Highspots:Antonio Inoki A Fighting Spirit Disc Threeの分析
名勝負 | なし |
好勝負 | アントニオ猪木vs.藤波巽(5/30/80) |
約2時間15分です。
@NWF王座戦:アントニオ猪木(ch)vs.ボブ・ループ(1/12/79)
ループはプロレスのレスリングに最適化できていませんが
そのぎこちなさの裏に何かつかめない実力を感じさせるし、
相手の呼吸を外すリアルなファイターとしてのテクニックは驚嘆に値します。
また演技が上手い訳ではないものの、それが福と転じて
結果的にセコンド介入や逃げキャラが日本的に丁度良い軽さに抑えられていますね。
猪木も高い技術で渡り合い、
ループには出来ぬ中盤のモード作りや変化の付け方で素晴らしい働きを見せました。
最後が反則フィニッシュだったのがちょっと残念です。
好勝負に少し届かず。
ANWF王座戦:アントニオ猪木(ch)vs.ジャック・ブリスコ(5/10/79)
そのドロップ・キックやアーム・ドラッグは本物。
技術に基づいたスポットを絡ませながら密度で勝負出来ています。
ただそこに真剣勝負やヒール要素がないのがジャックの欠点でもある。
ジャックが輝くのはもっと華麗な切り返し合いになる展開ですね。
そのため飛びぬけた試合にはならなかったが
無名選手に比べると流石に充実していて終盤の決め方も綺麗でした。
まあまあ良い試合。
B3本勝負:アントニオ猪木、藤波巽vs.タイガー・ジェット・シン、ヒロ斎藤(9/6/79)
斎藤がそこそこのリズムを見せた後、藤波が場外でつかまります。
ビール瓶攻撃を仕掛ける所までいくのに
それで藤波をしとめる事は出来ず、かといって孤立という見せ方をしない中途半端なラインに留まっています。
藤波がクイックで1本目が終了。
2本目も藤波がブランチャ自爆+流血で捕まります。
ここで力尽きるようにフォールを奪われ2本目が終わりです。
これで藤波は控え室送りに、猪木は権利がないので1人だけでは試合が出来ず、ノー・コンテスト。
試合ではないという形で猪木が軽く戦い、藤波が助けに駆けつけるシーンが行われます。
藤波が戻ったんなら再開しろよ、って感じですけど・・・。
良い要素は揃っているのに、フラストレーションのたまるストーリーの描き方です。
平均レベル。
Cアントニオ猪木vs.ダスティ・ローデス(11/8/79)
ダスティは気持ちは入っているのだけど
似合わない逃げキャラな上、流れが滅茶苦茶。
猪木はヘッド・バンドなんて遊びを入れるだけで引っ張らず
必要性の感じない微妙なカウントアウト・フィニッシュ。
ひどい試合。
DWWF王座戦:ボブ・バックランド(ch)vs.アントニオ猪木(11/30/79)
今回ボブは悪意ある攻めをせず逃げでリアルな技術を披露します。
それを除くと緊張感、挑発のタッチを加えた予想の範疇のレスリングでしたね。
後半はロープ・ワークで引き締めたり、一極攻めから展開したりと
正攻法で試合を進め、終盤は適度に技の炸裂と避けを交えます。
やや一進一退がお仕事的な印象も受けないでもないですが・・・。
最後もWWF王座を移動させるという事で
相手に傷をつけないようにした結果かなり微妙な形でのフィニッシュでした。
平均的な良試合。
ENWF王座戦:アントニオ猪木(ch)vs.ペドロ・モラレス(12/4/79)
モラレスに譲って凡庸なレスリングの後は大技の続く大味な展開になっています。
しかしバック・ドロップ一発でひっくり返すのは
悪い試合。
Fアントニオ猪木vs.藤波巽(5/30/80)
一瞬一瞬を気を抜かずに体と体をぶつけ、
見かけ上膠着してもお互いを探りあって、”戦い”を続けていきます。
濃密度、レスリング技術、緊張感。
柔軟性に、それに付随して見せ方による美しさの演出。
リアルな感情と観る者の感覚のつぼをついた仕掛けのタイミング。
キング・オブ・スポーツを名乗れるだけの物がここにあり、
これぞ猪木の真骨頂というべき魅力が詰まっています。
残念なのは10分程という試合時間だけ。
88年まで待たず、80年代初頭にフルタイム戦が行われていたら、と思ってしまうなぁ。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:6/26/10)
DVD Rating:★★☆☆☆
注目試合の詳細
DWWF王座戦:ボブ・バックランド(ch)vs.アントニオ猪木序盤は静かな展開。
挑戦者である猪木は積極的に攻めていく。
ヘッド・シザースでバックランドの首を締め付ける。
バックランドが反撃し脚攻め。
猪木が平手打ちで挑発。
バックランドもお返しの平手打ち。
猪木が投げを交えてキー・ロックに捕らえる。
バックランドは持ち前のパワーで猪木を持ち上げると
コーナーにまで持っていき平手打ち。
すかさず猪木も反撃に出てボディ・スラム。
猪木がヘッド・シザース。
バックランドは場外に避難。
猪木は追うが追撃せずリングまで返ってくる。
エプロンのバックランドにブレーン・バスターを狙う。
パワーで勝るバックランドが逆に場外へのブレーン・バスターに返そうとする。
しかし猪木は耐えてブレーン・バスター。
だがバックランドはバック・ドロップを決めると更にパイル・ドライバー。
猪木はボディ・プレスを膝を立てて防ぐとフライング・ニー・ドロップ。
レッグ・ドロップからカバーするもバックランドはロープに脚をかけ防ぐ。
バックランドはロープを掴んでダブル・アーム・スープレックスを防ぐ。
コブラ・ツイストの応酬から両者スープレックスを決めまったくの互角。
猪木がブレーン・バスターをアントニオ・スペシャルに返す!
