STARDOM:Best of STARDOM 2022 part.11の分析
名勝負 | IWGP女性王座トーナメント決勝:KAIRI vs.岩谷麻優(11/20/22) ワールド・オブ・スターダム王座戦:朱里(ch)vs.ジュリア(12/29/22) |
好勝負 | ワールド・オブ・スターダム王座戦:朱里(ch)vs.林下詩美(11/19/22) GoSTL決勝:高橋奈七永、優宇vs.上谷沙耶、林下詩美(12/4/22) |
@ワールド・オブ・スターダム王座戦:朱里(ch)vs.林下詩美(11/19/22)
林下が前王者として重厚な試合運び。
トップ王座ならではの激闘風味が序盤からありましたね。
ただ重苦しくなり過ぎないように
テンポ良く展開しており、ダウン時間のコントロールも利いていました。
林下のダメージ表現により林下得意のタフ・マッチに。
一年前のリベンジをテーマに壮絶な返し合いを見せましたね。
ただもう少し攻防に緩急が欲しいし、
試合時間もちょっと長すぎた印象。
最後のフィニッシュは振り切るだけの説得力があったので
マイナス・イメージはそこまで残らなかったですが、勿体なかった。
ぎりぎり好勝負。
AIWGP女性王座トーナメント決勝:KAIRI vs.岩谷麻優(11/20/22)
岩谷は全力トペを決めた後すくっと立ち上がって
その格好良さは見栄えしますね。
男性、女性それぞれ強い部分弱い部分ありますが、
一般的に女性が弱いといわれている部分でも岩谷は勝負できていて、
大会の趣旨上新日だけしか見てこなかった層にも訴求できています。
受けもとんでもないレベルですね。
カイリは受けに周りながらもポイントで
攻守入れ替えるムーブをはめる構築力が光りました。
花道のスポットや強烈な打撃の打ち合いなど決勝にふさわしいシーンが幾つも。
決勝にふさわしい強度が最後まで失われず情感を乗せ切りました。
カイリが元WWEという属性持ちつつ
今のスターダムの極限スタイルに適応しキャリア・ベストの働きを見せました。
岩谷の受けっぷりは時々タイミング合わず
過剰に見えるところもあったが物凄かったですね。
ぎりぎり名勝負。
BGoSTL決勝:高橋奈七永、優宇vs.上谷沙耶、林下詩美(12/4/22)
奈七永、優宇はスターダムに少ない重量級。
奈七永の優位性の作り方は良く、
優宇のアシストも良い感じでした。
この相手に林下の強度が光りましたね。
上谷も王者として芯の強さを磨いてきたので同じく良好。
優宇がトペと見せかけて転がり落ちるのは定番ネタなのか間が抜けていて
一瞬興醒めしかけましたが、その後の重爆攻撃で一気に惹きこみ直してくれました。
思いの外スタイル噛み合って最高に盛り上がった決勝です。
文句なしに好勝負。
Cゴッデスズ・オブ・スターダム王座戦:中野たむ、なつぽい(ch)vs.高橋奈七永、優宇(12/29/22)
奈七永は大きい体を持ちながら、時に相手に合わせて大きく見えないようにしていますね。
圧するだけではない上手さに感嘆します。
だから相手も攻防作りやすい。
一方でたむと奈七永の真っ向からの張り手合戦も見応えあり。
体格差ある中で安易に妥協して攻守ひっくり返さないバランスで惹きつけます。
一方的ながら観る者の集中力を継続させましたが、
そうはいっても王者の見せ場をもう少し欲しかったな、という印象も。
好勝負に少し届かず。
Dワールド・オブ・スターダム王座戦:朱里(ch)vs.ジュリア(12/29/22)
足、膝の使い方が上手く一つ一つの形が格好良いですね。
頂上対決としての風格があります。
ビッグマッチを特殊なアクションで演出するのではなく、王道として魅せる。
誰もが挑戦できることであり、誰もが実現できることではない。
打ち合いに持って行く際に
打った側が肘を押さえたり微調整も光りますね。
エプロン技、花道技、
更に花道から下の観客席にエクスプロイダーなんて言う過激技が放たれターニング・ポイント。
更にテーブル・スポットまで続きます。
その異常な詰め込みを平場に近い感覚で行い、
それをリングに戻った打ち合いに繋げられるのが凄いですね。
個性を活かしつつも完璧に向き合って相動性を維持しています。
終盤それぞれがモードを切り替えつつも雰囲気まとまっており、
一発一発ちゃんと攻め手受け手覚悟を見せての攻防。
ただ30分の試合時間切れ見える所まで行っており、
少し煮詰まっている感がゼロではなくて、
理想で言えば中盤で過激スポットをあんなに一つにまとめなくても、という印象はありましたね。
とはいえ些細なもので朱里の長期政権を終わらせるに足る最高の試合を年末に届けました。
ぎりぎり名勝負。
(執筆日:12/?/22)