TOPアメリカン・プロレスWWE 2012年 →WWE:Over the Limit 5/20/12

WWE:Over the Limit 5/20/12の分析


名勝負 WWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ダニエル・ブライアン
好勝負 なし

@IC王座orUS王座#1コンテンダーズ・バトル・ロイヤル
 オタンガの格好のつけ方や
 ライリーのリズムだけではない感情こもった動きに
 将来的に一定のレベル以上で活躍しうる可能性が垣間見えました。
 ミズもキレがあって良さ気。
 ただバトル・ロイヤルなのでそれぞれのキャラがチラッと活かされるだけで基本は適当。
 少し悪い試合です。

Aタッグ王座戦:コフィ・キングストン、Rトゥルース(ch)vs.ドルフ・ジグラー、ジャック・スワガー
 スワガーは柔軟性が出てきた様子。
 リアルを活かして反撃を許さないのは良い。
 ただ同時に形を失っていてよりサポート役が似合う、
 つまり元世界ヘビー級王者としてどうなの?って状態でもある。
 ジグラーは鉄板。
 トゥルースも感情ののった攻めで回転数もあり状態良さそう。
 コフィは技以外の部分も抑制を外して動いていて強烈な印象を残す。
 それぞれが輝いていたが、中盤の孤立は何故か一度止めて二度流れを作る理解不能な構成だし、終盤は中途半端でした。
 平均レベル。

Bディーバズ王座戦:レイラ(ch)vs.べス・フェニックス
 スポットの入れ方が雑ですね。
 べスがわざわざ脚攻めに出るのも違和感がある。
 ただ後半にかけての技、切り返しのインパクトはそれなりに金が取れる。
 フィニッシュが乖離していたのが残念ではあるけれど。
 少し悪い試合。

C世界ヘビー級王座戦:シェーマス(ch)vs.アルベルト・デル・リオvs.クリス・ジェリコvs.ランディ・オートン
 序盤はベビーフェイスとヒールの色合いを使って
 今が何のターンなのか明確に決定付けて展開させています。
 WWEならではの統率の取れた試合ですが、
 その展開のテンポ・コントロールは抜群とはいえない。
 シェイマスも複数人戦でテンポが早くなると雑になりますね。
 ジェリコ、デル・リオも仲間割れした中盤以降は他が場外でダウンして1対1が中心。
 安定はしていましたが、リング・イン/アウトの回数がここまで少ないなら安定して当然という所がある。
 終盤にかけてオートンが流石の流れ作り。
 それぞれの必殺技を使ってボリュームを満たしきっちり締めました。
 教科書に沿ってしっかりした内容。
 それ以上でもないけれどね。
 中々良い試合。

Dブローダス・クレイvs.ザ・ミズ
 クレイはミズの反撃のきっかけになりそうな動きすら潰します。
 潰すのではなく1回受けながらも耐えて主導権を渡さないようにしないと。
 これでは4分時間があろうとスカッシュ・マッチです。
 ミズはバトル・ロイヤルの方が輝いていましたよ。
 ミズは小者ではあるけれど試合面では余り小者扱いすると良くないですね。
 かといってWMメイン抜擢もあれだけど。
 悪い試合。

EIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.クリスチャン
 コーディが相手を痛めつけている印象を強く与える打撃の打ち方をしています。
 技の打ち方にもそういう意識があり、
 前回見た時の、ある意味キレだけのプロレスから変わりました。
 戦略的に動く際も緩急を鋭くつけていますね。
 改善点としては終盤の相手の動きに対して
 後輩という意識があるのか判断が1呼吸遅れていることぐらい。
 これなら世界ヘビー級王座へのステップ・アップも夢ではありません。
 一方のクリスチャン。
 復帰は喜ばしいのですがヒールから戦略性を抜いたような状態。
 ベビーフェイスとしての売りはなく、
 やられている姿に生気を感じません。
 全然観客も見ていないですし、何も褒めることができませんでした。
 平均レベル。

FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ダニエル・ブライアン
 Let's go Brian! CM Punl!と、どちらにも応援が起こっていますね。
 歓迎すべき状況ですが目の前の戦いを無視して盛り上がっている。
 その状況に対し演者の2人も自分の殻に入って地味な戦いを繰り広げている。
 それ故パンクの脚狙いを前振りとしてばら撒いているだけで
 序盤の掴みとしては弱いことは否めません。
 その後、ブライアンが腹狙いですが持って行き方が上手いですね。
 印象的なスポットからサブミッションへのベース・ダウンが実にスムーズです。
 パンクのアクセント含め良質な試合運び。
 大会場向けではありませんでしたが、
 ブライアンの殺気だった表情と蹴りの打ち込み、
 密な小さな揺り返しで会場のスケールに試合をアジャストさせていきました。
 その場その場でのお互いの提案により発展する自由設計は繊細な緩急を可能にしている。
 丸め込みから打撃まで2人で作っているとは思えない鋭さを削りだしていきました。
 必殺技を頂点とするWWEプロレスからやや離れているものの両者の能力が最大限に交錯した形で試合を終えました。
 ぎりぎり名勝負。

