TOPアメリカン・プロレスPWGPWG 2011年 →PWG:DDT4 3/4/11

PWG:DDT4 3/4/11の分析


名勝負 なし
好勝負 決勝:ヤング・バックスvs.ケビン・スティーン、戸澤陽

@1回戦:ヤング・バックスvs.ブランドン・ガットソン、ウィリー・マック
 Yバックスがマイクで煽り立ている所にガットソンらが
 不意打ちダイブを決めるという形でスタートし盛り上がりました。
 Yバックスはガットソン、マックに一進一退についてくる技量がないとみて
 要所で形を作ることを重要視していましたね。
 ガットソンが孤立されている状態での動き方が甘く、
 マックも身軽さばかりでパワフルさのアピールが足りません。
 終盤の入り乱れる攻防も経験の少なさが出てヒットしていない技も見られました。
 しかしYバックスのキャリーが良かったのと
 最後にコーナー上から転落したガットソンの手がロープに絡まるミラクルがあり、
 実力以外にも決着するだけの理由が出来たのは嬉しいアクシデントでした。
 まあまあ良い試合。

A1回戦:アメリカン・ウルヴスvs.ロックネス・モンスターズ
 ウルヴスの蹴りとサブミッションに対するロックネスのリアクションで
 カード通りのスカッシュになると思わせておいて
 ロックネスの驚異的な粘りを見せ場にしてきました。
 数少ないロックネスの反撃スポットは工夫されていますし、
 孤立するユーマのぐったりとした受け表現はドラマチックです。
 ロックネスの形になっても反撃を簡単には許さない
 ウルヴスの厳しさがそれに拍車をかけます。
 実力の劣るロックネス相手に試合を進行させるに伴い
 タッグ・スポットを多用せざるを得ず
 見せ方に反してテンポが形式的になっていた所はありましたが想像以上の内容でした。
 中々良い試合。

B1回戦:カットラー・ブラザーズvs.キングス・オブ・レスリング
 カットラーズがショルダー・タックルを耐えてマッスル・ポーズをするのはいつもの事だが
 他ならぬKOW相手にそれをやると余りに実態からかけ離れています。
 その後の内容も観客を楽しませる意識こそあるが
 このカードとしての戦いはありません。
 KOWがカットラーズに合わせる中で不自然に力を抑制させた内容です。
 平均レベル。

C1回戦:ブリスコ・ブラザーズvs.ケビン・スティーン、戸澤陽
 戸澤は観客の声援を引き出しつつShut Upと言ったりと
 他でヒールをやっている影響が見られますが
 ヒールというよりも観客をそこまで気にせず我を通しているキャラですね。
 戸澤とマークが奇声を上げながら攻防、
 それぞれパートナーに抑えられて、と
 このカードならではのユニークな試合展開になっています。
 その展開やファン・マッチ的ながら充実した攻防が見られました。
 最後のスティーン、戸澤のフィニッシャーがスプリングボード式ドゥームスデイ・ウィザードだったのも面白い。
 平均的な良試合。

D準決勝:アメリカン・ウルヴスvs.ヤング・バックス
 間抜けにアピールしまくるYバックスに
 ウルヴスが冷静に技を叩き込みあしらっていきます。
 中盤はYバックスが積み重ねた経験を活かしてリチャーズを孤立。
 ゆとりが出来たので技に踊らされる事もなく、
 最近のチープ・ポップなキャラを交えながらしっかり構築が出来ています。
 終盤もスーパー・キック乱れ打ちが効果的に作用し、
 一瞬で攻勢が入れ替わっていきます。
 迫力ある技による激戦模様だからこそ一瞬の丸め込みによる決着もあり。
 好勝負に少し届かず。

E準決勝:キングス・オブ・レスリングvs.ケビン・スティーン、戸澤陽
 スティーンはヒール・キャラでないと体重Overによる鈍ったい印象が振り払えませんね。
 CCはヒーローと同じ体格を持つ選手からの
 戸澤に対する一般的な見方を提示しているが、それ以上の印象は残らず。
 結局の所、ヒーローx戸澤が目玉です。
 ヒーローは前回の試合を引きずった荒っぽいやり方で戸澤を扱い、
 戸澤は前回の弱々しい姿とは違う形で耐えしのぎながら反撃で爆発させる。
 控え同士になっても相手への意識バリバリでダイブ三連発を放っていましたね。
 真っ向から相手を叩きのめすために
 ダメージほぼ無視で気持ちでぶつかり大いに盛り上げました。
 タッグなのにシングルの見せ方をしているという点で好勝負とまでは言わないが
 PWGならではの試合といえる素晴らしい内容。
 好勝負に少し届かず。

