TOPアメリカン・プロレスTNA 2011年→ TNA:Slammiversary 6/12/11

TNA:Slammiversary 6/12/11の分析


名勝負 なし
好勝負 ラスト・マン・スタンディング:AJスタイルズvs.ブリー・レイ

@タッグ王座戦:ジェームス・ストーム、アレックス・シェリー(ch)vs.ブリティッシュ・インベイジョン
 ストームもシェリーも名タッグ・プレイヤーですが、やはりパートナーが変わると違いますね。
 リスト・ロック見ても2人の間の距離感がちょっと違うように同じ呼気ではありません。
 お互いの定番ムーブを出すことで特別感はありましたが、
 ビール吹きかけの誤爆によって一応王座交代劇をよぎらせれた形です。
 一方のBIに関してですがカオス・セオリーの使い方、投げのばら撒き方を見ても
 ちょっと引き立て役過ぎる所がありますね。
 しかしマグナスが飛距離のあるダイビング・エルボー・ドロップなど
 トータル・パッケージ路線で素質を垣間見せていたのが目を引きました。
 構成には気を払っていないため良いとまでは言えないが
 控え受けなどが多用されているためにそれなりに試合は充実している。
 平均より少し上。
 
Aマット・モーガンvs.スコット・スタイナー
 スコットがいきなりヘロヘロでとてもマッチョ対決とは思えません。
 攻めにおいても初手はロー・ブローだし、まともにロープに走れない。
 また打撃は出鱈目で、時間を埋める意図しかありません。
 こんなスコットに付き合う事でモーガンは商品価値が落ちるのではと心配しますが
 そのモーガンも微妙で反撃のリズム感はひどいものです。
 スコットのヴィクトリー・ロールなんていう珍しい物が見られるだけの内容。
 仮想的でもいいからパワーとパワーがぶつかるシーンが見たかった。
 ひどい試合。

BXディビジョン王座戦:アビス(ch)vs.カザリアンvs.ブライアン・ケンドリック
 アビスは前回と同じく怪物っぷりを復活させていて
 ようやく長いブランクから抜け出したことを実感させます。
 そのアビスにXの2人が攻略法を探るという狙いは面白いが完全にアビスが主役になってしまっています。
 ケンドリックは変なキャラを捨ててまともに試合に臨んでいるが
 魅力に欠ける3人目になってしまっています。
 構図上陥りやすいとはいえカズもアピールが足りていません。
 Xの2人が同列の引き立て役を務めるのでフラットな進行でした。
 結局カズとケンドリックの絡みはアビスの頭脳プレイによって誘発されただけでしたしね。
 最後の結末を見るとケンドリックのジャンピング・キックはフィニッシャーなのでしょうか。
 とてもそのようには見えず説得力に欠けるエンディングでしたが・・・。
 悪くない試合。

Cサモア・ジョーvs.クリムゾン
 テンポの速い殴り合いからスタート。
 重戦車対決に持っていくのかと思いきや
 ニーやドラゴン・スクリューといったリアルに痛みの伝わる動きを前面に出してきます。
 偶然でしたがラリアットで後頭部をロープにぶつけるようなシーンもありましたね。
 それを世界観として作り上げたい所でしたが、ちょっとクリムゾンが粗過ぎましたね。
 様式に気を取られすぎています、
 その様式、つまり一発殴られて一歩後退するような事が
 どのように見えているかも含めて出来ていない所が辛い。
 気迫を出すべきと感じたその瞬間に体を動かせば良かったのにね。
 不完全ではあったものの独自の狙い口は良い。
 平均レベル。

