TOPアメリカン・プロレスWWE 2013年 →WWE:Wrestlemania 4/7/13

WWE:Wrestlemania 4/7/13の分析


名勝負 なし
好勝負 アンダーテイカーvs.CMパンク

@プレ・ショー:IC王座戦:ウェイド・バレット(ch)vs.ザ・ミズ

@ザ・シールドvs.ランディ・オートン、シェーマス、ビッグ・ショー
Aマーク・ヘンリーvs.ライバック
Bタッグ王座戦:チーム・ヘル・ノー(ch)vs.ドルフ・ジグラー、ビッグEラングストン

Cファンダンゴvs.クリス・ジェリコ
 ファンダンゴには可能性を感じます。
 印象的な入場シーン、ラモンのようなルックス、色気のある声。
 そしてこの試合でも見せているように
 特殊な仕草を加えた受け、
 そしてギミックを守ろうとすることから来る間の意識、
 更には絵になる優雅な技も持ち合わせている。
 しかしながらそれはこの試合が良い試合になることには繋がらなかった。
 ファンダンゴの認知されている持ち技が少ないこともあってか
 ほとんどジェリコの攻め一辺倒で作られているため構築の幅が狭いのです。
 またWMという大舞台への抜擢のためか
 ジェリコの意図を十分に把握できずコミュニケーションは拙かったですね。
 平均レベル。
 しかしジェリコがするべきだったかはともかく
 誰かベテランが寝てプッシュしてみる価値はあるので
 今後に是非つなげていただきたいところです。

D世界ヘビー級王座戦:アルベルト・デル・リオ(ch)vs.ジャック・スワガー

Eアンダーテイカーvs.CMパンク
 パンクは試合前に骨壷を使って遊び、
 試合になれば張り手をかまし、掟破りのオールド・スクールを決めるなど
 テイカー相手に様々な心理戦を仕掛けます。
 (テイカーにびびるヘイマンとの対比も利いている)
 そこには、例えばオートンが一歩届かない要因となったようなヘタレ要素がまったく入っていないし、
 HHHのような対を張れる力の位置づけにないからこその豊かさがある。
 これが両方揃った相手とテイカーが絡むことは意外になかった。
 格下でありつつ矮小にならない素晴らしい受けを行ったパンクの一方で
 テイカーもまた危惧されていた程にコンディションは悪くなく、
 トペこそ上手く未遂に終わらせる展開にしていたものの
 全体を通して求められる畏怖すべき存在を維持していました。
 そして微細ではあるものの超越者として
 これまで抑えてきた感情表現をより少し一歩枠からはみ出した形でドラマを生み出している。
 変則的なツームストン炸裂シーン、骨壷攻撃のアイディアもびったりとはまり、
 ショーをスティールする一戦となりました。
 ぎりぎり好勝負。

Fノー・ホールズ・バード(トリプルHは負けたら引退):トリプルHvs.ブロック・レスナー
 レスナーは勢いあまる攻めで思い切りの良い受身をしたりする。
 それはvs.シナでジャンピング・エルボーを叩き込むと同時に場外転落したレスナーです。
 しかし次の瞬間、椅子を持ち出してきて
 MMAに立ち寄った来歴が否定され、スタイルが訳の分からないことになっています。
 スタイルのないインサイド・ワークに裏打ちはありません。
 主導権を掴んでからの中盤もやたら投げばかり。
 表情、アピールこそ絡めていますがびっくりする程単調。
 HHHも受け手として試合に貢献していないからダレます。
 セコンドについていたHBKの乱入は日本人的感覚からはとてもベビーフェイスとは思えぬ短期&唐突で?。
 凶器の位置づけも宙ぶらりんで目も当てられない。
 ダメ押しは何の理由もなくそれぞれ必殺技を返した後、
 それまでまったく前振りのなかったキムラ・ロックで時を止めてきました。
 しかも結局、それで終わらずぺディグリーに回帰する意味不明っぷり。
 完膚なきまでにレスナーの商品的特性を殺しただけにしか見えない凡戦。
 平均より少し上。

GWWE王座戦:ザ・ロック(ch)vs.ジョン・シナ
 ロックvs.シナの再戦を特に見てみたいとは思わなかったけれども
 確かにこの試合を再び組む価値はあったかもしれない。
 この試合が叩き台のイメージとして持っていたのはホーガンvs.ロック。
 それを更に高次なものに昇華させようとしていた。

 ホーガンvs.ロックは特殊な環境の状態に
 機転を利かせエンターテイナーとして乗っかり乗っけての試合。
 この試合は逆に明確な意図を持って作り手たらんとしている。

