TOPアメリカン・プロレスChikaraChikara 2011年 →Chikara:Chikarasaurus Rex: King of Sequel Night One 7/30/11

Chikara:Chikarasaurus Rex: King of Sequel Night One 7/30/11の分析


名勝負 なし
好勝負 なし

2枚、約2時間55分です。

@12ラージ・サミット・トーナメント:ジグソウvs.ファイヤー・アント
 序盤は意外や意外、リズムとは程遠いじっくりしたグラウンド。
 やはりジグソウをクァックの後継者とする意識があるのか?
 テクニカルなヨーロピアン・レスリング調の見せ方をした後は、
 定番通りロープ・ワークにいってお互いのペースに持ち込もうとする。
 そんな、さあここからどう動かす、って所でジグソウが腕を痛めてしまいます。
 これが思いの他重症だったようで思うように動けなくなります。
 しかし試合を中断させずに続行。
 火蟻が連続トペと派手なスポットにいったりして時間を稼ぐと、
 ジグソウも考え抜いてまさかの技のたたみかけで応酬。
 もう試合はできないだろうという雰囲気を
 上手く気合を絡めたりとアドリブでぶちぬいていきます。
 最後は火蟻が腕へのサブミッションを次々と移行させる事で
 抜け道を潰していきギブ・アップさせるという
 テクニカル・マッチでも中々見られない素晴らしいフィニッシュで終了。
 負傷というアクシデントをアドリブで制覇し、それを活かす所まで持っていった。
 ここまでいけたのはトーナメント効果でしょうね。
 平均的な良試合。

Aヤコブ・ハママイアーvs.グレゴリー・アイアン
 自らアナウンスしてから裏に戻り入場するヤコブ。
 これが最大のお仕事です。
 試合は無理せずに、短い時間でレフェリー気絶に移りマンティス乱入。
 ヤコブ側からすると適正時間ですが、
 グレゴリーとしては障害があるとはいえ
 もう少し時間を取ったプロレスでもいけるんだけどなぁ、という思いが残ったかもしれない。
 悪い試合。

Bアダム・コールvs.エディ・キングストン
 気取ったヘタレ・ヒールを人気者エディが叩きのめす。
 キャラとしては良い組み合わせです。 
 エディはいつも通り脚攻めを食らって真に迫った表現をするも
 ネックなのは余り動かないものであるという事。
 コールのように軽量級だと脚攻めをするにしても動き回りながらやるのがベスト。
 動いていない相手への攻めという事に関してはコールは十分な物を見せれないのです。
 両者いつも通りの仕事をしたが相手が余り映えなかった内容。
 平均レベルです。

Cチーム3.0le! vs.FIST
 ジェネリコ良い仕事をするねぇ。
 やっている事は特に変えていないけど
 一つ一つの拳からバック・ブリーカーといった技まで
 打ち込みタイミングの意識が実に素晴らしい。
 3.0はそういう事まで気を使わない雑な所はあるが
 それがトリオとしてはメリハリにもなっていて3.0le!は予想以上に良い。
 FISTは今回コミカル色強めで的を得た介入といった試合構築の良さは余り出ていません。
 持ち技も終盤の打ち合いの技の一つとして浪費していますしね。
 しかし本格派とはずれた方向性ながらそこをしっかり追求して最後まで盛り上げた事には変わりない。
 平均的な良試合。

Dワールド・オブ・スポーツ・ルールズ:ジョニー・セイントvs.ジョニー・キッド
 既存のレスリングの型からすると「あぁ」と言葉を漏らしてしまうような単純な逃れ方や
 力学をデフォルメした逃げ方に感嘆する。
 その生きる伝統、ヨーロピアン・レスリングは紛れもない本物で、
 セイントこそ70歳になっても本物で魅せる真のレジェンドです。
 プロレスにおいて何故レスリングが重要と言われるのか。
 その理由がここにある。
 レスリングは公平です。
 もし1%の才能と99%の経験、努力が積み重なれば
 70歳になっても魅了し続けられる可能性がある。
 差異を超越する力がレスリングにはある。
 試合に話を戻すと、後半からはシチュエーションに凝った脱出が前面に出てくる。
 そして息があがってきた所でロープ・ワークを入れてクライマックスへ。
 動きは多少落ちていましたが最後までやりきりました。
 平均的な良試合。

