TOPアメリカン・プロレスWWE 2012年 →WWE:Wrestlemania 28 4/1/12

WWE:Wrestlemania 28 4/1/12の分析


名勝負 なし
好勝負 ヘル・イン・ア・セル(レフェリー:ショーン・マイケルズ):トリプルHvs.アンダーテイカー

◆ガルシアがAmerica the Beautifulを歌唱。

@世界ヘビー級王座戦:ブライアン・ダニエルソン(ch)vs.シェーマス
 17秒で決着。期待と不安が入り混じるカードでしたがどちらも無に帰す内容です。

Aケインvs.ランディ・オートン
 ケインはギミック・チェンジの影響もあるが
 受け続けてよい限度を超えてしまっています。
 オートンも不必要に間を持たせているところがありますね。
 試合としてはWMということで特殊な入りを交えていますが
 試合自体はベーシックでダイナミズムに欠けます。
 意思疎通の精度も悪く、
 通常放送もしくはアンダーカード・レスラーの2試合目といった内容。
 平均レベル。

BIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.ビッグ・ショー
 場外、リングを使った序盤のスタートでしたが
 コーディのプランチャさえ受け止められるようなバランス。
 最初にパワー・バランスを固定し、
 その後何の交流・価値も生み出せていない内容です。
 ひどい試合です。

Cべス・フェニックス、イヴ・トーレスvs.マリア・メノーノス、ケリー・ケリー
 イヴのリズムはひどく、べスは出番少ない。
 ケリーのロープ・ワークを初めとした動きは相変わらず。
 タッグにおいて動きの完成度はしばしば試合のベースを決定付けます。
 そしてマリアは番組で怪我しているから当然とはいえ動けない。
 通常放送で煽る訳でもなく、初登場が満身創痍なんだからありえべからざる試合。
 ひどい試合。

Dヘル・イン・ア・セル(レフェリー:ショーン・マイケルズ):トリプルHvs.アンダーテイカー
 両者キャリアの峠を過ぎた選手で
 前回の試合のやりようを見て大いに不安を抱いていましたが・・・
 まず気合の入った打撃に「ほう」と感嘆の声を挙げる。
 そして何よりHHHが受けでバランスを取っているのが素晴らしかった。
 セルにぶつけられた後ショルダー・スルーを食らいに行ったりと試合を広げています。
 一方のテイカーはとにかく間を取った行動を貫徹する構え。
 幅は狭く、試合運びとしては相手の力を借りなければ物にならないものです。
 しかし上述のようにHHHが補うので問題ない。
 相手におんぶされている状態に普通は歯がゆいものですが、
 テイカーは完全に割り切って驚異的な自己コントロールに務めている。
 ヘッド・バッド、チョーク、通常耐えといった細かい芸で大一番の趣を醸していたのも悪くない。
 中盤は持ち技を配置して構築し、
 後半にかけてHBKも前に出てきてのドラマとなっていきます。
 ここからは前回ほどではないにしろ自己満足的な所があり、
 他のカードと同じ土俵で勝負しているとはい言えないことは否めません。
 しかしダメージ表現の裏打ちもありますし、
 2012年に行なうテイカーvs.HHHとしてはベスト・ワークといっても過言ではありません。
 前回と同じくキャリアの過ぎた大物の試合でしたが
 前回がネガティブな印象を受けたのに対し、こちらは比較的ポジティブな印象を受けました。
 ぎりぎり好勝負。

Eチーム・ローリネイティス(ジャック・スワガー、ドリュー・マッキンタイア、デイビッド・オタンガ、マーク・ヘンリー、ザ・ミズ、ドルフ・ジグラー)vs.チーム・ロング(ブッカーT、グレート・カリ、Rトゥルース、サンティノ・マレラ、コフィ・キングストン、ザック・ライダー)
 ブックは変なリズムで
 トゥルースは動くタイミングが中途半端。
 もっとも技を流していくだけの内容なのに
 マイナスの前に印象さえ残せていないのが
 ライダー、マレラ、カリ、オタンガ、スワガー。
 一応単独シーンで輝いていた個も少なからずいる。
 マッキンは打撃の見せ方が良質で
 ヘンリーも良いストンピングを見せている。
 ミズは細かい部分も丁寧に行い、
 ジグラーは相変わらず派手な受身を見せていました。
 しかし彼らの瞬間が何ら意味することない最低限の形しかなく
 高い意識で統一されてもいない内容。
 ひどい試合です。

