TOPアメリカン・プロレスどインディー →50-60年代のプロレス:The Glory Days of Wrestling

50-60年代のプロレス:The Glory Days of Wrestlingの分析


名勝負 なし
好勝負 3本勝負:ゴージャス・ジョージvs.ジェシー・ジェームス

NWA王座戦、3本勝負:パット・オコーナー(ch)vs.バディ・ロジャース(6/30/61)

ディスク1-Legends of the Mat、
文字通り黄金期の5,60年頃(つまり映像は白黒です)を扱っています。
1時間30分です。

①3本勝負:ゴージャス・ジョージvs.ジェシー・ジェームス
 試合自体は4分、1分、6分と特別長い訳でもないですが
 相手が地味なレスラーなため
 ジョージがかなり気合を入れてキャラクターを演じています。
 しかも入場と休憩時間を完全に収録ですからね。
 執事絡みのシャネルNo.10をリング中にふきかけるシーンが見れたり、
 威風堂々のレコードを聞けたりとマニアにはたまらないですね。
 流智美の黄金期プロレスVol.5では入場が不完全で、
 休憩時間も収録されていませんでしたし。
 肝心の試合面も素晴らしいです。
 相手のジェシーは足を引っ張らず
 ジョージの多彩なヒール・ムーブによる展開、構築にのっていますし
 何よりフィニッシュが素晴らしい。
 ジェシーがインディアン・デス・ロックを決めた状態で
 カバーに押し込もうとする攻防で決まるんですね。
 これはもうジョージならではの類稀なるアイデアで脱帽というしかないですね。
 大満足です。
 ぎりぎり好勝負。

②キラー・コワルスキーvs.エドワード・カーペンティア
 コワルスキーが大げさな受けや
 背中に担いでターン・バックルに叩きつける技を
 見せていたのは驚きましたね。
 黄金期プロレスVol.2より後の60年前後で
 ショーマン・シップも取り入れているのでしょう。
 その分雰囲気が失われてしまっているのが勿体無い。
 試合はそれなりに楽しめましたけど
 カーペンティアのグラウンドが見れなかったのは残念ですね。
 コワルスキーが相手とはいえ全然ないというのはおかしいですし
 これも時代の流れのせいでしょうか。
 
③NWA王座戦、3本勝負:パット・オコーナー(ch)vs.バディ・ロジャース(6/30/61)
 緩急の付け具合が良く両者のムーブも体に見についているため
 文字通り観客を意のままにのせていましたね。
 特に、この一戦でオコーナーからNWA王座を受け継ぐ事になるロジャースの
 所謂裏技をデフォルメした、レフェリーの目を盗むヒール・ムーブの扱いが巧み過ぎる。
 リズムにもなるし防御にもなるし仕掛けにもなる。
 オールマイティ・ムーブとして変幻自在に操っています。
 クライマックスの3本目も素晴らしいですね。
 垂直のロープ走りで掴み、両者ダウンにエプロン転落でハラハラさせ、
 最後はオコーナーの怒涛の攻撃をロジャースが許しを乞いながら時間を稼いで凌ごうとする。
 ストーリーを奏でる風景を描く、という意識はプロレスにおいて大きな変化でありました。
 惜しむらくは前後の良さが共存するというよりか、次世代の流れに沿い過ぎた事でしょうか。
 ショーマンシップが強くなる中で、リアルな技術をどう反映するか、その知見がオコーナーには不足していたし、
 それぞれの1本が約7分と短く、王座交代劇としては重厚感に欠けます。
 フィニッシュだけショーマンシップから漏れでていて自爆からのフォールだったりしますしね。
 クオリティもあるしプロレスのターニング・ポイントになったという資料的な意味合いでも必見の試合です。
 文句なしに好勝負。
 (執筆日:7/10/10)

 特典として他に6試合収録されています。
 ロッカvs.ジョナサン程のカードが3分で終わってたりしますが
 編集しないでこの時間なのでしょうか。
 

ディスク2-Weird,Bizarre & Wild Matches
 こちらは80年代(という事でカラーです)の際物試合を特集。
 只これはGlory Daysなのか・・・?。
 1時間10分です。

