TOPアメリカン・プロレスWWE 2010年 →WWE:TLC 12/19/10

WWE:TLC 12/19/10の分析


名勝負 なし
好勝負 #1コンテンダーズ・ラダー・マッチ:シェーマスvs.ジョン・モリソン

@IC王座戦、ラダー・マッチ:ドルフ・ジグラー(ch)vs.コフィ・キングストンvs.ジャック・スワガー
 3ウェイを意識し過ぎですね。
 スタイルのアピールが不十分だし、場外へどくのもわざとらしい。
 その中でコフィは結構輝いていましたね。
 独創的なラダー・スポットも編み出していて素材としてはそれなりに優秀です。
 リアルなスピードでラダーを上り下りしたために最後のベルト落下フィニッシュが余計チープに見えてしまったのが残念。
 平均レベルです。

Aテーブル・マッチ:ナタリア、ベス・フェニックスvs.レイクール
 基本的にはレイクールの移動の概念が素晴らしいですね。
 場所に縛られず自由に動いていて、特にレイラはいつの間にか支配者面している所がナイスです。
 テーブルの攻防も思ったより豊富でフィニッシュも印象的でした。
 欠点としてはナタリア、べスが攻めはともかく受けで簡単に引きすぎな点と
 レイクールの絵が書かれたテーブルは出し所を見極めましょうという事ですね。
 平均レベル。

Bタッグ王座戦:サンティノ・マレラ、ウラジミール・コズロフ(ch)vs.ヒース・スレイター、ジャスティン・ガブリエル
 前回に比べるとコズロフが孤立役ながらパワーで時々沸かせますし、マレラは独特のリアルな技術を幾つか披露しています。
 Nexusも支配時の変化の付け方は教科書以上の物がありますね。
 前回より楽しかった。
 それがクオリティに結びつく程ではないが、特にそれは求められていないので問題ない。
 
C#1コンテンダーズ・ラダー・マッチ:シェーマスvs.ジョン・モリソン
 前回の試合内容、シェーマスがKOTRになった事実が結構利いていますね。
 モリソンはダウン・ベースは変わりませんが前回に比べると起き上がりが早く
 構築的にも良いし、積極性として意気込みとして伝わってくる所もある。
 バック・グラウンドのフリー・ランを特殊形式にあてはめるアピール方法も地についてきました。
 一方のシェーマスですがキャリア・ベストの働きを見せてくれましたね。
 不死身の如く復活するタフさ、際立たせながらもリアリティーを失っていない突進性。
 脚攻めもラダーを脚に挟む等の工夫により残虐性を出していて、まさにハイランダー。
 ただタフなレスラーというテンプレートを超えて
 風土とファンタジー性を感じさせるケルティック・ウォーリアーの表現です。
 この表現の上にやや過剰なクライマックスは許容され、WIN-WINのドラマが生まれている。
 もしWWEにその気があればこの試合はスター・メイキング・マッチになり得る。
 ぎりぎり好勝負。

DWWE王座戦、テーブル・マッチ:ザ・ミズ(ch)vs.ランディ・オートン
 ちょっとガタガタの一本筋でしたね。
 テンポは良いんですけど、序盤オートンが攻めすぎだったり、
 今度は誘いこんだと思ったら、反撃で特に場が動かなかったり。
 フィニッシュありきなので仕方ないけれど、それを考慮しないならテーブルズ・アー・リーガルにして欲しかったかな、という印象ですね。
 フィニッシュはミズらしくて良いし、再開後のオートンは怒りの表現も、動きも試合の中で一番素晴らしかったですね。
 それもどうかとは思いますけど・・・。
 無駄に見ていて気持ちを乱れさせられる試合でした。
 平均より少し上。

E世界ヘビー級王座戦、TLCマッチ:ケイン(ch)vs.エッジvs.レイ・ミステリオvs.アルベルト・デル・リオ
 流石に初手でベルトを掴んでしまうのはどうかと思うよ。
 それはともかく戦略的排除の理があり、抗争X2の軸も安定しているのでクオリティは高め。
 前半後ろは同時進行してもっと荒っぽい雰囲気を醸し出しても良かったかもしれませんね。
 後半はケインを中心にしたパワー・バランスと各自が担当するパートで必殺技をばら撒きによって構築。
 今年のPGの鬱憤を晴らす程度にはTLCらしい過激なスポットもありましたね。
 セコンドが上るネタは@と被っているのとデル・リオは形式上向いていないとはいえ延髄切り打ちすぎだろう、という気もするけど。
 幾つもの構築手法を組み合わせた上で過激スポットを交えた中々良い試合。

