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AEW:Best of AEW TV Matches 2023 part.8の分析


名勝負 タッグ王座戦、3本勝負:FTR(ダックス・ハーウッド、キャッシュ・ウィーラー)(ch)vs.ジェイ・ホワイト、ジュース・ロビンソン(Collision 7/15/23)
好勝負 タッグ王座イリミネーター・マッチ:FTR(ダックス・ハーウッド、キャッシュ・ウィーラー)vs.ジェイホワイト、ジュースロビンソン(Collision 7/8/23)

ダービー・アレンvs.スワーヴ・ストリックランド(Dynamite 7/26/23)

@タッグ王座イリミネーター・マッチ:FTR(ダックス・ハーウッド、キャッシュ・ウィーラー)vs.ジェイホワイト、ジュースロビンソン(Collision 7/8/23)
 技は抑えつつも広くリングを使い、
 まとまりを持った試合進行。

 FTRの抜群のタッグワークの中に
 FTRにないアクの強さが織り込まれます。
 キャッシュの孤立にいたるシーンはインパクトあり、
 ジェイのアピール力が活きていますね。
 ジュースもいまいちアメリカでは成果を残せてませんが
 ジェイのパートナーとしては彼の色が輝いています。

 キャッシュの孤立シーンはややまったりして
 最大効率の積み重ねではないにしろ
 盛り上がりの型をよく分かっているなという内容。

 クライマックスは目まぐるしく攻守入れ替わりながら見事なフィニッシュ…
 かと思いきや終わらない攻防の数々。
 これ王座戦だっけ、と勘違いする程の激闘で、
 クライマックスだけで試合のクオリティを一つ押し上げるレベルでした。

 文句なしに好勝負。

Aタッグ王座戦、3本勝負:FTR(ダックス・ハーウッド、キャッシュ・ウィーラー)(ch)vs.ジェイ・ホワイト、ジュース・ロビンソン(Collision 7/15/23)
 3本勝負故に早期に決まり得る中で
 FTRが苛烈さを序盤から出して盛り上げ。
 
 その流れを着崩すバレクラの試合運びも魅力的ですね。

 足を良く使えていて、
 スムーズな流れの中で展開となるスポットの織り込み。
 
 ダックス孤立は前回の効率を落とした部分をカットしつつ、
 3本勝負だからと軽くもせず濃厚に攻防。
 最後の見事な締めくくりで1本目だけでも好勝負レベルでしたね。

 2本目、キャッシュの孤立。
 前回の試合で見せたりまったり孤立がここで効きますね。
 ハードなスポットとヒール要素で硬軟織り交ぜつつ焦らします。

 ダックスの雰囲気に合わせた技の見せ方、間の取り方は見事ですね。

 バランスの取れた終盤の演出。
 そこから綺麗な幕閉じを予想させたところで2本目で敢えてのカウント2.9。
 これでぐっと引き込みましたね。

 4人が組み合わさったシーンを混ぜ込み
 観客の予想をぐちゃぐちゃにしてCM明けの3本目。
 この時点で試合時間は40分を経過です。

 エプロン、場外の攻防から攻防の過激さ、疲労感を2本目の次のステージに設定。
 極限の戦いの中の最後としてはふさわしい内容ですが、
 疲労感マックスの中なのでタッグの妙技も薄く、
 全体の約1/3も取ってしまうのは最適バランスかというとちょっと違うか。

 その点だけ引っ掛かりFTRvs.ガルガーノ、チャンパ、FTRvs.ブリスコズには劣る印象ですが、
 1時間マッチという価値性もあり現代タッグ・プロレスの最高峰として教科書にのるべき一戦。

 歴史的な名勝負です。

Bブラッド&ガッツ:アダム・ペイジ、ケニー・オメガ、ヤング・バックス、飯伏幸太vs.クラウディオ・キャスタニョーリ、ジョン・モクスリー、竹下幸之助、ウィーラーYUTA、Pac(Dynamite 7/19/23)
 オメガvs.CCという好カード。
 出し惜しみしないとはいえ、
 形式柄ここで何ができる訳でもないので、
 観客を乗せることを意識してアクションです。

 同じチームながらCCのROH王座挑戦が決まったPacが追加。
 関係性の濃淡を描いたり、
 モクスリーが1人デス・マッチ要素を混ぜ込んで、
 単なるアクションのつなぎにしない工夫を施しています。

 とはいえ彼らなら、AEWならもっとできる感はありましたね。

 予告されてた飯伏の登場も衝撃的ではありましたが、
 オメガの手を釘で踏み潰されてても悠然と歩み寄る飯伏の姿に
 アメリカン「TV」プロレスという点での価値は十二分には感じ取れなかったし、
 攻防としてもまだ復帰明けの試運転の状態であることは否めなかったですね。

 セルの中での攻防もサービスとしては嬉しいものの
 そこで何が起こる訳でもなし。
 セルでダウンさせることで4対5になったことを強調するでもなく…。

 風物詩ありきではなく、ちゃんと軍団構想のストーリーを踏まえて到達したはずだが
 思ったほどそれが芯に感じられず、もどかしい内容。

 終盤底力で盛り返していきましたが、好勝負には少し届かず。

Cダービー・アレンvs.スワーヴ・ストリックランド(Dynamite 7/26/23)
 執拗なヘッド・ロックからハイ・フライ。
 装飾的な動きありつつも鋭い攻防に緊張感もあります。

 鉄階段をめぐる攻防はアスレチックで
 まさにこの二人のマッチアップだからこそ。

 ただ攻防の遊びだけでなく
 スワーブの試合運び、アレンのダウン表現も優れていました。

 ビッグ・スケールのスポットがどんどん出て来て、
 やはりこの二人の試合は面白いな、と思わされました。

 最後こそ乱入決着ながら満足度は高いですね。

 ぎりぎり好勝負。

Dエル・イドロズ・マスク・ラダーマッチ:アンドレード・エル・イドロvs.バディ・マシューズ(Collision 7/29/23)
 イドロのマスクが上空に吊るされておりそれを取ったら勝ちというルール。

 荒々しいラフファイトは打撃の筋が良く迫力あり。
 ラダーに容赦なくぶうけあう、その体の張りっぷりにびっくりしますね。
 コーナー・ラダーにウィップを受けそのまま場外転落など。

 過激な方に目が向き過ぎているので
 上空にあるマスクを取った方が勝ちというルールはむしろ邪魔になっていますが、
 最後に手錠と女子マネを持ってくることでオチはつけれています。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:7/?/23)