AEW:Revolution 3/5/23の分析
名勝負 | トリオス王座戦:ジ・エリート(ケニー・オメガ、ヤング・バックス)(ch)vs.ハウス・オブ・ブラック(マラカイ・ブラック、ブロディ・キング、バディ・マシューズ)(Revolution 3/5/23) テキサス・デス・マッチ:アダム・ペイジvs.ジョン・モクスリー(Revolution 3/5/23) AEW世界王座戦、60分アイアン・マン・マッチ:MJF(ch)vs.ブライアン・ダニエルソン(Revolution 3/5/23) |
好勝負 | なし |
@リッキー・スタークスvs.クリス・ジェリコ
Aファイナル・バーリアル・マッチ:ジャック・ペリーvs.クリスチャン・ケイジ
Bトリオス王座戦:ジ・エリート(ケニー・オメガ、ヤング・バックス)(ch)vs.ハウス・オブ・ブラック(マラカイ・ブラック、ブロディ・キング、バディ・マシューズ)(Revolution 3/5/23)
ブロディはフェイス・ペイントして正解ですね。
元々の強キャラがデフォルメされ機能的になっています。
リーダー食うんじゃないかというぐらいの存在感で、
まずこれをどう攻略するかをテーマに試合が繰り広げられましたね。
そこから一人一人織り交ぜられていきます。
トリオでありながら個にしっかり焦点当たっています。
またトリオの中でラインを引いてそこに乗せにいきがちな中で
自由闊達に攻防を繰り広げており見事な化学反応でした。
ぎりぎり名勝負。
C女性世界王座戦:ジェイミー・ヘイター(ch)vs.サラヤvs.ルビー・ソーホー
Dテキサス・デス・マッチ:アダム・ペイジvs.ジョン・モクスリー(Revolution 3/5/23)
ペイジの襲撃からスタート。
乱闘ながら非常に素晴らしいテンポ感で移行。
有刺鉄線やフォークといった定番の武器を使いますが、
それの使い方、見せ方が神がかっていて
80年代のプロレスのような迫真の移入感で凄惨さが伝わってきます。
ぐっと惹きつけて離さず、緩急の持って行き方も見事。
強烈なスポットがテンポよく繰り出され
ラスト・マン・スタンディング要素もあるのに疾走感が凄いですね。
ペイジの「持たざる主人公感」の最大化も出来ていてとんでもない試合でした。
抗争を激化させて感情を高ぶらせて、そして最高の仕事をする。
タリー・ブランチャードvs.マグナムTAの系譜に連なる遺恨戦の逸品。
文句なしに名勝負。
ETNT王座戦:サモア・ジョー(ch)vs.ワードロウ
Fタッグ王座戦:ザ・ガンズ(オースチン・ガン、コルテン・ガン)(ch)vs.ザ・アクレイムド(アンソニー・ボーウェンズ、マックス・キャスター)vs.
ジェイ・リーサル、ジェフ・ジャレットvs.ダンハウゼン、オレンジ・キャシディー
GAEW世界王座戦、60分アイアン・マン・マッチ:MJF(ch)vs.ブライアン・ダニエルソン(Revolution 3/5/23)
そのキャラクターに比例する程には
試合のスキルを評価していなかったMJFですが、
この試合はまさにその評価を大きく変化させるものでした。
形を整える以上の体勢の見せ方に気を使っていて、
特に得意の煽り力に関して出し方をコントロールし切っている点に関心しました。
過剰になり過ぎていません。
短い煽り、長い煽り、ベーシックな軽快な韻踏の攻防。
この組み合わせのバランスが最高です。
MJがフェンス攻撃を仕掛けて主導権を握り15分経過。
ブライアンは肩にテーピングをしているので、
ここで腕狙いの展開でもして時間を稼ぐかと思いきや
自制しながらリアルタイムに考えをこらしながら試合を進めます。
20分経過し、ブライアンがトペ。
ブライアンは節目となるポイントを作りつつ、
長期の視野でそれを織り込んでいるのが見事。
ブライアンは間違いなく稀代のプロレスリング・マスターですが、
60分試合に拘っていた2005年のROH王者時代は
なんだかんだ発展途上だったので、
彼の60分試合のマスターピースって余り印象にないんですよね。
直近のvs.ペイジは素晴らしかったものの60分ではない試合の方が数え歌の中でトップに位置付けられますし。
それをこの試合でキャリアに残る集大成を作ろうとしてきた感があります。
ブライアンが先に先取し25分。
ここでMJFがロー・ブローDQから2本連取。
敢えてDQから連取するというのは定番ですが、
今回は敢えて2-2で止めます。
エンタメへ舵を切った展開かと思いきやそのまま本格派を継続。
受けによる場の誘導、ムーブに依る気迫の表現。
脚攻めの追加、場外テーブル・スポット。
アクセントの追加の仕方も素晴らしいですね。
40分を目前にしたタイミングでテーブルへのツームストンでブライアンが流血。
ペイジvs.モクスリーの凄惨さの前に効果が薄れていますが、
このタイミングで一気に移入感を高めたのはジャスト・タイミング。
そしてこのスポット含めてMJFがポイントとなる攻めのスポットで
自らの脚も犠牲にしていることを示したことが激闘感を一層掻き立てており、
本当にこれまでのMJFから進化した一面を見せました。
MJFが言葉も使って攻撃的な煽りを見せ、
ブライアンがシチュエーションに合った技使いで場を強化。
そしてブライアンのダイビング・ヘッド・バットでMJFも大流血して残り10分。
緊張感とお約束の書式を上手くミックスさせて美しい帰結に持って行きました。
HBK vs.ブレットがAttitude Era前のプロレスで消化しきれなかったお題目を
現代プロレスとして、しかしながら、そのプロレスの真っすぐな延長線上として、
マスターピースとして昇華して見せた一戦でした。
歴史的な名勝負。
(執筆日:3/?/23)
Rating:★★★★★