TOPアメリカン・プロレスCZWCZW 2009年 →CZW:Cage of Death 12/12/09

CZW:Cage of Death 12/12/09の分析


名勝負 なし
好勝負 ケージ・オブ・デス:サミ・カリハンvs.ダニー・ハボック

2枚、約3時間5分です。

@UVU王座戦、ノー・ロープ・バーブド・ワイヤー:サムタック・ジャック(ch)vs.ニック・ゲイジ
 ゲイジはヒール・モードをアピールする程ヒールの意味がないし
 有刺鉄線の使い方は余り絵になっておらず構築は粗めですが
 ゲイジは気合が入っており2人共容赦ないハード・スポットを繰り広げます。
 これには両者シャツを着けたまま、という状態も関係ないと思わせます。
 画鋲、コンクリート・ブロックと凶器を使っていく中で
 世代対決アングルが浮き上がり、ゲイジが高い壁としての立ちふさがります。
 今更な気がするし、気合の入ったゲイジでも対等な気がしますが
 観客は異常な程熱狂していました。
 その後有刺鉄線冠のスポットでゲイジの血が止まらなくなるアクシデントが起こります。
 ここでレフェリーがタオルを要求した仕草がレフェリー・ストップと間違われてゴングが鳴ってしまうミスがあり、
 雰囲気が崩れるかと思われましたが、ゲイジが素晴らしい覚悟を見せました。
 このデス・マッチを最後までやりきってやる、という強い意志は
 普段の不満屋キャラとは違う、素のデス・マッチ・ファイターとしての姿が感じられました。
 ゲイジのキャリアの中で最もエモーショナルな瞬間です。
 ただ終盤がいつものTJの構築なんですよねぇ。
 下手な四天王プロレス Deathmatch Ver.という感じ。
 オープニングではなくメインと考えてもやりすぎだし、
 試合時間を削っても派手にフィニッシュすべきだと思います。
 好勝負に少し届かず。
 試合後ベイリーが現れTJを襲撃するというサプライズ。

DJが来月大会について話しているとヘイトリッドが邪魔して殴り合いに。
Aネイト・ヘイトリッドvs.DJハイド
 トイレやバルコニーを含めた場外乱闘。
 ひな壇からテーブルへのスーパープレックスが一番の見所ですね。
 ロープを設置する時間を稼ぐための試合とはいえ、
 相手を叩きのめして地に伏せさせよう、という気持ちが絶対的に足りない。
 だから3カウント取ったぐらいで
 既に回復して起き上がっている相手を残して去れるんです。
 少し悪い試合。

B#1コンテンダーズ・4コーナー・マッチ:ブラックアウトvs.アズリエル、バンディードJr vs.ナップタウン・ドラゴンズvs.チーム・マクション
 ルチャ・ルールを適用し、速いペースでの入れ替わりあっての攻防を。
 焦ってミスする者もいましたが良い感じです。
 中でも際立っていたのはやはりセイビアンとアズリエルで、2人のシングルが見たくなりましたね。
 後ラッカスも復調傾向にある印象。
 ダイブからクライマックスへ、という定番の流れだけど、
 このクライマックスがぐだぐだと長かったのはマイナスです。
 つけたばかりのセカンド・ロープが外れる、という彼らのせいではない情けないアクシデントがあったとはいえ
 それなら尚更予定より早くまとめあげるべきでした。
 平均レベル。
 
CJrヘビー級王座戦:ドリュー・ブロッド(ch)vs.グレッグ・エクセレント
 グレッグがダイブ自爆して窮地に陥るかと思いきやドリューが飛び技をミス。
 必殺技を返されたグレッグは水吹きかけに拘る。
 最後はケーキを使った攻防で幕。
 ?すぎる、ひどい試合。

D#1コンテンダーズ・マッチ:ジョン・モクスリーvs.B-Boy vs.エディ・キングストンvs.イゴティスティコ・ファンタスティコ
 イゴ、モクスリーも加わって米ストロング・スタイル。
 その重さに対して前半はペースが無駄に速いし、
 終盤は驚くほどカットが少なくと、
 1つの試合の中で脚を引っ張り合っている部分が少なからずあるが
 クルーザー級だからと見劣りを感じなかったイゴ含めそれぞれが頑張っていたのは確か。
 フィニッシュが丸め込みだったのも良い。
 最後にいつも通りモクスリーはいいぜい、と。
 まあまあ良い試合。

