Noah:Best of Noah 2023 part.2の分析
名勝負 | なし |
好勝負 | オカダ・カズチカvs.清宮海斗(2/21/23) 武藤敬司vs.内藤哲也(2/21/23) ナショナル王座戦:エル・イホ・デル・ドクトル・ワグナーJr.(ch)vs.ジャック・モリス(4/16/23) |
@オカダ・カズチカvs.清宮海斗(2/21/23)
カードだけでも頂上対決ですが、事前の仕込みも万全。
30分の試合時間制限も当日直前に時間無制限に変更となりました。
この試合でも綺麗さを意図的に崩し
シークエンスの予知夢と裏切りを上手く組み合わせています。
丁寧な韻踏とロジック。
そこを崩さずに不穏感を演出する。
柔軟なオカダに対し清宮の方法論は少し絞られ過ぎているキライはあります。
得意技を交錯させる中で等価を意識する余り立体感がなくなり、
トップ対決故に必殺技のインフレも起こってしまう。
終盤の落しどころが勿体ないですが、ここはどうしても難しい所ですね。
期待値は十分満たした激闘です。
文句なしに好勝負。
A武藤敬司vs.内藤哲也(2/21/23)
蝶野がゲストとして登場。
元旦と同じくセミ/メイン完璧な組み合わせですね。
負傷ネタで煽って最終戦を迎えます。
余韻含みで魅せるグラウンド。
負傷の醸し方うまいですね。
内藤は花道走ってのスライディング・キックを決めたり
ブレイクしてもサブミッション離さなかったりと時間をかけてペースをつかんでいきます。
戦いとしては進んでいないが引退試合としては刻一刻と進んでいる、という見え方のが面白い。
完全に内藤ペースの中で足攻めを追加。
ひっくり返すためではなく自身のターンの中で足狙いを切ったのも興味深い。
武藤は反撃すると橋本ムーブに三沢ムーブ。
そしてムーンサルトを構えて辞めて、と
ノスタルジックなスポットを用意してきましたが、
リズムと間でも魅せていました。
終盤は刹那の連続で全体構成的には改善の余地あり長ったらしさはあるものの
この試合においては終わってほしくない想いの具現化でもあって心地は悪くない。
vs.清宮、vs.中邑を経てそれに比類するものが生まれるか疑問を感じていましたが、
予想以上に素晴らしい内容に仕上がっていて脱帽です。
ぎりぎり好勝負。
試合後、武藤がやりたいことが一つあると言って蝶野に戦え、と要求。
蝶野が張り手にシャイニング・ケンカ・キック、STFを決めてフィニッシュ。
すぐに終わりましたが、蝶野は杖をついて歩いていたとは思えない動き。
そしてその1ムーブ一つ一つに対し武藤もまた完璧な受け身で応えた気持ちの示しようは感動的でしたね。
幕閉じの美学であり、引退試合が出来なかった蝶野への想いが伝わるひと時。
BGHCヘビー級王座戦:清宮海斗(ch)vs.ジェイク・リー(3/19/23)
じっくりとしたレスリング。
清宮がジェイクのペースに合わせ、まずはジェイクが不意打ちバック・ドロップ。
清宮が損する役回りで挑戦者的に見えますね。
中々うまくいかないアオハルは清宮の一つの売りになりつつあるので、
強さに固執する必要はないが、そうはいっても王者であって
もう少しバランスのとり方がなかったか。
清宮が苦境表現で引きすぎてジェイクもまた少々退屈です。
終盤も清宮が単発傾向の反撃。
ジェイクも不感症的スタンスが決して成功していません。
水と油。
外敵という位置づけがあるのでまだ良いですが、
ジェイクというレスラーの魅力も伝わらなかった。
期待を下回る、平均的な良試合程度。
Cナショナル王座戦:エル・イホ・デル・ドクトル・ワグナーJr.(ch)vs.ジャック・モリス(4/16/23)
ヘビー級の追いかけやすいテンポ感。
重みと身体能力の高さが両立されています。
ジャックとワグナーの息もあっていて、文句をつける場面はほぼなく15分。
ちょうど良いタイミングでテーブル葬を挟んで後半戦へ。
ワグナーの成長著しく、
ジャックの輝く姿もちゃんと作った上で乗り越えていきます。
分かりやすい掟破りの攻防も含め最後まで盛り上がりましたね。
ぎりぎり好勝負。
DGHCヘビー級王座戦:ジェイク・リー(ch)vs.中嶋勝彦(4/16/23)
ジェイクは威圧し過ぎず大きいプロレス。
腰狙いの筋も構成に的確に活かします。
中嶋は無暗に蹴りを放たず、
蹴りの使いどころが上手かったですね。
自分の立ち位置も的確に把握していました。
中嶋の蹴りに対して良い受けを見せているジェイク。
清宮の時は交わり切らぬも今回はちゃんと交わっており、
意図を持った仕草と共に沈黙具合もコントロールできています。
最後の幕引きが少し弱い印象で後一歩届きませんでしたが、
ジェイクの防衛ロードが楽しみになってきましたね。
好勝負に少し届かず。
(執筆日:4/?/23)