Gライバックvs.カマチョ
 スカッシュ・マッチ。以上。

H(ローリネイティスは負ければ終わり):ジョン・シナvs.ジョン・ローリネイティス
 ローリネイティスは全日で活躍していたレスラーだし、
 vs.ロック、vs.レスナーの延長上に少なからずあるのかと思いきや
 元レスラーではなく重役設定、まったくのホワイト・カラーでしたね。
 その情けない姿はかつてビンスがやっていたことと一緒。
 実質戦っておらず試合になっていないけど
 色々ネタが用意されているのでエンターテイメントにはなっている。
 二番煎じではあってもビンス的存在が確立されたのは大きいか。
 少し悪い試合。

総評
 全体的に雑だがWWE王座戦が飛び切りの試合に。
 メインは凡戦ではあるがアティテュード時代にビンスがやっていたことと同じなので
 これをメインに据えるのも決して間違った手ではないのでしょう。
 (執筆日:5/22/12)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ダニエル・ブライアン
 パンクがブライアンの脚をロープにかけストンピング。パンクが脚にニーを入れニーDDT。ブライアンがアッパーカート。コーナーで蹴り。コーナーを使って裏に回るとロープに走る。パンクが担ぐ。逃げられるもロー・キック。ブライアンがレッグ・ロックを食らうも体勢を変えエルボー連打。パンクがクラブ・ストンプ。カウント2。ニー・クラッシャーから場外に放り捨てる。スライディング・キックへ。ブライアンがかわしフェンスにたたき付ける。フェンスの上に落としドロップ・キック。リングに戻しミサイル・キック。カウント2。
 腹に狙いをつける。ロメロ・スペシャル。ニーを落としていく。パンクがかわしフィッシャーマンズ・スープレックス。カウント2。打撃の打ち合い。ブライアンがスナップ・スープレックス。ダイビング・ヘッド・バッド。カウント2。クロス・ボディ相打ち。
 パンクが猛攻を仕掛けパワー・スラム。カウント2。場外に落とすとトペ。リングに戻しスプリングボードへ。ブライアンがカウンターでドロップ・キック。カウント2。YESと叫びながら胸を蹴っていく。パンクが受け止めドラゴン・スクリュー。4の字につなげる。丸め込みの応酬。ブライアンが側頭部を蹴りぬきカバー。カウント2。コーナー上にのせる。パンクが突き飛ばしロープを跨ぐように落とす。スプリングボード式クローズライン。カウント2。
 両膝を突いて打撃の打ち合い。パンクがモンゴリアン・チョップにソバット。G2Sへ。ブライアンが逃れ丸め込み。パンクが返し丸め込みへ。ブライアンがYESロックを狙う。パンクが防ぎスリング・ショット。ブライアンは落ちかけるもロープに捕まり逆上がり。パンクが側頭部を蹴りぬく。カウント2。ダイビング・エルボー・ドロップ。カウント2。ブライアンが腹にニーを叩き込んでいく。YESと叫んだ後突進。パンクはかわすとハイ・ニー。ブルドッグへ。ブライアンがYESロック。締め上げる。その際にパンクが後ろにそらし両肩をつける。カウント3。直後にパンクがタップするもレフェリーは気づかなかった様子。

試合結果

@IC王座orUS王座#1コンテンダーズ・バトル・ロイヤル(勝者:クリスチャン)
Aタッグ王座戦:コフィ・キングストン、Rトゥルース(ch)vs.ドルフ・ジグラー、ジャック・スワガー
Bディーバズ王座戦:レイラ(ch)vs.べス・フェニックス
C世界ヘビー級王座戦:シェーマス(ch)vs.アルベルト・デル・リオvs.クリス・ジェリコvs.ランディ・オートン
Dブローダス・クレイvs.ザ・ミズ
EIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.クリスチャン(新チャンピオン!)
FWWE王座戦:CMパンク(ch)vs.ダニエル・ブライアン
Gライバックvs.カマチョ
H(ローリネイティスは負ければ終わり):ジョン・シナvs.ジョン・ローリネイティス