TOPアメリカン・プロレスWWE 2011年 →WWE:Night of Champions 9/18/11

WWE:Night of Champions 9/18/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@タッグ王座戦:エア・ブーン(ch)vs.ザ・ミズ、Rトゥルース
 コーナーに押し込んでの打撃に対して仕返しするのは定番だが
 拳が持ち技でもないコフィが相手を殴り"倒し"たのはナンセンス、
 その上カバー→味方へのタッチに持っていったのも端折り過ぎです。
 タッチ後のロープで横にしてのダブル・ストンプなんかここでやる技じゃないでしょう。
 ボーンも変に拳を押し出したシーンがあったし、エア・ボーンは技関連で改善点が見られる。
 ただ試合の構成自体は良い。
 序盤のダイブまで積み重ねるやり方、
 タッチ出来るか出来ないかを焦点にした攻防は王道のNWAスタイルですからね。
 後者を孤立シーンだけでなくクライマックスにも応用する事で新しさも加わっている。
 ミズ、トゥルースの反陰謀軍もサイコな彩によって深みが増していて魅力的。
 フィニッシュも特に問題ありません。
 まあまあ良い試合。

AIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.テッド・デビアス
 コーディはスリムな体を使った軟体チックなレスリング、
 独特のリズムのあるロープ・ワーク、
 バルログみたいに変則の攻めと印象には残るが、
 どれも悪い意味で汎用性が高いせいで組み立てが見えない。
 一方のデビアスは縁深い抗争という事で
 溜めて大きな流れを生むのではなく、常に反撃を試みるスタイルを取っています。
 その中で、積極的にレスリングの動きを絡ませていますが、
 行う理由が不鮮明で、無駄に高度な事に手を出して空滑りしているだけ。
 双方ともそれぞれの意味でカオスに陥っている。
 平均レベルです。

◆クリスチャンが登場し、もう1度世界ヘビー級王座に挑戦させろ、とアピール。
シェーマスが登場して、いやいや俺の方がふさわしいだろ、と言って最後はブロー・キック。

BUS王座戦:ドルフ・ジグラー(ch)vs.ジャック・スワガーvs.ジョン・モリソンvs.アレックス・ライリー
 SDのMITBと同じでリングにいない人をいない者として扱っているのでどうしても線ではなく点になりがち。
 8人もいたなら点でも色分けと頑張りで素晴らしい試合になる可能性もあるが4人では不十分。
 ライリーは技を置いているだけで脈絡がなく、
 モリソンは特殊形式でのスポット要員を任されていた影響か、
 その中間に位置する4ウェイで同じ見せ方を試みていて試合を運ぶ意識が希薄。
 ジグラーはこういう形式だとパンチが足りない。
 一人スワガーは自信を持った動きでこの中では少し輝いていました。
 スポット・フェストと呼ぶには密度が足りないし、
 ストーリー・テリングは浅い上にヴィッキー絡みだからねぇ。
 平均レベル。

C世界ヘビー級王座戦:ランディ・オートン(ch)vs.マーク・ヘンリー
 最初の膝攻めに対し、平然と起き上がって見せたり、陰鬱に黙って間を置いている他
 終盤に技を食らった後エプロンに移動してロープを使った攻防をする等
 それは決して優れているとはいわないが、
 ヘンリーがこれまでとは違う深いプロレスに目を向けている事は素直に褒めましょう。
 壊し屋のイメージを活かすにはここぞの瞬発的な動きがもう少し欲しいですけどね。
 オートンはヘンリーに合わせて攻防・指示・ペース配分を行っているが、
 緻密に張り巡らされたレベルでもなく流石にクリスチャン戦と比べると意気も落ちたか。
 最後は絵になるフィニッシュでヘンリーが40歳にして遂にトップ王座戴冠。
 平均レベルです。
 
Dディーバズ王座戦:ケリー・ケリー(ch)vs.べス・フェニックス
 前回に比べてケリーの拙いロープ・ワークを少なくして、
 ヒステリックな感情爆発がなくなったのですっきりしている。
 ベス相手に見境なく全力を尽くしてケリーがぶつかった内容を
 象徴するトップ・ロープからのスーパープレックスというスポットもある。
 悪くない試合です。
 ただフィニッシュのせいでデジャヴを感じる。
 何かしらストーリーを進展させなくて良いの?

