TOP日本のプロレスその他 →大日本プロレス:ロミオVSジュリエット 10/1/09

大日本プロレス:ロミオVSジュリエット 10/1/09 の分析


名勝負 なし
好勝負 ポイズン・デス・マッチ:ロミオ葛西vs.ジュリエット沼澤

 女と小人がオープニング・ソングを奏でる。

 キャビレット大日本と、そこから分裂したモンタギュー・プロレスの抗争。
 キャビレットが時代の流れに沿い正統派に転換したのに反感を持った
 ラフ・ファイト系の連中がモンタギューに分派したという設定。

第1幕-Young Blood 殴りこみプロレス
 モンタギューの挑発にキャビレットがのり第1試合へ。
@ステファノ河合、サムソン石川、グレゴリー岡林vs.バルサザー竹林、エイブラハム・イサミ、モンタギュー勘九郎
 試合だけではやや不十分だが演劇部分の補佐を受けて
 スタイルの対比を軽快に語ったオープニングです。
 悪くない試合。

 役人の登場。
 これ以上血を流すならデス・マッチ禁止法を制定するぞ、と警告を発す。
 

第2幕-パリステイオーの舞踏会
 パリスはジュリエット沼澤をタッグ・パートナーに迎え入れ、披露試合へ。
 いつも通りパリスは喋りが上手く貴族的にアレンジして対応してましたね。

Aヘラクレス千賀、ツトム・オースギvs.ジュリエット沼澤、パリス・テイオー
 テクニックとスピードを売りとして掲げているだけに
 それを見せるにふさわしい相手でしたね。
 ジュリエットのアンニュイな気分も表現されています。
 あっさり気味だったので、ロミオが絡むなど
 もう少しふくらませても良かった気はしますね。
 平均レベル。

 奥で見ていたロミオ葛西がリングに上がるもパリスが侮辱し追い払う。
 後を追おうとするジュリエットをパリスが引き止める。


第3幕-月夜のCrazy Guys
 城から抜け出したジュリエットを乳母がパリスの下に戻るよう諭す。
 バルコニー(スカフォード)にロミオが登場。
 2人はお互いの存在に気づかぬまま相手への思いを語る。


第4幕-ちゃんこロレンス
 ロミオはバーに訪れる。
 バーの店主、小鹿はある毒にまつわる話を聞かせる。
 プロレスはポイズン〜♪、と微妙且つカオスすぎるミュージカル・ソングを挟む。
 同じ色の毒を飲めばどちらかが死ぬまでタッグ・パートナーになり、
 違う色の毒を飲めばどちらかが死ぬまでデス・マッチで戦い続けるのだという。

Bティボルト関本、アンジェリカ小林、キャビレットWXvs.ベンボーリオ宮本、アンソニー伊東、マキューシオ佐々木
 モンタギューとキャビレットの主力激突だが
 ロミオもジュリエットも関係ないので試合の意味合いが不鮮明なままスタート。
 主力対決が思った程見所がなかったり、
 モンタギュー軍のローテーションが遅すぎたりと低調な内容です。
 少し悪い試合。

 試合後ロミオが現われハサミを持って突進。
 しかしかわされた事で佐々木に誤爆、刺殺してしまう。
 役人が現われロミオを追放処分とする。
 ロミオはジュリエットの名を叫びながら連行される。 
 ここらへんの展開は試合と繋げて展開させるべきでした。


第5幕-死の贈り物
 ジュリエットの死(?)から幕開け。
 役者とあって前幕とは一味も二味も違う上質なミュージカル・ソングが流れる。
 パリスが現われ、昔の男が忘れられないやつなんてごめんだ、と
 チェインソウの花束をジュリエットに押し当てようとする。
 そこに魔界の郵便配達員が登場。

C郵便配達員vs.アンジェリーカ小林
 郵便配達員の長い腕を使った(KBBっぽいな)カオスな戦いが繰り広げられます。
 遊びが入った後、何故かレフェリー攻撃で幕。
 意味不明だが面白かった。
 悪くない試合、いや試合なのか?。

 判子を押すと配達員は素直に退場。
 荷物の中身はロミオ。
 ジュリエットが起き上がり2人は語る。
 ロミオは緑色の毒を飲む。
 緑と赤の毒を差し出され選択を迫られるジュリエット。
 乳母が緑を飲んでタッグ・パートナーになるよう説得する。
 パリスは自分には関係ない事だといって退場。
 ジュリエットは赤色の毒を飲む。


