TOPアメリカン・プロレスTNA 2012年 →TNA:Genesis 1/8/12

TNA:Genesis 1/8/12の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@Xディビジョン王座戦、イリミネーション・マッチ:オースチン・エリーズ(ch)vs.ジーマ・アイオンvs.キッド・カッシュvs.ジェシー・ソーレンセン
 めまぐるしい攻防でその場にいない者の存在を良い意味で忘れさせてくれる。
 ヒールのエリーズ、ザイオンは上手く立ち回っているが、
 どうしても試合がアクション数を稼ぐ事を要求しているためアピールは十分とは言えない。
 3人になると意地から邪魔し合ったりとイリミネーション戦が本来持たない要素が出てくるので不十分ではないですけどね。
 またソーレンセンが複数人が絡む見せ場の技をかけたり、450を返したりと
 試合の中においてもプッシュを受け、最後の2人に残りさえするのだが、
 やはり並み居るXディビジョンの選手としては今ひとつ魅力に乏しいと言わざるを得ない。
 ソーレンセンに帰結するため対価が小さく
 イリミネーションにも関わらずオープニング・マッチの域を超えない内容。
 オープニングだからそれで良いといえばそれで良いんですが。
 まあまあ良い試合。

Aディーボンvs.ディアンジェロ・ディネイロ
 抗争の基本、本当に相手を憎らしいと思う、という事。
 それをディーボンはそれなりに出来ている。
 ディネイロも憎たらしいアピール系の動きと試合進行を両方押さえていて悪くない。
 ディーボンの息子をリングに上げたせいで試合が演劇的になったが、
 アンダーカードとして来るべき時に向けた底上げと考えればあり。
 その後に一通り攻防も行っていますしね。
 平均レベル。

Bガンナーvs.RVD
 ガンナーがRVDの攻防についていけるのは分かります。
 しかし序盤中盤終盤の色分けが不明瞭で最後の決着も唐突な印象を受ける内容。
 フロッグ・スプラッシュなど自爆スポットを織り交ぜた方が良かったですね。
 只セコンドについているフレアーが定番通り介入するのではなく
 冷静になれ、といった指示だけに留めているのは
 今後のガンナーの行く末を考える上で面白い。
 少し悪い試合。

Cノックアウツ王座戦:ゲイル・キム(ch)vs.ミッキー・ジェームス
 レインを檻に入れ上空に吊るすなんていう古典的なネタから試合に。
 先ほどの試合と同じく前半の展開が不明瞭なのが問題。
 しかしテンプレートに載らないだけのものを見せている。
 キムがやられてもすぐに主導権を奪い返していて
 ぎゅっと凝縮された攻防を見せています。
 平均レベル。

Dモンスターズ・ボール(アビスは負けたらイモータル脱退):アビスvs.ブリー・レイ
 アビスは無敵キャラに。
 相手の攻撃を物ともせず起き上がった後、
 敢えて何もせずに間を置くのが良いですね。
 これで表現的になりました。
 ブリーも張り合って同じように起き上がって乱闘。
 どれで倒れて、どれで耐えられるのか、
 その基準は不明瞭ですが世界観、表現があるからこそ少しは目を潰れる。
 ブリーの表情も豊かなので惹きこまれますね。
 股間におろし器をたたきつけられた時の顔といったら。
 ブリーという新しい面子、アビスの深みを加えた華麗なる復活でB級ハードコアが蘇りました。
 終点が見えにくくなるもそれぞれの特殊凶器、ジャニスと竹刀が見事にまとめあげました。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

Eタッグ王座戦:マットモーガン、クリムゾン(ch)vs.サモア・ジョー、マグナス
 カードの狙い通りビッグ・マンによる激突。
 日常では見られない迫力がありますね。
 クリムゾン、モーガンはタッグを組んだことで
 欠点を隠し長所を伸ばせるようになりましたね。
 このまましばらく王座を保持して欲しいと思います。
 一方で挑戦者ですが、やはりこの面子の中ではマグナスが一歩劣る。
 またジョーもクリムゾン、モーガンの相手としては打ってつけでも
 ジョーが最高に輝いているかというとそては別の問題。
 決して外れはしないが彼がこんな所でもたもたしていても・・・と思う。
 単純な売りに合わせて終盤は分かりやすい攻防でフィニッシュ。
 モーガン、クリムゾンvs.バッド・インテンションズが見たくなりました。
 平均レベル。

Fカート・アングルvs.ジェームス・ストーム
 序盤からストームがスーパー・キック狙って前振り。
 対するカートは小物っぽく振舞います。
 確かにそういう筋は一つの方法論としてあるけれども
 折角前回の戦いで良くも悪くも言葉で言い表しようのないリアルがあったのに
 それを形にはめこんでしまったのは残念でならない。
 ストームのダイビング・エルボー・ドロップの使い方や、
 カートの蹴りによるフィニッシュは面白いし、基本的には良い試合だが
 前回に比べると印象に残らない内容。
 まあまあ良い試合。

GTNA王座戦:ボビー・ルード(ch)vs.ジェフ・ハーディ
 ジェフはショルダー・タックル食らって一呼吸。
 いくら強烈だったとはいえ典型にそんな筋はありません。
 ジェフの衰えによるものかそれとも狙ってやっているのか注目していましたが、どうやら後者のようですね。
 ここぞでジェフらしい見せ場を連発して大きな緩急をつけてきます。
 出し惜しみしないので途中で息切れしないかと心配になりましたが、
 中盤は完全ダウンなので問題なしです。
 この選択は前者によるものの気もしますが、
 ジェフは死にそうな素振りを見せるだけでよかった。
 ルードが技を上手く組み合わせており安心して試合を任せられます。
 ジェフへの応援が中心にある試合という事も分かっていて
 ここぞで同じ光景に戻し、今度こそ、と観客に思わせ応援を引き出していました。
 終盤になると再びジェフがラッシュ。
 もう結構な歳なので十分な攻防は出来ませんでしたが、そこは演出が助っ人。
 一度逃げるのは見慣れた光景ですが、
 二度逃げて、ああいうフィニッシュに持っていったのは逆に新鮮に映りましたね。
 狙い通り次回の再戦が見たい、と思わされました。
 まあまあ良い試合。

総評
 前回から格段にPPV構成が変わりましたね。
 ビジネスとしての必要悪も認めつつ、
 その中でプロレスとして何が出来るかを粛々と組み立てている。
 PPVを通して落ち着いて見る事が出来、その意図を堪能しました。
 WWEを脅かしそうとする殺気も、
 凄い試合が生まれそうな緊張感もある訳ではないが、
 ナチュラルで心地よく、個人的にこの変貌は諸手を挙げて迎え入れたい。
 (執筆日:1/10/12)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@Xディビジョン王座戦、イリミネーション・マッチ:オースチン・エリーズ(ch)vs.ジーマ・アイオンvs.キッド・カッシュvs.ジェシー・ソーレンセン
Aディーボンvs.ディアンジェロ・ディネイロ
Bガンナーvs.RVD
Cノックアウツ王座戦:ゲイル・キム(ch)vs.ミッキー・ジェームス(DQ)
Dモンスターズ・ボール(アビスは負けたらイモータル脱退):アビスvs.ブリー・レイ
Eタッグ王座戦:マットモーガン、クリムゾン(ch)vs.サモア・ジョー、マグナス
Fカート・アングルvs.ジェームス・ストーム
GTNA王座戦:ボビー・ルード(ch)vs.ジェフ・ハーディ(DQ)