①ケージ・マッチ:ジェリー・ロウラーvs.ランディ・サベージ
 ケージがリングの外に設置されているのも
 南部的地方性が反映されているのでしょうかね。
 それはともかく試合としては
 両者得意のパンチを中心にしたコテコテの南部スタイル。
 良い試合でしたけれども
 フィニッシュがこの時代ならではで
 乱入者が入って反則というあっけない物でしたね。
 
②デトロイト・バトル・ロイヤル1980
 この頃のバトル・ロイヤルは只大勢が殴りあうという事を意味します。
 取り合えずリングを2つ並べるというアイデアだけが見所かな。
 最後は最強のアンドレがブラジルを認め自ら退場、
 もう1人は恐れをなして逃亡という、あっけないものでした。

③プリンセス・リトル・ドーヴvs.ダイアモンド・リル
 小人の女性によるシングル。
 小人の男性はファン要素に走りがちですが
 女性は感情を出してのオーソドックスなスタイルを選ぶ傾向にあるようですね。

④ヘイスタックス・カルフーンvs.キラー・ブルックス
 カルフーンは所謂巨漢で
 それに対しブルックスがラフ・ファイトで挑むというもの。
 この手の組み合わせは
 いつの時代もカウントアウトが1つの手になってきますね。

⑤ディック・ザ・ブルーザー、クラッシャー、リトル・ブルーザーvs.ボビー・ヒーナン、ブラックジャック・ランザ、ブラックジャック・マリガン
 ブルーザー&クラッシャーもブラックジャックも
 良いタッグではありますがこの試合の主役はリトル・ブルーザー。
 要所で絡んでは笑いと歓声を起こしていましたね。
 
ディスク2の特典として
まずディスク1のように試合が4つ(特典は再びモノクロです。)、
他にアメフトのプロ・チームと行ったチャリティー試合の様子
(勿論WWEのCMみたいにプロレス技なんかかけませんよ。)や
プロレスの笑いの部分を特集した(?)番組を収録しています。
この試合の1試合は水上にリングを浮かべているものでしたし
番組では最後に禁断の一人プロレスが映っていて
もうOh My God!ってなものです。

総評
 ディスク1では現代プロレス・ファンでも受け入れやすい
 極上の黄金期プロレスを堪能でき、
 ディスク2は軽い気持ちで楽しめる。
 資料的にも優れており最高の一言。
 続編を希望です。
 尚このDVDには通常版と特別版があり
 特別版は豪華な金属ケースがついています。
DVD Rating:★★★★★

注目試合の詳細

①3本勝負:ゴージャス・ジョージvs.ジェシー・ジェームス
  執事がシャネルNo.10をリング中にふきかけている。
  ジェシーが入場。
  執事が絨毯を敷く。
  威風堂々のレコードが鳴り響く中ジョージが入場してくる。
  物も投げつけられる。
  ご持参のネックレスを庶民に施しお辞儀して見せる。
  アナウンサーが前口上。
  ジョージは蘭のように美しい男という異名付きで呼ばれる。
  レフェリーがジョージの身体チェックをしようとする。
  レフェリーはお前なんかが触るなと手を払いのける。
  執事が衣装のボタンを1つづつ外していく。
  ジョージは執事にレフェリーへシャネルNo.10をかけさせる。
  衣装を翼のように広げてチェックさせる。
  ルール確認。
  ジェシーが握手を求めるもジョージは応じない。
  執事がジョージの衣装を恭しく脱がせ受け取る。
  ジョージは試合前の準備体操。
  
  1本目の開始。
  ジョージはリング上で逃げ回る。
  ジェシーが組もうとするもロープ・ブレイクになる。
  ジョージがまたブレイクかと思いきや不意を突いてリスト・ロックいく。
  ジェシーがジョージの髪を掴んでぐちゃぐちゃにする。
  ジョージが怒って拳を大振りしレフェリーにわめき散らす。
  ジェシーはヘッド・ロックを決めるとまた髪をいじくる。
  ジェシーがリスト・ロック。
  ジョージはレッグ・ロックに返すとロープを使って威力を強化する。
  レフェリーに見つかる。
  女性客が髪の事を言うとジョージはエプロンまで飛び出して威嚇。
  ジェシーは戻ってきたジョージの髪を掴むと投げ飛ばす。
  もう1発。
  ジョージは腹に拳を叩き込むとローリング・ヘッド・ロック。
  もう1発。
  そして丸め込み1,2,3!
  ジョージの先取(4分)!

