50-60年代のプロレス:流智美の黄金期プロレス50選 Vol.6 鉄人テーズ&野生児ロジャースの分析
名勝負 | なし |
好勝負 | パット・オコーナーvs.ボブ・オートンSr.(1/16/53) NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.バディ・ロジャース(1/26/51) |
約4時間。
バディ・ロジャース
元祖ネイチャー・ボーイで
勝ち負けを超越したその華麗なそのスタイルは
ボックウィンクル、フレアーと受け継がれていきました。
初代WWE(当時はWWWF)王者でもあります。
またジャイアント馬場が最高のレスラーに挙げています。
日本では未来日の上サンマルチノに瞬殺されたことや
ゴッチにリンチされ(実は事故)腕を折られたという報道からあまり評価されなかったそうです。
1試合目-3本勝負:バディ・ロジャースvs.サイクロン・アナヤ(1/5/51)
いきなりアナヤという超一流レスラーとの試合ですが
思ったほどアナヤの魅力が出なかったように思います。
またロジャースの危険すぎるパイル・ドライバーで
3本目は行われませんでしたし、
良い試合。
2試合目-3本勝負:バディ・ロジャースvs.チーフ・ビッグ・ハート(5/27/60)
このチーフ・ビッグ・ハートは
ドン・イーグルから引継ぎワフー・マクダニエルに 後を託すインディアン・レスラー。
オーストラリアではコワルスキーについで
ビリー・グラハムとの抗争で有名なレスラーです。
猪突猛突進タイプです。
ロジャースが格の違いを見せ付けるんですが
これもフィニッシュが・・・
パット・オコーナー
テーズの後継者と目されたマットの魔術師。
しかしあまりに超正統だったため
時代はロジャースを選び
NWA王座は2年半しか保持できませんでした。
オコーナーのドロップ・キックは非常に美しく芸術品といえます。
3試合目-パット・オコーナーvs.スカイ・ハイ・リー(5/8/53)
デビュー2,3年にもかかわらず
テキサスの摩天楼、アメリカのジャイアントの馬場であるリーの上を行き一蹴。
④パット・オコーナーvs.レッグス・ラングズビン(9/13/57)
ラングズビンはキャリアの長い中堅で
レスラー引退後はモントリオールを仕切っていました。
写真家トミー・ランザのネガを譲り受けたことでも有名。
試合はオコーナーの美しい回転軌道を取ったグラウンド・ヘッド・ロックが見所です。
それを連発させながら試合を構成できるラングズビンも良いですね。
タイミングの測り方が中々のものです。
オコーナーが拳で一度盛り上げた後、再びグラウンドへ。
ここでレングズビンが押さえ込みにかかりますが、
技術で相当するものを持ち合わせていないので
この展開を実行する上でショーマン・シップで誤魔化すしかないところがありましたね。
綺麗にオコーナーの魅力が伝わる試合でした。
平均的な良試合。
(執筆日:3/4/12)
5試合目-3本勝負:パット・オコーナー、アントニオ・ロッカvs.クラッシャー・リソワルスキー、アート・ニールスン(10/22/54)
3人が試合を作ってロッカが壊すと・・・
オコーナーは典型的なNWA王者らしく
長時間マッチを苦にしませんね。
40分しか収録されてませんが60分にも及ぶ試合でした。
この頃の6人タッグは良い試合かというより
それぞれのレスラーが俺の法が凄いぞとか
そういう張り合いが見所のような気がします。
6試合目-パット・オコーナーvs.マイティ・アトラス(5/16/52)
デビュー2年でパワー一直線のアトラスを輝かせるのだから驚き。
両者良い所を見せてフィニッシュも素晴らしい。
展開はまだまだですが良い試合です。
⑦パット・オコーナーvs.ボブ・オートンSr.(1/16/53)
オートンがえぐい打撃を顔にコンスタントに打ち込んでいきます。
オコーナーがふらふらな状態からこちらも負けず劣らずの鉄拳で盛り上げます。
ラフ・ファイトを序盤に持ってくるのはユニークですし、
そのインテンシティーは特筆すべきものがありましたね。
続いて未遂とはいえ10カウント・パンチや
背を通して一回転させてから倒したりとオコーナーの華やかなスポット。
同時に悠然と対して大物の雰囲気を漂わせます。
これに対しオートンは序盤とは打って変わり小物化。
せこく打撃を打ったり、ロープの外に半身を出して外します。
リアルに走って逃げ、リアルな技術で転がしながらも
