TOPアメリカン・プロレスCZWCZW 2004年 →CZW:Trifecta Elimination II 6/12/04

CZW:Trifecta Elimination II 6/12/04の分析


名勝負 なし
好勝負 デス・マッチ:ジョーカーvs.ザンディグ

3枚組総時間約5時間30分です。
ディスク1(Fまで)は画面右側にブロック・ノイズあり。

まず本題のTrifecta Eliminationというのは
Best of the Bestの最後の枠を
3ウェイ・ダンス2回戦で争うという物。
しかし別にヒールGMに
出場を阻止されていて最後の望みをかけてとか
そういうストーリーがある訳でもなく
全て他団体から微妙なレスラー陣を招聘して行われた物
(誰が優勝するかなんて火を見るより明らか)。
IWAならまだしもCZWという土壌で
彼らが3ウェイという高等芸術を上手く演じれたかなんてのは
聞かなくても分かることではないでしょうか。
微妙なトーナメントは捨て置きませう。
無名なのも当然の@、
実力の無さをムーブでごまかそうとするA、
関係ない人達のネタ振りだったG、
タッグ王座をデス・マッチ・ファイターから
プロレスラーに移動させるためだけで中身は簡素なD
そのDの内容が内容だけにBLKのムーブ披露のために
組んだと思われるCも同上。
微妙な(悪いとは言わないが決して良くもない)試合群を一掃して残ったのは2試合。

Hアイアンマン王座戦:クリス・ヒーロー(ch)vs.B-Boy
 今回はヒーローが腕攻めで支配したりと
 ヒーローのつまらない面が出てしまいました。
 ハード・ヒッティングに関しても特別全面に押し出している訳でもないし。
 それでも鉄板カードとして安定した内容。
 只最後のフィニッシュはすっきりしない上に説得力がない。
 マッチ・オブ・ザ・ナイトながら平均的な良試合程度です。  

JCZW 王座戦、アンラッキー13ステイプル・ガン/ペインズ・オブ・グラス:メサイア(ch)vs.ワイフビーター
 そしてメイン。
 できもしないレスリングを絡めながら
 ホッチキスで紙幣を打ち込んでいく訳ですが・・・
 ホッチキス攻撃ってアクセントとして使うのなら良いのですが
 それをこういう試合形式にすると
 やはり殴り合いや蛍光灯を叩きつけたりするのより地味で
 体の張り損みたいになってしまいます。
 ついでにテーブル葬とかガラス版スポットも意味が無くなるし。
 只フィニッシュの仕方はちょっと気が利いてましたね。
 平均より少し上。

 さて微妙な大会だったというのは予想できたことで
 別段予想内で驚く程ではありません。
 ならなぜこれを手に入れたかというと特典DVDがついているのですよ。

 まずはお蔵入りになった
 Fake Your TVのEpisode 153。
 IWA侵攻の巻ということで
 IWAが初めて乱入した試合から
 IWA披露興行、TOD2、
 そして最終戦のイアンvs.ザンディグの
 金網爆破マッチまでをコンパクトにまとめられています。
 大変盛り上がっていた事もあり
 放送中止になるだけの残虐絵巻が繰り広げられています。
 ダイジェストでしたけど
 イアンvs.ザンディグの金網爆破マッチは
 装置がチープ過ぎる上
 タイペイ・デス・マッチと同じように
 当たり障りのない形だけに終わってしまったような
 印象を受けたことを加えておきます。

そして遂に本DVDの目玉が登場。
@デス・マッチ:ジョーカーvs.ザンディグ
 稚拙な文章力で物語化させてもらったんで
 そちらを参照されたし。
 そこでここには評価だけ書きますが
 単純に試合だけで見ると中々良い試合ながら
 そこにはドラマがあり(軍隊入りするジョーカーの壮行試合)
 プロレスとしてみるとぎりぎり好勝負の出来で
 04年デス・マッチ大賞に選ばれるべき1戦。
 必見です。