最終章-Love of Madness
Dポイズン・デス・マッチ:ロミオ葛西vs.ジュリエット沼澤
 序盤はやや低調に見えました。
 蛍光灯へのぶつけ方が弱いし、象徴的なバルコニー・ダイブが早くも繰り出されましたからね。
 しかし会場故の観客への気遣いがあったのでしょうし、
 バルコニー・ダイブも計3回繰り出されるので
 後々から見ればそんなに早すぎではありません。
 初見の客の度肝を抜く事もできますしね。
 相変わらずバルコニー攻撃へのダメージ表現が弱いですが
 運びのテンポ、微妙な変化づけは良いし、
 2人の強い関係性を見せる攻防、動きが適所に入っていて構築も中々の物です。
 フィニッシュ・ムーブはもう少しゆっくり見せてから持っていくべきでしたけどね。
 試合だけでいうと中々良い試合ぐらいで物足りないですが
 大会の構成上ストーリーによるボーナス・ポイントが重いですからね。
 更に試合後の、ピアノの伴奏をバックに繰り出されるロミオの言葉が駄目押しします。
 葛西は極めて俗っぽい範疇にありながら
 心を伝える自分だけの言葉を持っていますね。
 本家にも劣らない言葉のマジックが
 ロミオと葛西をシンクロさせ同一化させます。
 一方でジュリエットはその仮面を脱いでしまいますが
 ロミオはその仮面をジュリエットにかぶせ直すと口づけでこの劇の幕を閉じます。
 それは試合の最初に行われた口づけよりも豊かな情感を伴っていて、
 偏愛にして純愛の物語がしかるべく語られた事を証明しています。
 この肉体を伴った言葉の美しさは演劇では得られないでしょう。
 大会通して見る、という条件はつくが、ぎりぎり好勝負。

総評
 モンタギュー、キャビレット、役人の3者の関係はやや消
化不良だし
 毒という言葉で語られた矜持には大日が縛られている部分を感じる。
 しかし斬新な大会構成は、
 実質的に独立していた試合とストーリーを結びつけ1つにするという成功を見たし、
 そこには大日が更なる成長を遂げる可能性がありました。
 このまま毎年続けて欲しい、いやむしろ年に数回やって欲しくなるような
 すこぶる満足度の高い大会でした。
 最後にメイン終了後のロミオとジュリエットの語り前文をのせて総評を終える。

  (ロミオ、マイクを取る)
  ・ロミオ
  おい、ジュリエット。
  ジュリエット。
  (ピアノの伴奏開始)
  聞こえてるか、おい。
  (ジュリエット、動かない)
  まさか、ほんとに地獄いっちまったんじゃないだろうな、おい。
  おい、えっ。
  おい、ジュリエットよ。
  久しぶりに今日は楽しかったよ。
  俺らよ、プロレスラーとしては不器用で、器用じゃなくて・・・
  上手いレスラーとはいえねぇけどよ、
  でもよ、デス・マッチにかけちゃあ俺ら二人、
  デス・マッチの情熱にかけちゃあ誰にも負けてねえよな。
  沼ッチ、やっぱりよ。
  デス・マッチってのは1人で狂っていてもつまんねぇ、
  一緒に狂える相手と、狂えるリングがなきゃあやっぱつまんねぇよな。
  この2つがなけりゃ俺ッチも、ただの子煩悩なパパだ。
  おい、ジュリエットよ。
  俺ら二人。
  正直言って顔も不細工だ。
  一般社会に出りゃあよお、できそこないの部類に入るかもしれねえ。
  でもよぉ、デス・マッチっていう分野ではよ。
  俺ら思いっきり狂えるし、思いっきり輝けるんだよ。
  やっぱ俺ら2人からよ、デス・マッチ取ったら何も残んねえんだよ。
  おい、ジュリエット。
  今日やってみて分かったよ。
  俺ッチよお、今までいろんな奴と組んできたけど
  やっぱり俺ッチがロミオで沼ッチがジュリエットだ。
  沼ッチ、正直言って・・・
  俺ッチ。
  ・・・(ロミオ慟哭) 
  後何年できるかわかんねぇけど。
  それまで一緒に狂ってくれ。
  ジュリエット。
  (その言葉に応えるようにジュリエットが起き上がる)
  (ジュリエット、マイクを受け取る)

  ・ジュリエット
  葛西氏。
  葛西氏。
  後何年できるとかそんな事考えない。
  俺は今日、ロミオとジュリエットという話抜きで、
  抜きでも葛西氏と戦えてよかった。
  後何年できるかとか言わないでくれ。
  俺は今日死んでもいいと思った。
  今度の試合で死んでもいい。
  それぐらい命をかけてやってる。
  勿論葛西氏だってそうだ。
  分かってる。
  だから葛西氏といっぱい狂える。
  だから葛西氏と命をかけて後悔のない試合ができる。
  今日もそうでした。
  ありがとうございました。
  (そう言ってジュリエットはひざまずく)
  (ロミオ、マイクを取る)