バックランドは何とかロープを掴む。
その時ジェット・シンが乱入しようとするも若手が阻止する。
バックランドはシンに気を取られた猪木にアトミック・ドロップ。
カバーするもカウント2。
これにイラつき隙を見せたバックランドに猪木がバック・ドロップ。1,2,3!
猪木が新WWFチャンピオンに!
Eアントニオ猪木vs.藤波巽(5/30/80)
握手を交わすと同時に藤波が牽制の蹴り。
組むと藤波が頭を抱える。
ヒップ・トスを狙う。
防がれタックルを狙うも切られる。
猪木が牽制の蹴り。
藤波がバックを取りロープに逃げられるも軽く蹴り。
猪木が腕を取ろうとする。
藤波が足をかけて耐える。
ナックル・ロック。
藤波が切って足を取って倒す。
猪木が足をかけて倒し背にかぶさる。
足を取り首を捻る。
藤波が回転して逃れる。
猪木が距離をつめガット・レンチ。
足をかけて倒し頭部をおさえアーム・バーへ。
藤波が体を起こすも倒される。
藤波が体を起こそうとするも倒される。
足を猪木の脚に絡めるとロックを押し上げて外す。
ロープ・ブレイク。
組むと猪木がヘッド・ロック。
猪木がロープに走りショルダー・タックル。
スナップ・メアからチン・ロックへ。
藤波がハンマー・ロックに切り返す。
もう片方の手もつかみ両肩をつけにいく。
ブリッジした猪木の上にのる。
猪木が耐え起き上がると押し込む。
藤波がブリッジ。
足を腕にあて蹴り飛ばす。
足を取り押し込む。
アーム・ロック。
腕にストンピング。
猪木がすぐに場外に出て間をおく。
リングに戻る。
組むと藤波が腕を取る。
猪木が足を取って倒しインディアン・デス・ロック。
起き上がり倒れる。
弓矢固め。
藤波がロープに逃れる。
猪木は藤波をロープに振るとコブラ・ツイスト。
藤波がロックを外して逃れようとする。
猪木が対応し藤波の腕を取る。
藤波は起き上がるとロープに押し込む。
離れる。
猪木が張り手。
張り手。
グー・パンチ。
チョップ。
ロープに振りショルダー・スルー。
フロント・ヘッド・ロック。
藤波がロープに逃げる。
組むと猪木が藤波をロープに押し込む。
藤波が押し倒してストンピング。
猪木を起こすとアッパーカート。
アッパーカートで倒す。
起こしてフルネルソン。
猪木がロープに逃げる。
猪木がダブル・アーム。
両脚で頭部を挟みガット・レンチ。
藤波がリバース・スープレックス。
猪木はカウント2で上げるとブリッジで起き上がる。
強引に持ち上げると弱いながらもパワー・ボム。カウント1。
藤波が先に距離をつめフロント・ヘッド・ロック。
猪木は起こすとロープに押し込む。
ヘッド・バッド。
ヘッド・バッドで倒す。
ロープに走りショルダー・タックル。
ロープに走る。
藤波は担ぐと場外に落とす。
ロープに走りドラゴン・ロケット。
リングに戻る。
カウント17でエプロンに上がってきた猪木にドロップ・キックを決め落とす。
ブランチャで追撃。
猪木がかわして自爆させる。
猪木がリングに戻る。
エプロンに上がってきた藤波を殴りつけようとする。
藤波が防ぐようにヘッド・ロック。
猪木がすぐリング内へのバック・ドロップを決めカバー。
藤波が肩をあげるもぎりぎりでカウント3!
猪木の勝利!
試合結果
@NWF王座戦:アントニオ猪木(ch)vs.ボブ・ループ(DQ)(1/12/79)ANWF王座戦:アントニオ猪木(ch)vs.ジャック・ブリスコ(5/10/79)
B3本勝負:アントニオ猪木、藤波巽vs.タイガー・ジェット・シン、ヒロ斎藤(1−1)(ノー・コンテスト)(9/6/79)
Cアントニオ猪木vs.ダスティ・ローデス(カウントアウト)(11/8/79)
DWWF王座戦:ボブ・バックランド(ch)vs.アントニオ猪木(新チャンピオン!)(11/30/79)
ENWF王座戦:アントニオ猪木(ch)vs.ペドロ・モラレス(12/4/79)
Fアントニオ猪木vs.藤波巽(5/30/80)