TOPアメリカン・プロレスECWECW 1999年 →ECW:4/15/99

ECW:4/15/99の分析


名勝負 TV王座戦:ロブ・ヴァン・ダム(ch)vs.ジェリー・リン
好勝負 なし

ビデオです。約2時間25分。
音声は無し。

@クリス・チェッティーvs.ライノ
 ライノはレスリングも使うしドーリングの援護も受けるしで
 後のイメージとはかけ離れていますね。
 得意分野ではないので面白みに欠けます。
 悪い試合。

Aスカル・ヴォン・クラッシュvs.スティーブ・コリノ
 観客をのせるのを意識しすぎたとは思うが
 椅子のスポットや、スカルの意識がちょっと向上しているのが見れて良かった。
 悪くない試合。

Bリトル・グイドー、サルEグラジアーノvs.スパイク・ダッドリー、ノヴァ
 まともに試合ができないサルを上手く処理しましたね。
 まともな試合数が少ないスパイクも心配材料でしたがこちらも悪くない。
 少し悪い試合。

Cタジリvs.スーパー・クレイジー
 クレイジーは基本的な部分を軽んじず飛び技オンリーではなくバランス良い配分。
 こうなると数え歌になりますね。
 何気なく挟んでくる捻った攻防が光る試合に。
 只相変わらず5分と試合時間は短い・・・。
 まあまあ良い試合。

Dボールズ・マホニー、アクセル・ロッテンvs.ダッドリーズ
 ダッドリーズが細かいリズムを刻みながらコントロールして仕事します。
 只場外戦が小さくクライマックスはいつもと同じ。
 少し悪い試合。

Eランス・ストームvs.トミー・ドリーマー
 ドリーマーが喧嘩ではなくレスリングをしようと申し出たり
 フランシーンがしつこくスカートを捲くって煽ったりと本当に中身が無い。
 そのくせ場外に出てからはヒートして
 会場を回ってアイテムも幾つか使うんだよねぇ。
 リングに戻ればテーブルが出てくるし最初の時間の使い方が勿体無い。
 悪くない試合。
 試合後ジャスティンが乱入しドリーマーに襲いかかります。
 そこにダグラスが現れるも返り討ち。
 一旦仕切りなおしてから試合が行われます。

Fジャスティン・クレディブルvs.シェイン・ダグラス
 ダグラスの体調の悪さからそれぞれが一方的に攻めあってクライマックスに行くという簡易構築。
 只それでも何か見所があるのは所々に錆付いていない芸が見えるからか。
 ジャスティンも良い仕事をしました。
 悪くない試合。
 試合後ストームが現れ2人でダグラスをリンチ。
 ドリーマーが現れ追い払います。

GTV王座戦:ロブ・ヴァン・ダム(ch)vs.ジェリー・リン
 #16。
 RVDvs.リンのマスターピース。
 余りに語る事が多いので時系列順に追っていきましょう。

 最初の掴み。
 避け合いはかつてない程流暢な動きで当たり前のようにこなします。
 レスリングはテクニカル且つスピードのある物になっています。
 防ぐ形での投げ狙いも組み合わせていて豊穣です。
 そして掴みを終えるフォア・アームズ。
 アクシデントでリンの顔面に入りリンがダウンします。
 ここでRVDがKOしてやったぞと咄嗟にアピールを入れ、
 リンがモンキー・フリップを着地する1スポットを入れて仕切りなおす。
 この1スポットがあるかないかでは大きく違う。
 RVDのヒール・キャラ、決して折れないリンの気概を見せる事ができて移入すると共に
 先ほど倒れていたのが心理戦とも読み取れるようになった訳ですからね。
 一方で強烈な一撃だった事は変わりなくリンは鼻血を出します。
 図らずもこれはRVDvs.リン、絶好の形です。
 動きを直接落とさないのに絵として残り続ける”血”。
 これによって#11のような”エモーション”が早くも伴い始めました。

 仕切り直し後を「コーナーに押し込み殴りつける」で始めます。
 これも今まで無かった入り方ですね。
 仕切り直しているにもかかわらず前と繋がりを持っています。
 スリング・ショットを追加した更に複雑になったコーナーの攻防からダイブで走り始めます。

