TOPアメリカン・プロレスEvolve →Evolve:Evolve 1 Ibushi vs. Richards 1/16/10

Evolve:Evolve 1 Ibushi vs. Richards 1/16/10の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

1枚、約2時間15分です。

@ボビー・フィッシュvs.カイル・オライリー
 激しい蹴りの打ち合いと入り方を工夫した技を見せます。
 ハード・ファイトでテンポは速いです。
 しかしテンポの付け方を絶対的に間違っている試合でもある。
 どちらが攻めているか分かりにくく興味を持たせません。
 これは致命的な欠陥なので低く評価しても良いのですが
 オープニングである事、それなりに面白かった事から
 まあまあ良い試合としましょう。
 
A査定試合:チャック・テイラーvs.チーチ
 1試合目と同じくとにかくテンポの速さ優先。
 しかし無名も同然の1試合目の人はともかく
 ある程度知名度のあるこの2人がこういうことをするのは違うでしょう。
 丸め込み、カウンターの攻防にChikara同士のテイストは軽く入っているが
 2人の、特にテイラーの個性は完全に潰され、
 1試合目と同じような欠陥を抱えている。
 少し悪い試合。

Bエリック・キャノンvs.リコシェ
 エリックが地力を見せつけました。
 全然成長せず飛び技師に収まったリコシェが
 それって攻撃になってるの?という物を見せようものなら
 即座に反撃して観る者の心にモヤモヤを残しません。
 またスピードを出しながらテイラーのように自分を見失っていません。
 しかし試合の狙いを遂行するのに
 ここまで大きな役割を果たしているエリックをすんなりと負けさせるのはどうかと思うよ。
 平均レベル。
 試合後テイラーが現れリコシェで次回大会での試合を申し込み了承される。

Cダーク・シティ・ファイト・クラブvs.エアロフォーム
 2対1ができそうなパワー・バランスで楽しませてくれます。
 エアロフォームは同時技で一人が当てられず自爆になっていたりする粗さですが
 撹乱の意図を持って動いているのは良いですね。
 何で楽しませるか、の軸からブレません。
 ただ細かい事に気を払う事は求められていないとはいえ
 完全にトルネード・ルールなやり方はどうなんでしょうねぇ。
 悪くない試合。

Dメルセデス・マルチネスvs.ニーヤ
 聞いた事無いニーヤがマルチネスのハード・ヒットの餌食になっています。
 すぐにスカッシュ。

Eサイラス・ヤングvs.ブラッド・アレン
 これもハード・ヒット+スピードが狙い。
 しかしサイラスはそれに乗り切れてはいない。
 そもそもフィニッシュ技に倒立からのアラビアン・プレスを選ぶ人ですから
 このスタイルに合わないのははなから分かりそうなものですけど。
 一方のアレンですがそれに輪をかけて駄目。
 馬鹿みたいに見える自爆に始まり、
 ハード・ヒット、攻防は誤魔化し目的が見え見え。
 工夫は逆に失敗している。
 更に更に、粗くて怪我しそうと思ったら場外ムーンサルトに失敗してダウン。
 只でさえひどい内容に時間稼ぎが加わり試合の質もダウン。
 そのくせアレンが勝つ。
 ひどすぎる試合です。
 試合後 アレンが次回大会でヒーローとの試合を要求。
 正直言ってお前如きがそんな言葉を口にするな、と思いますよ。

Fジミー・ジェイコブスvs.ケン・ドーン
 おかしなアピールと打撃戦。
 ジェイコブスは只でさえ劣化しているんだから
 明らかに合ってないEvolveにブックしてその劣化を助長させないでくださいよ。
 まあROHで見れないレスラーという意味でのみ起用してるんだろうけど。
 ひどい試合。
 試合後ジェイコブスがドリーマーに襲いかかるも返り討ちにあう。

Gクリス・ディキンソンvs.ジョニー・ガルガーノ
 ディキンソンのスタイルがおかしい。
 見よう見まねでやってる技と立ち振る舞いが一致していません。
 ガルガーノも中途半端にEvolveスタイルと自分のスタイルの間で彷徨っている。  
 ひどい試合。

