TOPアメリカン・プロレスどインディー →50-60年代のプロレス:流智美の黄金期プロレス50選 Vol.2 殺人狂コワルスキー&地獄の料理人シュミット

50-60年代のプロレス:流智美の黄金期プロレス50選 Vol.2 殺人狂コワルスキー&地獄の料理人シュミットの分析


名勝負 なし
好勝負 ハンス・シュミットvs.バーン・ガニア(6/27/52)

約3時間40分。

第2弾は対照的なヒール、キラー・コワルスキーとシュミット。

1.キラー・コワルスキー
 猪木の目標にもなった肉体を持ち
 パワー・ファイトが得意なレスラー。(HHHの師匠でもあります)
 1試合目から見ると荒削りで反ベビーフェイスという
 なかなか一流とまではいかない中途半端なレスラーといった感じ。
 しかし有名な耳そぎ事件を経て
 元々あった凶悪性が開花。
 2試合目ではケンカ殺法に変わっています。
 また菜食主義者になったことで風貌も鬼気迫るものがあります。
 しかし相手はロッカ。
 アルゼンチン・バック・ブリーカーの生みの親として知られる人気レスラーなんですが・・・
 ちょっと困ったレスラーでして
 50年代と思えない独特な動きでロッカ・ワールドを作っておいて
 相手はその世界に入れないという・・・
 2人が協力してこそ良い試合になるということを悪い形で証明しています。
 そして3試合目の相手エリックこそ耳をそがれた張本人。
 (実は受身を失敗したエリックのほうが悪いのですが・・・)
 エリックは今で言うデュガンみたいなもので正直言えば
 下手なのですが上述の理由より非常に盛り上がる一戦であり
 驚くべきことにジャーマンを使ったりしています。
  
2.ハンス・シュミット
 ナチス・ギミックで地獄の料理人と恐れられたヒール・レスラー。
 コワルスキーと違い荒っぽい中に堅実な上手さが見えます。
 固いですがキレもあります。
 コワルスキーが激情系ならばシュミットは冷酷系で
 ハンニバル的カリスマがあります。
 尚シュミット式バック・ブリーカーという技の名前で耳にした方もおられるでしょうが
 これはよくある日本マスコミの良く言えば仕込み、悪く言えば捏造っていうやつです。

 4試合目の相手金きら男ポッフォはサベージの父親です。
 まあ普通の試合。

Dハンス・シュミットvs.バーン・ガニア(6/27/52)
 シュミットが腕を大きく振り回した殴り。
 ターン・バックルにぶつけたりと序盤から獰猛に攻め込みます。
 ナチス・ギミックを完璧に遂行したその執着的な攻めは実に恐ろしいですね。
 ガニアもひるまずに反撃。
 間を使いながらのハードな反撃はシュミットに匹敵する強さ、怖さがあります。
 シュミットも良い受身を見せていますね。
 ベビーフェイス/ヒールのダイナミズムを持ちつつも
 両者卓越した技術を持っているので様々なサブミッションの攻防を見せます。
 好敵手らしい読み合いが1本勝負という緊張感の中で際立ちました。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:3/4/12)

Eハンス・シュミットvs.ウィルバー・スナイダー(6/1/56)
 スナイダーが受け手に回り、観客の応援を引き出すファイト。
 シュミットの攻めとぴったりはまり両者の魅力が引き立っています。
 大きく流れを生んでグラウンド・コブラでスナイダーが1本。
 2本目はスナイダーが拳を出して押すものの
 シュミットが凌いでじっくりとペースを握る展開に。
 バック・ブリーカー連発でフィニッシュ。
 3本目はスナイダーがシュミットに負けじと張り合いますが
 最後はアクシデントから雰囲気で押し切ったようなフィニッシュ。
 平均的な良試合。
 (執筆日:3/4/12)