立合いの様式はプロレスという50年代ならではの戦いが繰り広げられ、
最後は場外転落から疲労感を漂わせながら最後のムーブへ。
このオコーナー・ロールが綺麗に決まらなかったのが惜しまれますが、
50年代らしからぬ幅広い色合いの攻防が1つの試合に入っている素晴らしい試合でした。
ぎりぎり好勝負。
(執筆日:3/4/12)
8試合目-パット・オコーナーvs.ラスプーチン(1/15/54)
別段見所なし
ルー・テーズ
9試合目-ルー・テーズvs.ミスター・モト(2/14/62)
ハイライトで5分ほど。
⑩NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.バディ・ロジャース(1/26/51)
当時の黄金カード。
ロジャースは仕切りながら打撃で煽ります。
一方でテーズは基本技のヘッド・ロックで締め上げていく。
プロレスのレスリングとアマレスのレスリングの対決ですね。
ロジャースは観客を直接見ていないのに
見事にタイミングを掴んだ動かしで観客の焦燥感を高めて行きます。
また引っこ抜くように決める印象的な首投げを使っていて
アマレスの技術に関してもトップと渡り合うのに引けを取らないだけのものがあることを感じさせます。
そんなロジャース相手とあってテーズも全開の動き。
テーズ・プレス、ドロップ・トー・ホールドの鋭さは目を見張るものがあります。
そして最後はエアプレイン・スピン。
現代で使えば笑いが起きることも多々ある技ですが
フィニッシュ技として説得力ある回転速度です。
2本目はロジャースがフライング・ヘッド・シザースで盛り上げ。
その後グラウンドからロープ・ワークと王道の試合進行。
カウンターのドロップ・キックからパイル・ドライバーを決め1-1に追いつきます。
3本目もロジャースがテーズをターン・バックルに後頭部からぶつける、という
ラフ殺法に出て試合開始直後からすぐに観客をつかみます。
尤も3本目はお互いの技もなくなってきて決め手に欠けるところはありましたね。
テーズの温存していたバック・ドロップを使えば
もう少し見せ方があったように思いますけれど・・・。
3本目で停滞したものの黄金カードにふさわしい内容でした。
文句なしに好勝負。
(執筆日:3/4/12)
総評。
ロジャース、オコーナー、テーズと
このシリーズの最終巻を飾るに相応しい最高のメンバー。
中身は他と同じく素晴らしいのですが
この3人なら他以上の出来を求めてしまいます。
特にオコーナーに超一流との試合がなかったのは非常に残念。
DVD Rating:★★★★☆
注目試合の詳細
④パット・オコーナーvs.レッグス・ラングズビン(9/13/57)脚を取られそうになったラングズビンは逃げ回りロープの外に出る。
組み合うとラングズビンが腕を取り倒す。
オコーナーは跳び起きると逆に倒してみせる。
オコーナーがヘッド・ロックからグラウンドへ。
オコーナーは立ち上がったりロープに振ったりヘッド・シザースに返したりするが
オコーナーはすぐに再びヘッド・ロックに捕らえてみせる。
ラングズビンがヘッド・ロックを決め返す。
オコーナーはすぐにロープに振ってドロップ・キック。
そして再びヘッド・ロックでグラウンドへ。
ラングズビンはロープ・ブレイクに持ち込み不意打ち一発。
怒ったオコーナーが迫りパンチを叩き込んでいく。
オコーナーが脚攻めに行く。
スピニング・トー・ホールドに行った所を蹴り飛ばされても
跳び起きて再び脚攻めに。
ラングズビンがボディ・シザースに切り返す。
その状態で後ろに持ち上げ尾骶骨から落とす。
もう1発狙う。
オコーナーは脚を解いて綺麗に立ち上がる。
ラングズビンはやられたよとユーモラスな仕草を見せる。
オコーナーが一瞬の内に脚を捕らえる。
ラングズビンが体勢を入れ替え押さえつける。
オコーナーはブリッジで起き上がるとニー・リフト。
オコーナーはラングズビンのバックを華麗に取って見せる。
ラングズビンはロープ・ブレイク時に殴りつけていく。
オコーナーは殴り返すとボディ・スラム。
カバーするもカウント2。
ラングズビンがフルネルソンに捕らえる。
オコーナーはすり抜けて蹴り飛ばす。
ラングズビンがラフ・ファイトで攻めていく。
ヘッド・ロックを決められたオコーナーはラングズビンをロープに振る。
ラングズビンがショルダー・タックル。
跳び起きると2発目を避けると同時にリバース・ロール&クレイドルで1,2,3!
