TOPアメリカン・プロレスTNA 2010年→TNA:Bound for Glory 10/10/10

TNA:Bound for Glory 10/10/10の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@タッグ王座戦:モーター・シティ・マシンガンズ(ch)vs.ジェネレーション・ミー
  MCMGには観客から絶対的な信頼が寄せられており、
 それを利用してある程度余裕をもった試合運びをしていますね。
 ただMCMGが優位状態でダブル・トペを見せたようにやりすぎ。
 Yバックスの行動の影響を軽くして食ってしまっているのは気になります。
 Yバックス側にもTNAでは良い試合こそすれ実績がなく、
 ヒールと連携技をどちらも等価に扱っているという原因があります。
 たとえ豊富な連携技を誇るといっても戦局という要素が薄れ、
 物量押しに落ち着いてしまったのは望ましい事ではありません。

 しかし後半になると自分の形、流れが上手く活かされ、
 そこへの持って行きあい、防ぎ合いによる争いが生まれましたね。
 攻防が大局的な意味合いを持っている。
 また立体的な合体技も魅力的でした。

 これをオープニングに持ってきたのはわかります。
 確実に最高の仕事をしてくれると見込めるし、実際そうなりました。
 ただやはりオープニング以上の物を求めてよいカードです。
 もっと挑戦性を求められるポジションで組んで欲しかった。
 軽く期待を下回りましたが、フィニッシュへの流れが格好良すぎたので良しとしましょう。
 中々良い試合。

Aノックアウツ王座戦、4コーナー・マッチ(レフェリー:ミッキー・ジェームス):アンジェリーナ・ラブ(ch)vs.ベルベット・スカイvs.マディソン・レインvs.タラ
 タラ、レインはヒールとして適切にインパクトのある技を出しています。
 一方ベビーフェイスのBPですが、ダウン時に比べニュートラル時に大きくむらがあるのがいけませんね。
 楽しめない内容ではありませんでしたが、単純なラインでもう少し工夫の余地を持たせられる展開を期待していました。
 悪い試合。

BインクInc vs.オーランド・ジョーダン、エリック・ヤング
 ヤングが相手チームの一員としてオーランドと意図的なミスコミュニケーションなどを行う。
 それにしては3人いるにも関わらずまるで連携力のアピールを出来ていません。
 無意味な攻防も多いですね。
 試合自体のテーマが分からず、ファン・マッチにもなっていません。
 そしてImpactを見ていない事を考慮しても、まるで不可解なオーランドの反応です。
 これによりただ仲間内での茶番であるだけでなく、それを意図的に行っている事を認る悪質さが生まれています。
 こんなのに給料が払われている事に腹立たしくなるようなひどい試合。
 ただこんな事言うとは思っていなかったが、オーランドのキャラは前回に見かけた時に比べたらある程度洗練されていましたね。

CXディビジョン王座戦:ジェイ・リーサル(ch)vs.ダグラス・ウィリアムス
  ある程度のハイ・テンポで試合が動くので悪い試合ではないのですがそれ以外は完全に失敗尽くめ。
 売りがはっきりしない段階でリーサルがダウン、
 その状況でダグが過剰に能動的に動き、
 リーサルは見得を切ろうと対応するもバランスを崩している。
 簡易な一本調子の変化でカオス・セオリーの扱い、フィニッシュ含め
 とてもPPVとはとてもBFGとは思えない内容。
 何故これでよいと思ったのか首を傾げざるを得ない内容。
 少し悪い試合。
 試合後ロビーEがリーサルを襲撃。

Dモンスターズ・ボール:アビスvs.RVD
 上手い感情表現ではないがRVDは気持ちを抑えられない事を表現している。
 このRVDのように観客にレスラーではなくスターだと自ら言える選手が増えてきましたね。
 そういう意味ではやはりお下がりであろうと確かに視聴率に繋がっている。
 試合に話を戻すとボードを早めに出しながら、ちゃんとそれに対する受けが出来ている。
 カバーをしない事でハイ・テンポを維持しつつも、尚且つハードコア度を失っていませんね。
 アビスも速く歩くべき所は速く歩いていてまずまず。
 エプロン横渡しスポットである程度のスパイスも効いていますね。
 ただモンスターズ・ボールの割には終盤は予想の範囲内でつぼ型の過激度分布でしたね。
 まあまあ良い試合。

Eケビン・ナッシュ、スティング、ディアンジェロ・ディネイロvs.ジェフ・ジャレット、サモア・ジョー
 スティングは相手が動くときついが、受けてもらえるとそれなりにアピール出来ている。
 ナッシュは長時間リングに上がれないものの短期集中で一生懸命やっている。
 ポープも精力的ですね。まあスティング、ナッシュがパートナー故精力的が必ずしも良い方向にのみ作用する訳ではないですけどね。
 このようにヒールの状態が思ったより良かったですが、JJが裏切るだけの展開なのでクオリティは上がらず。
 カードを見た段階で考えればその程度で十分なブックだが、
 実際試合を行ってみればもっと本格的にやっても良かった、と思わされましたね。
 悪い試合。

