TOPアメリカン・プロレスWWE 2012年 →WWE:Royal Rumble 1/29/12

WWE:Royal Rumble 1/29/12の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@世界ヘビー級王座戦、ケージ・マッチ:ダニエル・ブライアン(ch)vs.ビッグ・ショーvs.マーク・ヘンリー
 ブライアンはクイックに受身を取るので
 その後間を取ることによりやられ役でありながら
 ヘビー級としての位置づけを維持している。
 また、リターンを取らなければいけない瀬戸際の間隔も鋭いですね。
 うざキャラも冴え渡り、WWEレスラーとしてでも卓越した能力を感じさせる。
 しかし試合を化けさせたかというと否。
 ヘンリー、ショーで尚且つ3ウェイ、
 しかもケージ付とあってはつけいる隙もない。
 ショーはブライアンとの感情的なストーリーを
 後半部分から加えるという不自然な段階付けに手を出している。
 ヘンリーは唯一のヒールにも関わらず
 (ブライアンはまだ一応明確なヒールにはなっていないので)
 試合の中でヒールとしての立場を明示しない。
 これは能力的にの前にコンディションから出来なかったのでしょうね。
 どうしてもダウン・ベースに回らなければいけない事情がありました。
 ということで試合としては停滞していて攻防の質も低かったですが、
 ブライアンの特殊なヒールが
 本物のベビーフェイス/ヒールとは違った
 擬似的なベビーフェイス/ヒール関係を生み出していたのは面白いし
 最後にショーがケージを跨いだシーンはそれだけで試合を締めるインパクトがありました。
 平均レベル。

Aべス・フェニックス、ナタリア、ベラ・ツインズvs.イヴ・トーレス、ケリー・ケリー、タミーナ、アリシア・フォックス
 ディーバとしての華を見せつつ、
 レスラーとしても試合の流れの中でそれぞれが持ち技を配置している。
 たいした構成はなく、只回しているだけと言えば回しているだけなのですが
 決して軽んじられるほどの内容でもない。
 少し悪い試合。

Bジョン・シナvs.ケイン
 ケインはオーバーマスク化に伴い
 狂人的な、精神的に追い込むという要素を
 スタイルに加えようとイメージしていることは伝わってくる。
 アイアン・クローを身につけたのは正解だし、
 後半の細かいニュアンスには感心する所もある。
 ただ怪物性が失われているのでバランスを再構成しなおす必要があります。
 特に前半は妙にアップ・テンポで焦った展開だったこともあって
 間が乱れ試合運びは良くありませんでした。
 シナはMITBからの流れとして
 引き続き持ち技のユニークな活用に力を入れています。
 それは良いのですが、更にケインとの抗争の中で何か変化が加わったはず。
 そういうストーリーなのですからね。
 しかし変化は特に見られず。
 そんな中で両リンになるのだからエンディングにはゲンナリしました。
 シナはもっと怒りに駆られて我を忘れるか、
 それとも試合を成立するためにリングに戻ろうとするのか、どちらかを選択するべきでした。
 試合後のケインがライダーを葬るスキットに関してはまたか、という感じ。
 シナが無力さを痛感するストーリーは素晴らしいと思いますが、
 RawではなくPPVでやるにはもっと大掛かりな演出が欲しい。
 平均より少し上。

Cブローダス・クレイvs.ドリュー・マッキンタイア
 クレイがスカッシュ。
 RRでどれだけ活躍するかに注目していたのですが・・・。

DWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ドルフ・ジグラー
 序盤の必殺技を狙い合う攻防の見せ方はいまいち。
 織り交ぜるレスリングは素晴らしいのに
 WWEの方針からそのレスリングをベースに据えれないのが残念でありません。
 感心する場面が随所にあるも
 試合の幹が見えにくく、盛り上がりにくい展開でした。
 試合自体の印象が薄い内容なら
 ローリネイティスが何もしないとしても
 何もしないことを明示する場面を幾つか間に挟んでも良いでしょう。
 それなのに終盤にぎゅっと詰め込むから
 終盤はジグラーの存在感がなくなりかけていました。
 またローリネイティスは役人的ではあったものの
 まったくヒール的ではなかったことに言及しておきたい。
 それはそれでユニークで興味深いのだけど
 ヒールなのに査定のために公平ぶっているという定番の演出が弱くて良いのでしょうか。
 Rawの一戦を超えれず。
 平均的な良試合。