H澤宗徳vs.TJP
 勿論打撃の攻防がリアルに見える程キレがあるのもあるけど
 他に比べてグラウンドを大事にしているのが大きい。
 Evolveスタイルを高いレベルで理解した、
 テクニカル且つスピーディーな戦いです。
 予想させながら盛り上げる打撃の打ち合いと
 意表をついて驚きをもたらす切り返しのコンビネーションが素晴らしいです。
 気持ちものってグー・パンチという特別な技を抱合するレベルにまで達している。
 10分あるかないかの時間ながら充実していました。
 好勝負に少し届かず。

Iチーム・フライトニング(マイク・クァッケンブッシュ、ハロウィックド、フライトメア)vs.アクマズ・アーミー(グラン・アクマ、イカルス、ブロディ・リー)
 UWF的な雰囲気で統一されているのに
 Chikaraという異物が紛れ込んでしまった。
 集客力を狙っての事でしょうが、これではDG USAのように成功する訳がありません。
 そもそも他の試合にスピードで見劣りするし、
 ハロウィックドが長身というだけでリーと対等に渡り合ったりと
 おかしな構図、設定が散見されます。
 完全に見る目を準備させない中でこれではのる事は出来ません。
 またルチャ・ルールを楽するために使っているのも印象は良くない。
 悪くない試合。

J飯伏幸太vs.デイビー・リチャーズ
 単純ながら特別な対等関係を感じさせるスピーディーなスタートを見せます。
 しかしリチャーズの腕狙いが
 1回目で成功し優位に立ってしまう展開に。
 タイミングは早いし、ここで支配してしまうと
 一極攻めの攻防の深化というメリットが失われてしまいます。
 そもそも前回キムラ・ロックがフィニッシャーだったのですから
 腕攻めに対してもう少し緊張感があっても良いですね。
 Hを見習うべきです。
 その後適切なポイントで適切な技を出す事で試合はようやく加速し始めます。
 ハードに体を張り、ファイティング・スピリットも見せます。
 Hのような見本ではないですが、
 目的を逸脱せずに遂行している、という意味では
 他のカードよりも抜群の安定感がありますね。
 終盤はヘッド・バッドや首裏にフォア・アームズ連打など
 日米の目玉選手の2戦目を意識した特別な動きがありましたが
 単発で特に雰囲気を生むまでには至らず。
 中々良い試合ではあるもののMOTNを取れず、という結果に。
 ROHの試合より上になる事は当然のようにブッカーも観客も思っていただけにこれは痛いですね。
 試合後リチャーズが次回大会でオライリーを相手にする事を発表する。

総評
 頭の中に描いたコンセプトを実現してみせた、という点では凄く評価すべき大会です。
 ・セミ、メインという位置づけを実直に反映した試合時間配分とスピーディーな進行。
 ・頑張りが分かりやすいテンポの速いハード・ファイト。
 ・Evolveならではの日本人招聘。
 ROHとの関係含めた色々な条件の中でベストに近い解決法でしょう。
 
 ただ勘違いしてはいけないのは
 ベースとなるレスラー達はそのスタイルの上っ面をなぞっているだけだし、
 入場曲を一緒にする等の試作はやりすぎ。
 プロレスにそこまで強い興味を持っていない人、
 趣に対する感受性が弱く集中力が無い人達には良いだろうけれど
 そういう客層を呼びこめる団体かは疑問です。
 (執筆日:4/22/10)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@ボビー・フィッシュvs.カイル・オライリー
A査定試合:チャック・テイラーvs.チーチ
Bエリック・キャノンvs.リコシェ
Cダーク・シティ・ファイト・クラブvs.エアロフォーム
Dメルセデス・マルチネスvs.ニーヤ
Eサイラス・ヤングvs.ブラッド・アレン
Fジミー・ジェイコブスvs.ケン・ドーン
Gクリス・ディキンソンvs.ジョニー・ガルガーノ
H澤宗徳vs.TJP
Iチーム・フライトニング(マイク・クァッケンブッシュ、ハロウィックド、フライトメア)vs.アクマズ・アーミー(グラン・アクマ、イカルス、ブロディ・リー)
J飯伏幸太vs.デイビー・リチャーズ