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French Catch:Best of Frence Catch 1972の分析


名勝負 なし
好勝負 3本勝負:レネ・ベン・チモール、ウォルター・ボルデスvs.ゴールデン・ファルコンズ(5/13/72)

ハンディキャップ・マッチ:ギルバート・ルダック、ジャッキー・コーンvs.ダー・ヘンカー(7/5/72)

スーパー・ライト級王座戦:ミシェル・サルニールvs.ガイ・リナウト(10/9/72)

@3本勝負:レネ・ベン・チモール、ウォルター・ボルデスvs.ゴールデン・ファルコンズ(5/13/72)
 縦横無尽に動きつつ立体性ある動きも織り交ぜられます。
 テンポ感も良いですね。

 チモール、ボルデスが華やかなムーブの放ち手になりますが、
 ファルコンズもやられている中で、
 弱さを感じさせない受けをしているのが良いですね。

 マスクマンで元々ミステリアスな所に
 そういう受け流すような受けっぷりを見せられると
 不死身なのか!?、という雰囲気感が出て素晴らしい。

 孤立にはこだわらずとも
 陣地を意識しながら主導権の均衡を崩し、
 じわりじわりと観客の熱を高めていきます。

 ファルコンズが荒っぽい打撃で煽りながら先取。
 ファルコンズは場が良く見えていて
 昨年からの成長を感じさせましたね。

 2本目はチモール、ボルデスがリベンジで暴れまわりますが、
 チモールの体のバネは相変わらず異常でしたね。

 3本目は端的に。
 フィニッシュがちょっとグダついてましたが、エンタメな内容で
 昨年の内容を上回るレベルになっています。

 ぎりぎり好勝負。

Aスイミング・プール・マッチ、3本勝負:ビリー・カタンザロ、ピエール・バーナートvs.ミスター・モントリール、ヴァシリオス・マントポラス(6/5/72)
 当時たまに行われていたプールにリングを設置した形式です。

 レスラーがリングの中で移動するだけで揺れるし、
 プールのせいで観客とリングの距離が遠いし、デメリットは多いですね。

 何よりレスラー自身酔いそうな形式です。

 しかし彼らはアクションを控えめにすることもなく、
 フレンチ・キャッチの王道を行くアクションを見せてくれます。

 そしてこの形式の唯一のメリット、
 場外転落=プール落下でインパクト大、というのを活かした
 バーナートの落ちそうで落ちない見せ場作り、構成は上手かったですね。

 カタンザロとの仲間割れはしないものの
 白けた空気感の表現と過良かった。 

 現代的な見方をするならばプール落下を
 復帰まで時間がかかるのでセコンドがカットできない、といった
 戦略性まで落とし込んで欲しい所だがそれは無理な要求か。

 また余りにワンサイドでヒールがやられるのも勿体なかったですね。
 これだとバーナートとカタンザロ両方がプールに落下する所が最高潮になるので、
 その後のフィニッシュまでの時間は正直冗長でした。

 平均的な良試合。

Bハンディキャップ・マッチ:ギルバート・ルダック、ジャッキー・コーンvs.ダー・ヘンカー(7/5/72)
 それぞれシングルでも激突していますが、
 今回はハンディキャップ・マッチでの対決。

 現代のアメプロの文脈だと怪物の売り出しにフェイスがスカッシュされたり、
 フェイス/ヒール逆なら2人の方がズルをして煽る形式になりますが、
 当時のフランスにそういう感覚はありません。

 強大なヘンカーの売り出しは多少あるものの
 単純にヘンカーvs.ルダック、ヘンカーvs.コーンを1試合で同時に観れたら最高では、という考えでしょうね。
 そして実際にキャッチ・ベースのルダックと打撃ベースのコーンの両方を見れるのは贅沢な幸せです。
 
 ヘンカーがコーンのクロス・ボディをキャッチして場外に投げ捨て、鉄柱にぶつけるとコーンが流血。
 更にツームストンまで食らったコーンはバック・ステージに運ばれていく、当時としては珍しい展開に。

 この時のKO寸前に追い込まれる様を表現しつつも
 ちゃんとタッチしてルール順守にも気を使っていたのは素晴らしかった。

 コーンを心配して当時の熱い観客がリングサイドに駆けつけるなど会場はヒート・アップ。
 そこにレフェリーがヘンカー寄りの裁定をするので盛り上がりましたね。

 1対1になっただけなのですが、強大なヘンカーの前にルダックはふらふら。

 そこに戻ってきたコーンが情熱的な反撃でボルテージを高めます。

 ここで2人いることの意味合いをレフェリーの妨害阻止に繋げたのがまた、にくかったですね。

 フェイスの方が多い2対1の描き方としては最高でした。

 ドラマチックな内容なので最後は正直時間切れよりもフェイス勝利にした方が
 絵になっていましたが、それは些細なことです。

 この年のMOTY候補です。

 文句なしに好勝負。
 (執筆日:5/?/22)

Cスーパー・ライト級王座戦:ミシェル・サルニールvs.ガイ・リナウト(10/9/72)
 スタンディングとグラウンドを交互に行うレスリングの基本形。

 特殊なことなしの基本形の中に2人のアスリートとしての身体能力、
 レスリング・テクニックが詰まっています。

 その俊敏性、立体感足るや。

 一方で能力、技術のひけらかしでもなく、
 そこにはこの2人が手合わせすることによる
 ハーモニーが奏でられています。

 打撃比重増して、ダウンカウントでリズム付けて、と戦略的な試合変容も適切。

 フェイス実力者同士らしい技巧戦でした。

 ハイ・スポット控えめにレスリングの範疇内でまとめたので、
 クライマックスだけ地味ですが、MOTY候補に入ってくる内容です。

 文句なしに好勝負。
 (執筆日:1/?/23)


注目試合の詳細

なし

試合結果

@3本勝負:レネ・ベン・チモール、ウォルター・ボルデスvs.ゴールデン・ファルコンズ(2-1)(5/13/72)
Aスイミング・プール・マッチ、3本勝負:ビリー・カタンザロ、ピエール・バーナートvs.ミスター・モントリール、ヴァシリオス・マントポラス(2-0)(6/5/72)
Bハンディキャップ・マッチ:ギルバート・ルダック、ジャッキー・コーンvs.ダー・ヘンカー(30分時間切れ)(7/5/72)