 ロックは俳優ではなくレスラーとしてのコンディションを整えてきたし、
 その真剣なロックの思いに対し、
 シナは受け止めつつヒール調の逆転現象に転じようとしている。
 前半においては特殊な間の取り方をしてからの打撃でえげつなさを出し、
 受けでは得意のダウン・モードではなく派手さと機動性に重きを置いてロックとの相性を考えている。
 後半は観客含めて斜めに見ているような表情、仕草でヒールがかった立ち位置に推移させようとしています。
 試合後のシナが一転勝利をかみ締める表情になり、
 握手しての和解というエンディングになる演出はエピックです。
 そこには2年もの歳月をかけたことによる壮大さ、と思いの強さがあった。
 偶然を引き寄せるよりも、運命を作り出そうとすることの方がずっと難しく偉大な試みです。
 その点ではロックvs.ホーガンを超えている。

 優れた表現はマジック・タイムを引き寄せるものです。
 しかし残念ながら広すぎる開放式の会場は熱を逃し、
 Let' go Cena! Cena Sucksすら起こらない。
 それでも特別であるが故に単独で光輝く可能性はあった。
 試合としてはある一定ラインの流れ、展開のあるレベルで化けられたのです。
 それはロックvs.ホーガンが証明している。

 しかし序盤のヘッド・ロックを中心としたレスリングは退屈です。
 それはロックがいわゆる制限を取っ払ってきたことを示す一幕です。
 しかしながらフルタイム・レスラーには戻りえない中で求められているのは
 フルタイム・レスラーらしくあることではなく、
 どのような形であれレスラーとしてより輝くことでした。
 正確には上記で述べたようにある程度以上輝くことでした。
 その点でこのレスリングはまるで戦術も流れもなく時間潰しに終わっており低調この上ない。
 
 後半においてはカウンター要素を絡めてきたものの
 ロックの持ち技の少なさがモロに欠点として露呈し、
 やたらめったらロック・ボトムに持っていっている印象。
 つなぎも悪いですね。
 必殺技をピープルズ・エルボーに今年シフトしているとはいえ
 当然威力が高く見えるロック・ボトムのイメージは強く、
 それがばかすか乱れ飛び返されるのだから観客が呆れるのも無理はないでしょう。
 半分の時間でやれることを無駄に2倍にした内容で構成は拙い。

 機微をうがつ仕掛けを持っているが、
 機微に依存する内容に陥ったがために、
 その結果、人の心の移ろいに振られた試合。
 平均より少し上。

総評
 最初の5試合はWMの試合ながら軽くて前座に過ぎない。
 その後に据えられたトリプル・メインだが、テイカーの試合こそ予想を超えてきたものの
 セミ、メインが実に低調な内容となっています。
 レジェンド参戦で貴重なカードではあるし、駄目とは言い切れないものの低調なWMが今年も・・・。
 (執筆日:4/10/13)
DVD Rating:★☆☆☆☆

注目試合の詳細

Eアンダーテイカーvs.CMパンク
 パンクが骨壷を使って遊ぶ。ゴングが鳴ると平手打ちをかまし挑発。テイカーがビッグ・ブーツ一発で黙らせる。場外に出ると鉄柱に腰からぶつける。エプロンに寝かせレッグ・ドロップ。オールド・スクールを狙う。
 パンクがアーム・ドラッグに切り返す。オールド・スクールを決める。場外のテイカーにダイビング・ダブル・アックス。オールド・スクールを狙う。テイカーがパンクの体勢を崩しロープに股間を強打させる。殴り落とすとトペを狙う。エプロンに上がり邪魔してきたヘイマンの喉元をつかむ。パンクがスプリングボード式クローズライン。ハイ・ニー。ダイビング・エルボー・ドロップ。カウント2。GTSを狙う。テイカーが逃れてチョーク・スラム。カウント2。
 スネーク・アイズからビッグ・ブーツを狙う。パンクがカウンターでレッグ・ラリアット。カウント2。場外でテイカーが反撃し実況席へのラスト・ライドを狙う。パンクが逃れハイ・キック。実況席に寝かされたテイカーにダイビング・エルボー・ドロップ。カウント9でテイカーがリングに転がり込む。パンクがカバーしようとする。テイカーがヘルズ・ゲート。パンクが何とかすり抜けアナコンダ・ヴァイス。テイカーが起き上がりチョーク・スラムへ。パンクが担ぎ上げGTS。テイカーがロープにもたれるも戻ってきてツームストン。カウント2。テイカーがチョーク・スラムを狙う。パンクがレフェリーを振り払ってダウンさせる。ヘイマンに気をそらせて蹴り。ラスト・ライドを狙われるもヘイマンに受け取った骨壷を殴りつける。テイカー風にカバーするもカウントは2。首をかっきるポーズからGTSを狙う。テイカーがツームストンを狙う。パンクが逃れGTSを狙う。テイカーが体勢を変えツームストン。カウント3。
[Winner:アンダーテイカー(22:10)]

