TOPアメリカン・プロレスCZWCZW 2011年 →CZW:Proving Grounds 5/14/11

CZW:Proving Grounds 5/14/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

2枚、約3時間30分です。

@リッチ・スワンvs.アレックス・コロン
 スワンはチキンを持って現れる珍妙なキャラ付けがされています。
 しかしDG USAでの経験が活きていて、そんなキャラでも
 試合スタイルの中に現す事が出来ている。
 同時に観客に見せているという意識が常に働くようになっていて
 技を決めた直後ややられている姿もコントロールされ緩急が利いています。
 コロンと同じ呼吸で攻防を行っているので見応えがありますね。
 最近のCZWアンダーカードではトップに位置する出来になるかと思われましたが
 エプロンでのジャーマンからおかしくなりましたね。
 流れの中に1つ1つの技が埋もれているのに技が危険すぎる、というよろしくない状況に陥っています。
 与えられた試合時間の中でこの一戦を凄い物にしたい思いがあるのだろうけれど
 そこはあくまでオープニングの枠自体は超えてはいけなくて次回に繋げるべきです。
 平均レベル。

 試合後ロビー、ラッカスらが登場。
 2人を新BLKのメンバーとしてスカウトし2人も了承する。

Aライアン・イーグルスvs.タイ・ハーゲン
 攻防を挟むタイミングがワン・パターンです。
 そしてCZWファンの反応は当てにならないとはいえ
 全然反応が返っていない状況に少しは当惑し少しは試合の中で改善しようという意思が見たかったものです。
 特にライアンは自分勝手でとても見ていてノレる試合運びではありません。
 悪い試合。

Bアクマvs.ジョナサン・グレシャム
 アクマは膝でも悪いのでしょうか。
 いつにもましてミス、呼吸が合わないシーンが目立ち醜い立ち回りです。
 これまでのプッシュ具合に比べやけに受けに回っていたのにも違和感を覚えましたね。
 もっともアクマに見切りをつけて方向転換したのならそれは喜ばしい事ですが。
 グレシャムも間こそ置いているが完全にサンドバック相手でも変わらない試合運びです。
 終盤へのまとめ方が脈絡無くフィニッシュも弱く、ひどすぎる試合。

Cライアン・マクブライドvs.ジェイク・クリスト
 ジェイクはロープ・ワーク、コーナーへの上がり方が綺麗とは言い切れず
 下手するとそれで盛り下がる可能性もありました。
 しかし試合の組み立てが上手いですね。
 TVと無縁の所でじっくりやっていただけの事はある。
 自分の芯が試合の中で揺らいでいません。
 ジェイク・ベースでマクブライドのアピールが足りない気もするが
 力量の差を考えるとこういう内容で適切ではありましょう。
 ただ終盤の切り返しあいはそれに相応する技術がライアンになく、
 最後のライアンの丸め込みによる勝利なんて不相応です。
 モクスリーの引退試合相手で入ってきた選手ながら
 ジェイクは上手くキャラを与えたならCZWで大きく活躍する可能性があります。
 悪くない試合。

Dドッグ・カラー・マッチ:スコッティ・ヴォルテックスvs.ドレイク・ヤンガー
 ヤンガーぐらいの体格だとスコッティの貧弱な攻撃でも通用します。
 前半はチェーン・スポットをまんべんなく取り込み、
 この形式らしさをアピールしています。
 しかしチェーンとレスラーの動きが一致していないのでその力学は嘘っぽく感じます。
 また金髪を止めたヤンガーはキャラが弱くなりましたね。
 攻めた後でヒール・アピールしないとこのカードである意味性が出てきません。
 物量押しなのでドッグ・カラーのネタが尽き後半は画鋲や必殺技の安売り。
 ただベース・ラインを上げているだけという印象が強いですね。
 そしてヤンガーの必殺技をカウント1で返して普通に起き上がったり、
 立てた椅子へのスパニッシュ・フライがカウント1とか全てぶち壊し。
 いつぞやのヤンガーxB-Boy戦を彷彿とさせる、
 世界観を作らず、やりすぎているだけで自ら紛い物にした死闘。
 まあまあ良い試合です。
 
