TOPアメリカン・プロレスTNA 2011年→ TNA:Final Resolution 12/11/11

TNA:Final Resolution 12/11/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@RVD vs.クリストファー・ダニエルズ
 ダニエルズは翻弄されて活きるヒール・キャラだが
 RVDが飄々としているためキャラクターが活きない。
 また基本技しか出さないので大袈裟なリアクションも封じられている。
 中盤ではダニエルズが腹攻めを見せるも
 技自体のインパクト、間がいまいちで印象に残らない上に終盤まで引っ張ります。
 終盤の反撃においてもRVDは手抜き。
 オープニング・マッチの意味を取り間違えてないか、と問いたくなる内容。
 少し悪い試合。

ATV王座戦:ロビーE(ch)vs.エリック・ヤング
 前回と同じく軽薄な内容。
 ロビーEはキャラ上こういう事に向いているけれども
 実態のない戦いばかりしているとそういう要素が強くなって
 元に戻れなくなることがよくあるので注意しないと。
 悪くない選手なんですから。
 ロビーTもセコンドなんかじゃなく
 普通に試合を組んだ方が成長できると思うが・・・。
 悪い試合。

Bタッグ王座戦:クリムゾン、マット・モーガン(ch)vs.ディアンジェロ・ディネイロ、ディーボン
 形式に沿っただけの構成と粗っぽい攻防の作り方です。
 只やけに王者組のパワフルなムーブが光っていましたね。
 スカッシュ・マッチ的だが魅力的ではある。
 王者組はこの方向でいくのもありですね。
 只今挑戦者に良質なタッグがいないのでこういう試合を量産するだけになるかもしれませんけど。
 悪くない試合。

CXディビジョン王座戦:オースチン・エリーズ(ch)vs.キッド・カッシュ
 ヒール同士の対決ですが、
 エリーズはAAキャラが冴えわたっていますから
 そのエリーズが同じような行動でやられるのはエンターテイン。
 擬似的なベビーフェイスvs.ヒールになっています。
 只その楽しませ方をやりすぎて展開上必要な攻防があったり、型を軽視する点も見られましたね。
 最後はそれぞれずるして頂きを狙った攻防で幕。
 平均より少し上。

Dノックアウツ王座戦:ゲイル・キム(ch)vs.ミッキー・ジェームス
 キャット・ファイトといった方が正しい気持ちのぶつかり合い。
 しっかりした試合が出来る2人がこんな試合をするとは思いませんでした。
 ミッキーの勢いの生み方やキムの場外落下などのハード・バンプもこの2人にしか出来ないものですね。
 ただキャット・ファイト仕様のせいで攻防がごちゃごちゃしているのが難。
 悪くない試合。
 依然としてキムにヒールはやらせない方が良いのではと思う。

Eジェームス・ストームvs.カート・アングル
 ストームはヘビー級らしい倦怠感を纏いながらも鋭い打撃を放つので印象的。
 試合運びも悪くないし、良質なダメージ蓄積も見られます。
 カートはアスリートとして迷いなく無機質に追い込んでいく様が魅力的です。
 終盤の技の位置づけを理解しているからこその攻防も素晴らしかったですね。
 ですから試合は確かに良い試合です。
 ただストームの倦怠感やダメージ感はキャラ作りではなくリアルから来ているような印象。
 ちょっと腹回りも出てきたし、相手の技のダメージというより自分の体力から疲れているように見えるんですね。
 アイ・オブ・ザ・ストームの落とし方も支えきれずに落としたって感じで、スコット・ホールと姿が被ってしまいましたよ。
 カートも同じく終盤の技の放つ際の軽さ(位置づけとは別の話)を見ていると
 無機質さは演技ではなくてモチベーションは無いが仕事だからしっかりやろう、というスタンスの現れではないかと勘繰ってしまいます。
 良質なヘビー級の試合だが嫌な予感が残る。
 平均的な良試合。