  ・ロミオ
  おい、沼ッチよぉ。
  俺ッチの泣きまねに引っかかるんじゃねぇよ。
  やっぱりよ。
  今日はロミオとジュリエットなんだよ。 
  最後はこれで締めようじゃねぇかよ。
  ジュリエット。
  (2人は抱き合い長い口づけを交わす)
  (両者腕を上げる)
  (ロミオはリングを下りると観客とタッチをかわしていく)
  (ジュリエット退場)
  (ロミオ退場) 

  ・アナウンス
  以上をもちまして本日の公演全て終了です。
  以上をもちまして本日の公演全て終了です。
  最後まで観戦くださいまして本当にありがとうございました。
  以上をもちまして本日の公演全て終了です。
  (観客から拍手)
  (執筆日:12/22/09)
DVD Rating:★★★☆☆

注目試合の詳細

Dポイズン・デス・マッチ:ロミオ葛西vs.ジュリエット沼澤
  組むとキス。
  離れる。
  蛍光灯を手にする。
  ロミオが蛍光灯を振りジュリエットが頭を出して受ける。
  ジュリエットが蛍光灯を振りロミオが頭を出して受ける。
  両者蛍光灯2本を手にする。
  お互い同じように打ち受ける。
  再び2本取り打ちつける。
  ロミオが蹴りを入れボディ・スラム。
  蛍光灯を数本おきボディ・スラム。
  蛍光灯を数本持ちたたきつけようとする。
  ジュリエットは受け止めるとその数本をロミオの頭に当てヘッド・バッド。
  割れなかったのでもう1発。
  蛍光灯2本持ち順番に6回打ちつける。
  蛍光灯を額に押し当てる。
  蛍光灯を数本おきロシアン・レッグ・スイープ。
  カバーするもカウント2。
  クローズラインへ。
  ロミオが受け止めDDT。
  コーナーの十字架蛍光灯に振ってぶつける。
  場外に下りテーブルを立てる。
  テーブルにジュリエットをのせると椅子を叩きつける。
  コーナーにのぼる。
  そこからバルコニー(スカフォード)にのぼる。
  そしてテーブルの沼澤へのダイブ。
  椅子を数脚取り出しリングに入れる。
  ジュリエットをリングに戻す。
  愛してるぜ、といいテーブルの破片を叩きつける。
  吼えたジュリエットに2発目。
  吼えたジュリエットに3発目。
  カバーするもカウント2。
  ターン・バックルにぶつけ噛みつく。
  コーナーに振りスピアー。
  蛍光灯入れへのブレーン・バスター。
  カバーするもカウント2。
  椅子を立て座る。
  こんなものか、狂い足りないぞ、とジュリエットに声をかける。
  ジュリエットがヘッド・バッド。
  ロミオは立ち上がるとヘッド・バッド。
  ヘッド・バッドの打ち合い。
  ロミオが蹴りを入れ立てた椅子へのブレーン・バスター。
  カバーするもカウント2。
  蛍光灯数本を置く。
  ロミオがジュリエットの胸に張り手。
  張り手の打ち合い。
  ロミオがサミングを決め蛍光灯へのジャーマン。カウント2。
  バルコニーを指さす。
  ゴーグルを手にしてコーナーに上がる。
  ジュリエットは画鋲が入った容器を手にすると自ら浴びる。
  ロミオの後を追いバルコニーへ。
  張り手の打ち合い。
  顔を引っ掻きあう。
  立ち上がる。
  それぞれ場外に落とそうとする。
  ニーで防ぐ。
  ジュリエットがロミオにリングへのブレーン・バスター。
  ジュリエットがクローズラインへ。
  ロミオはよけるとジャーマン。
  ジュリエットは吼えて起き上がるとジャーマン。
  ジュリエットはキチガイ・コールを起こすと突進。
  ロミオはカウンターで蹴りを入れ延髄切り。
  俺の方がキチガイだ、と言ってダブル・アーム・フェイス・バスターを狙う。
  ジュリエットが体勢を入れ替えダブル・アーム・フェイス・バスター。
  ロミオをコーナーにのせてからパワー・ボム。
  カウント2。
  ボディ・スラム。
  蛍光灯簾をロミオの上にのせる。
  スワントーン・ボム。
  カバーにいくがカウント2。
  担ぐ。
  ロミオが逃れバックをとる。
  バックの取り合い。
  ジュリエットがロー・ブロー。
  ロープに走る。
  ロミオが同ロープに走りクローズライン。
  キチガイ・コールを起こすと蛍光灯を手にする。
  割るとその切り口で自らの胸を切り裂く。
  ジュリエットもまた腹を切り裂く。
  両者突進しクローズライン相打ち。
  もう1度狙い相打ち。
  ジュリエットがクローズラインを決める。
  蛍光灯簾を持って突進。
  ロミオがカウンターでドロップ・キック。
  蛍光灯簾へのダブル・アーム・フェイス・バスター。
  カバーするもカウント2。
  ボディ・スラム。
  蛍光灯束を2つジュリエットの上にのせる。
  キスするとバルコニーにのぼる。
  ゴーグルを装着するとパールハーバー・スプラッシュで1,2,3!
  ロミオの勝利!