 #14で見せた”境界”。
 これはリングと場外の境界を意味していましたが、
 ”柵”を新たな境界として加えました。
 これまで柵を使ったシーンはムーブを”見せる”所で
 試合の場面としては一息つけるものだったのにこれにより緊張感が生まれ更に引き締まります。

 続いて椅子の加え方。
 アルフォンソは「椅子を投げ渡す」に加え「椅子をリングに入れる」という見せ方を習得しました。
 「アルフォンソがリンに椅子を投げ渡しRVDがヴァン・ダミネーターを狙う」より
 「アルフォンソによって置かれた椅子を見てリンに椅子攻撃をしようという考えが生まれ手にする。
 そこにRVDがヴァン・ダミネーターを狙う」の方が心理的要素も加わり素晴らしい事は明々白々でしょう。
 そういや書いていませんでしたがこれまでも
 「笛を控え喋りを出す」、「攻撃を受ける」、「椅子の振り下ろし方が上手くなる」と
 アルフォンソはこの数え歌の進歩に一役買っていましたね。
 話を戻してこれで引き起こされるヴァン・ダミネーターの攻防も
 払い蹴りが返って来る、なんていう巻き戻し技(元祖?)が追加されていて素晴らしい。

 #14でオール一進一退と書いたけれど本質的に言ってオール攻防であれば良い訳です。
 そのためリンがやや追い込まれる形へとシフトし
 序盤の血の流れと繋いで勢いづける事に成功しました。

 ここでRVDがスプリングボード式の技を踏み外します。
 いつもなら転落する所でしょうがここでは体勢を崩しながらもレッグ・ドロップを決める。
 これは優位なRVDが気の緩みを見せた、と解釈できます。
 この日はミスさえもミス足りえないようです。
  
 躍動する”動き”から来る疾走感。
 纏った”雰囲気”から来る疲労感。
 経験を全て活かした見事な構築。
 実に心技体が三位一体となって怒涛のエスカレーションを見せます。

 再びアルフォンソの椅子置きから
 2度目とは思えないほど遜色の無い攻防を見せるとここでテーブルの登場です。
 テーブルが出ざるを得ない状況にあり、試合がそれを要求していました。
 テーブルってのは出して立てなくてはいけません。
 慣れていなければ間延びし、彼らのように慣れていても通常程度の間が生まれる作業です。
 しかし彼らは通常程度の間を生まれる事も許さなかった。
 リンがテーブルを立てている間に、RVDが場外へダイブしようとコーナーにのぼろうとする同時進行です。
 異常なクライマックスにふさわしい異常な行動。
 このテーブルを巡る攻防ではテーブル葬になりませんでしたが
 この後でテーブルを割らなければという縛りを感じさせない程巧みな攻防でした。

 リングに戻ってしばらくするとサブーが現れます。
 この時のカメラ・ワークは問題あり。
 サブーが出てきたといってもちょっとリングから気を反らし過ぎです。
 RVDが軽く待ちましたね。
 これまでの極限状態のレベルから言えば不要の間でした。
 これまで余りに充実していて使わなかった
 「アルフォンソの椅子投げ渡し」とサブー介入によって
 締めも上手くいき壮絶な試合は幕を閉じました。

 過剰に見所があるにもかかわらず観ている方に全然飽きが来ません。
 これを18分と20分を切った試合時間に収めるとは
 もはや人外の領域に到達しています。
 観ている途中で歴史的な名勝負という評価は確定していました。

総評
 アンダーカードが悪くないとか、音声が無いとか
 メイン・カードの前には余りに些細な小事です。
 恐ろしく面白い。
 The Whole F'n Show!!!
 (執筆日:9/24/09)
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

