WWE:Extreme Rules 4/25/10の分析
名勝負 | なし |
好勝負 | WWE王座戦、ラスト・マン・スタンディング:ジョン・シナ(ch)vs.バティスタ |
トリプルHの入場曲がなるも現れず。
バック・ステージでシェーマスがトリプルHに襲いかかっており鉄パイプでKOする。
ショーミズが現れ最強宣言。
テディが現れミズと口論になりガントレット・マッチを行う事を決定する。
@ガントレット・マッチ:ミズ、ビッグ・ショーvs.ジョン・モリソン、Rトゥルースvs.MVP、マーク・ヘンリーvs.ハート・ダイナスティ
ショーミズのバランス感覚は見事ながら
最初の2タッグは前座で盛り上がり技を打つだけの人形だし、
ハート・ダイナスティ戦は瞬殺。
アングルの見せ方としては良いけど
特殊形式という縛りに拘ってPPVでやる事にしたのなら愚の骨頂。
悪い試合。
それにしてもミズのマイクが非常に素晴らしかった。
Aレイ・ミステリオvs.CMパンク
ミステリオが勝てばパンクが丸坊主、パンクが勝てばミステリオがSES入りするルール。
条件つくだけで特殊形式扱いされるの?
試合は打撃を多めにしたせいで、
前2試合に比べ攻防の売りが弱くなっています。
パンクの介入させながらのヒール・プレイが中心で、
それはSESの商品価値を確信させる程見事でしたが
ミステリオが軽量級という事でやはりここぞで攻防を見せないと駄目ですね。
大技、必殺技が適切に活かされていて良い内容ながら
身を乗り出させる瞬間はありませんでした。
最後も謎の乱入者による決着でその勝利条件に比べれば
2試合目らしいレベルに収まっています。
平均的な良試合。
やや期待外れですがミステリオのSES入りは楽しみですね。
Bストラップ・マッチ:シャドvs.JTG
相手を叩きのめす事と勝利条件が直接結びついていないのがポイントです。
そのため上手くクリアしてストーリーを作るには試合時間が欲しいけれど
制限がきつく技量の低い者には試合時間を与えたくない。
ストラップ・マッチがほとんど成功しない理由ですね。
今回も過去のストラップ・スポットを使い回して何とか形をつけるのが精一杯でした。
少し悪い試合。
ただJTGはカリスマ性と呼べる程ではないけど
プッシュ次第によってはちょっとした人気を生めそうな可能性は感じましたね。
C世界ヘビー級王座戦、エクストリーム・ルールズ:ジャック・スワガー(ch)vs.ランディ・オートン
スワガーは間も取れているし投げもしっかりしているのに
間に表現が付随していません。
それもそのはずでキャラを消しているキャラですからね。
オートンが何かやってもそれを活かせません。
世界王者をこういう状態にするなんてどういう戦略なんでしょう。
ヘタレに戻るか、レスリング技術で圧倒する攻撃性を持つか、早急に立て直すべきです。
一方のオートンも余り褒められない。
相手が反応しない瞬間をこそこそとついて
相手と余り関わりを持たない冷めたプロレス構築です。
またオースチンを意識した?フェイス・ターンは
試合構築においてはちょっと脚を引っ張ってる。
ベビーフェイスとしてはちょっと間を使いすぎるきらいがあります。
平均より少し上。
シェーマスがリングでアピールをしているとトリプルHが医師の制止を振り切り登場。
予定通り試合が行われることに。
Dストリート・ファイト:シェーマスvs.トリプルH
トリプルHが良い表現を見せていますね。
左腕を使えない設定を守りながら戦い、首攻めに対する受けを見せています。
寡黙な怒りも格好良い。
シェーマスもWMの時に比べ
基本に少し変化をつけているし良い表情を見せています。
しかしフィニッシュ含めトリプルHが弱々しい姿を見せるにはまだ足りないですね。
途中で使い、その後を間延びさせてしまったパイプなんか
トリプルHの持ち凶器と位置づけて普通にフィニッシュで使えば良かったと思いますよ。
2出来る所を1.4までしか出せてないような内容ながら、まあまあ良い試合ではある。
E女子王座戦、エクストリーム・メイクオーバー・マッチ:ミシェル・マクール(ch)vs.ベス・フェニックス
べスはベビーフェイスになった事で指針を失い、
ミシェルはセコンドに茶々を入れられている。
悪い試合。
Fケージ・マッチ:クリス・ジェリコvs.エッジ
試合の構成としてはジェリコの脱出狙いで概ね上手く作られています。
しかしエッジに問題ありですね。
ジェリコが逃げるだけの攻めを見せないといけないのに、
怪我の影響で動きが悪いし、気持ちにもゆとりがありすぎる。
今技術だけで勝負できる状態じゃないのですから何かで埋めていかないと。
ジェリコの工夫もやや意表はついているものの
大きなインパクトを与えない物が多かったですね。