Fケージ・マッチ:ジェフ・ハーディvs.ジェフ・ジャレット
 (カレンとスティングが手錠で繋がれている。
 JJが勝てばジェフ離脱。ジェフが勝てば挑戦権獲得、
 そしてJJもしくはカレンが解雇される)
 9分、と潔いまでの短さ。
 後半はケージの定番の攻防を行うので
 能力をほとんど必要とせず今の2人でも十分楽しませてくれます。
 ケージ天辺からのスワントーン・ボム自爆で期待に応えた後は
 カレン交えた筋書通りの攻防ですが、これが珍しく上手く機能していましたね。
 平均より少し上。

GTNA王座戦、30分アイアン・マン・マッチ:ボビー・ルード(ch)vs.AJスタイルズ
 重厚なレスリングでスタート。
 特徴的差異のない両者ですがルードのパワー、AJの戦略が微細に描かれていたのが良いフレーバーとなっています。
 30分の試合にふさわしいしっかりした土台です。
 5分立った所でベビーフェイス/ヒール要素の追加。
 以前よりもそれぞれ立ち位置にはまってきている印象です。
 ルードのヒール・ワークも魅力を増しました。
 相手の気を削ぐ戦い方は良いですね。
 こういう試合は1本目のつけ方が難しい所ですが
 丸め込みの応酬から80年代のレスリング・モード。
 ややぎこちなかったものの崇高な見せ方です。
 AJが脚を痛めてルードが1本。
 
 その後はAJが脚の痛みを見事に表現。
 悲壮感を出し2-0に追い込まれながらも、
 MMAらしい一撃性を秘めた腕へのサブミッションから反撃。。
 お互いの局部のダメージを中心に据えた見事な構成と完璧な時間配分でした。

 ただ試合自体は賛辞に値するけれども
 良くこれをPPVのメインにしたなぁ、と思えてならない。
 他の現代プロレスの常識からいえば、
 腕、脚をたった1回の事からあそこまで痛めるのは過剰で、
 3-3と何回もフィニッシュがある展開は2人の強さを損ねていて、
 そのスリリングさは2人の弱さから来ると錯覚してしまいそうです。
 最後もルードが逃げて時間を潰す格好でもやっとする。
 脚を引きずるAJが追いつけない所なんてサイコロジーの極致ではあるんだけどね。
 正直今のニーズはFCWのセスvs.アンブローズのような試合の方が満たしているでしょう。
 完成度は高いが面白さの方向性が今風ではありません。
 好勝負に少し届かず。

総評
 これまで縮こまっていたモーガン、クリムゾンが伸び伸びと暴れ、
 キムとミッキーが思いっきりキャットファイト仕様にしてみれば、
 ストームとカートがリアル感垂れ流し。
 ジェフ対決が身の丈にあったすっきりした内容で、
 一方のメインは曲解なしの完成度の高い内容。
 それぞれが自分の向きたい方向に走り出していて面白いんだけど、
 TNAらしさも全体の指揮系統の存在も感じさせず、TNA大丈夫?って思わせる。
 この80年代臭さがプリチャードの影響から来ているなら面白いが。
DVD Rating:★★☆☆☆
(執筆日:12/12/11)