  (ロミオ、マイクを取る)
  ・ロミオ
  おい、ジュリエット。
  ジュリエット。
  (ピアノの伴奏開始)
  聞こえてるか、おい。
  (ジュリエット、動かない)
  まさか、ほんとに地獄いっちまったんじゃないだろうな、おい。
  おい、えっ。
  おい、ジュリエットよ。
  久しぶりに今日は楽しかったよ。
  俺らよ、プロレスラーとしては不器用で、器用じゃなくて・・・
  上手いレスラーとはいえねぇけどよ、
  でもよ、デス・マッチにかけちゃあ俺ら二人、
  デス・マッチの情熱にかけちゃあ誰にも負けてねえよな。
  沼ッチ、やっぱりよ。
  デス・マッチってのは1人で狂っていてもつまんねぇ、
  一緒に狂える相手と、狂えるリングがなきゃあやっぱつまんねぇよな。
  この2つがなけりゃ俺ッチも、ただの子煩悩なパパだ。
  おい、ジュリエットよ。
  俺ら二人。
  正直言って顔も不細工だ。
  一般社会に出りゃあよお、できそこないの部類に入るかもしれねえ。
  でもよぉ、デス・マッチっていう分野ではよ。
  俺ら思いっきり狂えるし、思いっきり輝けるんだよ。
  やっぱ俺ら2人からよ、デス・マッチ取ったら何も残んねえんだよ。
  おい、ジュリエット。
  今日やってみて分かったよ。
  俺ッチよお、今までいろんな奴と組んできたけど
  やっぱり俺ッチがロミオで沼ッチがジュリエットだ。
  沼ッチ、正直言って・・・
  俺ッチ。
  ・・・(ロミオ慟哭) 
  後何年できるかわかんねぇけど。
  それまで一緒に狂ってくれ。
  ジュリエット。
  (その言葉に応えるようにジュリエットが起き上がる)
  (ジュリエット、マイクを受け取る)

  ・ジュリエット
  葛西氏。
  葛西氏。
  後何年できるとかそんな事考えない。
  俺は今日、ロミオとジュリエットという話抜きで、
  抜きでも葛西氏と戦えてよかった。
  後何年できるかとか言わないでくれ。
  俺は今日死んでもいいと思った。
  今度の試合で死んでもいい。
  それぐらい命をかけてやってる。
  勿論葛西氏だってそうだ。
  分かってる。
  だから葛西氏といっぱい狂える。
  だから葛西氏と命をかけて後悔のない試合ができる。
  今日もそうでした。
  ありがとうございました。
  (そう言ってジュリエットはひざまずく)
  (ロミオ、マイクを取る)

  ・ロミオ
  おい、沼ッチよぉ。
  俺ッチの泣きまねに引っかかるんじゃねぇよ。
  やっぱりよ。
  今日はロミオとジュリエットなんだよ。 
  最後はこれで締めようじゃねぇかよ。
  ジュリエット。
  (2人は抱き合い長い口づけを交わす)
  (両者腕を上げる)
  (ロミオはリングを下りると観客とタッチをかわしていく)
  (ジュリエット退場)
  (ロミオ退場) 

  ・アナウンス
  以上をもちまして本日の公演全て終了です。
  以上をもちまして本日の公演全て終了です。
  最後まで観戦くださいまして本当にありがとうございました。
  以上をもちまして本日の公演全て終了です。
  (観客から拍手)

試合結果

@ステファノ河合、サムソン石川、グレゴリー岡林vs.バルサザー竹林、エイブラハム・イサミ、モンタギュー勘九郎
Aヘラクレス千賀、ツトム・オースギvs.ジュリエット沼澤、パリス・テイオー
Bティボルト関本、アンジェリカ小林、キャビレットWXvs.ベンボーリオ宮本、アンソニー伊東、マキューシオ佐々木
C郵便配達員vs.アンジェリーカ小林
Dポイズン・デス・マッチ:ロミオ葛西vs.ジュリエット沼澤