新日本プロレス:Best of G1 2018 part.5の分析
名勝負 | G1公式戦:棚橋弘至vs.オカダ・カズチカ(8/10/18) G1公式戦:ザック・セイバーJr. vs.内藤哲也(8/11/18) G1公式戦:飯伏幸太vs.ケニー・オメガ(8/11/18) G1決勝:棚橋弘至vs.飯伏幸太(8/12/18) |
好勝負 | G1公式戦:石井智宏vs.SANADA(8/11/18) |
@G1公式戦:棚橋弘至vs.オカダ・カズチカ(8/10/18)
Aブロックの決勝進出をかけた最終戦。
棚橋が引き分け以上で、オカダは勝てば決勝進出というシチュエーションです。
棚橋が峠を越えたので前回の王座戦が最後の数え歌かと思っていたら
再びの対戦で絶妙な試合をやってのけました。
ノン・スポットの抵抗と受身後の仕草で衰えを色気と共に表現。
今回はオカダもそれに合わせて
技ではないところの表現で気迫をぶつける。
良くも悪くも飄々としているオカダが
こういう見せ方が出来るとは思いませんでした。
一方で技と技のぶつかり合いはポイントに凝縮する。
棚橋のリスキーなハイ・フライ・フローから
ドラスクでの追い込みは最高のドラマチックでした。
残り時間が見えてからも得意技の切り返しを上手くはめこみ、
これまで以上にチェーンさせ
新しいものまで見せてきたのはお見事というしかないでしょう。
ぎりぎり名勝負。
AG1公式戦:石井智宏vs.SANADA(8/11/18)
石井のチョップにSANADAがひるむ受身。
ポジション的にはもう少し高圧的に出ても良さそうなものですが、
石井に対して引いた上で
ドロップ・キック等美しいムーブでアピール。
石井を最大限に輝かせる素晴らしい構築ですね。
ただそこまで思い切るなら、
その中でSANADAもポテンシャルを突き詰めるために
脚の痛みの表現を加えて欲しかったですね。
ブリッジができないとかムーンサルト自爆時に膝を押さえるとか。
そういうニュアンスがあるとまだ深みが増してきます。
ぎりぎり好勝負。
BG1公式戦:ザック・セイバーJr. vs.内藤哲也(8/11/18)
内藤の寝転んだアピールにセイバーがアーム・バーをかけたりと
セイバーが内藤のムーブに合わせてカウンターを作り上げます。
内藤もサブミッションの見せ方を工夫していて
序盤からこの2人で戦っているからこそのものを見せます。
内藤の場合、前半からスポット以外の部分で
ここまで融合できているのは結構珍しい印象です。
自由自在に攻防を盛り込んでいきます。
相手の微細な意図も踏まえてニュアンスも調整。
チェンジ・ペースも見事で心地よいですね。
クイックも利いていて最後のフィニッシュへの立体的な攻防も良し。
想像以上にスイングした一戦。
ぎりぎり名勝負。
CG1公式戦:飯伏幸太vs.ケニー・オメガ(8/11/18)
勝った方が決勝進出というBブロック最終戦。
DDTの路上で出会った2人がメジャーの
大舞台でシングル対決というのは感慨深いものがありますね。
まずは打撃一つ一つぴたりの間で雰囲気作り。
そこにエプロンへのボディ・スラムなど
激しいものをすらっといれ馴れ合いを排除します。
どちらも自分のペースに持ち込めない中でエプロンの攻防。
構築上も戦いの表現上もタイミングが見事ですね。
オメガがエプロンでツームストン。
この主導権を握った状態でも
まったく目を離せないぎりぎりの攻防を混ぜていきます。
追い討ちトペコンで第2ステージに移ると
飯伏もムーンサルトを放ち応戦していきます。
抵抗するオメガに完全に体重にのった
スタンディング・ムーンサルト・ダブル・ニー。
異常にハードな打撃を打ち込みあい。
プロレスなので気合で起き上れる訳ですが、
それが信じられない程120%の激しい技の数々です。
そして技に対するダメージ表現もまた素晴らしい。
片翼の天使に対し背面にそらして耐える飯伏を
そのままリングに突き刺す等、無茶苦茶で完全燃焼。
ケチのつけようがない、凄いを何度連呼しても足りないくらいの一戦。
歴史的な名勝負です。
メルツァーも再び壊れて8スターをつけていましたね。
DG1決勝:棚橋弘至vs.飯伏幸太(8/12/18)
まさかこのカードがG1決勝になるとは思ってみなかったですね。
柴田が棚橋のセコンドとして駆けつけ花を添えます。
さて試合は基本論に忠実な出だし。
身体能力が衰えてきている棚橋には決して好手ではないですが、
それでも王道を行くというのがこの試合にかける思い。
飯伏がムーンサルトをかわそうとした棚橋にダブル・ストンプ。
ハードな蹴り含め肉体に負荷のかかる攻めを繰り出します。
棚橋はこの試合耐えることを通じて気持ちを示していきましたね。
棚橋がドラスクや変則カウンターで何とか食らいつき
細かなせめぎ合いで着実にボルテージを高めていきます。
以前スペシャル・マッチで戦いましたが、
そういうスペシャル・マッチ程度では
躊躇してしまうような無茶な攻めを飯伏が解禁。
ここでも棚橋がエースとして、新日の魂としての姿勢の表現。
棚橋が多段階の脚攻めで終盤への流れを作り、
飯伏がカミゴエ狙いの所までいきますが、
ここから間を見事に手繰り寄せ幸せなクライマックスが続きます。
棚橋の衰えとエースであることの解釈。
飯伏の棚橋を理解して寄り添う努力と集中力。
技の攻防、構築より前に棚橋の生き様が何より表現されるのは異質。
それゆえ少々感情的過ぎるし、
表現技法はプロレスの不器用すぎる部分に依拠している。
しかし、棚橋が本物の新日のエースであるが故に
ここまで私的でも世界的に受け入れられる状態に
成立しているというのは一つの奇跡的体験ですね。
良いものを見せてもらいました。
歴史的な名勝負。
(執筆日:8/?/18)
注目試合の詳細
なし試合結果
@G1公式戦:棚橋弘至vs.オカダ・カズチカ(30分時間切れ)(8/10/18)AG1公式戦:石井智宏vs.SANADA(8/11/18)
BG1公式戦:ザック・セイバーJr. vs.内藤哲也(8/11/18)
CG1公式戦:飯伏幸太vs.ケニー・オメガ(8/11/18)
DG1決勝:棚橋弘至(優勝!)vs.飯伏幸太(8/12/18)