⑩NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズ(ch)vs.バディ・ロジャース(1/26/51)
テーズがまず腕を取る。
ロジャースが脚を取る。
腕取りに返されたロジャースはボディ・スラムを決める。
仕切り直し。
ロジャースがコーナーに押し込みロープ・ブレイク時に殴りつける。
ストラットを間で見せる。
テーズがヘッド・ロックに捕らえる。
ロープに振られたところでテーズ・プレス。カウント2。
ボディ・シザースに捕らえる。
ロジャースは何とかロープを悪用して逃れる。
ヘッド・ロックを食らったロジャースはテーズをロープに振る。
テーズ・プレスに来たところをパワー・スラム。
ボディ・プレスでカバーするもテーズの脚がロープにかかっている。
執拗なヘッド・ロックでテーズを弱らせる。
ロープに振られたところでショルダー・タックル。
テーズはもう1回振ってドロップ・トー・ホールドから蟹バサミ。
ロジャースはヘッド・ロックで無理矢理逃れる。
ロジャースはロープ・ブレイク時に突き飛ばしストラット。
ヘッド・ロックを決められたテーズはロジャースをロープに振る。
テーズはリープ・フロッグでかわしクロス・チョップ。
カバーするもカウント1。
ロジャースがレフェリーの目を盗んだ卑怯な攻めで挽回していく。
ロジャースがショルダー・タックル。
ヘッド・ロックを決められたテーズはロープに振ってエアプレイン・スピンからカバーで1,2,3!
テーズが先取!
テーズがショルダー・タックル連発へ。
ロジャースは2発目をフライング・ヘッド・シザースに返す。
執拗にヘッド・シザースで捕らえていく。
狙いを変えキー・ロックを決める。
逃れたテーズはヘッド・ロックに捕らえる。
ロジャースはロープに振る。
ショルダー・タックルを食らうもドロップ・キックを決めパイル・ドライバーで1,2,3!
1対1のタイとなる!
ロジャースはテーズの頭部をコーナーに投げつけていく。
テーズがボディ・スラムを決めるも頭が痛む様子で攻撃が続かない。
一方ロジャースはストラットを見せ付けたりと余裕を見せる。
ラフ・ファイトになる。
テーズがボディ・スラムからカバー。
ロジャースはすぐに返しアッパーカート。
ボディ・スラムを決める。
カバーしようとした所でテーズはハンマー・ロックに切り返す。
ロジャースはエルボーで逃れると投げ飛ばしショルダー・タックル連発へ。
しかし避けられコーナーに激突。
テーズがカバーするも返される。
テーズはロジャースの腕をコーナーに叩きつける。
ヘッド・ロックをかけられたロジャースはロープに振る。
テーズはショルダー・タックル。
もう1発ショルダー・タックルを決めるとその勢いで両者転落。
両者戻ってクライマックスへ。
ロジャースがドロップ・キックにボディ・スラム。
テーズはカバーしに来たロジャースを蹴り飛ばしボディ・スラム。
もう1発狙う。
ロジャースはクロス・ボディに返す。カウント1。
クルック・ヘッド・シザースでロジャースを追い詰める。
ロジャースがパワー・ボムをリバース・スープレックスに返す。
テーズはブリッジで起き上がりニー・リフト。
再びヘッド・ロックへ。
ロジャースも同じくヘッド・ロック。
ロジャースがショルダー・タックル。
もう1発狙うもテーズが返そうとしている所を見て止めストラット。
テーズはキー・ロックで苦しめる。
ロジャースも逃れてヘッド・ロック。
テーズがバック・ドロップに切り返す!
低かったかカバーするもカウント3を奪えない!
テーズはヘッド・ロックを決めロープに振らせる。
そしてテーズ・プレス!しかしカウントは2!
ショルダー・タックルで相打ち。
テーズがカバーするもロープ・ブレイク。
ふらふらのロジャースにエルボー・スマッシュ。
脚を痛めたロジャースを見てテーズが脚を取るも60分時間切れで引き分け!
試合結果
①3本勝負:バディ・ロジャースvs.サイクロン・アナヤ(1/5/51)(1-1)(レフェリー・ストップ)②3本勝負:バディ・ロジャースvs.チーフ・ビッグ・ハート(5/27/60)(1-0)(レフェリー・ストップ)
③パット・オコーナーvs.スカイ・ハイ・リー(5/8/53)
④パット・オコーナーvs.レッグス・ラングズビン(9/13/57)
⑤3本勝負:パット・オコーナー、アントニオ・ロッカvs.クラッシャー・リソワルスキー、アート・ニールスン(10/22/54)(1-0)(60分時間切れ)
⑥パット・オコーナーvs.マイティ・アトラス(5/16/52)
⑦パット・オコーナーvs.ボブ・オートン(1/16/53)
⑧パット・オコーナーvs.ラスプーチン(1/15/54)
⑨ルー・テーズvs.ミスター・モト(2/14/62)
⑩NWA王座戦、3本勝負:ルー・テーズvs.バディ・ロジャース(1/26/51)(1-1)(60分時間切れ)