TOPアメリカン・プロレスChikaraChikara 2011年 →Chikara:King of Trios Night Three 4/17/11

Chikara:King of Trios Night Three 4/17/11の分析


名勝負 なし
好勝負 レイ・デ・ヴォラドレス決勝:1-2-3-キッドvs.エル・ジェネリコ

@準決勝:ザ・コロニーvs.オシリアン・ポータル
 前2日はコメディー・チックに盛り上げていましたがこの3日目は本格的なものを。
 実体の伴ったレスリングのように
 緊張感のある中で技術を織り交ぜ、
 その技術が発揮される過程も含めて見せてくる。
 控えの混ざり方も高度なレベルにあります。
 綺麗に見せるという事は外形に重みがシフトする恐れがありますが、
 そのテンポによって緊張感も維持しています。
 終盤はややタッグ的。
 トリオ要素を組み合わせればもっと良くなったでしょうね。
 起承転結は薄いが中々良い試合でした。

A準決勝:FIST vs.チームみちのくプロ
 FISTが小物として振る舞いみちのくプロを立てます。
 みちのくプロもその方向性にのって見得を切っていますね。
 中盤はサスケの孤立シーン。
 FISTが意思疎通は無理だろうと諦め、正確性を切ったのは地味ながら英断でしょう。
 終盤は3日間を通してサスケが初めて椅子に座らせてのトペ・アトミコを成功させるというスポットから
 パウダー攻撃によるチープ・フィンッ主に持って行くという
 天国から地獄への急転直下フィニッシュが非常に大きなインパクトを残しています。
 まあまあ良い試合。
 
Bジグソウvs.アルティメット・スパイダーJr
 スパイダーの能力の低さが際立ち低調な内容です。
 ジグソウではなくもう少しコメディー向きの選手と戦わせたらよかったのに。
 少し悪い試合。

C10チーム・ガントレット
 ダ・ソウル・タッチャズvs.エリック・キャノン、ダーリン・コービン
  タッグだとウィリーの担当が増えて粗くなる。
  エリック、コービンも自分の売りだけで手抜き。
  スロー・モーションを抜け出したウィリーのスピアーだけが見所。
 エリック・キャノン、ダーリン・コービンvs.バティリ
  オバリヨン、コダマは基礎的な行動が粗く弱く見える。
  コービンは怪奇相手で遊んでいては駄目。
  エリックも引き続き技が適当です。
 バティリvs.スロウバックス
  スロウバックスに押されたバティリがロー・ブローを打ち早い段階でDQ。
 BdK(サラ・デル・レイ、デイジー・ヘイズ) vs.スロウバックス
  BdKがその恩恵を得て瞬殺
 BdK vs.マット・クラシック、ダークネス・クラブツリー
  クラブツリーの復活に沸いたけれど
  接せずに時間を潰すので余りそのキャラを活かす場面はほとんどなし。
  せっかくBdKがヒールとして土壌を築いたのに緩い雰囲気で台無しにした結果に。
 BdK vs.ラフネックス
  リーはその体格を考慮しても相手を軽視し過ぎ。
  ついでに味方のレッドウッドも無視していて好調だった頃の面影はなし。
  最後はなぜかレッドウッドがロープ悪用の丸め込みでフィニッシュ。
 ラフネックスvs.チーム大阪プロ(小峠篤司、原田大輔)
  大阪プロについていけないリーはやる気を失う。
  普通に大阪プロが技を見せただけでスカッシュ。
 チーム大阪プロvs.3.0
  大技の攻防はあるものの短い時間でそこに持っていく上表面的に交錯しただけ。
  最後のカードを前にシリアスに雰囲気を戻したという点だけ評価できる。  
 チーム大阪プロvs.チーム・ドラゴンゲート(KAGETORA、スーパー・シーサー)
  単独で見れば唯一評価できる内容でした。
  タッグらしいスポットで競い合い、正統な攻防で魅せます。
  しかし最後の3カウントが中途半端。
  40分もかけておいて最後にケチがつくなんて…。
 トーナメントの最終日にこういう試合を持って来たいのも分かるが
 中身の薄い試合の集積物に過ぎないので改善して欲しいですね。
 それこそトルネオ・シベルネティコでも良いと思うのだけど。
 悪い試合。

D豊田真奈美vs.マディソン・イーグルス
 イーグルスが、私が世界一のレスラーよ、ではなくて
 豊田を世界一のレスラーだと認めている、
 だから私が豊田を倒して世界一になってやるわ、と試合前のインタビューで語ります。
 ヒール調なのだけど傲慢でもなく、リスペクトの伴ったスタンスを取ったのが素晴らしいですね。
 この試合はとにかくそれに尽きます。
 それを試合の中で実際にやってのけた事に尽きます。
 豊田がスポットをばらまいて試合を進め、
 単純な必殺技の返し合いでクライマックスを務めているように
 シングルとしての試合能力は失われていますから
 その中で試合を成立させクオリティが作られる唯一の道、
 このカードの模範解答であったといえます。
 平均的な良試合。
 
E戸澤陽vs.エディ・キングストン
 エディはハード・ヒットを売りにしますから戸澤の良さが出やすい相手ですね。
 他団体でヒールとして活動しているためか
 そこまで感情を爆発させなかったものの手は合っていて
 エディも真面目に調整して細かく一進一退の攻防を実現しています。
 最後は根性要素を試合に持ち込んで盛り上げました。
 平均的な良試合。

