TOPアメリカン・プロレスPWGPWG 2011年 →PWG:All Star Weekend 8 Night One 5/27/11

PWG:All Star Weekend 8 Night One 5/27/11の分析


名勝負 なし
好勝負 エル・ジェネリコ、リコシェvs.ナイトメア・ヴァイオレンス・コネクション(ケビン・スティーン、戸澤陽)

約3時間20分です。
@ウィリー・マックvs.ケビン・スティーン
 ショルダー・タックルの耐えあい、
 打撃の打ち合いは可能性に満ちているものの
 仕切ったり、口に頼って試合の進行を止めてしまう。
 スティーンのユーモアは相変わらず冴えているので
 流れがない中でミスが生まれてもフォローは出来ているけれども
 マックのような素材は掌の上という前提ですがもっと自由に動かせるべきです。
 終盤ムーンサルトやシャープ・シューターなど絵になる技を使って
 無理やりまとめあげてきましたがちょっと厳しい内容でしたね。
 平均より少し上。

Aフライティン・テイラー・ボーイズ(ブライアン・ケイジ・テイラー、ライアン・テイラー)vs.ダイナスティ(ジョーイ・ライアン、スコーピオ・スカイ)
 テイラーズは余裕が出てきましたね。
 跳躍力を中心に若手ならではの身体能力を発揮しています。
 タッグの試合運びとしてはまだ基本の域を超えないですがこちらも力を入れています。
 スコーピオはスピードがある以上にしなやかさが魅力。
 独特のスタイルも他に刺激を与えるでしょうね。
 ライアンはその復帰したてのスコーピオの陰に隠れていましたが、
 ずれそうになる所でしっかり引き戻して合わせていて足手纏いにはなっていない。
 まあまあ良い試合。

Bケニー・キングvs.チャック・テイラー
 女々しい叫び声こそ上げないものの
 テイラーは駄目っぷりを前に出したヒール・キャラになっていますね。
 展開もセコンドのライアン・テイラーに頼る形になっている。
 一方のケニーですがROHに比べリングが小さい事に対応できておらず
 自分の技を最大限の形でスムーズに発揮する事が出来ていません。
 お互い力量を発揮できずファン・マッチに終わる。
 平均レベル。

Cタッグ王座戦:ヤング・バックス(ch)vs.ロックネス・モンスターズ
 序盤はロックネスがヤング・バックスを翻弄します。
 下ネタを絡めているのは王座戦としてどうかと思いますが、
 ヤング・バックスの連携にずれが生まれるという展開にするなら
 そこは目を瞑ってむしろ徹底的にやるべきでした。
 後半はYバックス相手に粘りを見せて一進一退。
 単純にしなくてはいけない部分も変に複雑化していたりします。
 このカードでも王座戦レベルに持って行こうという努力が結果として出ているが、
 カードにおける両タッグの差にもっと気を使わなければならなかったですね。
 平均的な良試合。

Dカットラー・ブラザーズvs.オースチン・エリーズ、ロデリック・ストロング
 序盤で腕立て伏せするカットラーズをスターとして馬鹿にするのは良いとして
 相手の控えが入ってきてエリーズに襲い掛かってもロデリックが何もしないのはどうか。
 相手を軽んじるという立ち位置から何も生まれていないにも関わらず、
 それを安穏と維持して時間を費やします。
 ダスティンの孤立だけで中盤が終わってくれればすっきり進行したものの
 バランス上まったく要求されていないエリーズの孤立まであるのだからダルい。
 ヒールはベビーフェイスの引き立て役という古典に徹して
 エリーズ、ストロングを接待する形にしておけばよかったと思いますよ。
 平均より少し上。

 試合後ヤング・バックスがGNを襲撃するもシェリーが追い払う。

Eエディ・エドワーズvs.アレックス・シェリー
 シェリーはひねくれキャラで相手のペースを握ろうとしていますが、
 エディもまたビッグ・ショーの物真似をするなど
 普段見せない行動に出て逆に攪乱しにかかっている。
 本来なら崩れそうなものですが、
 エディは流石で試合が予期せぬ方向に飛んでも
 修正せずにその方向で対応する事で試合を面白くしている。
 決してメインを張れるような内容ではないが2人の技術を堪能できる内容。
 中々良い試合。
 