Dノックアウツ王座戦:ミッキー・ジェームス(ch)vs.アンジェリーナ・ラブ
 ラブはシリアスに試合を臨んでいて
 相手を動かせない、コントロールするための試合運びをしています。
 これまでのどの試合よりも高度な事にチャレンジしています。
 またミッキーもやや手抜きではありますが、それにあわせて消耗モードで対応。
 特に反撃開始時にラブに起こさせるという変化をつけていたのは良かったですね。
 頑張って力を振り絞っている事が伝わってきます。
 終盤がウィンター絡みのテンプレートな攻防で、
 最後フィニッシャーが大きく崩れてしまったのが勿体無いですね。
 悪くない試合。

Eラスト・マン・スタンディング:AJスタイルズvs.ブリー・レイ
 40前にして本格的にシングルに転向したレイ。
 自分の良さを出す良い良いギミックを獲得しましたね。
 普通ベテランはハード・ヒットから離れていくものです。
 それは自分も痛みを伴う試合を導く訳ですからね。
 しかしこの試合でも見事なハード・ヒッティングを見せています。
 AJも様にはなりきれていないものの気迫の伝わる激しい打撃を見せていて
 ラスト・マン・スタンディング・ルールが出てくる前の序盤でしっかり遺恨を提示しました。
 中盤も素晴らしいですね。
 ブリーは小さいダウン・カウントに対し様子見で対応しており、
 ブリーと改名するだけあるイジメ臭い攻めを見せます。
 特に胸への張り手を叩き込んで倒す、
 痛みによって根性を折ろうとするシーンはその極みでした。
 次のシーンでカウント6,7で起き上がっていて受けも適切ですね。
 また虚空を見つめるような表情も健在です。
 AJも攻守両方で優れていましたね。
 このような内容における拳の意味合いが分かっているし、
 エプロンの幕を使って立ち上がるなどハイ・センスを見せます。
 終盤も流血にステージ・スポット、骨組みからのテーブル葬と盛り上がりましたね。
 問題があるとするならばフィニッシュなんでしょうね。
 ステージ下の壁にぶつかり穴が開くという定番スポット、あからさまに薄い板でチープです。
 しかしカクタスvs.ベイダーを思わせる最後の一捻りは嫌いじゃないし、
 それまでのバランス感覚を考えれば個人的にはありだと思います。
 ぎりぎり好勝負。

FTNA王座戦:スティング(ch)vs.ミスター・アンダーソン
 スティングがアンダーソンの背後に登場するシーンは掴みとして良かったですね。
 スティングの打撃も思ったより優れていました。
 普通にアンダーソンより良い打撃です。
 しかしその打撃に込められた気持ちに比べて、
 やっている事はどうだったかというと只観客に媚を売っているだけの場外乱闘。
 アンダーソンが何もしないのもいけないんですけどね。
 中盤はアンダーソンが動き、今度はスティングが何もしない格好。
 アンダーソンは腕攻めでやたらコントロールしたがりますが、
 腕攻めで一貫性のある攻めをしてクオリティを上げるのではなく、
 一極攻めしてればテクニカルなレスラーだと思われるだろう、
 という目的意識しかないのが何とも情けないことです。
 スティングもまた何のセルをしていなかったですね。
 最後はビショフが絡んだチープ・フィニッシュ。
 悪い試合です。

G#1コンテンダーズ・マッチ:ジェフ・ジャレットvs.カート・アングル
 カートの冷静な攻め、JJの逃げ腰という対比性は良いが、
 それを構図と呼ぶには攻防がほとんど生まれていない。
 場外、鉄階段を使っての反撃も分かりやすいだけです。
 また最終対決を変に意識しているせいで
 早い段階で両者ダウンによる微調整、
 アンクル・ロックの織り交ぜを行っています。
 ベノワ戦のようにそういう事がありえる世界観を作るのならば良いのですが
 これでは只違和感を覚えるだけです。
 カートの定番ムーブによって確実にステージを上げ、
 雪崩式必殺技、掟破り、という如何にもな盛り上げを行いましたが、
 JJの衰えからとても美しいとはいえない体の動きでしたね。
 TNA王座戦ではなくこちらがメインを張った事に喜んでいたけれど
 ちょっといまいちな内容でした。
 まあまあ良い試合。