総評
 ザンディグvs.ジョーカーだけのために
 手に入れる価値のあるDVD。 
DVD Rating:★★☆☆☆

注目試合の詳細

@デス・マッチ:ジョーカーvs.ザンディグ
  その日、ジョーカーは1つの決意を抱えてCZW道場に踏み込んだのであった。
  いや実際にはそこは道場ではなく倉庫の1棟に過ぎなかったが
  リングを2個も軽々と収容する広さなのだから
  道場という呼び名も決して不適切ではないだろう。
  トレーニング機器や凶器が所狭しと並んでいる。
  その一角でラットマシーン、背筋を鍛える、を使ってザンディグがトレーニングしていた。
  「ジョン、話があるんだが」とジョーカーは声をかけた。
  「どうした。レスリング関係の事か」とザンディグが返す。
  ギャラやプッシュに関して交渉に来たのかと暗に聞いているのである。
  「いや個人的な事なんだ」とジョーカーは真剣な面持ち。
  ザンディグが事情を察知して扉を閉め、さあ2人きりだから話してみろと促す。
  ジョーカーは唐突に切り出す。
  「軍隊に入るためにCZWを去ることになったのは言っただろ。
  俺はCZWの一員だったという証が欲しい。俺とデス・マッチをしてくれ。」
  これにザンディグは驚いた様子。
  「デス・マッチ?」
  「ああ、そうだ。」
  「いいか。何年になるかな。4年か。
  お前はデビューしてから4年間、練習に励み、体を張り
  BLKのメンバーというポジションを自分の力で獲得した。
  それがお前がCZWの一員という事を証明しているだろ」
  もっともな意見である。しかしジョーカーも引き下がれない。
  「これがわがままだという事は分かってるんだ。
  1回でいい。俺とデス・マッチをしてくれ。」
  ジョーカーの熱意にザンディグの心も揺らぐ。
  「お前はCZWのために、俺のために頑張ってくれたな。
  今まで良くやったよ。本当に。
  でもな。土曜に去るんだろ。次の興行には間に合わない。
  ならここでやる事になるぞ。
  誰も応援もせず、誰もブーイングもせず俺とお前だけで
  ギャラも出ない中デス・マッチをして体を犠牲にするのか。」
  「ああ」とジョーカーは一言。  
  「お願いだ」と続ける。
  「そこまで本気なら、やるか。」
  「やろう」
  「やろう」
  そういうことになった。
  〜〜  
  木曜の夜。
  リングのロープにはには蛍光灯と有刺鉄線が取り付けられ
  有刺鉄線付きボードや蛍光灯の束も置かれている。
  その横でザンディグがトラップをセットしている。
  場外に並んだ椅子の上に蛍光灯をのせる。
  ザンディグがリングに上がり合図する。
  合図を受けた関係者はジョーカーを呼び寄せる。
  BLKとのプロモ、BLKの援護の申し出をこれは個人的な事だからと断る物だ、を終え
  控え室で待機していたジョーカーが出てくる。
  入場曲もない。
  ペイントもしていない。
  素のジョーカーがそこにいた。
  ジョーカーがリングに上がりゴングが鳴らされる。
  歓声はない。
  わずかに拍手が起こるだけだ。
  BLKが見守るためリング横に現れる。
  舞台は用意された。
  〜〜
  ジョーカーは戸惑っていた。
  無観客でやると自ら言った物のそれはいつもと違う空気であった。
  いつもならゴングが鳴ると自分の中でスイッチが入るのだ。
  体の中でうねるように力が沸き上がってくるのだ。
  それがない。
  試合をした後頑張れたのはお前らファンのおかげだ、というのは定番の文句だが
  それが多分に真実を含んでいる事を身をもって感じているのだ。
  ジョンが俺の戸惑いを察知したか、
  これはジョーカーの壮行試合になると見守る関係者達に説明し始めた。
  拍手が起こる。
  空気が変わり始める。
  流石に団体を統べるだけあるな。
  ああこのジョンという男はとんでもない奴なのだ。