Little MondoがTODにエントリーさせてくれと直訴。
ハイドが現れ、なら俺を倒して見せろ、と言って次回大会の試合を決定。
エクセレントはモンドを応援するという。
ハイドは俺はザンディグじゃない事に気づくべきだった、とエクセレントに謝罪。
またBotBのような事が再び起こってはいけないので
今夜はフォックスのセコンドにつくとアナウンス。

Eサミ・カリハンvs.MASADA
 ハードな打撃を打ちつつもあくまでテンポの良さが売り。
 良くも悪くも攻防のために場所を移動している印象があります。
 残念ながら少しクオリティ、工夫が足りないため、
 後半への接続部、あわや場外カウントアウトか、という見所が浮いています。
 しかし後半のMASADAが冷酷に追い込むパート自体は良い。
 MASADAはそういう雰囲気を持っていますからね。
 ただ落とし所が見えずダラダラやるのもまた悪い癖です。
 ストレートにいくべき所で丸め込みや切り返しを入れすぎで
 変化球の混ぜ方が上手くいっていませんね。
 そして16 Caratもそうでしたがドラマチックに見せるべき試合こそ
 最後のストレッチ・マッファーに一層の価値が求められているのにカリハンはそれは出来ていない。
 平均より少し上。

FUVU王座戦:ダニー・ハボック(ch)vs.ライアン・スレイター
 スレイターの攻撃に対して完全に耐え切り、ハボックがスカッシュする内容。
 それなら凶器は事前にばら撒いて観客に見せるのではなく試合が始まってから取り出すのが吉。
 また王座戦という体裁を取る必要もないでしょうに。
 試合はゲイシー乱入で幕。

 ランナウェイズにリベンジを誓うtHURTeenが助けに現れると
 スレイター、ゲイシーは場外に退散。
 ハボックがマイクを取りタッグでお前らを叩きのめしてやる、と言う。
 逃げようとするランナウェイズをムーア、スコッティが戻して試合開始。

Gダニー・ハボック、tHURTeen vs.ランナウェイズ
 この試合でも凶器は使われます。
 また先ほどのストーリーからどうしても前の試合の続きとしてみてしまいます。
 だからこそ前の試合でスレイターを貶めたツケが来る。
 またトルネード式に進める中で場外の2人とリングの2人が
 余りにも同期できていなくて試合の中での流れが読み取れないのも問題です。
 悪い意味でカオスなだけの内容。
 tHURTeenがベビーフェイスとしての可能性を示したのが救いでしょうか。
 悪い試合です。

HCZW王座戦:デヴォン・ムーア(ch)vs.ロバート・アンソニー
 ムーアは何を急いているのか相手の行動を無視する攻め。
 間の置き方と表情で王者っぽい雰囲気は出せているものの試合運びに王者らしさはまったくありません。
 アンソニーに主導権をバトンタッチすると今度は自分が何もしないときたもんだ。
 只アピールを競っているだけで本質的には戦っていないも同然です。
 PMWがアシストするもアンソニーが丸め込まれて負けました、って事実だけ。
 悪い試合。

 ブリスコズがBLKを追い払う。
 ブリスコズは俺達はいつどこでも誰の挑戦でも受けるチャンピオンだと言う。
 今から既に倒したPMW以外の挑戦者を募る、と言ってオープン・チャレンジを行うことに。
 アンソニーが刺客として用意したのはナイトメアズ。