Eサラ・デル・レイ、デイジー・ヘイズ、真琴vs.ポリシア・ペレス、下田美馬、藤本つかさ
 今の黒髪を長くたらした真琴は鬼女、オリエンタル・ヒールの趣がある。
 ビッグ・ブーツやロープにぶつける荒っぽいファイトも合っている。
 もしWWEにその可能性があるとしたらヒールな気がします。
 折角アメリカで、BdKがチーム・メンバーなんですからヒールに挑戦したら良かったのに。
 まあ、今の状態ではヒールは出来ないでしょうけど。
 いちいち、これで良いの?と他の人に確かめたりしています。
 自分を信じ芯をしっかり確立させておかないとヒールは出来ない。
 リングに上がっている間はずっと見られているという意識が絶対的に足りません。
 下田はメキシコで見たときより随分と衰えている。
 初心者ばりの受身と賑やかしだけで何も考えていません。
 これなら親交の厚い坂井澄江を呼べばそれ以上の仕事におつりもくる。
 藤本は主に真琴と当たり手馴れた攻防を見せていてまずまず。
 サラ、デイジーは適切なリアクションを取ってやっていて
 ポリシアは慣れているヒール・ワークを応用してリベンジを見せている。
 下田を除けば全員そこそこの活躍に過ぎません。
 またもっと外人x日本人の組み合わせが見たかったですね。
 普通にポリシアと真琴入れ替えたほうが面白いと思うけどなぁ。
 悪くない試合。

Fトゥルサスvs.グリーン・アント
 トゥルサスがフィンランド国旗をもって登場し。
 緑蟻が特別Verでアメリカ国旗カラーで登場。
 緑蟻の魅力は大きな相手にも勇敢に立ち向かう所ですからこの味付けは良いですね。
 試合は期待通りスケールの大きな動きで一進一退。
 倒れたトゥルサスを起こせなかったり、
 トゥルサスが相手を壊しそうな技を放ったりと
 トゥルサスという怪物をリアリティーを持って描きました。
 細部の完成度はまだまだながらトゥルサスが
 フォールを極力排除した上手い試合運びを見せ
 一つ一つの見せ場が大きい特徴を活かしきっています。
 デビュー当時はまさかトゥルサスが18分ものシングル・マッチをやってのけるとは微塵も思わなかった。
 予想以上の内容です。
 平均的な良試合。

G12ラージ・サミット・トーナメント:クラウディオ・カスタニョーリvs.マイク・クァッケンブッシュ
 序盤は仕切りながら、お互い相手のペースにいかせず控えめな攻防。
 確立された事を正確にやっていく感じですね。
 CCがクァックを持ち上げ腹から鉄柱にぶつけて中盤へ。
 腹を中心にじっくり攻め要所でダイナミックな攻防をはさみます。
 以前のような想像力、可能性は失われてしまっていますが、
 終盤になるとそれが戻ってくる。
 迫力ある技のたたみかけで盛り上がると
 エプロンからロープ越しにリコーラ・ボムを行ったり、
 クァックがリコシェばりに肩にのってムーンサルト着地をしたりと工夫を凝らしています。
 そして最後のフィニッシュへの持って行き方は実に見事でした。
 Chikaraを代表する数え歌という責任を果たしました。
 中々良い試合。

特典としてFlex Express Week 1-5(緑蟻によるルガーのエクスプレスのオマージュ)を収録。

総評
 クァックvs.CCは時代を過ぎた感があるし、
 ビッグ・ゲストのセイントもどうしても内容は同じものになってしまう。
 しかし@、C、Fの中堅カードが充実した戦いで良い刺激をくれる。
 それによって大会を通じてダレずに安定した内容を楽しむ事が出来ます。
 (執筆日:9/2/11)
DVD Rating:★★☆☆☆
(執筆日:6/11/11)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@12ラージ・サミット・トーナメント:ジグソウvs.ファイヤー・アント
Aヤコブ・ハママイアーvs.グレゴリー・アイアン
Bアダム・コールvs.エディ・キングストン
Cチーム3.0le! vs.FIST
Dワールド・オブ・スポーツ・ルールズ:ジョニー・セイントvs.ジョニー・キッド(4R)
Eサラ・デル・レイ、デイジー・ヘイズ、真琴vs.ポリシア・ペレス、下田美馬、藤本つかさ
Fトゥルサスvs.グリーン・アント
G12ラージ・サミット・トーナメント:クラウディオ・カスタニョーリvs.マイク・クァッケンブッシュ