TOP女子プロレスSTARDOM →STARDOM:Best of STARDOM 2023 part.3

STARDOM:Best of STARDOM 2023 part.3の分析


名勝負 なし
好勝負 ルーザー・リーブ・ユニット・ケージ・マッチ:クイーンズ・クエスト(AZM、妃南、レディC、天咲光由、上谷沙弥、林下詩美)vs.大江戸隊(渡辺桃、刀羅ナツコ、吏南、琉悪夏、鹿島沙希、スターライト・キッド)(6/25/23)

ワンダー・オブ・スターダム王座戦:中野たむ(ch)vs.MIRAI(7/2/23)

@ひめかガントレット・マッチ(5/14/23)
 ひめかが33人のレスラーと戦っていきます。
 女子プロ特有の儀式を試合としてやる訳ですが、
 それでもいつもと違ってあっさり気味に一つ一つは決まっていきます。

 そのため物足りなさは当然にありますが、
 一方で今スターダムが如何に豊富なタレントを抱えているかも実感はできる。
 一人一人が短い時間の中でも個性を出し、
 ひめかも懐深く応対してパワー対決からコミカル、技の攻防まで魅せました。
 耐えキャラができるので若手も活かせますね。

 複数人と戦う中で負けも許容される文化の中で
 適切なメリハリが効いています。

 しかし後半は良いマッチ・アップなので
 もう少し攻防で魅せてくれるかと思いきや、
 記念撮影的な絡みも多かったですね。

 ジュリアの張り手合戦は記念碑の象徴としてピカイチでしたけれども。

 試合の評価としては平均的な良試合程度。

A林下詩美、舞華、鈴季すずvs.ジュリア、朱里、岩谷麻優、中野たむ(6/4/23)
 ストーリー的には谷間でマッチ・メイク自体に大きな意味はないものの
 この8人が戦う豪華さ、期待感にちゃんと応えています。

 序盤の攻防から質感高めでしたね。

 たむ孤立の中盤が少し技お披露目の時間稼ぎ感は否めない。
 試合構造、孤立の見せ方に対して関心は向いていないものの
 ユニット体制組んでいるからこその豊富な連携技で盛り上げます。

 20分経過し終盤ではそれぞれの攻防で激しいものが見られますが
 長時間の枠組みに対して個が一生懸命頑張る一筋では限界あり。
 もう一工夫欲しかったですね。

 好勝負に届かずも中々良い試合。

Bゴッデス・オブ・スターダム王座戦、ケージ・マッチ:ドンナ・デル・モンド(ジュリア、桜井まい、テクラ)(ch)vs.STARS(葉月、コグマ、岩谷麻優)(6/25/23)
 エスケープ・ルールで全員が脱出の必要あり。
 立体感活かした攻防と共にドラゲー的な場外からの妨害で盛り上げます。

 多少メインに遠慮して控えめにしたのかと思いましたが、
 最後に残ったのは鉄板カードのジュリアと岩谷。
 コンパクトながら濃厚な攻防でこの一戦としての矜持を示しました。

 好勝負に届かずも中々良い試合。
  
Cルーザー・リーブ・ユニット・ケージ・マッチ:クイーンズ・クエスト(AZM、妃南、レディC、天咲光由、上谷沙弥、林下詩美)vs.大江戸隊(渡辺桃、刀羅ナツコ、吏南、琉悪夏、鹿島沙希、スターライト・キッド)(6/25/23)
 エスケープ・ルールで最後に残った1人はユニットから強制脱退。

 大人数でスタートながら綺麗に整理し、
 多人数の見せ場を重ねていきます。

 レスラー個人の技量としては一線級ではないメンバーも含まれていますが、
 大人数マッチとしてそれが影響でない作りとなっています。
 妃南と吏南の払い腰対決とか面白かったですね。

 事前にケージの中に用意した凶器のも適切に使っています。
 女性なのでハードコアにし過ぎることはできないにしても
 それを逃げとして使わず、ちゃんと使っていたのは好感が持てます。

 AZMとスターライト・キッドーの攻防は相変わらずクオリティ高く、
 エスケープの攻防もスピード感落とさず見応えありましたね。

 琉悪夏の想像以上に体を張ったシーンや林下流血などの見せ場を経て、
 最後は鹿島と林下の一騎打ちとなります。

 林下は絶対王者時代の全速力で駆け抜けていた頃に比べると
 一歩引いた感のある最近ですが流血した状態の中、
 疲労表現、強度のある攻めともに素晴らしく、
 トータル・パッケージっぷりを見せつけました。

 桃が上谷に裏切りを唆すストーリーから端的に終わったので、
 残った鹿島自体に焦点の当たらないクライマックスでしたが、
 STARDOMの歴史に残るケージ・マッチで、
 ドラゲーみたいに定番化も出来るだけの自信がついたでしょうね。

 文句なしに好勝負。

Dワンダー・オブ・スターダム王座戦:中野たむ(ch)vs.MIRAI(7/2/23)
 過大なプッシュを受けているMIRAI。
 団体側の期待感に対して温度差を感じますが
 試合が始まるなりMIRAIが執拗なエルボー。
 静止するレフェリーも突き飛ばして連打と感情を前面に出してきます。
 これは良い掴みでしたね。

 そして中盤の切り返しでは張り合いつつも
 引くべき所はしっかり見定めており、
 たむと同じレベルで試合を見据えて切磋琢磨しています。

 後半にかけても力技をベストなタイミングで使いこなし、
 良いストーリーの流れを作り上げます。

 15分経過時点で既にかなりの激闘感が漂いました。

 たむは腕の痛みを活かして攻め時も表現が冴え渡っており、
 気迫の張り手連打も情感たっぷりでした。

 面子には事欠かない中でなぜMIRAIなのかという印象も事前にはありましたが、
 この試合で見事に黙らされました。
 天晴です。

 文句なしに好勝負。
 (執筆日:5/?/23)