Iタッグ王座戦:ブリスコ・ブラザーズ(ch)vs.ナイジェリアン・ナイトメアズ
 ナイトメアズはカマラ系のレスラーですが太りすぎ。
 ブリスコズがサイコロジーからもリアルな事情からも攻める事が出来ません。
 ですからどちらのターンにおいても完全に煮詰まっている。
 ストーリー上セミにしたいのも分かるけれど
 こんな最底辺のレスラーを呼ぶなら3分以内に収めて欲しいものです。
 またナイトメアがコーナーに上ろうとして失敗し雪崩落ちたのは2011年度最も醜いシーンにノミネートされる。
 ひどい試合。
 無理矢理ドゥームス・デイ・デバイスを決めた際ジェイが首を負傷。
 そこにPMWが、お前はいつでもどこでも誰の挑戦でも受けるといったな、と言葉尻を捕まえ
 反論の余地を与えず強制的に王座戦へと突入。

Jタッグ王座戦:ブリスコ・ブラザーズ(ch)vs.フィリーズ・モースト・ウォンテッド
 マークに襲い掛かり1分ない時間で王座移動。
 たとえ1対2だろうとこちらこそ3分以上やる価値があるというものです。
 ブリスコズ招聘は注目こそ集めたが結局試合のクオリティを向上させる事には役立ちませんでしたね。
 
Kジュニア・ヘビー級王座戦:アダム・コール(ch)vs.ARフォックス
 フォックスのダイブによるブースト・スタートを
 コールは主導権を取り戻す際にしっかり落ち着かせている。
 相手の身体能力という限定的魅力を活かす試合運びが出来ていますね。
 ただ相手を泳がせる事が自分の支配権、想像の範疇に収えこんでいる点は改善の余地あり。
 フレアーのように掌の内に収めながらもそこに相手の自主性、創造性を付け加えたい。
 同じ事のようでこの小さい違いが巧みの領域に到達させる。
 そもそもフォックスは要所以外でも伸び伸びと動くファイト・スタイルですし、
 試合運びも難はないので身体能力だけのレスラーと定義づける必要もそんなに無い気はします。
 フォックスのアラビアン・スパニッシュ・フライとでも言うべき固有技などで終盤は盛り上がりました。
 不慣れなテーブルに時間がかかり過ぎで最後はハイドのヒール・ターンが絡んでますけどね。
 平均的な良試合。

 悪のオーナー化したハイドがコールとハグし勝利を祝う。
 エクセレントが現れハイドに襲いかかるもコールがエクセレントを蹴り倒す。
 マイクを取ると俺はザンディグより偉大なんだよ、
 俺はCZWを賦活させた、そしてコールは金になる男だ、とアピール。
 最後はカリハンが現れハイド、コールを追い出しザンディグ・ポーズ。
 
総評
 今のCZWに危機感を抱き、変革しているハイドの姿勢は素晴らしいと思うのです。
 今回のJrをメインに抜擢し、自身のヒール・ターンを絡めたのも良いのです。
 しかしムーアによるCZW王座戦のクオリティの凋落、
 ブリスコズ関連のクオリティ・コントロールの失敗、
 ヤンガーxスコッティの過激度調整の失敗とか同じくらい駄目な部分も目だって帳消しになってるんですよねぇ・・・。

DVD Rating:☆☆☆☆☆
(執筆日:8/1/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@リッチ・スワンvs.アレックス・コロン
Aライアン・イーグルスvs.タイ・ハーゲン
Bアクマvs.ジョナサン・グレシャム
Cライアン・マクブライドvs.ジェイク・クリスト
Dドッグ・カラー・マッチ:スコッティ・ヴォルテックスvs.ドレイク・ヤンガー
Eサミ・カリハンvs.MASADA
FUVU王座戦:ダニー・ハボック(ch)vs.ライアン・スレイター(DQ)
Gダニー・ハボック、tHURTeen vs.ランナウェイズ
HCZW王座戦:デヴォン・ムーア(ch)vs.ロバート・アンソニー
Iタッグ王座戦:ブリスコ・ブラザーズ(ch)vs.ナイジェリアン・ナイトメアズ
Jタッグ王座戦:ブリスコ・ブラザーズ(ch)vs.フィリーズ・モースト・ウォンテッド(新チャンピオン!)
Kジュニア・ヘビー級王座戦:アダム・コール(ch)vs.ARフォックス