総評
 ミッド・カードが独自の魅力を追求しているのが良いですね。
 TNA王座戦は相変わらず低レベルだがメインから下ろされた事で
 それまでの頑張りを台無しにはしていない。
 (執筆日:6/14/11)
DVD Rating:★☆☆☆☆

注目試合の詳細

Eラスト・マン・スタンディング:AJスタイルズvs.ブリー・レイ
 AJが突進してきたブリーに蹴り。激しく打撃を叩き込んでいく。ブリーがカウンターでクローズライン。こちらは的確に打撃を叩き込んでいく。どちらも相手に主導をつかませない。
 ブリーがショルダー・スルー。カウント2で起き上がった所に突進しボディ・プレス。カウント3で起き上がったAJを場外に落とす。鉄階段をずらし横に立 てるとその上に落とす。自らAJを起こすと鉄階段にたたきつける。鉄階段越しに踏みつける。鉄柱にぶつける。唾を上空に吐いてキャッチする。起き上がった AJをリングに戻しアピール。胸に張り手。AJは起き上がるともっと売ってこいという身振り。ブリーが胸に張り手を叩き込み倒す。AJが再び起き上がり挑 発。ブリーが気おされながらも強烈な張り手で倒す。AJが更に起き上がってくる。ブリーが胸に張り手。カウント6でAJが起き上がる。近づいてきたブリー を殴りつけていく。延髄切り。カウント5で起き上がったブリーにスプリングボード式フォア・アームズ。カウント6で起き上がったブリーに突進。カウンター を食らうもコーナー上のブリーにペイレイ・キック。コーナー上で殴りつけていく。
ブリーが隙をついて雪崩式シットダウン・パワー・ボム。AJは場外に転がり下りると同時にエプロンの幕を掴む事で両足でたつ。
 ブリーがチェーンをもって殴りかかる。AJはかわすとチェーンを拳に巻く。それで殴りつける。ブリーが流血。AJが傷口を殴りつけていく。リングに戻す とスプリングボード式450°スプラッシュ。ブリーはカウント8で起き上がる。AJはボディ・スラムでブリーを場外に投げ捨てる。プランチャ。場外でスタ イルズ・クラッシュを狙う。ブリーが持ち上げエプロンへのスタンガン。入場ステージまでAJを連れて行く。ステージ下へのパワー・ボムを狙う。AJが逃れ 延髄切り。続けてペイレイ・キック。ブリーをステージ下に蹴り落とすとステージ上から思いっきり飛んでフォア.アームズ。ブリーは柵にもたれカウント8で 起き上がる。AJはテーブルを持ってくる。背中に椅子をたたきつけテーブルに寝かせる。ステージの上に行く。金属の柱を見つけるとそこを上る。そこからダ イビングエルボー・ドロップでブリーをテーブル葬。AJがカウント5で起き上がりかける。しかし後ろでダウンするブリーが尻を蹴り飛ばすとAJは壁に突っ 込み穴が開く。ブリーがふらつきながらも柵にもたれて起き上がりカウント10。ブリーの勝利!
[Winner:ブリー・レイ(20:24)]

試合結果

@タッグ王座戦:ジェームス・ストーム、アレックス・シェリー(ch)vs.ブリティッシュ・インベイジョン
Aマット・モーガンvs.スコット・スタイナー
BXディビジョン王座戦:アビス(ch)vs.カザリアンvs.ブライアン・ケンドリック
Cサモア・ジョーvs.クリムゾン
Dノックアウツ王座戦:ミッキー・ジェームス(ch)vs.アンジェリーナ・ラブ
Eラスト・マン・スタンディング:AJスタイルズvs.ブリー・レイ
FTNA王座戦:スティング(ch)vs.ミスター・アンダーソン(新チャンピオン!)
G#1コンテンダーズ・マッチ:ジェフ・ジャレットvs.カート・アングル