TOPアメリカン・プロレスPWGPWG 2011年 →PWG:Battle of Los Angels 8/20/11

PWG:Battle of Los Angels 8/20/11の分析


名勝負 なし
好勝負 1回戦:クラウディオ・カスタニョーリvs.エル・ジェネリコ

約2時間50分です。
@1回戦:ウィリー・マックvs.クリス・ヒーロー
 ようやくシングルの機会が与えられてきたウィリーですが、
 いざシングルの機会が与えられて見れば試合運びの拙さが目立つ。
 二極の技を持っているがゆえに難しいのは分かるんですよ。
 ヒーローとしても対等に扱うでもないし流れで反撃させるにも惜しくて典型で試合を作れない。
 かといって微細な意図付けの変化を読み取ってもらえる訳でもなくて・・・。
 ウィリーが技で歓声を引き出すことは出来ているが
 本人も未来が見えずトルネードの踊って股間蹴りを借用したりしている。
 クイックのフィニッシュだとしても過程においてウィリーが勝利する価値を見せれなかった。
 まあまあ良い試合。

A1回戦:ケビン・スティーンvs.フィット・フィンレー
 フィンレーは部位に関連させた動きでコントロールしている。
 それは確かに上手いレスリングです。
 ただそのレスリングではまともにぶつからず、
 熱を帯びてくるのは乱打戦になってから。
 しかし常にぶつかり合うのは体力的に難しいことが示される。
 ならば先ほどのレスリングで埋める事が一つの可能性ではあるが
 そうではなくスティーンが劣勢になって脚攻めで挽回するという
 実態とは異なる形で試合は展開していく。
 またフィンレーはその脚を使ったニー系で反撃しますが、
 身を切っての攻撃なんて深みをつけ足せる状況ではありません。
 ベースを確立させてから深みを付け足す、
 ベースが安定しないまま深みに走って崩れる、
 それはバランス配分の問題ですが、
 一線を越えるかどうかで印象は大きく変わってくる。
 平均的な良試合。

B1回戦:クラウディオ・カスタニョーリvs.エル・ジェネリコ
 CCはジェネリコとの攻防を認めつつも圧力を作り出しています。
 ジェネリコも高く飛んで俊敏に技を出してと素晴らしい状態でしたね。
 CCの腰攻め、それに対するジェネリコの大きな反撃の流れの作り方は一致している。
 必死にもがく姿を見せる表現的なディティールと
 反撃が成功するまでの大きなスケールが同時に存在している。
 終盤もCCのパワー・ボム3連発から始まり、
 他には出来ない鬩ぎ合いを見せてくれました。
 1月の同一カードには劣るでしょうが
 他のカードと比べるとそれは十分特別な境地にあります。
 ぎりぎり好勝負。

C1回戦:エディ・エドワーズvs.ロデリック・ストロング
 ROH王座戦と同じカードとは豪華だが流石に同じことは出来ない。
 ベースを作る前にエプロンでブレーン・バスターなど
 見栄えの良いスポットを出して表面的になっています。
 お互い何も背負っていない割に方法論はしっかりしているが、
 それが交わる中で新しい何かが生まれる気配はありません。
 一進一退はお互いの動きで実現させた上で
 エプロンへのダイビング・ダブル・ストンプなど
 過激なスポットを交えて妙に激戦へと発展させている。
 最後は丸め込みの体勢入れ替えで決着です。
 ROHの王座交代劇をPWGで実現しようとしてもがく中でクオリティが上がらなかった。
 エドワーズのASWの戦いを見ている限り、
 PWGの方向性からROHの激しさをどうアレンジとして組み込むかと考える方が成功したように思えます。
 平均的な良試合。

D#1コンテンダーズ・マッチ:ジョーイ・ライアン、スコーピオ・スカイvs.ジョニー・ユーマ、ジョニー・グッドタイム
 ダイブから初めて連携技も見せる。
 ライアンが観客席の上に放り投げて孤立のきっかけを作る。
 ただ肝心の孤立シーンが緩くどちらも実効性のある事をしない。
 終盤はそれなりに長引かせているがギアは上がらず。
 平均レベル。

