TOPアメリカン・プロレスWWE 2011年 →WWE:日本公演 Day Two 12/1/11

WWE:日本公演 Day Two 12/1/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@ザック・ライダーvs.ジャック・スワガー
 スワガーは見やすいように体を大きく動かしていますね。
 アピールもそうだしアマレスの動きもそうです。
 また試合運びにおいては今回試合の主導権に強く拘ったスタイルを見せていました。
 ダイブを食らった直後に反撃したようにね。
 予想以上に幅の広さを見せながら最後まで高い集中力を保っていました。
 唯一惜しむらくはベースの落とし方が唐突だという事です。
 観客の反応をダイレクトに反映させているせいです。
 試合運びの点では観客を意識し過ぎていた。
 一方のライダー。
 Let's goチャントを受け人気の高さをうかがわせますが、
 凡庸な動きばかりでジョバーと何が違うのか証明する事は出来ませんでした。
 良いとこなしです。
 悪くない試合。

Aサンティノ・マレラvs.ウィリアム・リーガル
 マレラはレスラーとして身振りが完成されていません。
 それがコミカルなキャラに合っているともいえるけど。
 一部で只の道化ではない事を示す綺麗な動きを見せていて、
 コルト・カバナのような隠れた実力者的ポジションの色合いを作れる可能性が示されていました。
 しかしロープを往復しまくって疲れたりとあくまでコメディー。
 心理戦とはなりませんでした。
 一方のリーガルはその場のタイミングを除いて目立った構築上の働きはしていないが、
 引退宣言後際立っているハード・ヒッティングを披露。
 胸に打ち込んだ拳の音は3階まではっきりと響きました。
 結局、唐突なコブラ一発で終わり試合としてはとても評価できないが、
 両者の個性が出ていなかった訳じゃないのが救い。
 それでもリーガルをジグラーやマッキンと組んでいたらと想像してしまうけれど。
 悪い試合。

Bアレックス・ライリーvs.プリモ
 プリモはどちらか判断つきかねている観客に
 ヒールだという事を分かりやすく明示した後、
 一目で驚嘆させるスピード、キレのある動きを見せてくれました。
 人工的にきびきび動くのが売りのライダーだが完全に飲まれてしまい、
 攻防に関してもプリモに一呼吸遅れている所が目立ちます。
 一方でプリモの仕事は冴えわたる。
 印象に残りやすいような技を選択していて、
 ダイビング・ダブル・アックスなんかハイ・センスです。
 観客に過度に意識させずに動きを始めて上記の技を打ち、
 ムーブの後の間によって意味づけを与えている。
 受けも良質で相手に合わせて使い分けています。
 トータルで感心しきりで今夜のMVPでした。
 良い所なしのライリーでしたが、終盤の反撃で拳は確かに良質だな、という感想を残す事が出来ました。
 依然としてガタガタではありましたが何とか自分の魅力を提示して終える事が出来たのは良かったですね。
 平均レベル。

CUS王座戦:ドルフ・ジグラー(ch)vs.メイソン・ライアンvs.ドリュー・マッキンタイア
 ライアンは堅物のキャラとはいえ
 観客の反応、ヒールの演技にあんな無反応はないと思いますよ。
 試合は分かりやすいジェスチャーからジグラー、マッキンが組む展開。
 ライアンの技能を考慮してか、
 マッキンの打撃は利くが、ジグラーの打撃は利かないという設定になっています。
 中盤以降はジグラーが変なテンションになって暴走。
 観客のUSAチャントを楽しんで起こしたりと
 防衛すべき王者なのに完全に試合の主軸から外れて遊んでいます。
 マッキンがその分オーソドックスに試合を運びますが試合は全く進展せず。
 ジグラーのきちがいじみたアピール(ワン・ナイト・オンリー!)と
 ジグラー、マッキンの派手な受け身+ライアンのパワーによって
 点で盛り上がった楽しい時間だったが試合としては0点といって過言ではない。
 ひどい試合。