  そして今このとんでもない男と俺は対峙しているのだ。
  自然と観客が拍手でリズムを作り出す。
  良いぞ。この雰囲気だ。
  ジョーカーは今改めてこの試合に挑む覚悟ができたのであった。
  そして改めてゴングが鳴らされた。
  〜〜
  ザンディグが蛍光灯を抜き構える。
  「おいおい。ゆっくりいこうぜ」とジョーカー。
  ザンディグはお前の好きなようにしたらいいさ、と蛍光灯を戻す。
  まずジョーカーが試合の開始に選んだのはレスリングだった。
  レスリング・ムーブを繰り出していく。
  それにザンディグもつきあっている。
  この手の事には向かないビール腹を引っさげ、つきあっている。
  それを見てジョーカーの頭の中で疑問がもたげてくる。
  なぜこんなレスリングをしているのか。
  レスリングをしたいなら俺は師匠のクァックの元を訪ねるべきだ。
  しかし俺はここに来た。
  他ならぬジョンとやるためだ。
  普通の試合じゃない。デス・マッチをやるためだ。
  レスリングを軽んじる訳じゃないが、
  俺が今ここでやらなければならないのはデス・マッチだ。
  その考えが大きくなっていく。
  そしてジョーカーは蛍光灯を手にする決心をつけたのだった。
  〜〜
  蛍光灯を手にする。
  ザンディグも同じく蛍光灯を取り相対する。
  先に仕掛けたのはザンディグ。
  ジョーカーは避けると蛍光灯を頭部に叩き込みアピール。
  そのザンディグ。
  平然と受けきると蛍光灯をジョーカーの腕に叩きつける。
  やっぱそう簡単にはいかねえな、とジョーカーは場外で間をおく。
  リングに戻り握手を交わす。
  今度はこちらからだとジョーカーからフォア・アームズを打ち込む。
  ザンディグも打ち返してくるがチョップで押し込み
  ヘッド・シザースでザンディグをコーナーの蛍光灯につっこませる。
  ザンディグが流血。
  カバーするもカウント2。
  ザンディグのTシャツに蛍光灯を入れ蹴りつける。
  ザンディグはジョーカーをキャッチするとロープの上に落とす。
  両腕から激しく流血。
  ザンディグがTシャツを脱ぎ捨てる。
  ジョーカーに椅子に橋渡しにした蛍光灯へのパワー・ボムを狙う。
  ジョーカーは逃れるとそこへのジャーマン!
  背中からも流血。
  ロープに振ろうとする。
  ザンディグは振り返すと同時に受け止めロープへのエクスプロイダー。
  ジョーカーを担ぎ上げようとする。
  ジョーカーは逃れると肩車しようとする。
  しかし逃げられ担ぎ上げられる。
  やばいと思ったときには、
  ジョーカーの体は場外の蛍光灯をのせた椅子連に向け空を舞っていたのだった!
  〜〜
  痛い。
  体の節々が痛む。
  額からは激しく血が流れ出ている。
  これで終わりか。
  ここで止めても誰も文句は言わない。
  止めようと思えば止められる。
  ジョンに言ってカバーさせればいいのだ。
  しかしそれで良いのかと内なる声がささやく。
  死もあり得る。
  それを覚悟で軍隊に行く事を決めたのだ。
  もはやCZWに帰って来れないかもしれない。
  ジョンと会えないかもしれないのだ。
  それだけの決意をしたならまだできるだと。
  今までだってこれぐらい体を張ったことはあるじゃないか。
  ああ、そうだったな。
  俺はやるぞ。
  この体が動かなくなるまでやるぞ。
  BLKが側にやってきた。
  俺はやるぞ、そうジョンに伝えろ。
  こうしてジョーカーは再び戦いに赴いたのだった。
  〜〜
  起死回生のジョーカー。
  カウンターのクローズラインを皮切りに怒濤の反撃。
  大量の画鋲を巻きDDT。
  自身にも画鋲が刺さるがその勢いは止まらない。
  場外に引きずり降ろしケージにぶつける。
  その下敷きになったザンディグをカバーするもカウント2。
  そして一大スポットを迎える。
  蛍光灯をザンディグに叩きつけテーブルにのせる。