 試合後ヤング・バックスが襲撃。
 KOWが現れ俺たちは1回戦で敗退し気が立っているんだ、王座に挑戦させろ、と言う。
 散々からかわれたヤング・バックスは了承。
 唾を吐いて去っていく。

E準決勝:ウィリー・マックvs.エル・ジェネリコ
 ジェネリコがふざけて踊って見せて
 ウィリーの犠牲者を気取って見せるが
 この試合のためだけにそこまでする必要はあるのか。
 ダウン・ベースでやりやすい形で綺麗にまとまっているが、
 これではヒーローをタッグ王座戦に挑戦させたいがために
 ウィリーを勝ちあがらせた以上の意味合いが生まれていない。
 平均より少し上。

F準決勝:エディ・エドワーズvs.ケビン・スティーン
 印象的な攻防を作り出しています。
 エディがスティーンのようにユーモアを見せ、
 スティーンも対抗してやり返しています。
 スティーンに影響を受けてエディの普段見られない一面が出てきた形で
 先ほどの試合とは違い2人の絡みの中でこの試合だけのものが生まれました。
 平均的な良試合。

Gタッグ王座戦:ヤング・バックス(ch)vs.キングス・オブ・レスリング
 KoWが思いのままにからかって観客を楽しませます。
 連携技も自由に織り交ぜていて2戦目という色合いはありませんね。
 Yバックスの戦略が中々利かない展開ですが、
 その後CCを孤立させる中盤になっても調子が上がらない。
 CCが細かい抵抗を行い試合のレベルを上げるきっかけは用意しているのですが
 見せ場作りはワン・パターンで攻防も形式的です。
 今度はKoWまで引きずり込まれて実体性を失っていく。
 ヤング・バックスのスーパー・キック戦略も比較的早い段階で解禁され、
 トップ・タッグの激突としては物足りない内容となってしまいました。
 平均的な良試合。
 
H決勝:ケビン・スティーンvs.エル・ジェネリコ
 いきなり殴り合いからスタートさせると
 お互い攻めを前面に出しての潰し合い。
 観客席乱闘時にジェネリコが手を掴んでのトルネードDDTを壁を使って行ったのは面白かったですね。
 リングに戻ると仕留めにかかります。
 前回のタッグで見せたブレーン・バスターをパッケージ・パイル・ドライバーに切り返すカウンターで盛り上げると
 遺恨を絡めて必殺技を連発、掟破りも繰り出されます。
 3戦目という事で14分という試合時間に
 コンパクトにPWG色を絡ませながら形にしました。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

総評
 一日開催にした事でコンパクトにならざるを得ず、
 ポテンシャルを最大限に発揮できなかった印象があります。
 しかし元々面子が凄いことになっているのでそこそこの大会に。
 フィンレーに話題がいってまさかスティーンvs.ジェネリコを再燃させるとは思いませんでしたね。
 (執筆日:11/14/11)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@1回戦:ウィリー・マックvs.クリス・ヒーロー
A1回戦:ケビン・スティーンvs.フィット・フィンレー
B1回戦:クラウディオ・カスタニョーリvs.エル・ジェネリコ
C1回戦:エディ・エドワーズvs.ロデリック・ストロング
D#1コンテンダーズ・マッチ:ジョーイ・ライアン、スコーピオ・スカイvs.ジョニー・ユーマ、ジョニー・グッドタイム
E準決勝:ウィリー・マックvs.エル・ジェネリコ
F準決勝:エディ・エドワーズvs.ケビン・スティーン
Gタッグ王座戦:ヤング・バックス(ch)vs.キングス・オブ・レスリング
H決勝:ケビン・スティーンvs.エル・ジェネリコ(優勝!)