Fエル・ジェネリコ、リコシェvs.ナイトメア・ヴァイオレンス・コネクション(ケビン・スティーン、戸澤陽)
 ROHの遺恨を持ってきてスティーンxジェネリコはライバルとして描かれます。
 戸澤はやや邪道ながら叫びで観客を最高に盛り上げ、
 リコシェは奇想天外なムーブで他を圧倒します。
 ストーリー・テリングは想像程のものではなかったものの
 この試合の最大の魅力は要所のスポット群のユニークさ+過激さです。
 戸澤のトぺがスティーンに誤爆かと思いきや
 スティーンがキャッチしてそのまま戸澤を武器に使ったりして
 4人全員参加で面白い攻防を見せてくれます。
 またタッグの基本、リコシェの孤立シーンでは
 スティーンが強みを発揮して煽り立て上質な内容としています。
 終盤はスティーンがジェネリコのブレーン・バスターをパッケージ・パイル・ドライバーに返すなど1つ1つが凄いニア・フォールの連続。
 それは只畳み掛けているだけですが一つ一つが工夫され、
 同時に常に決着してもおかしくないレベルの過激さなのだから盛り上がらざるをえません。
 終盤の凄さというベクトルではインディー史上でもトップ・レベルでした。
 PWGらしい色合いを持っていて、尚且つ今年のタッグ・マッチの3本指に入る内容です。
 文句なしに好勝負。

GPWG王座戦:クラウディオ・カスタニョーリ(ch)vs.クリス・ヒーロー
 パートナー対決でありヒーローもPWG王者になっているという事で
 余り差異は生まれずにゆったりと時間をかけてレスリングを見せています。
 長身の2人がモンキー・フリップやアーム・ドラッグを駆使して戦う、というのは
 以前見たことある内容ですが、記憶の中にあるそれとは違って
 動きに淀みがなく優雅さがある所は成長といえるでしょう。
 次第にヒーローがCCの形を決めさせず、
 CCが苛立ちを隠せなくなる、というストーリーを織り交ぜていきます。
 CCにミスもありましたがストーリーの中でフォローも出来ていましたね。
 しかしトップ・ロープが壊れるアクシデントは
 その場こそトぺで爆発的盛り上がりを生んだものの後に尾を引いてしまいました。
 勝敗が前面に出てくるまでまだ道のりがある中で
 私的な戦いにいくには様式を壊せず、
 気持ちを伝えるにはロープがないせいで勢いが足りない。
 40分に及ぶ長丁場に対して集中力を切らさずに行ったものの
 断片的で完成させるには至らなかった。
 好勝負に少し届かず。

総評
 豪華な面子である事を考えると順当な内容ともいえるが、
 それを実現させる所に今年のPWGの強みがある。
 また例外的に予想を遥かに超えたセミのタッグもあるし、お勧めです。
 (執筆日:10/14/11)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