GTV王座戦:RVD(ch)vs.ジェリー・リン
  リンがハンマー・ロック。
  RVDが脚を挟んで倒しフロント・ヘッド・ロックへ。
  リンが腕を取る。
  RVDが前転して起き上がる。
  RVDが腕を取り返す。
  リンが前転から腕を取り返し別の腕にアーム・ドラッグ。
  仕切り直し。
  組むとRVDがバックを取る。
  リンがバックを取る。
  RVDが倒して腕を取る。
  リンがグラウンド・ヘッド・シザース。
  RVDが跳ねてすり抜けヘッド・ロック。
  リンは起き上がるとロープに振る。
  伏せてリープ・フロッグでロープに走る。
  RVDが開脚で伏せてリープ・フロッグにいこうとする。
  リンがそこを蹴り飛ばす。
  ブレーン・バスターを狙う。
  RVDが逆に持ち上げようとする。
  リンが後ろに着地しバックを取る。
  バック・エルボーを避けるとバック・ドロップを狙う。
  RVDがフォア・アームズを叩き込むと顔にヒットしリンが倒れる。
  RVDがアピール。
  エプロンでダウンしているリンをリングに入れ起こすと蹴りにフォア・アームズ。
  コーナーに振りモンキー・フリップへ。
  リンが着地し構える。
  仕切り直し。
  リンは鼻血を出している。
  両者コーナーに座り休憩。
  降りて組み合う。
  RVDがコーナーに押し込むと離れず殴りつける。
  コーナーに振ろうとする。
  リンが振り返し突進。
  RVDはコーナーを使って裏に回るとドロップ・キックを狙う。
  リンは避けると両脚を取りスリング・ショットへ。
  RVDがセカンド・ロープに着地。
  リンの突進をかわすようにジャンプして着地するとリンに突進。
  カウンターでショルダー・スルーを食らうもエプロンに着地。
  リンが対応してフォア・アームズ。
  三角飛びドロップ・キックで落とす。
  ダイビング・ボディ・アタックで追撃する。
  リングに戻る。
  エプロンに上がってきたRVDにドロップ・キック。
  セカンド・ロープに寝かせるとセカンド・ロープからレッグ・ドロップ。
  カバーするもカウント1。
  フェイス・バスターを決めカバー。カウント1。
  アルフォンソが入れたかリングに椅子があるのを見て手にする。
  RVDがヴァン・ダミネーターを狙ってくる。
  かわされるも続けて払い蹴りへ。
  リンは椅子を置いてかわす。
  しかしRVDの払い蹴りが戻ってくる。
  リンは椅子の上にダウン。
  RVDがスピニング・レッグ・ドロップへ。
  リンは避けるとけりかかりコーナーに振る。
  突進する。
  RVDが持ち上げロープを跨がせる。
  スピン・キックで場外に蹴り落とす。
  場外に下りるとリンを蹴りつける。
  柵に振ってぶつける。
  場外カウントをカットしてから再び柵に振ってぶつける。
  突進。
  リンがカウンターでショルダー・スルー。
  RVDが着地し柵の外へのブレーン・バスターを狙う。
  リンが後ろに着地しドロップ・キック。
  RVDが柵にぶつかって中に落ちる。
  リンが柵を乗り越えようとする。
  RVDが柵へのジョー・ブリーカー。
  リングに戻る。
  再び場外に下りる。
  リンは観客席でダウンしている。
  アルフォンソがRVDに椅子を投げ渡す。
  RVDが投げ返して柵に乗る。
  アルフォンソがキャッチしてリンに椅子を投げ渡す。
  そこにRVDが柵の上からヴァン・ダミネーター。
  リングに戻りアピール。
  リンが何とか起き上がりリングに戻ろうとする。
  RVDがそこにスライディング・キックを狙う。
  リンは避けるとフォア・アームズ。
  エプロンにぶつけ柵にぶつける。
  RVDがリンに蹴り。
  リンを持ち上げ柵に干す。
  そしてエプロンから飛んでスピニング・レッグ・ドロップ。
  リンをリングに戻す。
  エプロンに上がるとスプリングボード式の技を狙う。
  踏み外すもそのままレッグ・ドロップを決める。
  カバーするもカウント2。
  ボディ・スラムを狙う。