 試合後イヴがライダーを介抱したかと思いきや股間を蹴り上げる。

・ローリネイティスがパンクを訪れ、反則したら王座を剥奪する、と警告。

FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.クリス・ジェリコ
 パンクvs.ジェリコの数え歌を通して見た中で
 可能性を感じると同時に復帰後という条件でどうするかという不安要素もありました。
 その中で面白い方策で打って出てきました。
 ジェリコが(復帰後故に?)スタミナがないという独創的な設定。
 パンクがDQを犯しても王座移動という条件を加え、
 序盤からスタミナ+心理戦でレスリング並みに豊かなストーリーを描きました。
 意味性のある表情、身振りを見せつつも、
 その感情的な表現によって試合運びが決して雑になっていないのもポイント。
 中盤はジェリコが腰攻め。
 ここでもジェリコが序盤と同じく疲労感を湛えている。
 両者が受けを駆使するのでダイナミックに動きましたね。
 終盤はアナコンダ・ヴァイスを加えて
 必殺技絡みのボリュームある攻防。
 それまでの作り方と比べると鉄板過ぎてやや安直な落とし所という気もする。
 好勝負に少し届かず。

Gワンス・イン・ア・ライフタイム:ザ・ロックvs.ジョン・シナ
 歴史に残る試合とは得てして一つ一つの動きで大きな効果を挙げているものです。
 だから彼らが表情をつけて一つ一つの動きを見せ、
 それに対する観客の反応を見てきたのも分かります。
 しかしロックの強みは個性的な拳に代表されるように
 大きな流れを生み出すダイナミズムです。
 単発で区切るのは大きな間違い。
 動き自体のキレはSvSより劣っていますし、
 単発で区切りタイミングを合わせようとするためリズムもぎこちなくなってしまった。
 変則を意識した方法論自体にも流れがないですね。
 
 俳優のロックが受身をどれだけ取るのかが一つの鍵でしたが
 それに関してはそんなに気にならないバランスでした。
 しかしシナは気を使いながら攻めていますし(サブミッション主体でしたね)、
 そんな攻めに対しロックが表現ではない大袈裟すぎる痛がり方をするのでリアリティーに欠ける。
 
 ありえべからざる試合として観客は素晴らしい盛り上がりをしていましたし、
 ロックは少なくともレスラーとしてリングに上がっていたけれども
 その事実が全てで、試合自体には特に優れた表現も構築も、そしてコミュニケーションもなかった。
 平均より少し上。


総評
 WMと言えば通常PPVで注目に値するような試合がアンダーカードにもあり、
 それ以上に特別な試合がメインに座っているというものでしょう。
 確かにカード自体は豪華でした。
 しかし中身はすっからかん。
 2試合が見応えがあるものの基本的に表面的な派手さに走っている。
 (執筆日:4/9/12)
DVD Rating:★☆☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@世界ヘビー級王座戦:ブライアン・ダニエルソン(ch)vs.シェーマス(新チャンピオン!)
Aケインvs.ランディ・オートン
BIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.ビッグ・ショー(新チャンピオン!)
Cべス・フェニックス、イヴ・トーレスvs.マリア・メノーノス、ケリー・ケリー
Dヘル・イン・ア・セル(レフェリー:ショーン・マイケルズ):トリプルHvs.アンダーテイカー
Eチーム・ローリネイティス(ジャック・スワガー、ドリュー・マッキンタイア、デイビッド・オタンガ、マーク・ヘンリー、ザ・ミズ、ドルフ・ジグラー)vs.チーム・ロング(ブッカーT、グレート・カリ、Rトゥルース、サンティノ・マレラ、コフィ・キングストン、ザック・ライダー)
FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.クリス・ジェリコ
Gワンス・イン・ア・ライフタイム:ザ・ロックvs.ジョン・シナ