TOPアメリカン・プロレスWCW TV Matches→ WCW:TV Matches 1987

WCW:TV Matches 1987の分析


名勝負 NWA王座戦:リック・フレアー(ch) vs.バリー・ウィンダム(1/20/87)
好勝負 ノーDQ:タリー・ブランチャードvs.リッキー・モートン(9/19/87)

@NWA王座戦:リック・フレアー(ch) vs.バリー・ウィンダム(1/20/87)
 まず最初のレスリング。
 基本的なムーブだけなのになんて組み合わせ効果でしょう。
 この時期のフレアーのレスリング・テクニックは冴え渡っていて惚れ惚れする攻防です。
 フレアーは、いつもは細かく主導権を握り返して徐々にペースを取るスタイルですが、
 今回はウィンダムというスケールの大きなレスラーが相手という事で
 序盤から飛ばして腕攻め&場外利用でかなりのラインまで追い込んでいきます。
 ウィンダムは見得を切りながら反撃。
 中盤の段階で消耗感を漂わせながら
 45分時間切れというロング・マッチまで持っていきました。
 素晴らしい攻防でしたが、ウィンダムが試合運びで追いついておらず、
 また試合時間で勝負している印象が振り払えないので
 個人的には5スター・マッチと呼べる程ではないですね。
 ぎりぎり名勝負。
 (執筆日:6/27/10)

AUSタッグ王座戦:ミッドナイト・エクスプレス(ch)vs.バリー・ウィンダム、ロニー・ガービン(5/16/87)
 まずはMNEがパンチに対して大きく受けます。
 この頃はまだ控え受けはしてないようですね。
 1度仕掛けを防がれて前振りしてからガービンを孤立させます。
 攻め入る獰猛性、逃さない引き締めどちらも優れていて完成度の高いタッグ・ワークを見せます。
 次はウィンダムの孤立。
 ガービンと異なりウィンダムの強さに配慮したスタートでしたが、
 途中から追い込みではなく捕らえ続ける事が目的の攻めになってしまったのが残念ですね。
 終盤はコルネット介入などのスポットを重ねて盛り上げました。
 ガービンは相変わらず魅力がなかったけれど他はしっかり仕事している。
 中々良い試合。
 (執筆日:3/16/11)

BTV王座戦、$100,000マッチ:ダスティ・ローデス(ch)vs.タリー・ブランチャード(6/6/87)
 ダスティの最大の強みはエルボーを構えてポージングするだけであれだけ盛り上がる事。
 これにより瞬間最高盛り上がりを生み出します。
 後は1シーンで区切られる試合運び面の弱点をどうするかですが、
 ダスティ自身の待つか動くかの判断も
 タリーの派手な受身か、場外で間を置くかの判断も
 どちらも優れていて、仕切りながらストーリーを奏でました。
 交通事故にあったマグナムTAが見守っているという
 シチュエーションも華を添えましたね。
 終盤も読み合いを含んだ深みのある攻防でした。
 これまでで観たダスティの試合の中で一番高度な内容でした。
 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:1/15/12)

CNWAタッグ王座戦:ロックン・ロール・エクスプレス(リッキー・モートン、ロバート・ギブソン)(ch)s.ミッドナイトエクスプレス(ボビー・イートン、スタン・レーン)(7/2/87)
 R&Rが脚狙いでレーンが孤立。
 筋が通っていて戦略的ですね。

 ミッドナイトの方もギブソンを孤立させた際の
 細かなリズムとメリハリは良し。

 今回CMが多く、それ用に合わせているので、
 ダイナミズムが少し抑えられている感が勿体ない。

 また最後はレフェリー気絶から乱入ネタですが、
 現代なら試合再開になる所がDQ裁定に変更になるだけなので、
 ちょっとこれは見ていて盛り下がることは否めません。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:2/?/25)

DノーDQ:タリー・ブランチャードvs.リッキー・モートン(9/19/87)
 タリーは相手の攻めに攻め返しておきながらヘタレる。
 ヘタレるという行為の機能性から
 最近はこういう能動的な使い方は余り見られなくなりましたねぇ。
 タリーが軽く流血した所で一旦仕切る。
 中盤はタリーが場外を使ったり、脚を狙ったりと
 様々な戦略で追い込んでいきます。
 その一種の取り留めのなさと焦燥は
 スマートなキャラのタリーらしからぬもので
 ノーDQならではの雰囲気を醸しています。
 テンポ良く通常形式のレベルを乗り越えると
 当時のお約束、定番の攻防を数多く意欲的に取り込み、
 最後も素晴らしいフィニッシュで〆てきました。
 当時のノーDQなので今の過激さとはずれがありますが、
 ハードで革新的な素晴らしい試合でした。
 ぎりぎり好勝負。
 試合後アーンが襲撃。
 タリーがモートンにベルトを打ち付けていくと、ウィンダムが現れ追い払う。
 (執筆日:1/15/12)

ENWA王座戦、ケージ・マッチ:リック・フレアー(ch)vs.ロニー・ガーヴィン(9/25/87)
 ロニー3度目の挑戦。
 雰囲気はまずまずですね。

 一気にネタを使わず、
 拳、ケージ、掟破りの4の字、を一つ一つ展開絡めて使うので、
 ロング・マッチに耐えうる試合運びになっていますね。

 ロニーが攻め手に回るシーンが多いものの
 フレアーが消耗していっていること伝えつつ、
 ロニーも脚の痛みを見せるので、
 これが続かないのでは、油断したら逆転されるかも、と
 観ている方に思わせ集中力は持続させています。

 最後はロニーがまさかの勝利。
 中堅がNWA王座を掴むというアメリカン・ドリームに盛り上がっていますが、
 試合としては安定こそしていて30分ちゃんと見れたものの
 完成していると評するには足りないレベルですね。

 とはいえ2ヶ月後に行われるStarrcadeの再戦よりは良かった。

 中々良い試合。
 (執筆日:2/?/25)