Fエル・ジェネリコ、リコシェvs.ナイトメア・ヴァイオレンス・コネクション(ケビン・スティーン、戸澤陽)
 ジェネリコはアナウンスされて腕を上げると同時にスティーンに殴りかかる。
 なぐり合うスティーンとジェネリコをパートナーが抑える。
 戸澤対リコシェで試合を開始する。
 ヘッド・ロックを決めた戸澤が叫ぶ。
 リコシェが戸澤の手を踏みつける。
 ロープに振られショルダー・タックルへ。
 戸澤が受け止める。
 もう1回打ってみろという。
 リコシェは応じるふりをしてソバット。
 ロープに振ろうとする。
 戸澤が防ぎソバット。
 ロープに振りショルダー・スルーを狙う。
 リコシェが背を通って着地。
 ビッグ・ブーツをかわすとアーム・ドラッグ。
 ドロップ・キックへ。
 戸澤がかわし蹴り飛ばす。
 ダイブを狙う。
 リコシェがエプロンに上がりカウンターで蹴りを狙う。
 戸澤が読んで止まる。
 場外のスティーンがリコシェの脚を引っ張って落としパイル・ドライバーを狙う。
 ジェネリコがスティーンに殴りかかる。
 そこに戸澤がトぺ・スイシーダを放つ。
 かわされスティーンに誤爆かと思われたが、
 スティーンはキャッチして担ぐと回転して脚をぶつける。
 そのままエプロンに上がるとそこからリコシェに放り投げてぶつける。
 スティーンはエプロンにリコシェを寝かせると
 そこにジェネリコをパワー・ボムで叩き付ける。
 リングに戻す。
 チョップ。
 殴り返してきたジェネリコのマスクを掴む。
 抵抗するジェネリコを殴り倒しニーを押し付ける。
 背中を蹴りつける。
 交代した戸澤がジェネリコにボディ・スラム。カウント2。
 背中を蹴りつける。
 ロープに走る。
 ジェネリコがカウンターでバック・ブリーカー。
 タッチしたリコシェが戸澤の腰にエルボー・ドロップ。
 ロープに振りドロップ・キック。カウント1。
 背中を蹴りつける。
 スティーンを挑発するもその隙に自陣に押し込まれる。
 交代したスティーンがリコシェをコーナーに乗せチョップ。
 耳に噛みつく。
 抵抗するリコシェを抑え込みタッチ。
 戸澤がボディ・スラムからセントーン。カウント2。
 交代したスティーンがムーンサルト。
 カバーと思いきや噛みつく。
 交代した戸澤がコーナーでチョップ。
 打ち返してきたリコシェにジャブ。カウント2。
 交代したスティーンがドロップ・キック。
 リコシェを抑え込むと見せつけるよう掌を折り曲げる。
 戸澤も入ってジェネリコを挑発。
 スティーンがリコシェの背中を蹴りつける。
 油断したスティーンにリコシェが変形ヘッド・シザース。
 慌てて交代した戸澤がコーナーに振り突進。
 リコシェはコーナーを使って裏に回るとフェイス・バスター。
 両者ダウン。
 交代したジェネリコが戸澤にクローズライン連打。
 ロープに振りショルダー・スルー。
 スティーンが入ってきてジェネリコにバック・エルボー。
 ジェネリコがすぐにクローズラインを決め追い出す。
 ジェネリコは戸澤の手を掴んでコーナーに駆け上がる。
 そのままアーム・ドラッグかと思いきや切って場外のスティーンにトぺ・アトミコ。
 リコシェが入り戸澤のバックを取る。
 外されるもカウンターで蹴り。
 ジェネリコがリングに戻りブルー・サンダー・ドライバーにつなげる。カウント2。
 リコシェが回転してのセントーン。カウント2。
 戸澤がパンチを耐えて起き上がる。
 ジェネリコが殴り倒しロープに走る。
 場外のスティーンが脚を引っ張って倒すとリングに入ろうとする。
 リコシェがジェネリコを踏み台にスタンディングSSP。
 戸澤がロープに走る。
 ジェネリコがブルー・サンダー・ドライバー。カウント2。
 コーナーの戸澤にビッグ・ブーツを狙う。
 戸澤がカウンターでビッグ・ブーツ。
 サイトウ・スープレックスにつなげる。
 両者ダウン。
 タッチしたスティーンがリコシェを殴り落とす。