  ジョージが急げと言う。
  ジョージが1本目を先取した事が告げられる。
  早速執事が上がりジョージの汗をぬぐい髪を整える。
  フロリダ産の酸素も供給する。
  十分休憩を取ったジョージが意気揚々と出陣。
  ヘッド・ロックに決め、その状態から拳。
  もう1回。
  スナップ・メアを2発。
  拳。拳。
  ローリング・ヘッド・ロックへ。
  ジェシーが素早く起き上がりヘッド・バッド。
  ヘッド・バッド。
  ドロップ・キックを決める。
  もう1発決めカバー。1,2,3!
  ジェシーが追いつく(1分)!

  今回の休憩タイムはカット。
  ジョージはレフェリーの影でジェシーの脇腹に拳を一発。
  レフェリーには押しただけだと弁明する。
  ジェシーが同じ事をやり返す。
  レフェリーに咎められると押しただけだよと言う。
  これにはジョージも怒る。
  ヘッド・ロックを決めるとロープに押しつける。
  スナップ・メアを決めると体をかぶせてチョーク。
  レフェリーが確認しようとすると
  何もしてないよと言う一方で脚は喉を押さえている。
  レフェリーが見つけジョージを離す。
  ジョージはコーナーに押し込むと拳を押し当てる。
  調子に乗って公然と拳を突き立てるようになる。
  ジェシーが打ち返すとジョージは一回転してダウン。
  ジェシーがスナップ・メアからヘッド・バッド。
  ドロップ・キックから跳び起きる。
  もう1発ドロップ・キックを決めると跳び起きカバー。
  ジョージが髪を掴んでカバーさせない。
  ジェシーがまたカバーにいこうとするもジョージがロープを掴む。
  体勢を入れ替え合う。
  ジェシーが上になると同時にインディアン・デス・ロックに捕らえる。
  ジョージの肩を押し込むがジョージもしぶとく耐える。
  ジェシーが殴りつけて倒すのだがカウント2で返される。
  ジェシーもかけ続けて疲れている。
  肩を押し込もうとするも重心が前に行き過ぎ不安定に。
  すかさずジョージが丸め込み1,2,3!
  ジョージが3本目を取る(6分)!
  ジェシーがレフェリーに嘘だろ、と確認。
  レフェリーはカウント3だと言って解かせる。
  2-1でジョージの勝利!
  

③NWA王座戦、3本勝負:パット・オコーナー(ch)vs.バディ・ロジャース
  試合開始。
  コーナーに追い詰められたロジャースがアッパーカート。
  ストラットを見せる。
  ロジャースはロープに押し込むと脇腹に拳を叩き込む。
  すかさずオコーナーもお返し。
  ロジャースがリスト・ロックを決めダウンさせる。
  オコーナーは跳び起きると取り返そうとする。
  ロジャースが髪を掴んで防ぐ。
  オコーナーがリスト・ロックを決めダウンさせる。
  ロジャースは起き上がると振り飛ばす。
  オコーナーがショルダー・タックルからアーム・ドラッグ。
  腕を捻り上げる。
  ロジャースが半身を起こすもロープに手が届かない。
  何とか起き上がると殴りつける。
  オコーナーがその衝撃を利用してロープに走るとショルダー・ブロック。
  ロープに走る。
  ロジャースがカウンターでパワー・スラム。
  オコーナーはすぐに起き上がるとボディ・スラム。
  アーム・ドラッグに取る。
  ロジャースが起き上がり殴りつけて逃れる。
  オコーナーは再びそれを利用してショルダー・タックル。
  もう1発狙う。
  ロジャースがカウンターで殴りつけ4の字を狙う。
  オコーナーは殴りつけて逃れるとパイル・ドライバーを狙う。
  しかしロジャースが押し込んだためマットには突き刺さらずコーナーにもたれかかる形に。
  ロジャースは離れ際に蹴りつける。
  ロジャースはレフェリーに見えないようにチョーク。
  前に回ってくれば髪を掴み、
  後ろに回ってくればタイツを掴んで倒す。
  チン・ロック。
  オコーナーは起き上がりコーナーに押し込むと殴りつけていく。
  髪を掴んで投げ飛ばしショルダー・タックル。
  もう1発狙う。
  ロジャースがハイ・ニーで迎え撃ち1,2,3!
  ロジャースが先取する(8分)!
  休憩タイムの間、カンガルーのインタビューが挿入される。
  