Fジョーイ・ライアン・インビテーショナル・ガントレット・マッチ:ライアン・テイラーvs.ブライアン・ケイジ・テイラー
vs.ピーター・アヴァロン vs.キャンディス・ラレー
 PWG王座挑戦が決まっているライアンが
 調整試合の相手を選ぶために行った試合です。
 最初のテイラー対決は防ぎ合いが過剰、取りとめない攻防になっているものの
 ユニーク且つ過激なので盛り上がりましたね。
 ライアンxアヴァロン。
 アヴァロンは入るなり襲いかかってベビーフェイスxヒールの構図です。
 ライアンが元気すぎてダイナミズムは生まれていませんが、
 個性は出ているのでやり方を変えるのではなく完成度をましにしていって欲しいですね。
 最後はアヴァロンxキャンディスですが、
 試合が始まるなりライアンがアヴァロンに手をだしキャンディスを勝たせるという出来レースでした。
 少し悪い試合。

Gジョーイ・ライアンvs.キャンディス・ラレー
 かつてそこそこ楽しい試合をしていた記憶がありますが、
 今回はライアンのセクハラが過剰で無駄に過激技までありますね。
 またライアンが負けたら王座挑戦権を譲ってやる、と言っているので勝敗も見えてますし。
 悪い試合。

H決勝:ヤング・バックスvs.ケビン・スティーン、戸澤陽
 場外乱闘からスタートすると椅子攻撃も出し惜しみせずにぶつかり合います。
 スティーンがエプロンへパワー・ボムを4連発で叩き込んだ一方で
 戸澤が椅子への断崖式のDDTを食らい戦線離脱する展開に。
 戸澤は気持ちで逆境を乗り越える選手ですから
 形式的にバック・ステージに引っ込ませるよりも
 場外でずっとダウンさせた方が試合としてはより豊かになったと思いますが、
 そこは両者3戦目という事で最後の力を振り絞りやすくする環境作りでしょうか。
 実際スティーンの孤立は中々のものでした。
 スティーンが膝を痛めているにも関わらず、
 Yバックスが単純に脚攻めとせず要所でだけ脚を攻める方法を取ったことで
 戸澤ならきっと戻ってくる、と粘るスティーンの思いがより明確に伝わっていきました。
 終盤は戦略的でこそないが過激な技シークエンスの打ち合い。
 スーパー・キック乱れうちでこの試合もまた終盤から一歩上のクライマックスが実現しています。
 ぎりぎり好勝負。

総評
 インディーのトップ・タッグを召集する一方で、
 スティーン、戸澤などPWGらしい色づけもしっかり見せてきました。
 (執筆日:10/14/11)
DVD Rating:★★★★☆

