイスは向いていないことが改めて分かったけれども
 この手の試合ならばベビーフェイスもヒールも関係なく資質を発揮できる。
 そしてその観点から言えばフロッグ・スプラッシュも加えて必殺技を3枚にしたのは
 終盤のボリュームを増し、可能性を広げる上で正解でしょう。
 カウンター合戦に拘る余り大枠から見て密度にムラがあるものの
 これならライバル化もありと思わせる一戦でした。
 中々良い試合。

C#1コンテンダーズ・4コーナーズ・マッチ:ウーソーズvs.タイソン・キッド、ジャスティン・ガブリエルvs.プリモ、エピコvs.タイタス・オニール、ダレン・ヤング
 4コーナーズ・マッチですが適度にタッチの理由をつけつつ、それぞれがアピールしている。
 プリモの細かい部分まで行き届いた動きは相変わらず感心しますね。
 ただ王者としての資質としてみると足りない部分はあって、
 その点で言えば同じタイプになるキッドが自分のスター性を見せるという面でも先をいっている。
 それはともかくとしてこの試合で言いたいのは良質な仕事をした彼らではなく彼らに引き離されていた2人であって・・・
 そう、残念なことにこの試合に勝利してしまったオニール、ヤングなんですね。
 オニールは受けを意識しているのは良いものの
 その長い脚は長所でもあり短所でもあって
 今のレベルでは拙い印象を与える結果となっている。
 攻めも不安定でちょっと危なっかしいですね。
 そしてヤングは特に売りとなりそうな可能性がどこを見てもなさそう。
 タッグ王者が誰だろうと世界は変わりはしないが、
 それでもこの2人を王者にする意味は感じなかった。
 平均レベル。

◆HHHが登場しSSでレスナーとの一騎打ちをアピール。オートンvs.レスナーが見たかったですねぇ。

Dディーバズ王座戦:レイラ(ch)vs.べス・フェニックス
 序盤べスが翻弄される形ですが
 強さを軸に組み立ててきたからか不慣れでいまいちな動き。
 自分のイメージと齟齬を起こしています。
 レイラもそれで愛嬌こそ見せれていますがアピール過多。
 レイクール時代に発揮したフット・ワークという武器はどこへやら。
 前回見せた技の攻防も試合の中での位置が駄目でスポットが浮いています。
 また今回もネック・ブリーカーが唐突。
 とても必殺技としての使い方とは言えず試合が締まらない。
 ひどすぎる試合。

Eシン・カラvs.フニコ
 パンクは見事にWWEで居場所を作り上げましたがシン・カラに同じことができるでしょうか。
 トランポリンこそ没になりましたが、
 試合中の照明や眼の見えないマスクは健在ですし、
 いつまでたってもシン・カラ枠から抜けれない気がします。
 ルチャの勢いを殺いでいるだけの引き抜きにしか見えないのが何とも。
 また試合振りを見ていると攻めのリズムが悪く負傷の影響を心配させます。
 一方のフニコですがスムーズに試合を運ぶものの
 相手のスポットを潰した時でもそれが重要なことだと言わないので、
 流れの中に吸い込まれてしまって結局フラット。
 アピールも一押し足りないですね。
 観客に対してアピールしているはずなのに観客を十分に見ていません。
 どちらも赤点です。
 ひどい試合。

FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ダニエル・ブライアンvs.ケイン
 ブライアン、パンクのライバル関係にケインが割り込んできた。
 ケインは第3者でありつつAJによって2人との相同性を持っている。
  そんな関係性を反映させた綺麗な構築となっています。
 ケインのマスクドVer後のパワー・バランスを反映していますが、もう少し強くしても良い。
 綺麗な構図を少し逸脱するぐらいにした方が魅力的になるし、より優れたアイディアが生み出る余地が生まれるものです。
 規律で固めすぎると新しいものが生まれる可能性はどうしても低くなる。
 尤も3人目の復活するタイミングを定時ではなく自在に調整しているので
 この試合も規律で縛られすぎているという印象は受けない。
 敢えて3人目のカットではなくカウント2にする感覚はセンスがあった。
 ただ最後のパンクとケインの一騎打ちは少々長い。
 こうするならケインがブライアンに場外チョーク・スラムでもして駄目押ししておかないとね。
 しかしケインを割り込ませながらパンクxブライアンの数え歌のクオリティを落とさなかったのは素晴らしい。
 好勝負に少し届かず。

Gライバックvs.ダン・デラニー、ロブ・グリーンズ
 スカッシュです。今何連勝中なんでしょうね。

Hケージ・マッチ:ジョン・シナvs.ビッグ・ショー
 (シナは負けたら解雇。ショーが負けたらローリネイティスが解雇。)
 ショーがいきなりケージを使い、シナがそれに対してダウン受け。
 軽んじられたケージに対し、重んじたダメージ表現をとる。
 そこに生まれるのは完全な停滞。
 どちらも最初の1分からこれっぽっちも試合を前に進めて行くことができない。
 ショルダー・タックルの位置づけは唯一面白かったのと
 後半はブックの演出を一定量用意しているので
 Funだったという印象だけは残せているが見事な凡戦。
 またビンスは相手を小馬鹿にしたスタンスで
 シナを応援すべきセコンドとしてはまるっきり本気さ、純朴さの欠片もない。
 ベビーフェイスの素質がありません。
 少し悪い試合。

総評
 大会にはメリハリが必要だからクオリティの高い試合ばかり揃っていなければならないということはないけれども
 それにしたって好調な王座戦以外の試合が駄目すぎやしないか。
 もうちょっと平均点を上げてください。
 (執筆日:6/18/12)
DVD Rating:★☆☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@世界ヘビー級王座戦:シェーマス(ch)vs.ドルフ・ジグラー
Aタキシード・マッチ:サンティノ・マレラvs.リカルド・ロドリゲス
BIC王座戦:クリスチャン(ch)vs.コーディ・ローデス
C#1コンテンダーズ・4コーナーズ・マッチ:ウーソーズvs.タイソン・キッド、ジャスティン・ガブリエルvs.プリモ、エピコvs.タイタス・オニール、ダレン・ヤング
Dディーバズ王座戦:レイラ(ch)vs.べス・フェニックス
Eシン・カラvs.フニコ
FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ダニエル・ブライアンvs.ケイン
Gライバックvs.ダン・デラニー、ロブ・グリーンズ
Hケージ・マッチ:ジョン・シナvs.ビッグ・ショー