Eタッグ王座戦:ザ・ベスト・アラウンド(ch)vs.BLK OUT
 小気味良いではなくパッとしないが特徴になっているTBA。
 BLKに土をつけるためだけに入れたラダーが一層の情けなさを晒している。
 悪くない試合。

FCZW王座戦:ドレイク・ヤンガー(ch)vs.デヴォン・ムーア
 地味に椅子で痛めつけあっていく内容。
 ムーアは散逸な試合運びではなく堂々と運べていますね。
 過去の同一カードのスケールの大きさはありませんが
 終盤の決着のつかなさ加減にはちゃんとライバル関係を感じます。
 まあまあ良い試合。
 
 DJが現れ(先ほど#1コンテンダーズ・マッチに負けたのに)B-Boyとヤンガーの試合を組むと告げる。
 またWXW興行の方ではTJとデス・マッチを行うとのこと。

Gケージ・オブ・デス:サミ・カリハンvs.ダニー・ハボック
 コーナーにガラスが1枚づつ、
 2サイドの有刺鉄線ケージにガラスが1枚づつ、
 ケージ上の高台のサイドにガラスが4枚、
 高台の中央は穴が開いていてガラスが2枚重ねになっている、という計12枚のガラスで成る装置になります。
 ついでに高所の別サイドに電流有刺鉄線ケージがありますね。

 この装置を見た時、私はこれをシングルで行うのは凄いな、それが売りになるのだろうな、と思いました。
 実際その通りでサミからはそのキャラに恐怖を感じる事はなかったし、
 ダニーが受ける姿から色気や神々しさを感じる事はありませんでした。
 しかしこれをシングルでやりきる事の凄さは想像以上でした。
 
 2枚目となる有刺鉄線ケージのガラス・スポットにおいて最初のトライで割れなかった際
 2人はコーナー上からの飛び技、ロープからの投げ技と続けて割って見せました。
 ただの打撃で割っても良いのにそうしなかった。
 その結果、サミは応急処置を行い、ダニーがひどめの流血をする事になりました。

 となると普通セーブして試合を進めそうなものですが
 お題になっていない椅子にも関わらず強烈な威力で頭部に叩ききつけて見ました。
 高台からガラス2枚への落下がラスト・フィニッシュとして確定している中で
 高台からの落下が他にも「ガラスを貫通して」&「テーブルへ」の2回行いました。
 用意された凶器を使いきらずに終わったデス・マッチも記憶に多い中で
 2人は最後に手を滑らせて落としてしまった1枚を除き計11枚全て逃げずに割りきったのです。
 旧世代が既に使っていたガラスという凶器を
 徹底的に使う事で単なるボリューム以上の領域にまで上り詰めた事に拍手を送りたいと思います。

 ぎりぎり好勝負。

 試合後、会場が暗転。
 照明がつくとネクロが登場し、サミを追い払いダニーと乾杯。

総評
 ダブル・デス・マッチがショーをスティールして
 他は全然印象に残っていませんが十分良い大会でした。
 (執筆日:3/3/10)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

なし

試合結果

@UVU王座戦、ノー・ロープ・バーブド・ワイヤー:サムタック・ジャック(ch)vs.ニック・ゲイジ
Aネイト・ヘイトリッドvs.DJハイド
B#1コンテンダーズ・4コーナー・マッチ:ブラックアウトvs.アズリエル、バンディードJr. vs.ナップタウン・ドラゴンズvs.チーム・マクション
CJrヘビー級王座戦:ドリュー・ブロッド(ch)vs.グレッグ・エクセレント(新チャンピオン!)
D#1コンテンダーズ・マッチ:ジョン・モクスリーvs.B-Boy vs.エディ・キングストンvs.イゴティスティコ・ファンタスティコ
Eタッグ王座戦:ザ・ベスト・アラウンド(ch)vs.BLK OUT
FCZW王座戦:ドレイク・ヤンガー(ch)vs.デヴォン・ムーア
Gケージ・オブ・デス:サミ・カリハンvs.ダニー・ハボック