  2本目の開始。
  ロジャースは組むと殴りつける。
  ロジャースはハンマーロックを決めるとレフェリーの眼を盗みチョーク。
  オコーナーが起き上がれば髪を掴んで倒す。
  オコーナーが起き上がりスナップ・メアに返そうとする。
  ロジャースがロープを掴んで防ぐ。
  オコーナーが半身を起こし拳を構える。
  ロジャースが顔に手を押し当て防ぐ。
  オコーナーは狙いを変え脚を取るとレッグ・ロック。
  ロジャースが蹴り飛ばす。
  オコーナーがショルダー・タックル。
  ロープに走る。
  ロジャースがカウンターでドロップ・キック。
  オコーナーは跳び起きると脚を取りレッグ・ロック。
  ロジャースがオコーナーの顔に手を押し当てる。
  オコーナーはたまらず体勢をうつぶせに変えようとする。
  ロジャースはその動きを利用しておおいかぶさる。
  オコーナーはブリッジで起き上がるとヘッド・ロック。
  そしてロジャースのように拳を叩きつける。
  ロジャースは痛みの余りうずくまる。
  オコーナーがヒップ・トス。
  ロジャースがショルダー・タックルを決めロープに走る。
  オコーナーは跳び起きるとオコーナー・ロールで1,2,3!
  これで1対1(7分)!

  3本目の開始。
  ロジャースがストラット。
  オコーナーはヘッド・ロック。
  ロジャースはロープに押し飛ばすと垂直ロープに走る。
  ロジャースがオコーナーの走るロープへ。
  オコーナーが中央で止まり拳を構える。
  ロジャースは寸前で踏みとどまりストラット。
  オコーナーがリスト・ロック。
  ロジャースはロープに押し込むと離れ際に拳を叩き込む。
  オコーナーがやり返して殴りつける。
  ロジャースがショルダー・タックル。
  殴りつけようとするも突進してきたオコーナーと衝突。
  両者ダウン。
  オコーナーがパイル・ドライバーを狙う。
  ロジャースがロープに押し込むとロープの間を通りエプロンに転落。
  両者リングに戻る。
  オコーナーが髪を掴んで投げ飛ばす。
  ロジャースがショルダー・タックル。
  オコーナーは跳び起きるとボディ・スラム。
  もう1発。
  カバーするもロジャースの脚がロープにかかる。
  オコーナーが拳を叩き込む。
  ロジャースはたまらず命乞い。
  ロジャースは許さず投げ飛ばすとボディ・スラム。
  カバーするもまたロープに脚がかかる。
  ロジャースは時間を稼いでいる。
  オコーナーが拳。
  胸にパンチを決めるとロジャースがダウン。
  オコーナーが拳。
  ターン・バックルに叩きつける。
  もう1回。 
  そして別のコーナーに持って行き叩きつける。
  もう1回。
  ロジャースは頭を押さえて崩れ落ちる。
  オコーナーが拳。
  ロジャースも打ち返すもふらふら。
  オコーナーが打ち勝ってダウンさせカバーするもまたロープに脚がかかる。
  オコーナーがヒップ・トスからドロップ・キック。
  もう1発狙う。
  ロジャースが避けるとオコーナーはロープにぶつかり自爆。
  ロジャースが何とかカバーにいき1,2,3!
  ロジャースが新チャンピオンに(7分)!

試合結果

①3本勝負:ゴージャス・ジョージvs.ジェシー・ジェームス(2-1)
②キラー・コワルスキーvs.エドワード・カーペンティア(15分時間切れ)
③NWA王座戦、3本勝負:パット・オコーナー(ch)vs.バディ・ロジャース(新チャンピオン!)(2-1)(6/30/61)
①ケージ・マッチ:ジェリー・ロウラーvs.ランディ・サベージ(DQ)
②デトロイト・バトル・ロイヤル1980(勝者:ボボ・ブラジル)
プリンセス・リトル・ドーヴvs.ダイアモンド・リル
④ヘイスタックス・カルフーンvs. キラー・ブルックス(カウントアウト)
ディック・ザ・ブルーザー、クラッシャー、リトル・ブルーザーvs.ボビー・ヒーナン、ブラックジャック・ランザ、ブラックジャック・マリガン