Eロイヤル・ランブル
 RR序盤を負かされたのはミズ。
 試合前のアピールは精悍で今後が楽しみになりましたが、
 手を重ねたライリーが歪に動くのを許し、
 抗争中のトゥルースと本来遺恨らしい殴り合いをするべき所で
 場にあっていない技の攻防に力を注いでいる所を見ると
 今後は永遠に訪れない可能性もあると知って溜息が出る。
 ガブリエルは大きく動くようになりましたね。
 しかしアスリートとして惹きつけるレベルには達していないし、
 スターとしてみるならその緩急のつけ方が不十分です。
 その点で言えばプリモが完成形といえるので手本とすると良い・・・
 と言いつつも停滞しがちなRRでアクションを生み出すはずの彼らも
 今回は特に必要とされていない。

 第2四半期からフォーリーを皮切りにファン要素が強くなっていきます。
 選手塚により短期間で区切られるRRにおいて
 登場で盛り上げるというのは悪い形ではありませんが、
 ロドリゲス、マレラとネタを続けたものだから完全に世界観は変わってしまった。
 勝利すると王座に挑戦できるとは思えないスキット模様と化します。
 ロドリゲスのデル・リオの真似は地味に似ていて面白かったですけどね。
 そんな状況下でエゼキエルが登場。
 体格が幅を利かせるRRですから注目を集めます。
 腕の振りが素晴らしく大きく見えますが、
 依然として何をすれば良いかすぐに見失うレベルの試合運びのようで
 攻めの時の動きに比べ受身は目も当てられません。
 特に活躍することなくサプライズのカリにあっさりやられます。
 カリは膝を曲げられない程状態は悪いようです。
 不必要にリングに残し、かといって誰かに意味ある小さな勝利を与える訳でもない。
 存在感はあるのですからマハルなんかで収束させるのは惜しい。
 コフィが逆立ちして脱落を逃れる場面はユニークだが、
 ここまでくると行き過ぎな気もする。

 ネタが前面に押し出される中で
 長くリングに滞在しているものもいるはずなのですが
 まったく存在感がありませんでしたね。
 短時間に全力を尽くすことのできる状況下とはいえ
 デュガンはそのリングにいるどの現役組よりも価値のある拳を見せ、
 ロードドッグは良質なリズムを見せた。
 そしてカルマは男の誰よりも説得力のある落とし方でした。
 コーディはレジェンド・キラーでも襲名するのかと思う程
 レジェンドを脱落させていましたが特に意味はなかったようですね。 

 終盤にトップ・スターが入ってくるも
 彼らがリングに彩を加えたかと言うと否。
 特にバレットの何も残さない散りっぷりは異常。
 ショーはウェイトを落として動けるのは分かるけれども
 小気味良く動き、反応しすぎてRRにおける自己の価値を自ら投げ捨てている。
 唯一オートンが目を引きましたが、
 そのオートンもバレットとの抗争の扱いが中途半端です。
 バレットと抗争決着戦に持っていくなら
 脱落したバレットに落とされるというお約束でよいでしょう。
 それをしないなら3ウェイの時点でもっとがっつりやるべきでした。
 最後に残ったのはジェリコとシェーマス。
 一般的なレベルで特に目を引く程ではない。
 ジェリコは実質的な復帰後初試合でしたが、
 元々一発のインパクトが強い選手ではないとはいえ
 まだ各動きの統合性は微調整する必要がありますね。
 近年稀に見る低調な内容。
 WMメインという付加価値は既に遠い過去にした
 悪い意味でお祭りなロイヤル・ランブルでした。
 まあまあ良い試合。

総評
 パンク、ブライアンが王者として2012年初のPPVを迎える。
 シナvs.ケイン含め、時代と共に進んでいる感はあり、
 投げ出したくなる程ではないが、それにしても中身がない。
 (執筆日:2/1/12)

DVD Rating:☆☆☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@世界ヘビー級王座戦、ケージ・マッチ:ダニエル・ブライアン(ch)vs.ビッグ・ショーvs.マーク・ヘンリー
Aべス・フェニックス、ナタリア、ベラ・ツインズvs.イヴ・トーレス、ケリー・ケリー、タミーナ、アリシア・フォックス
Bジョン・シナvs.ケイン(両者リングアウト)
Cブローダス・クレイvs.ドリュー・マッキンタイア
DWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ドルフ・ジグラー
Eロイヤル・ランブル(優勝:シェーマス)