注目試合の詳細

GTNA王座戦、30分アイアン・マン・マッチ:ボビー・ルード(ch)draw.AJスタイルズ
 オーソドックスなレスリングからスタート。ルードの方が締め上げる力が強くやや優勢。AJも執拗にヘッド・ロックを決め負けていない。AJがショルダー・タックルを連発しカバー。ルードは場外に逃れて間をおく。5分経過。
 コーナーで体勢を入れ替えながらチョップを打ち合う。AJがチョップを連打しショルダー・スルー。ルードが命乞いからサミング。場外に落とす。柵にぶつけようとする。逆にAJがぶつける。リングに戻す。ルードがリングに入り際にストンピング。コーナーに押し込み脚を蹴る。ロープに顔をこすりつける。丸め込みの応酬。AJがアーム・ドラッグ。ルードがショルダー・タックル。AJが倒れた状態からハリケーン・ラナ。ルードがロープに走る。AJが同ロープに走りクローズライン。カウント2。ヘッド・ロック。ルードがニー・クラッシャーを決めエルボー・ドロップへ。AJはかわすとヘッド・ロック。ルードがバック・ドロップに返そうとする。AJが後ろに着地するも脚が痛む様子。セカンド・ロープにのる。ルードが脚にクローズライン。すかさず抑え込んでカウント3。ルードが先取(10分)。
 ルードがサミング。脚に強烈なタックル。AJの反撃を脚への攻撃で防いでいく。AJがダウン状態からのハリケーン・ラナを狙う。ルードがキャッチしハーフ・ボストン・クラブに持って行く。AJがロープを掴む。ルードが4の字。AJが屈してタップ。2−0となる(15分)。
 チョップ・ブロック。4の字を狙う。AJが蹴り飛ばすとルードはターン・バックルに肩を打ち付ける。AJがアーム・バー・テイク・ダウン。クロス・フェイス。ルードがタップ。2−1でAJが追い上げる(18分)。
 AJがアーム・ロック。ルードがレッグ・ロックに切り返す。AJが顔に手をかけて逃れる。ロープにルードの腕をかけ引っ張る。ルードがクローズラインを決めるも腕の痛みから崩れる。20分経過。
 AJが隙を突いて丸め込む。カウント3。2−2となる(20分)。
 AJが腕を殴り、ルードが脚を蹴る。AJが延髄切り。ルードがカウンターでスパイン・バスター。足を掴む。抵抗するAJにニーDDT。コーナーへの素リング・ショットを狙う。AJがセカンド・ロープに着地。一回転してのリバースDDT。スプリングボード式450を決める。カウント3。AJが3−2でリードする(23分)。
 しかし脚を更に痛めてしまう。ルードのクローズラインを脇固めに持って行こうとする。ルードが逃れ脚を掴もうとする。AJが逃れる。ショルダー・スルーを食らうもエプロンに着地。ロープに腕を打ち付ける。ロープ越しのサンセット・フリップへ。ルードが潰してロープを掴む。カウント3。3−3のタイ(25分)。
 AJがルードをコーナー上に載せスーパープレックスを狙う。ルードがAJの脚を殴りつけて落とす。AJが駆け上がり雪崩式アーム・ドラッグ。アーム・ロック・バック・ドロップ。ブレーン・バスターを狙う。ルードが脚を蹴って防ぐ。フィッシャーマンズ・バスターを狙う。AJが丸め込む。カウント2で返されるもペイレイ・キック。咆哮して起き上がる。ルードにスタイルズ・クラッシュを狙う。ルードが脚を引いて潰す。場外に出て時間を潰す。AJがトペコンン。残り1分。AJは脚の痛みからすぐに動けない。リングに戻す。ルードが場外に出る。AJが後を追うも足の痛みから追いつけない。30分時間切れ。

試合結果

@RVD vs.クリストファー・ダニエルズ
ATV王座戦:ロビーE(ch)vs.エリック・ヤング
Bタッグ王座戦:クリムゾン、マット・モーガン(ch)vs.ディアンジェロ・ディネイロ、ディーボン
CXディビジョン王座戦:オースチン・エリーズ(ch)vs.キッド・カッシュ
Dノックアウツ王座戦:ゲイル・キム(ch)vs.ミッキー・ジェームス
Eジェームス・ストームvs.カート・アングル
Fケージ・マッチ:ジェフ・ハーディvs.ジェフ・ジャレット
GTNA王座戦、30分アイアン・マン・マッチ:ボビー・ルード(ch)vs.AJスタイルズ(3-3)