終盤は情けない必殺技の打ち合いや、のっそりとした攻防。
エッジのクライマックスに脚攻めをする、という表現も駄目でしたね。
流血でもしたらもう少し誤魔化されたかもしれませんけど。
まあまあ良い試合。
GWWE王座戦、ラスト・マン・スタンディング:ジョン・シナ(ch)vs.バティスタ
ラスト・マン・スタンディングという形式を
原点のコンセプトから理解し花開かせました。
雰囲気を意識的に醸し出せるようになったバティは構えの重要性を説きます。
ダウンさせるに当たって技を何発も入れる訳ではありませんから
技一発に対する意識を研ぎ澄ますのは重要な事です。
またそのムーブは40歳を超えたにも関わらずこれまでのどんな時よりも瑞々しく破壊的です。
この試合を体力のえぐり取り合いに昇華している。
一方のシナはダウンした相手の様子を探り、
必要とあらば完全に起き上がるのを待たずして追撃にいくし、自分のダウン時にフェイントを混ぜている。
場外に出る事で足を地面につかせるような絶妙の受けと
脚攻めの影響を敢えて攻め時には感じさせない受け無視の混合はスティングやルガーを思い起こさせる巧みの業です。
そして2人共時間感覚が素晴らしかったですね。
スポットを準備すれば攻め手が止まるという事まで組み込んでいる。
これまでは大技を決めるために体力を削っているのだ、と言って構築のために通常形式的な攻防を入れたり、
10カウント・ダウンなので普通の大技では決まらないけど、という設定を認めつつ技を打っていた傾向がありました。
それをこの2人は姿勢で持って”試合”から”戦い”へと変化させたのです。
上記の”結果”として場外を織り交ぜた細かいフット・ワークが試合を構築しクオリティを引き上げている。
問題はアティテュード時代の終焉、ファミリー路線への回帰に観客が慣れていない事です。
必殺技のAAの後に、弱いテーブル葬が来るのには違和感があるでしょう。
そして勿論フィニッシュです。
潰し合いの中、最強といえる(テーブルor実況席)+必殺技で決められなかったのですから
裏技的方法に走るのは至極最もであり、テープを前もって偶発的にカメラ内に収めた前振りは極上の代物です。
しかしそれを見かけからチープだと考えてしまう。
末期WCWやWWF時代の残像がそう思わせる。
流血があって更に過激な体を張るフィニッシュをすれば、もっと凄くなったのではと思わせる。
ついでにバティが離脱する噂もあり、最後がこんな形か、と拒否感を起こさせる。
試合外の状況によって試合内の世界が曇ってしまったのは残念ですが、
素晴らしい傑作である、という事実を変える物ではありません。
文句なしに好勝負。
総評
また余り出来の良くないコンセプト特番だったなぁ、とも見れるし、
過激化と直接結びつく特殊形式がコンセプトのこの大会で
路線変更を宣言し、それでも尚素晴らしい試合を生み出せるのだとメインで証明した、好大会にも見える。
間を取って星2つとしましょう。
(執筆日:4/28/10)
DVD Rating:★★☆☆☆
注目試合の詳細
GWWE王座戦、ラスト・マン・スタンディング:ジョン・シナ(ch)対バティスタ組むとバティがロープに押し込もうとする。
耐えるシナに殴りかかろうとする。
シナは避けるとロープに走りフライング・ショルダー・タックル。
バティは場外に転がり出る。
リングに戻るとクローズラインへ。
シナは避けるとフライング・ショルダー・タックル。
バティは場外に転がり出る。
椅子を持ってリングに戻ってくる。
椅子をたたきつけようとする。
シナは避けると殴りつけコーナーに振る。
ロープに走りブルドッグ。
カウント2で起き上がったバティに駆け寄りブレーン・バスター。
カウント4で起き上がったバティをコーナーに振り突進。
バティがカウンターでバック・エルボー。
バティはシナをコーナーに振りクローズライン。
カウント5でシナが起き上がる。
バティがシナを蹴り飛ばす。
シナはカウント4で起き上がると近くのバティを担ぐ。
バティは後ろに逃れると鉄柱に突っ込ませる。
脚裏にチョップ・ブロック。
低空ドロップ・キック。
殴りつける。
ロープに押し付けジョー・ブリーカー。
エプロンに脚を叩きつける。
場外に出ると椅子を持つ。
椅子でシナの脚を突く。
椅子を捨てリングに戻る。
待つのをやめシナの脚を取るとロープにのせヒップ・ドロップ。
カウント2。
バティはシナの脚をロープに絡ませニー。
引き寄せクローズライン。
カウント5。
脚を引きずりながら下がるシナを追い詰めると殴り倒す。
ブレーン・バスター。
カウント7。
バティがチョップ・ブロック。
脚を踏みつける。
シナが場外に転がり出る。
バティはエプロンにもたれるシナの頭部を踏みつける。
場外に出る。
シナがバティの腹にパンチ。