EWWE王座戦:アルベルト・デル・リオ(ch)vs.ジョン・シナ
 試合が始まった当初は両者共に観客の反応に顔で反応して見せて
 そこに心地よい空間が出来上がる可能性を感じたが、
 やっぱりLet's go Cena! Cena Sucks!が出てくるオチに。
 シナは戦略的にわざと倒れて見せたり、
 技への持って行き方にレスリング要素を絡めたりしている。
 ただ今回はちょっと行き過ぎている。
 自在に緩急をつけ、自由に攻防を行うために
 一般的なダメージ設定を放棄してリアルな体力に基づいて動いている。
 それ自体は名勝負を生み出す可能性を秘めた独創的な世界観・アイディアだが、
 デル・リオがその視点にまで辿り着いていないのだから
 少々配慮が欠けていると言われても反論の余地はない。
 実際、デル・リオはアーム・バーの布石の他に
 ロー・キックやビッグ・ブーツなど個々のシチュエーションに対応するために
 ひとつにまとめきれない多様なアクションを抱え込む羽目になっている。
 デル・リオとしてはコテコテのベビーフェイスvs.ヒールがやりたかったんでしょうね。
 想像以上に興味深い内容だが、
 You can't Wrestleチャントを始め出す観客含めチグハグでクオリティは予想のラインまで落ちる。
 平均的な良試合。

FノーDQ:CMパンクvs.トリプルH
 相変わらずHHHの状態はひどい。
 ただ攻守を切り替えるという目的のためだけに、
 ぺディグリーを序盤から躊躇せずに使う。
 それはローカル・ジョバーでも読み取れる万能の試合運びだが
 相手にローカル・ジョバー以上の能力を求めない最悪の試合運びです。
 脚攻めのばら撒き加減も半端ない。
 コミュニケーション面では身も蓋もない状況だが、
 HHHがこの試合で存在感を示しているのは
 偏にその体が生み出す威圧感と拳にのった気迫のおかげ。
 しかし悔しいかな、現役でここまで制裁の雰囲気を作り出せるレスラーはいません。
 観客席乱闘、凶器使用、実況席葬、とネタを揃えて
 15分間HHHで"ある"事だけで試合を一定のクオリティまでのせてきました。
 そして後半の9分は外注。
 ミズ、トゥルースがぶち壊そうと乱入し、
 ローリネイティスはパンク勝利を画策し、
 ナッシュはもはやコントロールがつかぬ状態で暴れる。
 これは流石にメイン以外ではやれないが、
 権力者がいきなりメインを横取りしてAttitudeファン・マッチをやるというのもやりきれない・・・。
 
総評
 新生シナの試合、パンク絡みの複雑なストーリーという売りは継続されていて、
 クオリティで見ても悪い試合はないのだから繋ぎの大会としては磐石の内容か。
 まあ2週間後ともう目の前のHIACにどう持っていくかで繋いだ価値があったかも試されるでしょうけどね。
DVD Rating:★☆☆☆☆
(執筆日:9/18/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@タッグ王座戦:エア・ブーン(ch)vs.ザ・ミズ、Rトゥルース(DQ)
AIC王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.テッド・デビアス
BUS王座戦:ドルフ・ジグラー(ch)vs.ジャック・スワガーvs.ジョン・モリソンvs.アレックス・ライリー
C世界ヘビー級王座戦:ランディ・オートン(ch)vs.マーク・ヘンリー(新チャンピオン!)
Dディーバズ王座戦:ケリー・ケリー(ch)vs.べス・フェニックス
EWWE王座戦:アルベルト・デル・リオ(ch)vs.ジョン・シナ(新チャンピオン!)
FノーDQ:CMパンクvs.トリプルH