TOPアメリカン・プロレスROHROH 2011年 →ROH:Final Battle 12/23/11

ROH:Final Battle 12/23/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

@マイケル・エルガンvs.TJパーキンス
 エルガンは序盤から力で押し倒し、耐えて見せてと
 以前より重戦車キャラである設定を重要視している様子。
 パーキンスもベースの安定性は前から良いものがありますが、
 スポットの重要性も理解し始めたようですね。
 両者の状態は好印象です。
 只試合は後半思ったより伸びず。
 構図にのったスポットは多いのだけれども
 その繋ぎがほとんどなく、また持ち技の攻防と感じ取れるものもありませんでした。
 平均より少し上。

Aトマッソ・シアンパvs.ジミー・レイブ
 顎引けを生やしたレイブですが
 動きにキレがありROHでもやっていけそうですね。
 シアンパも強烈なスポットを見せたりと印象に残りました。
 只今のエンバシーの存在感の弱さもあってか
 エンバシーの元リーダーvs.現エースという構図が安定しない。
 どちらも構図にのっているのですが
 それぞれが動く度にその構図が揺れる感じですね。
 また最後はナナがレイブがエンバシーに勧誘するも断られ、
 セコンド総出で仕留めにかかる、という締め方なので若干不完全燃焼。
 平均より少し上。

BTV王座戦、3ウェイ・ダンス:ジェイ・リーサル(ch)vs.エル・ジェネリコvs.マイク・ベネット
 ベネットは本当にいらないよ、と思われているリアル・ヒール。
 それ故彼が不意打ちしてくれば仕返ししろ、と観客も思うし、
 レスラーもそう動くのが自然に映る。
 それ故に焦点から3人目が上手く外れ、3ウェイとしての形が良くなります。
 この試合においてもベネットは全然目を引く働きをしていませんが
 ベネットがいるからこそ、ヒールが掻き乱す定番とは一味違う構図が出来た事は否定できない。
 ただスピード感が絶対的に足りずまったり進行しています。
 3人目が入ったり出たりすれば自然ともう少し緩急つきそうですけどね。
 ジェネリコのビッグ・ダイブ&コーナー横切りトルネードDDTから
 大技が繰り出されるようになるとようやく盛り上がってきます。
 イリミネーション・ルールによって3人から一気にフィニッシュ。
 綺麗に落ち着け変にいじくらなかったが、その分盛り上がりきれず。
 まあまあ良い試合。

CノーDQ(レフェリー:ジミー・ジェイコブス):スティーブ・コリノvs.ケビン・スティーン
 (スティーンが勝てば再雇用)
 スティーンの抑えきれぬ渇きを持つキャラは魅力的だし、
 十分量及び過激なスポット(椅子にのせた柵の上へのスーパープレックス)があるので盛り上がる。
 しかし最近のスティーンは明らかにレスラーとしては体重Overです。
 一つ一つの動きが鈍い。
 流れがない中で予想の上をいく行動に出たり、
 観客と話したり、異常キャラを発現したりして
 抒情で持ってつなぎ合わせているのは凄いしスティーンしか出来ない事でしょうがあくまで邪道。
 正道が出来た上での邪道はユニークな世界を生み出しますが、
 正道を疎かにした邪道では行き着く先に限界がある。
 トラップを設置するのに時間がかかり、
 時にダメージを負い過ぎ、時にダメージが軽すぎます。
 コリノはそれこそスティーンと程ではないがコンディションは悪く、かといって魅力にも乏しい状態ですから
 それを調整する役目を買って出る事は出来ません。
 過激なトラップで追い込まれながらもカウント3を許さず、
 レフェリーのジェイコブス、リングサイドのシルキン、コルネットを尻目に
 体制側の正義なんてクソくらえ、と勝利する様は格好よかったですが
 今後インディーの中心になるであろうからこそ現状で満足させず
 よりレスラーとして高めていって欲しいですね。
 好勝負に少し届かず。