Fノー・ホールズ・バード(トリプルHは負けたら引退):トリプルHvs.ブロック・レスナー
 殴り合い。レスナーがニーを入れて突き飛ばすももつれて自身も場外転落。HHHがフェンス越しにイスを持ったレスナーにクローズライン。HHHがイスを持ってリングに入ってきたレスナーにハイ・ニー。レスナーがカウンターで場外でのベリー・トゥー・ベリー。
 実況席の上に投げて実況席破壊。壊れた実況席の上にベリー・トゥー・ベリー。投げていく。
 レスナーがHBKを攻撃。HHHが隙を突きスパイン・バスター。ぺディグリーを狙う。レスナーが担ぎF5を狙う。HBKがあがってきてスイート・チンを狙う。レスナーが受け止めF5。HHHがレスナーにぺディグリー。ハンマーを持ってきてそれで突こうとする。レスナーが担ぎ上げF5。カウント2。イスをたたきつけ鉄階段をぶつける。リングに戻り鉄階段をたたきつける。カウント2。HHHがぺディグリーを狙う。レスナーが防いでキムラ・ロックを狙う。コーナーを使って締め上げる。HHHはそのまま持ち上げてスパイン・バスター。両者ダウン。レスナーの突進をかわして鉄柱に激突させる。腕にイスをたたきつける。ハンマー・ロックを決める。ヘイマンが入ってきてイスを持つ。HBKがスイート・チン。レスナーは耐え切るとそのまま持ち上げ鉄階段にたたきつける。HHHが再び離れる前に締め上げる。たたきつけられうが3度締め上げる。レスナーがたたきつけて逃れる。HHHがハンマーで殴り倒す。鉄階段の上でぺディグリー。カウント3。
[Winner:HHH(22:26)]

GWWE王座戦:ザ・ロック(ch)vs.ジョン・シナ
 レスリングの攻防。シナは最初遅れをとっていたもののすぐに取り返し主導権をつかむ。エルボー・ドロップへ。ロックがかわしサモアン・ドロップ。カウント2。シナのフライング・ショルダー・タックルをかわすと殴り飛ばす。
 シナがカウンターでSTFを狙う。防がれるもフライング・ショルダー・タックル。プロト・ボムを狙う。ロックがヘッド・ロックの動きで切り返しシャープ・シューター。シナが逃れプロト・ボム。ファイブ・ナックル・シャッフルへ。ロックがかわしDDT。ロック・ボトムを狙う。シナがSTFに切り返す。ロックが両肩をつけにいく。カウント2。シナがファイブ・ナックル・シャッフルを決めAAへ。ロックが逃れスパイン・バスター。ピープルズ・エルボーの体勢。シナが足を取って倒しSTF。ロックがこじあけて逃れロック・ボトム。カウント2。シナが不意を突いて持ち上げAA。カウント2。
 ダイビング・フェイマサーへ。ロックがかわしピープルズ・エルボーを決める。カウントは2。シナをリングに戻し殴り合い。シナはクロス・ボディを受け止めると担ごうとする。ロックが逃れロック・ボトム。カウント2。ならばとファイブ・シャッフル・ナックルのポーズからピープルズ・エルボーへ。シナが担ぎAA。カウントは2。シナがロック・ボトムを防ぎロック・ボトム。カウント2。ならばとピープルズ・エルボーへ。起き上がったロックにみえっこねぇアピール。パンチをかわしAAへ。ロックが逃れロック・ボトム。カウント2。シナがAAを狙う。ロックが押し飛ばしロック・ボトムを狙う。シナがAAを狙う。ロックが逃れロック・ボトムを狙う。シナがAAを狙う。ロックが逃れDDT。
ロック・ボトムを狙う。シナが持ち上げAAでカウント3。
[Winner:ジョン・シナ(新チャンピオン!)(24:03)]
 試合後握手をかわしハグ。シナが先にリングを下りる。ステージで敬礼を交わし両者の腕を上げる。

試合結果

@プレ・ショー:IC王座戦:ウェイド・バレット(ch)vs.ザ・ミズ(新チャンピオン!)
@ザ・シールドvs.ランディ・オートン、シェーマス、ビッグ・ショー
Aマーク・ヘンリーvs.ライバック
Bタッグ王座戦:チーム・ヘル・ノー(ch)vs.ドルフ・ジグラー、ビッグEラングストン
Cファンダンゴvs.クリス・ジェリコ
D世界ヘビー級王座戦:アルベルト・デル・リオ(ch)vs.ジャック・スワガー
Eアンダーテイカーvs.CMパンク
Fノー・ホールズ・バード(トリプルHは負けたら引退):トリプルHvs.ブロック・レスナー
GWWE王座戦:ザ・ロック(ch)vs.ジョン・シナ(新チャンピオン!)