Fリーサル・ロックダウン:EV2.0(スティービー・リチャーズ、トミー・ドリーマー、サブー、レイヴェン、ライノ)vs.フォーチュン(カズ、AJスタイルズ、ビア・マニーInc、マット・モーガン)
 1番手にリチャーズとかありえません。
 華がなく、それを自分で認めるかのようにネック・ブリーカー4連発なんか見せています。
 重要選手を温存するならまだ分かるものの、それぞれ2番手にリーダーを持ってきていますからね。
 明らかにミスです。
 最初からリーダー対決で問題ありません。
 その後は退屈させない程度の気遣いでインパクトのある大技を挟んでいます。
 基本的にEV2.0は若いフォーチュンに助けられっぱなしですね。
 戦いがぶれないドリーマー以外十分な仕事が出来ていないのでこれなら4人で十分でした。
 凶器が入っても思ったよりエスカレートできない始末。
 チャンバラでもいれて仕切った方が良かったです。
 またケンドリックはカリスマ的演技力があるので抜擢するのは良いがEV2.0と色が共存できるかは疑問。
 流血、定番の仕掛けで格好をつけ、マイナスを何とか抑える、という
 平均レベルの試合の中でもつまらないクオリティの取り方です。

GTNA王座戦:カート・アングルvs.ジェフ・ハーディvs.ミスター・アンダーソン
 とにかく立ち位置を語るという事をしない。
 最初こそアンダーソンが2人に攻撃されたけれども
 その後は3人が同じ機能を持った等価な物として動いている。
 これではストーリーを語れず面白くありません。
 ただハイ・テンポで、長すぎないシーンが綺麗に変化する。
 それだけです。
 何故もっと膨らませないのでしょう。
 カートは高い集中力を見せていたし、連携技や同時アンクル・ロックなど素材自体は不足していた訳ではないのです。
 そこから他に語れる、詳しく語れるのにパッパッと切り上げてしまう。
 その結果、たどり着いたのは前回PPVのカートvs.ジェフに似ている雪崩式技、必殺技依存の打ち合いです。
 更に興が無いのは意図的に通常よりダメージを軽減しているという事です。
 明らかに終着点の見えない世界観です。
 そしてその時は訪れる。
 ホーガンの登場です。
 まあ腰の手術で登場してくるとは思っても見なかったし、サプライズ効果自体を否定はしません。
 しかし先ほどまで動き回っていた3人がじっと地に伏して動かない。
 ナンセンスです。
 リディクラス、馬鹿馬鹿しい。
 そしてジェフのヒール・ターン。
 オースチンばりの衝撃ではありますが、THEYの中にぽつんと立つジェフの姿に感じるのは只々不安だけです。
 オースチンのようにレスラーとしての第2次ピークが訪れるとも到底思えませんしね。
 ホーガン登場後のクオリティ・ダウンを軽く見積もっても、まあまあ良い試合程度です。

総 評
 FやGのクオリティはある程度予想されましたからね、
 そこまで大会の印象には影響は大きくなく、
 むしろPPVとは思えないB、Cが結構痛かったですね。
 それなりにサプライズを用意してきたものの、今年もまたTNA版WMという実感を与えるには足りない内容です。 
(執筆日:10/12/10)
DVD Rating:★☆☆☆☆

注目試合の詳細

 なし

試合結果

@タッグ王座戦:モーター・シティ・マシンガンズ(ch)vs.ジェネレーション・ミー
Aノックアウト王座戦、4コーナー・マッチ(レフェリー:ミッキー・ジェームス):アンジェリーナ・ラブ(ch)vs.ベルベット・スカイvs.マディソン・レインvs.タラ(新チャンピオン!)
BインクInc vs.オーランド・ジョーダン、エリック・ヤング
CXディビジョン王座戦:ジェイ・リーサル(ch)vs.ダグラス・ウィリアムス
Dモンスターズ・ボール:アビスvs.RVD
Eケビン・ナッシュ、スティング、ディアンジェロ・ディネイロvs.ジェフ・ジャレット、サモア・ジョー
Fリーサル・ロックダウン:EV2.0(スティービー・リチャーズ、トミー・ドリーマー、サブー、レイヴェン、ライノ)vs.フォーチュン(カズ、AJスタイルズ、ビア・マニーInc、マット・モーガン)
GTNA王座戦:カート・アングルvs.ジェフ・ハーディ(新チャンピオン!)vs.ミスター・アンダーソン