 試合後スティーンは、俺は3つの目的を果たすべき戻ってきた、と言う。
 1つ目はコリノを叩きのめす事だという。
 2つ目、といってジェイコブスにパッケージ・パイル・ドライバー。
 3つ目といってコルネットに迫る。
 立ちふさがったジェネリコと殴り合い。
 ブレーン・バスタァァァーを防ぐとエプロンから横のテーブルへパッケージ・パイル・ドライバー。
 
D#1コンテンダーズ・ガントレット・マッチ:ブラヴァド・ブラザーズvs.セドリック・アレクサンダー、カプリス・コールマンvs.フューチャー・ショックvs.ヤング・バックスvs.オールナイト・エクスプレス
 ブラヴァドズvs.セドリック、カプリス。
 ブラヴァドズは観客をのせたいと思っていながら
 目の前の行動が100%で行えていません。
 またカプりスの援護スポットは面白いが
 それでセドリックが復活し戦い続け、
 カプリスが1回も権利を得る事なく試合が終わるのは如何なものか。
 典型による流れか、はたまた裏をいく驚きか。
 ガントレット・マッチの初戦という事を考えると前者を重視しうべきです。

 セドリック、カプリスvs.Fショック。
 ここは連携技のお披露目会といった感じ。 
 それ以上でもそれ以下でもないですね。
 
 Fショックvs.Yバックス。
 ダイブ・スポットから始め、
 Yバックスがコールを捕まる展開へ。
 観客を煽るも、その効果が薄いとみるや
 一気にスポットに持って行ったりと
 Yバックスが巧みな緩急を見せます。
 タッチしたオライリーが良質な技で盛り上げると
 エプロンへのジャーマンなど過激な技でラッシュし締め。
 普通に試合する際に比べて試合が固まりきっておらず
 PWGの試合に到底及ばないが最後のカードの前に派手に勢いをつけたのは良い。

 Yバックスvs.ANE。
 場外を使った攻防からケニー孤立、タイタスが中々起き上がれない、という展開に。
 タイタスの脚の負傷を使ってドラマ性を見せる形ですが
 リアルな負傷という事もあって攻防の限界が先立っている。
 それでもやるのならもっと自然に見せ、観客を引き込まなければならない。
 テーピングをつける等もっと分かりやすくする必要もあります。
 
 1試合ずつは微妙ながらバラエティーに富んだ内容で勝者のYバックスがプッシュされる流れも出来ている。
 まあまあ良い試合。
 
Eロデリック・ストロングvs.クリス・ヒーロー
 ロデリックのインビテーショナル・チャレンジにヒーローが登場。
 しばらく離脱していた事から会場はヒーロー歓迎モードになっています。
 それに伴いロデリックが必要以上に小者化。
 ロデリックが攻めを使い分けてもヒーローから反応がなく
 表面的な試合になってしまっています。
 また少し離れたいたせいか攻防もガタガタ気味。
 KO級の打撃と大技で盛り上がりましたが、
 ヒーローが継続参戦するかも分からず出落ちとなっています。
 まあまあ良い試合。

Fタッグ王座戦、ノーDQ:レスリングス・グレーテスト・タッグ・チーム(ch)vs.ブリスコ・ブラザーズ
 まずはWGTTがベルト攻撃。
 衝撃のヒール・ターンって事なんでしょうが
 入場時の段階でふがいないWGTTにはブーイングが混じっていて
 ブリスコズに歓声が送られていた状況です。
 ブリスコズをフェンスの上に投げ落としたりと一瞬過激な乱戦になるかと期待したものの
 WGTTの一方的な攻防が延々と続きます。
 WGTTの心変わりを印象付けるために時間を割かなければいけないという事なんでしょうね。
 しかしそれだけのために何故頭に何もクッションのない椅子を叩き込まなければいけないのか。
 観客にF wordsを投げかけなければならないのか。
 それはひとえにWGTTのレスラーとしての能力が衰えているからです。
 WGTTで有名な馬飛びヒップ・ドロップも形が崩れている始末。 
 戦いというよりスキットと呼ぶ方がふさわしい内容だと思っていたら
 唐突にゴングが鳴り響き、それまでは本当に試合じゃなかったんだ、と呆れる始末。
 ゴングが鳴ったからといって状況が一変する訳もない。
 シェルトンは腹を押さえてダウンし動けなくなる。
 テーピングをしている事からして負傷しているのかもしれないけれども
 相手の頭に椅子攻撃を叩き込んだ男が、ちょっと体が痛むから、と進行に迷惑をかけるのか。
 いやはやWGTTはタッグ版ベネット状態。
 ベンジャミンがハースを庇って腹にダイビング・エルボー・ドロップを食らって離脱、
 しかし一人で苦境に立たされるハースを見かねて戻ってくる。
 ヒール?→ベビーフェイス?と観客の認識を揺らすつもりかもしれないが
 もうハースがF wordsを使うことで微妙なさじ加減に使うスプーンは放り出している。
 最後に板を持ち出してくるがそれの観客の反応と言えば
 デュガンを思い出してのHOOOOとUSAチャントときている。
 やるせない。
 悪い試合。

