TOPアメリカン・プロレスWWE 2010年 →WWE:Bragging Rights 10/24/10

WWE:Bragging Rights 10/24/10の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@ダニエル・ブライアンvs.ドルフ・ジグラー
 クオリティ欠乏症のジグラー。
 今までは不必要にグラウンド→弱いスポットのワン・パターンでしたが、
 今回は意図的に所々で空きを作ってそれに陥らないようにしていますね。
 またスポット面でも斬新な投げが見られました。
 まだまだ精査の余地はあります。
 すぐにグラウンドに戻しすぎだしスポットも後2,3欲しい。

 ブライアンはちょっとしたレスリングの優位性から、
 蹴りならではの盛り上がり方の利用、動きの大きなムーブの終盤での起用と
 WWEという大会場向けにスタイルを改造してきたのは素晴らしい事です。

 それぞれちゃんと認められて終盤では彼らの土俵でのニア・フォールで盛り上がりましたね。
 ブランドを背負った王者の鬩ぎ合い。
 これぞBragging Rightsのコンセプトのあるべき姿です。
 丸め込みの応酬、幻の3カウントも機能的でした。
 ブライアン起用から若手が若手としての頑張りが出来る風潮が出来ている。
 非常に喜ばしい事です。
 ジグラーのキャリア・ベスト。
 中々良い試合でした。

AWWEタッグ王座戦:コーディ・ローデス、ドリュー・マッキンタイア(ch)vs.デイビッド・オタンガ、ジョン・シナ
 シナが出ずっぱりなのでどうしてもクオリティは伸び悩みますが
 個々においてはそれなりに見るものがありましたよ。
 オタンガはレスラーとしての力量に欠けますが、
 それこそこのストーリーに求められているキャラ、役割ですから問題なし。
 顔芸、身振り(試合に活かすそれではないけれど)は割かし出来ますし良いチョイスじゃないですか。
 コーディは状態がかなり良いですね。
 打撃の打ち合いは非常に鋭いですし、
 相手の裏をかく行動はテクニカル且つオリジナリティーがある。
 瞬間瞬間で感心させられましたねぇ。
 マッキンもコーディ程ではないがハード・ファイトを見せていました。
 連携技もあるしコーディ、マッキンは意外に良いタッグだねぇ、と陥落戦になって証明されました。
 シナも調整を加えていましたね。特に効果を上げている訳ではなかったけど。
 悪くない試合。

Bゴールダストvs.テッド・デビアス
 こちらも個々の印象が良い。
 ゴールディは年齢とは似つかわしくない良いロープ・ワークで、ムーブも軽やか、受けもよいですね。
 デビアスもオールラウンドの資質を見せていて後はスター性をどう身につけるかという問題です。
 ただ試合は記憶に残すという事をまったく考慮出来ていない内容。
 最後のキャット・ファイトも勃発理由が不明すぎます。
 少し悪い試合。

C統一ディーバズ王座戦:レイラ(ch)vs.ナタリア
 ミシェルが出る事が多かったのでレイラは久しぶりに見ましたが
 試合をする、という行為に対する考え方、向かい方は面白い物がありますね。
 良い意味でゲームのキャラを見ているような、
 もはや迷いがなく、プロレス界の住人となっています。
 ナタリアはやや上っ面だけながらそれなりにアピールする機会を与えられていましたね。
 個人的には倍の時間やってくれてもよかったですよ。
 ただフィニッシュは弱すぎますね。
 ナタリアは強さで言うと上にランクされるのですからいくら不意打ちとはいえビッグ・ブーツでは駄目。
 せめてベルトを使ってください。
 少し悪い試合。
 
D世界ヘビー級王座戦、ベリード・アライブ・マッチ:ケイン(ch)vs.アンダーテイカー
 動けるケインが精一杯受けていきます。
 意識しての会場移動もしていますね。
 しかしいくらなんでもテイカーの攻めが多すぎます。
 ケインも逃げすぎ。
 2回目の逃げは完全に前と被っています。
 せめて墓穴の近くにいって戻る軌道を取るべきです。
 その後はレスラーのスキルを放り捨て予想の範囲内のレベルの演出のみ。
 丘の上からNexusを殴り落としていくシーンは印象でしたけどね。
 もう会場の外に大掛かりなセットを組んでホラー映画マッチでもするしかないと思うよ。
 予想に反して悪い試合を避けられる可能性はあったが、結局は悪い試合。

