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JTO:Best of JTO 2022の分析


名勝負 エル・デスペラードvs.葛西純(9/12/22)
好勝負 タイチvs.DOUKI(1/10/22)

葛西純、本間朋晃vs.鈴木軍(DOUKI、エル・デスペラード)(5/6/22)

@タイチvs.DOUKI(1/10/22)
 DOUKIがトペを仕掛け、そこから首攻め。
 レスラーのキャラ、スタイルとしては弱いが
 間違ったことはせず試合運びは安定していますね。

 タイチはDOUKIの攻めを受け止めつつ
 ヘビー級の重さ打ちつけるバランス感覚を見せます。

 敢えて外していつもより間を置く試合運びも狙い通りの作用を生み出しています。

 DOUKIがこれまでの歴史を振り返る技を使い、
 試合にプライベート感を加えましたね。

 それによりDOUKIの等身大の足りない部分がドラマに転じました。

 今のタイチの度量とスキルが引っ張り予想以上の内容になりました。

 ぎりぎり好勝負。

A葛西純、本間朋晃vs.鈴木軍(DOUKI、エル・デスペラード)(5/6/22)
 開始時の不意打ちからエッセンスを散りばめながらも
 それが単なる並列的なネタに終わらず
 細い糸で有機的につながっています。

 葛西と本間の凶器の使い方、織り交ぜ方は
 地味ですが物凄く上手いですね。

 鈴木軍もメイク・ドラマの方法を良く知っています。

 隠れ主人公属性を持つDOUKIを葛西が抜群のアピール力で引き上げていきます。

 ニア・フォールとか連携技の物量とか
 そういう即物的なものが標準値でもここまで印象的な試合が生み出されるのだから面白いですね。

 文句なしに好勝負。

B舞華、MIRAI vs.Aoi、稲葉ともか(9/12/22)
 同期であったり、ゴッズアイの同メンバーであったりと様々な関係ありつつも
 今後伸びていく、伸びていかないといけない若手に位置する4人。

 それぞれ強く相手を意識しながら
 良い意味での仲間意識もあり連帯感を持って試合を作ることが出来ています。

 今回の場所ではアウェイに位置する舞華、MIRAIの振る舞いも良かった。

 ニア・フォール合戦は深みの見せ方という点で物足りなさがあったものの
 予想以上の内容でセカンドMOTNとなりました。

 好勝負に少し届かず。

Cエル・デスペラードvs.葛西純(9/12/22)
 3年ぶりの再戦。
 握手を交わすと中指を立て合いストーリーの住人としての身振り。
 これまでのセッティングの流れをしっかり意識していますね。

 葛西がデスペのマスクを引き裂くと
 デスペの顔がほぼ全て見える状況。
 メキシコでは意外にありますが、
 日本では中々考えにくい異常事態で、
 デスペ人気が生の実感を持って表出する起爆剤になりました。

 葛西はこういう特別な雰囲気にも動じず楽しむ度胸があり流石のレジェンド。

 デスペもデス・マッチ・アイテムを見事に使いこなし、
 痛み表現も素晴らしいものがありました。

 攻守のバランスも違えば同じスポットに対する表現も違いますが、
 同じ方向向きながら吸引力高くドラマを作り上げました。

 会場のせいで凶器の種類等が制限されていたか、
 デス・マッチ自体の過激度として
 このドラマ性にふさわしいものがもう少し欲しかったという所はありますが、
 まごうことなくエピック・マッチです。

 試合後の葛西節も熱く、デスペも言葉少ないながらも実感を持った言葉で応えました。

 ぎりぎり名勝負。
(執筆日:9/?/22)