 ジェネリコにパッケージ・パイル・ドライバーを狙う。
 ジェネリコが防ぎハーフネルソン・スープレックスを狙う。
 スティーンがカウンターでスタナー。
 自陣にもたれたジェネリコにタッチしたリコシェがコーナー上から飛ぶ。
 スティーンがキャッチしほうり上げてバック・ブリーカー。
 シャープ・シューター。
 ジェネリコが入り顔を蹴りつける。
 ロープに走り蹴り飛ばす。
 交代した戸澤がエルボー連打。
 ロープに走る。
 リコシェが延髄切り。
 ロープに走る。
 戸澤がハリケーン・ラナへ。
 防がれるもシャイニング・ウィザード。
 突進。
 カウンターで蹴りを食らうも突進。
 リコシェはカウンターで蹴りをいれて倒すとコーナー上。
 戸澤が殴りつけバックを取る。
 リコシェはバックを取り返すと
 オコーナー・ロールで転がしペイレイ・キック。
 側転から肩にのろうとする。
 戸澤が読んでキャッチ。
 ジェネリコが戸澤を殴りつけハーフネルソン・スープレックス。
 リコシェのブーメラン・キックとジェネリコのビッグ・ブーツが同時に戸澤にヒット。
 ジェネリコが場外のスティーンにプランチャ。
 リコシェがフェニックス・スプラッシュ。カウントは2。
 バックを取る。
 戸澤が防ぎエルボーを打ち下ろしていく。
 連打。
 ロープに走りクローズラインへ。
 リコシェが受け止めジャンピング・キックへ。
 戸澤がかわしジャーマン。
 ジェネリコがカウント2でカット。
 入ってきたスティーンにハーフネルソン・スープレックス。
 スティーンが気合いで起き上がりラリアット。
 全員ダウン。
 同時タッチ。
 スティーンとジェネリコが入る。
 ふらつきながら歩み寄るとエルボーの打ち合い。
 張り手、エルボーの打ち合い。
 スティーンが押されるも目に指を突っ込み噛みつく。
 反対コーナーへ。ジェネリコが追いビッグ・ブーツ。
 ブレーン・バスターを狙う。
 スティーンがパッケージ・パイル・ドライバーに切り返す。
 戸澤がすかさずシャイニング・ウィザードを叩き込む。
 スティーンがカバー。
 リコシェがぎりぎりでカット。
 リコシェが戸澤を落とす。
 ジェネリコを自陣に持って行きタッチ。
 ロープに走る。
 スティーンが打ち上げパワー・ボム。カウント2。
 コーナー上へ。
 邪魔してきたジェネリコの目に指をいれて落とす。
 リコシェがスティーンを捕まえバックに回る。
 抵抗されるもリバース・ハリケーン・ラナ。
 カバーするもカウントは2。
 コーナー上へ。
 戸澤が下してめちゃくちゃに打撃。
 ジェネリコが戸澤に滅茶苦茶に打撃を入れ追い出す。
 エプロンに出るとビッグ・ブーツへ。
 戸澤が受け止めジャーマンを狙う。
 ジェネリコが防ぐ。
 スティーンのロープ越しの攻撃も防ぐ。
 しかしスティーンを狙ったリコシェのスーパー・キックがジェネリコに誤爆。
 戸澤がスティーンにビッグ・ブーツ。
 ジェネリコにエプロンでジャーマン。
 リコシェがスティーンの肩にのりハリケーン・ラナを狙う。
 スティーンが途中で受け止め後ろのコーナーに投げる。
 カバーしカウント3!
 試合後それぞれを激戦を称えあうもスティーンとジェネリコは視線を交わすのみ。
 スティーンと戸澤がハグ。

試合結果

@ウィリー・マックvs.ケビン・スティーン
Aフライティン・テイラー・ボーイズ(ブライアン・ケイジ・テイラー、ライアン・テイラー)vs.ダイナスティ(ジョーイ・ライアン、スコーピオ・スカイ)
Bケニー・キングvs.チャック・テイラー
Cタッグ王座戦:ヤング・バックス(ch)vs.ロックネス・モンスターズ
Dカットラー・ブラザーズvs.オースチン・エリーズ、ロデリック・ストロング
Eエディ・エドワーズvs.アレックス・シェリー
Fエル・ジェネリコ、リコシェvs.ナイトメア・ヴァイオレンス・コネクション(ケビン・スティーン、戸澤陽)
GPWG王座戦:クラウディオ・カスタニョーリ(ch)vs.クリス・ヒーロー