TOPアメリカン・プロレスAEW 2020年 →AEW:Full Gear 11/7/20

AEW:Full Gear 11/7/20の分析


名勝負 なし
好勝負 AEW世界王座イリミネーター・トーナメント決勝:ケニー・オメガvs.アダム・ペイジ

タッグ王座戦:FTR(キャッシュ・ウィーラー、ダックス・ハーウッド)(ch)vs.ヤング・バックス

AEW世界王座戦、アイ・クイット・マッチ:ジョン・モクスリー(ch)vs.エディ・キングストン

@NWA女子王座戦:セリーナ・ディーブ(ch)vs.アリシン・ケイ

@AEW世界王座イリミネーター・トーナメント決勝:ケニー・オメガvs.アダム・ペイジ
 相手の流れを阻害しつつ
 そこで後退せず加速して盛り上げるハードな攻防。

 中盤は敢えて打撃メインにシフトして
 技から個人に焦点を戻しつつ、
 派手さがないにも関わらず絶妙な一進一退のコントロールで惹きつけ続けます。

 花道を巡る攻防など場を移しつつも
 意思疎通の緊密さは弱くならず高いレベルを保ち、見事な内容。

 細かな一進一退が多くて観客がついてくるに任せており、
 もう少し観客を受け止める間があれば尚良いのですが、
 メインではなく、オープニングという所を考慮した部分もあるでしょうね。

 ショーをスティールしないことと最高の試合を行うことを両立して見せました。

 文句なしに好勝負。

Aオレンジ・キャシディーvs.ジョン・シルヴァー

BTNT王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.ダービー・アレン
 まずはダービーが翻弄。
 それに対する感情をアクションなしに見せられるのは流石コーディ。

 背後からトぺを食らいつつも即座に主導権を取り返したコーディが
 ハンマー・ロックを決めた状態でダービーを花道に放り捨て。

 ここからダービーのダウン・モードに移りますが、
 ダービーのハイ・フライを織り交ぜながら上手く腕攻めを行いましたね。

 雪崩式クロス・ローズなんていう過激な技も積極的に加えて盛り上げました。

 ただもう少しドラマチックに過程を語れるはず。
 少し一足飛びに盛り上げたせいで、頭打ちになっていた部分もありましたね。

 試合としては後一歩の印象を振り切ることができませんでしたが、
 ダービーは新王者としてふさわしい逸材ですから
 今後の防衛ロードが実に楽しみではあります。

 好勝負に少し届かず。

C女子王座戦:ヒカル・シダ(ch)vs.ナイラ・ローズ

Dタッグ王座戦:FTR(キャッシュ・ウィーラー、ダックス・ハーウッド)(ch)vs.ヤング・バックス
 両者の間の手綱を軽妙にコントロール。

 細かく見せ場を重ねながら
 ダックスを孤立させての手攻め、
 マットを孤立させての脚攻めで前半を構成。

 FTRにしかできない異常なハイ・テンポな試合運びは影を潜め、
 どっしりと構えてきましたね。

 タッチできるかできないかの見せ場は
 伝統から少し外してきましたね。
 伝統に沿った方が最大化できる印象はありましたが、
 この変化をつけつつ、どんな場面でもチェーンさせる技術には脱帽します。

 セコンド排除に都度ダイブを絡めたりと派手なスポット使いの一方で
 マットの脚の負傷を絡めたドラマチックな演出も両立させています。

 後者の見せ方に関してはアクション過多故に
 観客が浸って落とし込まれる準備が阻害された感があるし、
 終盤の攻防の整合性が弱い印象があります。

 450スプラッシュを決める前に4の字が解けていたり、
 最後のフィニッシュ方法も「気持ちで打ち勝つ」だけでは説得力に物足りなかったり。

 ドラマ性においてバックスvs.オメガ、ペイジに後塵を拝するものの
 このタッグにしかできない内容に仕上がっています。

 文句なしに好勝負。

Eエリート・ディレイション:マット・ハーディvs.サミー・ゲヴァラ
 ドローン映像から始まりますが、
 野外にリングを置いての乱闘ベース。
 
 BGM/シーン編集もなく、
 そうするとマットの試合運びの衰えを感じますね。
 
 サンタナ、オーティズの乱入、
 プライベートパーティーも乱入して6人入り混じるので誤魔化されましたけれども。

 思わぬ友情出演もありましたね。

 倉庫に戦場を移すと同時に乱入者を隔絶して再び2人の戦いへ。
 ここでBGMが付与されますが、不気味なテイストで合ってない感が凄い…。

 ラダー上からのスワントーンでのテーブル葬も普通にカウント2だったりと残念な点も目立つ。

 シネマティック・プロレスという進化形が出来た2020年になって何故後退してしまったのか。
 
 タイトル通り元ネタのテイストに忠実で少しAEWカラーも加わっているけれど…。

 平均より少し上。 

F(MJFは勝利すればインナー・サークル加入):MJF vs.クリス・ジェリコ

GAEW世界王座戦、アイ・クイット・マッチ:ジョン・モクスリー(ch)vs.エディ・キングストン
 キングストンはスマサーズTシャツに三沢カラーのコスチューム。
 感受性揺さぶるバックグラウンドを更に盛り立ててきましたね。

 試合が始まれば激しい打撃戦。
 Dynamiteの一戦よりもギアを上げてフル・スロットルで来ましたね。

 プロレスの仮装キャラクターにリアルな気持ちを入れ込んでくる
 キングストンの良さがより一層出ていて、
 スポットの折り込み方もより鋭くなっています。

 アイ・クイット・マッチということで前回の試合、結末を踏まえながら
 鉄柱での流血、有刺鉄線バット、画鋲とデス・マッチ要素を加えていきます。

 凶器を食らって虚ろな表情をしたかと思いきや、
 口を切って血をこぼしながら悪魔的な笑みを浮かべるキングストンにやられます。

 アルコールや最後の攻防は少し浮いている印象ながら
 前回の試合では出来なかった表現性も突き抜けて2人の歴史をぶつけあいました。

 ぎりぎり好勝負。


 (執筆日:11/?/20)

Rating:★★★★★

注目試合の詳細

なし

試合結果

@NWA女子王座戦:セリーナ・ディーブ(ch)vs.アリシン・ケイ
@AEW世界王座イリミネーター・トーナメント決勝:ケニー・オメガvs.アダム・ペイジ
Aオレンジ・キャシディーvs.ジョン・シルヴァー
BTNT王座戦:コーディ・ローデス(ch)vs.ダービー・アレン(新チャンピオン!)
C女子王座戦:ヒカル・シダ(ch)vs.ナイラ・ローズ
Dタッグ王座戦:FTR(キャッシュ・ウィーラー、ダックス・ハーウッド)(ch)vs.ヤング・バックス(新チャンピオン!)
Eエリート・ディレイション:マット・ハーディvs.サミー・ゲヴァラ
F(MJFは勝利すればインナー・サークル加入):MJF vs.クリス・ジェリコ
GAEW世界王座戦、アイ・クイット・マッチ:ジョン・モクスリー(ch)vs.エディ・キングストン