注目試合の詳細

H決勝:ヤング・バックスvs.ケビン・スティーン、戸澤陽
 入場するなり場外で乱闘。
 戸澤がリバース・スープレックスに返し椅子の上に落とす。
 戸澤がマットをリングにいれゴングが鳴るも再び場外へ。
 椅子を叩き付けあう。
 スティーンがニックを椅子の上に投げ落とす。
 エプロンからフロッグ・スプラッシュ。
 マットの蹴りを受け止めると鉄柱にぶつけ殴りつける。
 ニックがスティーンに椅子攻撃。
 戸澤にも椅子攻撃。
 スティーンが羽交い絞めにしたニックに戸澤がビッグ・ブーツ。
 スティーンがマットを鉄柱にぶつける。
 ニックにエプロンへのパワー・ボム。
 もう1発。
 3発目を狙う。
 マットが椅子でついて助け出す。
 スティーンはマットにエプロンへのパワー・ボム。
 もう1発。
 リングに戻しアピール。
 セカンド・ロープからレッグ・ドロップ。カウント2。
 ムーンサルトへいくもかわされ自爆。
 場外ではニックが戸澤に椅子を投げつける。
 マットはスティーンの脚を蹴りつける。
 張り手を打ち返してきたスティーンの頭部を蹴り飛ばす。
 スティーンがマットの股間にかみつく。
 マットが蹴り飛ばす。
 スペース・ローリングから熊手を受け取りそれで筆画。
 戸澤がリングに入ってきて襲い掛かる。
 2人を場外に落とすとダイブを狙う。
 ニックが脚を引っ張り倒す。
 2人で戸澤をエプロンで横にして椅子へのDDT。
 リングでスティーンに打撃を叩き込む。
 2人でスティーンをコーナーに振り突進。
 スティーンはニックをエプロンに出すとマットをぶつける。
 エプロンに出るとニックにパイル・ドライバーを狙う。
 ニックがリバース・スープレックスに返す。
 椅子も叩き付ける。
 鉄柱にぶつける。
 スティーンはリングに戻るも流血している。
 マットがスティーンの傷口に拳を叩き込む。
 ニックが抵抗するスティーンに低空ドロップ・キック。
 タッチしたニックが脚へのスワントーン・ボム。
 マットがシャープ・シューターを決める。
 ニックが場外からロープを引っ張りスティーンをあざける。
 スティーンに唾を吐かれ殴り飛ばす。
 タッチするとマットがスティーンを担ぎ、ニックがコーナー上へ。
 戸澤が入ってきて2人にビッグ・ブーツ。
 スティーンがマットを転がしシャープ・シューター。 
 ニックが戸澤を振りほどいてリングに入り殴りつける。
 スティーンは離さず唾を吐く。
 ニックが頭部を蹴り飛ばすもスティーンは離さない。
 戸澤がリングに入りビッグ・ブーツ。
 ジャーマンに続ける。
 マットがロープをつかむ。
 戸澤がスティーンを自陣に引っ張りタッチ。
 マットにジャーマンを狙う。
 ニックが入りカット。
 2人で戸澤をロープに振る。
 戸澤がバックを取る。
 攻撃を誤爆させるとマットをニックの上にジャーマン。
 マットにジャーマン。
 だるま式ジャーマンに続けるもニックがカット。
 マットをコーナーのニックにぶつけビッグ・ブーツ。
 交代したスティーンが2人まとめて担ぎサモアン・ドロップ。
 ニックにパッケージ・パイル・ドライバー。
 戸澤が続けてシャイニング・ウィザード。
 カウント2でマットがカット。
 ニックが戸澤を場外に落としダイブ。
 スティーンがマットにシャープ・シューター。
 ニックが入りスーパー・キック。
 マットがスーパー・キック。
 ニック、マット、ニック、マットと6発目を叩き込む。
 カバーするもカウントは2。
 座り込んだスティーンにニックがスーパー・キック。
 マットも。
 中指を立ててきたスティーンに同時に打ち込む。カウント2。
 戸澤が入ってきて殴りかかる。
 2人を殴りまくる。
 ロープに走る。
 2人がカウンターのスーパー・キック。
 マットが戸澤を担ぎスティーンの上にファイヤーマンズ・キャリー。
 ニックが450。
 マットがムーンサルトにつなげカウント3!

試合結果

@1回戦:ヤング・バックスvs.ブランドン・ガットソン、ウィリー・マック
A1回戦:アメリカン・ウルヴスvs.ロックネス・モンスターズ
B1回戦:カットラー・ブラザーズvs.キングス・オブ・レスリング
C1回戦:ブリスコ・ブラザーズvs.ケビン・スティーン、戸澤陽
D準決勝:アメリカン・ウルヴスvs.ヤング・バックス
E準決勝:キングス・オブ・レスリングvs.ケビン・スティーン、戸澤陽
Fジョーイ・ライアン・インビテーショナル・ガントレット・マッチ:ライアン・テイラーvs.ブライアン・ケイジ・テイラーvs.ピーター・アヴァロン vs.キャンディス・ラレー
Gジョーイ・ライアンvs.キャンディス・ラレー
H決勝:ヤング・バックス(優勝!)vs.ケビン・スティーン、戸澤陽