Fレイ・デ・ヴォラドレス決勝:1-2-3-キッドvs.エル・ジェネリコ
 まずはキッドが心理戦…
 というより観客に対しての雰囲気作りといった方が正確ですね。
 極めて小さいものを積み重ねていく形ですが、
 キッドが経験を活かした引き出しで健闘しています。
 またキッドが2日目のファイトぶりから限界が見えている中で
 打ち上げられて鉄柱にぶつかる、という予期せぬスポットで中盤突入。
 ジェネリコが相手の行動に対するリアクションの1セットを上手く要所で使い試合を構築しています。
 終盤になると現役との差が隠し切れないレベルになってきますが、
 その力量差をドラマに変えるのがキッドというギミックであり、その歴史ですね。
 18年前のネタ、レイザーズ・エッジを持ってきたのも上手い。
 ウォルトマンでもX-Pacでもなくキッドとして復活させ
 このような舞台を設計したChikaraの巧みなブッキングと
 ジェネリコの素晴らしいキャリーにより
 キッドが17年ぶりに好勝負を成し遂げるというミラクルが起きました。
 ぎりぎり好勝負。

G決勝:ザ・コロニーvs.FIST
 最初6人で殴りあったスタートした割りに中途半端に鎮めてしまいましたね。
 どうせなら場外含めた乱戦にすれば良いのに。
 格式にも遺恨にも突っ切れず決勝としてはスケールの小さい序盤となってしまいました。
 しかし双方のトリオ力は流石で、
 チームメイトの勢いを引き継ぎ乗り越える形で一本の道を築いていきます。
 その上で終盤はエプロン技やCHIKARAスペシャルといった技も織り交ぜる。
 決勝である事前提のちょっとやりすぎな内容ではあったものの
 その取り留めのつかないように見える激戦模様を
 セカンド・ロープにのったファイヤーの肩の上から跳ぶという
 思っても見なかった形でフィニッシュしてきたので終わりよければ全て良しです。
 決勝という事に頼りつつも決勝らしい内容に仕上げました。
 好勝負に届かずも中々良い試合。

総評
 トリオス・トーナメントだけでなくレイ・デ・ヴォラドレスも成功。
 また日本人ゲストとのシングルも良い試合で充実している。
 お勧めの大会です。
DVD Rating:★★★★☆
(執筆日:6/11/11)

注目試合の詳細

Fレイ・デ・ヴォラドレス決勝:1-2-3-キッドvs.エル・ジェネリコ
 握手を交わす。
 キッドが上にかぶさり頭をはたく。
 ジェネリコが腕を取る。
 キッドはロープを掴もうとする。
 引き離されたのでレフェリーを使って回転しアーム・ドラッグ。
 キッドが握手を求める。
 応じようとするも後ろにそらす。
 キッドが転がす。
 キッドがスピン・キックからブロンコ・バスターを狙う。
 ジェネリコが逃れる。
 リスト・ロックを食らったジェネリコが前転からアーム・ドラッグ。
 アーム・ドラッグ。
 反対の腕に映ってのアーム・ドラッグ。
 キッドが間を置く。
 キッドがショルダー・タックル。
 ロープに走ったジェネリコを落とすとトペ・コンヒーロ。
 鉄柱にぶつけようとする。
 ジェネリコは防ぐと突進してきたキッドを打ち上げ鉄柱にぶつける。
 リングに戻り場外カウントに任せる。
 カウント17でキッドがリングに戻る。
 ジェネリコがすかさずカバー。カウント2。
 アラビアン・プレスへ。
 キッドはかわして自爆させる。
 コーナーで崩れさせるもまだ早いと見てチン・ロック。
 カウンターでレッグ・ラリアット。カウント2。
 殴り合い。
 ジェネリコが連発。
 キッドが顔をかきむしりロープに走る。
 ジェネリコがカウンターでレッグ・ラリアット。
 キッドがエプロンに出てショルダー・ブロック。
 ジェネリコが下がるもビッグ・ブーツで柵まで吹っ飛ばす。
 スプリングボード式ムーンサルトで追撃。
 リングに戻すとダイビング・クロス・ボディ。カウント2。
 ジェネリコはスピン・キックをかわすいとブルー・サンダー・ボム。カウント2。
 キッドがカウンターで蹴り。
 ハリケーン・ラナを狙ったジェネリコにライガー・ボム。カウント2。
 コーナー上へ。
 ジェネリコが捕まえブレーン・バスタァァァーーを狙う。
 キッドが下りると同時にインサイド・クレイドル。カウント2。
 コーナーに崩れさせるとブロンコ・バスター。 
 Xファクターにつなげるもカウント2。 
 コーナーのジェネリコに突進。
 ジェネリコはかわして自爆させると突進。
 キかわされ自爆するも先に起き上がり張り手。
 コーナーに振りオッレ!
 ブレーン・バスターにつなげるもカウントは2。
 ならばとレイザーズ・エッジを決める。
 カバー。
 キッドがカウント2でクルーシーフィックス。カウント2。
 起こそうとする。
 キッドが蹴りをいれXファクター。
 コーナーに上る。
 ジェネリコが捕まえブレーン・バスタァァァーを狙う。
 キッドが雪崩式Xファクター。
 しかしカウントは2。
 コーナーに上りスワントーン・ボムへ。
 ジェネリコはかわすとオッレ!。
 すかさずブレーン・バスタァァァー。
 カバーし1,2,3!
 ジェネリコが優勝!

試合結果

@準決勝:ザ・コロニーvs.オシリアン・ポータル
A準決勝:FIST vs.チームみちのくプロ
Bジグソウvs.アルティメット・スパイダーJr
C10チーム・ガントレット(優勝:チーム大阪プロ)
D豊田真奈美vs.マディソン・イーグルス
E戸澤陽vs.エディ・キングストン
Fレイ・デ・ヴォラドレス決勝:1-2-3-キッドvs.エル・ジェネリコ(優勝!)
G決勝:ザ・コロニー(優勝!)vs.FIST