D(レフェリー:フナキ):べス・フェニックスvs.ケリー・ケリー
 ケリーの弾けた雰囲気は天性の物がありディーバとしての資質がある。
 しかし何回みてもロープ・ワークのひどさはずば抜けています。
 そしてハウス・ショーであり、尚且つ特別レフェリーが入ってきた事で
 PPVで見せていた必死さ、技のラッシュがなくなりました。
 そうなると生来の魅力なんてマイナス・ポイントに余裕で掻き消されます。
 ベスも緩い雰囲気で戦っていて、とてもバービーvs.レスラーのストーリーに乗っているとはいえない内容でした。
 またタイトル戦とアナウンスをしない=ノン・タイトル戦と認知されていないが故に
 観客との読み違いが生じ、最後のフィニッシュは実に唐突です。
 ひどすぎる試合。

Eビッグ・ショー、ジョン・シナvs.ザ・ミズ、ケビン・ナッシュ
 ミズがショーの張り手に対して変なリアクションを取ります。
 ハウス・ショーとして楽しませる意識を持つのは良いですが、
 アピールを試合と外れる物にまで変質させて盛り上がりを取りに行くのは感心しない。
 ナッシュは接触を限りなく少なくしようという狙いが見え見え。
 それならばバック・ドロップを食らってビッグ・マンとは思えない逃げを見せるよりも
 ビッグ・ブーツでも叩き込んでショーをダウンさせるきっかけを作る攻めを見せた方が負担が軽いと思うのですけど。
 ショーの孤立シーンは孤立として高める仕組み皆無のまま両者タッチにつながり、
 後はカットこそ含むもシナのシークエンスでフィニッシュまでノン・ストップ。
 シナの動き自体はスピード感を加えた2011年Verで魅力的でしたが、
 これ程までに展開が素っ気ないと呆気にとられます。
 シナの独特の受けも一切見られませんでした。
 ナッシュがが内容を大きく律するのではと不安を抱いていたが見事に的中した形。
 また個人的にはナッシュxショーの相対する姿より
 ナッシュxシナの相対する姿の方がよっぽどプレミア感があると思うのですが最後のカットしか接触がないなんて・・・。
 悪い試合。

FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.アルベルト・デル・リオ
 デル・リオはレスリングの動きにまったく淀みがない。
 パンクとオーソドックスなレスリングを見せていますが、
 これなら観客の反応に必要以上に右往左往しなくても
 自信を持ってレスラーの方から発信していけます。
 一方でそれを考慮しても味気ない印象はある。
 中盤のデル・リオの腕攻めにおいては
 デル・リオが腕への技とフォールを律儀に繰り返す試合運び。
 綺麗すぎて一極攻めが本来持つべき深みがまったくないという欠点が露呈。
 パンクもダメージ設定がやけに重いですね。
 特にそうする事でメリットは生まれておらず、
 例えば場外へのショルダー・スルー後にトペを打つような戦いの方が高いクオリティとなります。
 大技の前振り、技の使い所もいつもより甘く、
 リアルに状態が万全でない事から来る苦肉の策なのでしょう。
 それも褒めるべきテクニックではありますが、
 苦しい状況を受け入れてしまって取り繕うよりも
 苦しい状況を認めずにチャレンジしてくれた方が個人的には歓迎できる。
 更に最後のフィニッシャーにおいてカウント2で返したように見えるというケチもつきました。
 MOTNだがPPVの盤石の試合内容から
 ハウス・ショーだという事を割り引いた上で期待していたものに届かなかった事は否めない。
 平均より少し上。

総評
 最初の3試合はアンダーカードとしてのクオリティながら
 WWEには世界中の才能が集まっている事を実感させる、という点で
 例年と同じくWWEハウス・ショーの魅力がありました。
 しかし4試合目以降の試合面が余りに空虚です。
 ライブである事だけで良いのなら別にプロレスじゃなくて良い訳で
 ライブハウスでC席と同じお金を払えばSS席の距離でパフォーマンスが見れる。
 カードとしての重みが違うメインで印象をひっくり返す事も出来ず。
 プロレスとしては厳しい大会と言わざるを得ません。
Show Rating:☆☆☆☆☆
(執筆日:12/1/11)

注目試合の詳細

なし


試合結果

@ザック・ライダーvs.ジャック・スワガー
Aサンティノ・マレラvs.ウィリアム・リーガル
Bアレックス・ライリーvs.プリモ
CUS王座戦:ドルフ・ジグラー(ch)vs.メイソン・ライアンvs.ドリュー・マッキンタイア
D(レフェリー:フナキ):べス・フェニックスvs.ケリー・ケリー
Eビッグ・ショー、ジョン・シナvs.ザ・ミズ、ケビン・ナッシュ
FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.アルベルト・デル・リオ