Fチェアー・マッチ:ジョン・シナvs.ウェイド・バレット
 シナが能動的に引きずりこもうとし、バレットが逃げる。
 良いですね。スタイルの化学反応が起きている。
 叩きつける行為を焦らして椅子の価値を出してきたのも良いですよ。
 ただ中盤からは椅子だけで尺を埋める事の難しさに直面しましたね。
 楽しませるために色んな策を打ち、それを良くこなしているけれど
 実質的な試合展開は思ったよりゆっくりしている。
 またこの試合がやや期待を下回るように見えたのはストーリーに問題があります。
 時間を取ってストーリーを進めたなら特別な雰囲気があったかもしれないし、
 ここまで性急に事を進めるならバレットが試合を組んだ背景に自信以上の秘策を求めたい所です。
 まあこれまでで一番チェアー・マッチらしい試合かもしれない、という点で普通に褒めて良い内容ですけどね。
 最後も特に過激ではないがWWEでは特別な絵なので十分演出できている。
 まあまあ良い試合。

総評
 それぞれが形式に対して真摯に向かい合っている。
 その結果内容のみならず大会としてもハードコア要素で過剰にならず完成度が高くなっている。
 今年のWWEの大会の中では一番の出来かな。
 (執筆日:11/25/10)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

#1コンテンダーズ・ラダー・マッチ:シェーマスvs.ジョン・モリソン

  組んだまま両者場外落下。
  シェーマスがモリソンをエプロンと実況席の間に橋渡しにしたラダーに振る。
  モリソンがスライディングでかわす。
  通ってこいよ と誘い蹴りあげる。
  場外の攻防。両者ラダーを間に挟んで押し合う。
  モリソンはコーナーに押し込められるも間から蹴りつけ引っ張りラダーにぶつける。
  コー ナー上からラダーを飛び箱にコークスクリュー・アタック。
  蹴りだすとラダーを立て登っていく。
  シェーマスが戻ってきてモリソンを逆さ吊りにし殴りつけてい く。
  その状態でラダーを倒し前からマットに叩きつける。
  これでモリソンは膝を痛めてしまう。

  シェーマスはラダーを登ろうとするもモリソンが食い下がってきたので考えを変え脚攻め。
  ようやく満足しラダーを登っていく。
  モリソンがラダーを投げてぶ つけ阻止。
  ラダーを絡めた一進一退の攻防。
  どちらも契約書に後一歩届かない。
  シェーマスがモリソンを担いでエプロンと実況席に橋渡しにしたラダーの上に落とそうとする。
  逃れられるもショルダー・スルーで場外に落とす。
  モリソンは脚の痛みに耐えながらエプロンに上がり殴り合う。
  シェーマスを場外へと投げ捨てようとする。
  シェーマスが防ぎモリソンを連れラダーを登っていく。
  頭部をラダーにぶつける。モリソンが殴りつけて押し飛ばすとシェーマスはエプロ ンと実況席の上のラダーの上に倒れてラダーが折れる。
  モリソンも転落し場外に落下。
  モリソンは起き上がるとラダーを登っていく。
  勝利かと思われたがシェーマスが這いあがってきてラダーを倒そうとする。
  モリソンはロープの上に脚をのせると戻すと同時にニー・ストライクを叩き込む。
  契約書を奪取しモリソ ンの勝利。

試合結果

@IC王座戦、ラダー・マッチ:ドルフ・ジグラー(ch)vs.コフィ・キングストンvs.ジャック・スワガー
Aテーブル・マッチ:ナタリア、ベス・フェニックスvs.レイクール
Bタッグ王座戦:サンティノ・マレラ、ウラジミール・コズロフ(ch)vs.ヒース・スレイター、ジャスティン・ガブリエル(DQ)
C#1コンテンダーズ・ラダー・マッチ:シェーマスvs.ジョン・モリソン
DWWE王座戦、テーブル・マッチ:ザ・ミズ(ch)vs.ランディ・オートン
E世界ヘビー級王座戦、TLCマッチ:ケイン(ch)vs.エッジ(新チャンピオン!)vs.レイ・ミステリオvs.アルベルト・デル・リオ
Fチェアー・マッチ:ジョン・シナvs.ウェイド・バレット