Eエリミネーション・マッチ:チームRaw(ザ・ミズ、シェーマス、ジョン・モリソン、CMパンク、Rトゥルース、サンティノ・マレラ、エゼキエル・ジャ クソン)vs.チームSD(ビッグ・ショー、レイ・ミステリオ、ジャック・スワガー、アルベルト・デル・リオ、エッジ、タイラー・レックス、コフィ・キン グストン)
 レックスは初めて見ましたが意外にパワフルですね。
 打撃も鋭いし受けも良い。
 軸が出来ているのでこれに技のショー・アップが加われば面白いかもしれません。
 シェーマスは基本に従うマシーンな所があったので
 こういう一部のみの参加となる形式ではそれが出てしまうかと思いましたが自然に試合を運べていましたね。
 エッジ、ミステリオ、パンク、モリソンは高度な攻防をコンスタントに提供しました。
 ただエッジ、ミステリオは619、スピアーを多用しすぎです。
 この5人は良い働きをしていました。
 次点はモリソン。
 モリソンは動き自体は躍動感があるものの自分の存在価値の演出に少々問題あり。
 本人の問題というより評価するに十分な機会を与えられなかったのがデル・リオとショー。
 ショーは脱落させ方は良いですが伏線を張るべきですし脱落位置が早すぎます。
 デル・リオは初PPVという事を考えると仕方ないかもしれませんが・・・。
 ミズも機会という点では少ない方で何らかの補佐的ブックが組まれるべきでしたが、
 短時間でインパクトを残せず飾りでしかなかった、のは本人のスタイルに起因する事は否定できません。
 ジャクソンはそれなりに長い担当時間でしたね。
 良い相手を割り当てられていたと思います。
 ただムーブ、キャラ・アピール共に不十分です。
 フィニッシュ役を任せられていたらちょっと誤魔化せていたかもしれませんが・・・。
 トゥルース、コフィ、スワガーは空気。
 マレラはコブラ・オンリー。
 この4人を抜いて5vs.5にしたなら前半に一巡回す時間も取れますし、
 ネタを回収するだけでなく組み合わせに頭を回せ、かなり面白い可能性を秘めていたと思いますよ。
 Survivor Seriesになってしまいますけどね。
 後バラエティーに富んだ面子を選んだのだから
 Raw、SDシャツという安易な方法で統一感を出すのは好ましくない。
 軽く上から抑圧しています。
 そうでなくて各自伸び伸びとやる根底に、下にラインが通っているのが理想です。
 平均的な良試合。 

FWWE王座戦:ランディ・オートン(ch)vs.ウェイド・バレット
 バレットの成長はブラフではなかったようですね。
 シナ戦程の形にはなっておらずぼんやりとしているものの筋が通っているのが分かる。
 独特の打撃やダイビング・エルボー・ドロップもスタイルとして定着してきましたね。
 オートンに関しては今回オーラ、自己主張が弱かったですね。
 情熱的とは言いがたく、共同作業をしているにも関わらず、一方で同時にそれを端から冷めた目で傍観している。
 まあせっかくのメインなのに最大の見せ場がシナの動向なのでへそを曲げるのも理解できなくはないけど・・・。
 悪い試合ではないがクオリティは伸びず。
 さて、シナのストーリーですが個人的には好きです。
 ちゃんと論理が通っていますしね。
 ゴングが鳴った後の、これでよかったんだよ、という表情も良い。
 勿論シナはあくまでセコンドなので彼が中心になる=メインとして弱いという事は確かです。
 只これはメインにしないといけなかった。
 もしミッド・カードで組めばバレット勝利を信じさせるには足りず結末のインパクトが失われますからね。
 それにこのPPVをIYH的位置づけだと考えるならアリだと思います。
 平均レベル。

総評
 試合のクオリティはそれなりに底上げされているし、
 何より各レスラー1人1人が語るべき存在感を出していたので興味深く楽しむことが出来ましたね。
 IYHとして妙な満足度がある。
 (執筆日:10/26/10)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@ダニエル・ブライアンvs.ドルフ・ジグラー
AWWEタッグ王座戦:コーディ・ローデス、ドリュー・マッキンタイア(ch)vs.デイビッド・オタンガ、ジョン・シナ(新チャンピオン!)
Bゴールダストvs.テッド・デビアス
C統一ディーバズ王座戦:レイラ(ch)vs.ナタリア
D世界ヘビー級王座戦、ベリード・アライブ・マッチ:ケイン(ch)vs.アンダーテイカー
Eエリミネーション・マッチ:チームRaw(ザ・ミズ、シェーマス、ジョン・モリソン、CMパンク、Rトゥルース、サンティノ・マレラ、エゼキエル・ジャクソン)vs.チームSD(ビッグ・ショー、レイ・ミステリオ、ジャック・スワガー、アルベルト・デル・リオ、エッジ、タイラー・レックス、コフィ・キングストン)
FWWE王座戦:ランディ・オートン(ch)vs.ウェイド・バレット(DQ)