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RINGS:Best of RINGS 1998の分析


名勝負 田村潔司vs.阪剛(6/27/98)
好勝負 メガ・バトル・トーナメント決勝:田村潔司vs.イリューヒン・ミーシャ(1/21/98)

ヴォルク・ハンvs.阪剛(5/29/98)

田村潔司vs.山本宜久(9/21/98)

@メガ・バトル・トーナメント決勝:田村潔司vs.イリューヒン・ミーシャ(1/21/98)
 ミーシャはパワーで勝るところを見せつけ、
 田村は鋭いタイミングでの切り返しで対抗する。
 はっきりと色分けされていますね。
 そのため相手の土俵で対抗する場面がないので
 田村vs.ハンなどに比べると一瞬一瞬の密度は高くない。
 田村自身がリアルさの追求の中で
 華麗なポジショニングを敢えて行なわない方向に走ったことも一因です。
 その一方で相手の技に対する表現は幅広くなり、
 田村が打撃で戦局を切り開くも
 サブミッションで着実にポイント差をつけられ、
 しかしそんな苦境にもサブミッションで真っ向から勝負していく、という
 ドラマチックな展開を魅力的に描き出すことに成功しています。
 20分弱というRINGSにしては長い試合時間に適した内容でした。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:?/?/13)

Aイリューヒン・ミーシャvs.金原弘光(3/28/98)
 ミーシャの仕掛けを半分受けつつ別の形にも持って行く
 金原のテクニックに惚れ惚れしますね。
 ショーっぽさを排しつつ自在に攻防を演出します。
 
 金原の硬いプロレスに
 ミーシャもちゃんとついていって
 機会を与えられているだけのパフォーマンスを見せます。

 ただ決め手の精度、質にやや欠ける所があり、
 攻防の演出にまで十分気が回らず
 必死にやることにエネルギーを必要以上に持って行かれている印象です。

 好勝負に届かずも中々良い試合。
 (執筆日:4/?/22)

Bヴォルク・ハンvs.阪剛(5/29/98)
 ハンは鮮烈なサブミッションでギブ・アップを、
 阪は打撃によりKOを狙っていく。
 序盤から自分の強みを明らかにすると同時に、
 相手を理解し相互の見せ場も生み出しています。
 前回に比べ阪の総合力の向上を実感させる戦いですね。
 終盤は一気にヒート・アップさせて阪がハンからタップを奪いました。
 しかしリアル路線を突き進む中、
 時代に置いていかれそうになっていたのでしょう。
 ハンはタップ後すぐにそれまでの試合が何でもなかったかのように振る舞い、
 阪が去った後、子供を肩車してみせる始末。
 そのためにシュート・プロレスの一つの魅力である
 決着の余韻が大きく削られたのが残念です。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:?/?/13)

C坂田亘vs.金原弘光(6/20/98)
 テクニカルな動きをベースにしつつも
 力で無理やり倒したり、逃れようとすることで
 その凄みが強調されていますね。

 同門対決ではない緊張感も拍車をかけています。
 
 2ラウンド目に入り金原がブレイク時に蹴ってしまったことで苦笑い。
 そこで観客の空気も弛緩してしまいましたが、
 そこに即座に切り込んだ一瞬のフィニッシュはかえって衝撃的でした。

 長くない試合時間ですが金原の魅力が詰まった内容です。

 平均的な良試合。
 (執筆日:4/?/22)

D田村潔司vs.阪剛(6/27/98)
 阪は蹴りを抑え、レスリングを本筋に据え、
 田村と技術の真髄を競い合いました。
 田村も2年前のような華麗な変幻を捨て、
 ゆったりと体勢を整えてから
 目にも留まらない鋭さで切り込むスタイルで臨んでいます。
 一撃性に拘らずじっくりと魅せ、
 初めてロスト・ポイントとなったのは13分。
 一般的なRINGSの1試合相当の時間です。
 それだけかけて深く深く底に潜った。
 そこからはロスト・ポイントによるストーリー・テリング。
 田村が連続でロープ・ブレイクを行い2ポイント失います。
 その差を打撃ラッシュで詰め3-3の同点にする展開です。
 シュート・プロレスにおいて
 ポイントが必ずしも戦局を反映せず
 大雑把にポイント差をつけることで展開して見せるのですが
 この試合は1ポイント一つ一つで芳醇に語り上げています。
 またロープ・ブレイク(-1ポイント)とダウンの(-2ポイント)の
 ロスト・ポイント差も上手く使われていることも特筆すべきことです。
 阪が打撃を嫌い距離を詰めたところで
 田村がかつての華麗なポジショニングを見せ、
 目の前に映っていることだけが戦いの全てではないことを再認識させます。
 ロスト・ポイント通り同格として相対する中、
 疲労感を滲ませながらポイントを削りあう素晴らしい攻防。
 そしてクライマックスでは時間切れ(判定決着)が迫る中で
 ギブ・アップよりもロスト・ポイントに焦点が映り、
 ロープ・ブレイクさえ許されない更に過酷な戦いへと発展しました。
 UWFのような特殊なスタイルではなくシュートそのものをスタイルとしながらも、
 最高の構成、展開で極上の技術を最大限に輝かせた
 シュート・プロレス史上No.1に君臨する試合です。
 この試合の存在はMMAを殺し得る。
 歴史的名勝負。
 (執筆日:?/?/13)

Eイリューヒン・ミーシャvs.阪剛(9/21/98)
 ミーシャは下半身を上手く使ったグラウンド。

 坂も動きを持たせて変化を与えつつも
 一方で抑制を利かせていて
 かなりの質の高さに仕上がっていますね。

 ただ高値安定であるが故にもう少し遊びがあっても良かったですね。

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:4/?/22)

F田村潔司vs.山本宜久(9/21/98)
 1年9か月ぶりの再戦。

 日本人TOP4対決ならではの
 純度の高い鬩ぎ合いが見られます。
 隙を見せたらやられる、という緊張感がありますね。

 TOP4といいつつも田村が頭一つ抜けている格付け。
 その中で山本が先にダウンを奪う流れで
 狙い通りどよめきを生み観客の興味を引きましたね。

 山本の攻めの鋭さは田村を追い込むに値するものです。

 田村も雰囲気に合わせつつラフ要素と魅せる要素を
 上手くミックスさせていきました。

 残り1ポイント、田村がダウンすれば負けという所までいって
 最後のクライマックスを演出しました。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:4/?/22)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@メガ・バトル・トーナメント決勝:田村潔司(優勝!)vs.イリューヒン・ミーシャ(1/21/98)
Aイリューヒン・ミーシャvs.金原弘光(3/28/98)
Bヴォルク・ハンvs.高阪剛(5/29/98)
C坂田亘vs.金原弘光(6/20/98)
D田村潔司vs.阪剛(30分時間切れ)(6/27/98)
Eイリューヒン・ミーシャvs.阪剛(9/21/98)
F田村潔司vs.山本宜久(9/21/98)