GROH王座戦:デイビー・リチャーズ(ch)vs.エディ・エドワーズ
 流れの中で発展的に生まれた見せ場。
 それを只並べた所で最大に効果を発揮する訳がありません。
 デイビーが意図的に蹴りを後半まで封印する一方で 
 エディのチョップに簡単に倒れたりと打撃の位置づけもおかしいですね。
 見せ場によって形成が確立されたはずなのに
 チョップ一発で崩れるので形骸的な印象が一層強くなります。
 そんな中でサブミッションを決めた状態で頭部を踏みつけあわれても納得しようがない。
 もやもやした気持ちを消化できずにいる所に
 俗にファイティング・スピリットという気合で起き上がるシーンが加わります。
 この段階で19分経過ですがこの試合は41分。
 残る22分。
 技を食らっても起き上がるシーン、
 ニュートラルに戻して打撃を打ち合うシーンの詰め合わせです。
 俺はまだ戦えるぞ、お前が起き上がれなくなるまでやってやる、の理で許容するには 
 余りに長く長くどうでも良い試合と化しました。
 またデイビーがまったくダメージ表現をしないのも問題。
 ROHのロング・マッチ志向とデイビーの欠点が組み合わさって助長されています。
 平均的な良試合。

 試合後スティーンが現れ、ベルト取りに意欲を見せ、
 俺はアンチクライスト・プロレスリングだと名乗る。

総評
 エルガンがオープニング・マッチでフューチャー・ショックも勝てず。
 メインは中期の再戦で、2012年への展望、今年1年の進行は余り感じられないカードですね。
 中身に目を向けるとアンダーカードはまずまず。
 しかしWGTT、デイビーの両王者が欠点を今年後半にかけて更に伸ばしてしまったのか残念な状況。
 タッグ王座は移動したからまだしもROH王座は防衛。
 こうなるとスティーンに期待がかかりますが、彼も好調とはいえ現在歪なスタイルですし不安が残る。
 (執筆日:12/25/11)
DVD Rating:★☆☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@マイケル・エルガンvs.TJパーキンス
Aトマッソ・シアンパvs.ジミー・レイブ
BTV王座戦、3ウェイ・ダンス:ジェイ・リーサル(ch)vs.エル・ジェネリコvs.マイク・ベネット
CノーDQ(レフェリー:ジミー・ジェイコブス):スティーブ・コリノvs.ケビン・スティーン
D#1コンテンダーズ・ガントレット・マッチ:ブラヴァド・ブラザーズvs.セドリック・アレクサンダー、カプリス・コールマンvs.フューチャー・ショックvs.ヤング・バックスvs.オールナイト・エクスプレス
Eロデリック・ストロングvs.クリス・ヒーロー
Fタッグ王座戦、ノーDQ:レスリングス・グレーテスト・タッグ・チーム(ch)vs.ブリスコ・ブラザーズ(新チャンピオン!)
GROH王座戦:デイビー・リチャーズ(ch)vs.エディ・エドワーズ