殴りつけるも脚が痛む。
バティがシナを鉄階段に振ろうとする。
シナが振り返しバティを鉄階段にぶつける。
カウント4で起き上がりリングに戻る。
バティもすぐ後を追ってリングに戻りチョップ・ブロック。
4の字を決める。
シナが何とか反転させる。
バティが痛がって離す。
カウント6で両者起き上がる。
シナがロープに走りクローズラインへ。
バティがカウンターでクローズラインを狙い相打ち。
カウント8で両者起き上がる。
シナはバティのクローズラインを避けるとフライング・ショルダー・タックル。
ロープに走りフライング・ショルダー・タックル。
クローズラインを避けるとプロト・ボム。
5シャッフル・ナックル。
FUを狙うべく構える。
それを察知したバティは場外に転がり出る。
そしてすぐにエプロン下を探りレンチを取り出す。
近づいてきたシナの腹に突き刺す。
リングに戻す。
椅子を持ってリングに入る。
椅子をたたきつけようとする。
シナは避けると同時に担ぐと椅子の上へのアティテュード・アジャストメント。
起き上がりそうなのを見てコーナー上へ。
カウント9で起き上がったバティはレフェリーを突き飛ばしてロープを揺らす。
シナは体勢を崩してリングに落下。
バティがスピアー。
バティはカウント4で起き上がる。
シナはカウント8で起き上がる。
バティがもう1回スピアー。
シナはロープを掴んでカウント9で起き上がる。
バティはシナを殴り倒すと場外に出てエプロン下を探る。
工具箱をはねのけるとテーブルを取り出しリングに入れる。
コーナーにテーブルを立てかける。
シナが近づいてきたバティにドロップ・トー・ホールド。
脚を持ち中央に引っ張る。
バティが蹴り飛ばすとシナは後頭部からテーブルに激突。
シナはエプロンから場外に転がり出る事でカウント8で足を地面につかせる。
バティは場外に出るとシナを持ち上げ背中から鉄柱にぶつける。
バティはカウント7で起こすとフェンスに思いっきり振る。
フェンスが壊れてシナは大ダメージ。
シナはカウント9で起き上がるもふらふらですぐフェンスにもたれる。
バティはそれを見ていらだつ。
実況席の蓋を外し、モニターをコールに投げつける。
シナを鉄柱にぶつける。
鉄階段を実況席の横に移動させる。
シナをつれて鉄階段を登る。
バティスタ・ボムを狙う。
シナがバティを担いで実況席へのアティテュード・アジャストメント。
リングに戻りロープにもたれて回復を図る。
カウント9でバティがフェンスを支えに起き上がる。
シナは場外に下りるとエプロン下からテーブルを取り出しリングに入れる。
テーブルを中央に立てる。
場外に下りるとバティをリングに入れる。
バティが起き上がるのを待ち構え担ぐ。
バティは後ろに逃れると押し飛ばす。
ロープに跳ね返ってきた所をテーブルへのスパイン・バスター。
バティはロープを支えにカウント6で起き上がる。
シナがカウント9でテーブルを支えに起き上がりロープにもたれる。
バティは憎らしげな表情。
シナを捕らえるとバティスタ・ボム。
シナがカウント9で起き上がりロープにもたれる。
バティはすぐに場外に出て鉄階段を取りリングに戻ってくる。
鉄階段へのバティスタ・ボムを狙う。
シナは逃れるとドロップ・トー・ホールドからSTFU。
バティがタップするもシナは放さない。
バティがロープを掴むもこの形式では無効。
バティは気絶した様子。
シナが放す。
バティがロープを支えにカウント9で起き上がる。
シナは場外に下りるとバティの足を引っ張り倒す。
引っ張って股間から鉄柱にぶつける。
脚をテープでぐるぐる巻きにする。
リングに戻る。
カウントが始まる。
バティは何とかテープを引きちぎろうとするも無理。
シナがバティの前でYou Can't See Meのポーズ。
カウント10となりシナの防衛!
シナは鉄階段の上にのりベルトを掲げる。
場外に下りるとバティの前でYou Can't See Meのポーズをしてから去っていく。
入場口前で再びベルトを掲げる。
試合結果
@ガントレット・マッチ:ミズ、ビッグ・ショーvs.ジョン・モリソン、Rトゥルースvs.MVP、マーク・ヘンリーvs.ハート・ダイナスティAレイ・ミステリオvs.CMパンク
Bストラップ・マッチ:シャドvs.JTG
C世界ヘビー級王座戦、エクストリーム・ルールズ:ジャック・スワガー(ch)vs.ランディ・オートン
Dストリート・ファイト:シェーマスvs.トリプルH
E女子王座戦、エクストリーム・メイクオーバー・マッチ:ミシェル・マクール(ch)vs.ベス・フェニックス(新チャンピオン!)
Fケージ・マッチ:クリス・ジェリコvs.エッジ
GWWE王座戦、ラスト・マン・スタンディング:ジョン・シナ(ch)vs.バティスタ