  リンが後ろに着地すると蹴りを入れパイル・ドライバーを狙う。
  RVDがリバース・スープレックスに返す。
  ローリング・サンダーを狙うべく前転。
  リンが上半身を起こしたのを見て止まるとドロップ・キックでダウンさせる。
  再びロープに走りローリング・サンダー。
  カバーするもカウントは2。
  リンを起こしてフォア・アームズ。
  コーナーに振る。
  リンがコーナーに座る。
  それを見たRVDが突進。
  リンはカウンターで蹴りを入れるとトルネードDDTを狙う。
  RVDが着地させてノーザン・ライト・スープレックスに返そうとする。
  リンが後ろに着地しリバースDDT。
  カバーするもカウント2。
  アルフォンソが入れたかリングにある椅子を取ろうとする。
  RVDもその椅子を掴む。
  リンはその椅子を押してRVDの腹を突く。
  サンセット・フリップへ。
  RVDは食らいながらも先ほどの椅子を手にする。
  カウント2で返す反動で叩きつけようとする。
  受け止められたので椅子越しに蹴り飛ばそうとする。
  リンはスウェーして直撃を避ける。
  先に起き上がられるもドロップ・トー・ホールドで椅子の上に倒れさせる。
  RVDの頭を踏みつける。
  頭の上に椅子を置くとセカンド・ロープからレッグ・ドロップ。
  カバーするもカウントは2。
  リンは場外に出る。
  テーブルを出し柵とエプロンの間に橋渡しにする。
  その間に起き上がったRVDはコーナーに上っていく。
  リンは素早くリングに戻るとRVDを殴りつけ突き落とそうとする。
  RVDはこらえてエプロンに下りる。
  リンが殴りつけていくとRVDは吹っ飛び柵に激突。
  リンがコーナー上へ。
  アルフォンソがリンの脚にしがみつく。
  RVDが素早くエプロンに上がりリンを殴りつける。
  リンも殴り返すとRVDの頭を抱え込みテーブルへのトルネードDDTを狙う。
  RVDはエプロンに着地させるとクローズラインでリングに戻す。
  ダイビング・サイド・キック。
  リンはふらついていたため直撃にはならなかった様子。
  RVDはリンを蹴り倒すとコーナー上へ。
  リンがRVDの体勢を崩す。
  殴りつけるとスーパープレックス。
  カバーするもカウントは2。
  サブーが場外に現れる。
  リンは椅子を掲げて中央に置く。
  ロープに振ろうとする。
  RVDは振り返して椅子へのヒップ・トスを狙う。
  リンがDDTに切り返す。
  カバーするもカウントは2。
  アルフォンソはサブーに必要ないから帰れと指示している。
  リングではリンがRVDを殴り蹴りつけている。
  コーナーに振り突進。
  RVDがカウンターで蹴り。
  アルフォンソがエプロンに上がりリンに椅子を投げ渡す。
  そこにRVDがランニング・スピン・キックを狙う。
  リンは避けると椅子をRVDに渡してヴァン・ダミネーター。
  リングに入ってきたアルフォンソを突き飛ばす。
  RVDをカバーするもカウントは2。
  リンはコーナー上へ。
  サブーがロープを揺らし殴りつけるとリンはロープを跨ぐように落ちエプロンでダウン。
  サブーはリンを殴りつけてテーブルに寝かせる。
  サブーはリングに入ると椅子を踏み台にリンにスプリングボード式エルボー・ドロップ。
  リンをリングに戻す。
  RVDがカバーするもカウントは2。
  RVDがコーナーに乗る。
  そしてファイブ・スター・フロッグ・スプラッシュで1,2,3!
  RVDの防衛!

試合結果

@クリス・チェッティーvs.ライノ
Aスカル・ヴォン・クラッシュvs.スティーブ・コリノ
Bリトル・グイドー、サルEグラジアーノvs.スパイク・ダッドリー、ノヴァ
Cタジリvs.スーパー・クレイジー
Dボールズ・マホニー、アクセル・ロッテンvs.ダッドリーズ
Eランス・ストームvs.トミー・ドリーマー
Fジャスティン・クレディブルvs.シェイン・ダグラス
GTV王座戦:ロブ・ヴァン・ダム(ch)vs.ジェリー・リン