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Noah:Best of Noah 2022 part.5の分析


名勝負 ザ・ファイナル武藤カウントダウン:武藤敬司vs.清宮海斗(7/16/22)
好勝負 なし

@GHCヘビー級王座戦:潮崎豪(ch)vs.小島聡(6/12/22)
 小島のやれること、やっていることの範疇では
 かなり緊密で大一番に合わせて仕上げてきた印象。

 潮崎が特異さを排除してオーソドックスに応対して
 やりやすい環境づくりを意識していましたね。

 場外、エプロンを使って構成も良いですね。

 小島は投げる時も投げられる時も高さは足りず身体能力の衰えは否めませんが、
 潮崎が単純に張り合い、一進一退の理に落とし込まず
 一つ一つ丁寧に調整していましたね。

 終盤はラリアット中心にまとまっていました。

 メインとしては合格点ですが、
 今の小島が出来ること全てやって頭打ちになっているので、
 これ以上は望めそうにない、という点で未来は余り見えない…。

 中々良い試合。

Aザ・ファイナル武藤カウントダウン:武藤敬司vs.清宮海斗(7/16/22)
 武藤の引退ロード第1戦。
 現在、一番意味あるカードをいきなり切る形ですが、
 このカードは清宮0-3で勝敗が重要なだけに不文律が強くなる最終戦でなくて逆に良かったかもしれませんね。

 試合は最初、じっくりとしたレスリング。
 展開自体は2戦目の光景と被りますが、
 その時はじっくりグラウンド=王道とか玄人には分かる的な
 見る側の勝手な解釈に依存していたものでしたが、
 今回は2人の間、観客との間の呼吸合わせの時間として機能していましたね。

 清宮がドラスクを踏ん張って防いで腕攻め。
 1戦目の成功体験を活かす形ですが、
 老齢の武藤に対してこれしかない、という”受動的”対応策であることを
 受け入れて割り切って完成度を高めましたね。

 フラッシング・エルボーをパクることで
 その腕攻めを武藤の脚攻めに対比するものという位置づけから
 武藤のスタイルのフォロワーとして郷愁を感じさせる情感豊かなものに昇華しました。

 ドラスクを悉く防いでいく展開もお馴染みですが、
 この天丼の攻防って筋書きとしても良いですが、
 やっぱりリアルな見え方としてタイミングの精度で
 その見栄えはかなり変わってきます。
 最後の手合わせとして集中力が最高に高まっていて
 見事なタイミングになっていました。

 武藤の脚攻めが成功してからも
 ロープ・ワークが出来ず崩れ落ちる清宮の表現に痺れましたね。

 攻防の間の調整としても上手く、
 これだけやってくれると武藤も自分のスタイルに集中できます。
 変に気を散らすことなく必要なポイントに集中。
 武藤だけでは意味が不十分な間も清宮の繊細な調整で完成体となります。

 清宮が花道からロープ越しに飛び込む膝へのエルボー・スイシーダ→4の字も
 この試合の特別性にふさわしいスポットです。

 中盤〜終盤にかけてのテンポ切り替えは
 どうしても武藤に出来ない領域に関わってくる部分なので限界を感じるものの
 引退ロードというシチュエーションは普通では決まらないという共犯的理解があるので、
 定番のニア・フォールはむしろ不要で、逆に功を奏しています。

 王座戦が微妙だったように武藤のコンディションは
 いつ思惑を壊してしまうかも分からない時限爆弾でしたが、
 良く踏みとどまってこのタイミングでこの4戦目を実現させたな、と
 終わってみれば感じる内容でしたね。

 最後の清宮の4の字に対し、一般的な痛がる表現を抑えて、
 OKギブ・アップと声を出す負け方はナルシスト過ぎますが、
 これからのプロレス界を担う清宮に伝承するだけに終わらせない所は
 最高に武藤らしいエゴで単なる名場面以上の試合の締めくくりでした。

 ぎりぎり名勝負。

BGHCヘビー級王座戦:小島聡(ch)vs.拳王(7/16/22)
 ベーシックながら丁寧にやりとり。

 小島は衰えを隠せませんが、
 自分より体格で上回っていることに対して拳王が上手く配慮を利かせています。

 小島もその配慮を受けつつも、甘んじず、構成力で貢献していたので
 観る前は余り期待していなかったのですが、好感度高く、
 観ている内に移入感高まっていきましたね。

 無視できない課題がある中で、構築としてベストな方策を取っているのに
 表面的な攻守から拳王を落とすライガーには辟易しましたが…。
 作り手の視線は伏せて勝負論出すにしてももう少し何とかならないか。

 試合に話を戻すと拳王が煽りを入れつつハード・ヒットで締め後半戦。
 王座戦にふさわしいタフなスポットが華を添えます。

 それにより小島の技の精度も落ちてきましたが、
 必殺技の返し合い等安易な方策に寄っていないので、
 意外に最後まで下がるシーンはなく、
 全編を通して上手くやったな、と思わされた内容でした。

 藤田に武藤に小島、と途中では不安を感じさせる起用も
 それぞれ終わってみれば想像だにしない成果を残して納得させるのだから
 最近のNoahは凄いですね(唯一コンプラ関係はザルですが…)

 好勝負に少し届かず。
 (執筆日:7/?/22)


注目試合の詳細

なし

試合結果

@GHCヘビー級王座戦:潮崎豪(ch)vs.小島聡(新チャンピオン!)(6/12/22)
Aザ・ファイナル武藤カウントダウン:武藤敬司vs.清宮海斗(7/16/22)
BGHCヘビー級王座戦:小島聡(ch)vs.拳王(新チャンピオン!)(7/16/22)