 7試合目。
 当然ボブ・オートンはランディの祖父です。
 (父親はボブ・オートン・ジュニア) 
 メインイベンターへの登竜門的試合といったところ。
 まだまだ若くシュミットには遥かに及ばず。
 一本目を瞬殺されたのがそれを表しています。
 (カットありの模様)
 8試合目。
 格が劣るポッフォと副業地元レスラー、カナウスキーは無視して
 ここはリングの魔術師ことオコーナーの素晴らしい動きを堪能すべき試合。
 オコーナーは勢いそのままに1ヵ月後NWAチャンプとなっています。
十八番の回転えび固めは芸術品というべき完成度ですよ。
 
3.2大ヒールの直接対決
 さて2人のトップ・ヒールの魅力を存分に堪能したところで
 まさにドリーム・マッチである直接対決をもってくるとは素晴らしい構成ですよ。
 試合の方はというと・・・
 コワルスキーはねちっこい攻めを見せるとはいえ運命の悪戯でトップ・ヒールになった感がありますね。
 その一方でシュミットは細やかな動きの隅々までヒールっぷりがいきわたり上手さを見せてきます。
 当然コワルスキーは良いとこを出せなかったのですが
 最後の最後で意地を見せ、どちらがトップ・ヒールかってことについては引き分けってとこか。

総評。
第1巻と同じく魅力的なレスラーをフューチャー。
はじめてみましたが、これを見てシュミットを好きになりましたよ。
1巻よりは現代プロレスファンでも受け入れやすいですが
やはりその差は深いので、
満点は付けられませんが素晴らしいDVDです。
DVD Rating:★★★★☆

注目試合の詳細

Dハンス・シュミットvs.バーン・ガニア(6/27/52)
  ガニアが荒々しい攻めで先手を取る。
  シュミットがニーを叩き込み投げ飛ばす。
  殴り合いからガニアがスリーパー!
  シュミットはすぐロープを掴んで逃れる。
  シュミットが張り手で挑発する。
  ガニアはひるまずショルダー・タックルへ。
  シュミットは2発目をドロップ・トー・ホールドに返し脚を取る。
  ガニアが素早い動きを見せシュミットの脚を取る。
  しかしシュミットは髪や顔を掴んで逃れると
  コーナーに投げつけ前腕をたたきつける。
  シュミットはバック・ブリーカーと見せかけボディ・スラム。
  場外に落とし待ち受ける。
  ガニアは戻って着るやショルダー・ブロックを連発し、場外に落としてお返し。
  シュミットはコーナーに叩きつけていきスナップ・メア連発からカバー。カウント2。
  ガニアがボディ・スラムにニー・リフトからカバー。カウント2。
  シュミットは力を生かして反撃。
  お互いロープで勢いをつけ走り合うもシュミットは途中で止めガニアのペースにさせない。
  ガニアがフルネルソンに捕らえるも 
  シュミットは投げ飛ばしスナップ・メア連発。
  ガニアがスリーパーに切り返す!
  しかしシュミットはロープに逃げ場外に出る。
  シュミットがフルネルソンからのボディ・シザースでペースを落とす。
  ガニアが腕を攻めチキンウィング・フェイスロック。
  シュミットは抱え上げるとコーナーに叩きつけボディ・スラム。
  そしてバック・ブリーカーへ!
  ガニアは後ろに逃れスリーパー!
  シュミットはどうすることもできず
  レフェリー・ストップでガニアの勝利!

試合結果

@キラー・コワルスキーvs.ピート・マナゴフ(3/30/51)
A3本勝負:キラー・コワルスキーvs.アントニオ・ロッカ(3/5/54)(2-1)
B3本勝負:キラー・コワルスキーvs.ユーコン・エリック(2-1)(1/15/54)
Cハンス・シュミットvs.アンジェロ・ポッフォ(?)
Dハンス・シュミットvs.バーン・ガニア(6/27/52)
E3本勝負:ハンス・シュミットvs.ウィルバー・スナイダー(6/1/56)(2-1)
F3本勝負:ハンス・シュミットvs.ボブ・オートン(8/28/53)(2- 1)
G3本勝負:ハンス・シュミット、アンジェロ・ポッフォvs.ボブ・カナウスキー、パット・オコーナー(5/2/58)(2-1)
H3本勝負:ハンス・シュミットvs.キラー・コワルスキー(5/8/53)(2-1)