  その上に蛍光灯をのせるとラダーを登って2階ベランダへ。
  今度はお前が受ける番だな。ジョン、いくぜ。
  ジョーカーは飛翔しダイビング・ダブル・ストンプ!
  悶絶するザンディグをカバーするもカウント2。
  壮絶な消耗戦となったこの試合も遂に終局へと突入していく。
  〜〜
  ジョンも立ち上がるのもやっとなはずだ。
  ほら1歩踏み出す度に腹が痛むんだろう。
  俺は駄目だ。
  もうどうやら動けそうにない。
  情けない姿を晒しちまったな。
  ジョーカーは這いながらそんなことを考えていた。
  Joker!
  ザンディグが叫ぶ。
  お前の覚悟はこんなものなのかと問う。
  ああ、ジョン。もう少しだな。ひと思いにやってくれ、と告げる。
  ザンディグが応と答える。
  ザンディグがこれは黄と黒(注:CZWの意)だ。赤、白、青(注:USAの意)じゃねえと叫ぶ。
  俺は捕らえられるとコーナーの有刺鉄線付きボードに投げっぱなしランニング・パワー・ボムを食らったのだった!
  〜〜
  ザンディグが蛍光灯をリング中央に置くとジョーカーを担ぎ上げた所でBLKに合図を送る。
  合図を受けたBLKがリングに上がってきて筋書き通りザンディグに蛍光灯を叩きつけている。
  もうクライマックスか。
  BLK、お前らには悪いな。
  こんな役割を引き受けてもらって。
  かまわんさ、とBLKが応える。
  感謝している、そう言って演技を続ける。
  BLKがジョーカーをザンディグの上にのせる。 
  しかしジョーカーはこういう勝ち方は嫌だ、お前らの援護は受けない、と拒否。
  するとBLKがジョーカーに襲いかかる。
  若手が入って来て追い出す。
  残ったラッカスをザンディグが蛍光灯へのリフト・アップ・ボム!
  同時にジョーカーがセイビアンに蛍光灯へのジョーカー・ドライバー!
  ザンディグがラッカス、セイビアンを追い出すと
  リング中央に横たわりジョーカーを抱きしめるようにカバーさせ
  自らの手でカウント3を刻む。
  分かっていた。
  こういう結末にするからとジョンに言われていた。
  裁定上はおそらくノー・コンテストだという事も分かっている。
  だがこれがどれだけ凄いことか。
  たった4年のキャリアの者に普通贈られるものではないのだ。
  こうして実際にやってみてジョンの思いが改めて伝わってきたのだ。
  ああ、ジョン、お前は凄い男だなぁ。
  俺は必ず戻ってくるぞ。
  死ぬものか。
  俺はCZWの一員だ。
  再びこの地を踏み、またお前のために働いてやる。
  約束だ。
  〜〜
  2人は立ち上がるとお互いの手を挙げハグ。
  ザンディグがジョーカーの幸運を祈ると共に必ずCZWに戻って来いよと告げる。 
  ジョーカーもそれに応える。
  こうしてジョーカーの壮行試合は終わりを迎えたのであった。

試合結果

@マークvs.シーン・ビショップ
A4コーナー・サバイバル:シャンvs.DJハイドvs.ジョン・ダマーvs.GQ
BRD#1:ジャスティスvs.マイキー・テンダーフットvs.ロッド・スティール
Cブラックアウトvs.デレク・フレイジャー、クリス・キャッシュ
Dタッグ王座戦:H8クラブ(ch)vs.ブラックアウト(新チャンピオン!)
ERD#1:ガブリエルvs.ジェレミーVvs.ジェイ・フューリー
FRD#1:エクスカリバーvs.ジグソウvs.ネイト・ウェブ
Gグラッジ・マッチ:トレント・アシッドvs.アダム・フラッシュ
Hアイアンマン王座戦:クリス・ヒーロー(ch)vs.B-Boy(20分時間切れ→再開→カウントアウト)
I決勝:ネイト・ウェブ(優勝!)vs.マイキー・テンダーフットvs.ジェイ・フューリー
JCZW 王座戦、アンラッキー13ステイプル・ガン/ペインズ・オブ・グラス:メサイア(ch)vs.ワイフビーター
@デス・マッチ:ジョーカーvs.ザンディグ(ノー・コンテスト)