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Noah:Best of Noah 2021 part.3の分析


名勝負 なし
好勝負 清宮海斗vs.小川良成(6/13/21)

髪切り金網デス・マッチ:中嶋勝彦vs.マサ北宮(6/26/21)

Jr.ヘビー級タッグ王座戦:原田大輔、大原はじめ(ch)vs.覇王、Tadasuke(7/11/21)

タッグ王座戦:マサ北宮、清宮海斗vs.中嶋勝彦、征矢学(7/22/21)

@ナショナル王座戦:杉浦貴(ch)vs.桜庭和志(5/31/21)
 杉浦軍同士、スポーツ・レスリングの素地がある者同士ならではの心理戦。
 均衡を崩す前に彩りと幅を持たせることが出来れば出来る程
 桜庭という存在感は輝くというものですね。

 桜庭の一撃性を上手く表現し
 後半の攻防でもバランスを取っています。
 
 後半の伸び幅は桜庭が桜庭であるが故にリミットがかかりましたが、
 この独自の試合内容に適切なフィニッシュ方法を用意していて良かった。

 味わい深い一戦でした。

 好勝負に届かずも中々良い試合。

A清宮海斗vs.小川良成(6/13/21)
 普段の感覚で切り返し合いになりでしたくなる所を我慢して
 切り返し一回に抑えることで、
 シークエンスの多重層感、パズル的攻防を際立たせていますね。

 清宮の執拗なヘッド・ロックに対して
 小川が鉄柱攻撃から腕攻め。

 小川は部位攻めのバリエーションさがあるので、
 一方通行でも成立する所がありますが、
 清宮のヘッド・ロック狙いが利いていて
 微妙にポイントをずらし合う緻密な戦略論があったのが素晴らしかったですね。

 小川が清宮を場外に落として柵にぶつけたりと環境を使った攻撃で
 テンポ・荒々しさを上げて後半戦。

 清宮も典型的なシークエンスな動きを行いつつも
 感情は激しく、豊かに表現していて輝いていましたね。

 ここで小川が清宮をショルダー・スルーで落とし、
 それで痛めた足に狙いをつけるという展開は蛇足。

 最近の小川の試合には良くあるのですが、
 筋道が通っていても全体構成上は余分な寄り道です。
 ここをカットして丁度30分くらいに収めた方がスマートでしたね。

 しかし課題点はそれくらいで
 基本的には小川が未だに特別な存在であり続けることを誇示し、
 清宮がそういう特殊なカテゴライズの中でも
 自分を輝かせる方策を見つけたという点で更なる成長を示した素晴らしい試合でした。

 ぎりぎり好勝負。

B髪切り金網デス・マッチ:中嶋勝彦vs.マサ北宮(6/26/21)
 拳王が立会人、ブル中野が実況、不釣り合いなエスケープ・ルールなし、と
 シチュエーションをしっかり整えてきました。
 
 序盤のグラウンドは緊張感があって良いですね。
 ブルの実況もこの試合の特別感を上手く掻き立てていました。
 雰囲気のある立ち上がり。

 続いて中嶋が主導権を握ると、
 マサを金網にぶつけ、
 金網上からミサイル・キックを放ちますが、
 その後マサも金網上からのセントーンを放ち自爆したことだけで
 この試合の金網使用の全てを語りつくせるので、
 ギミック・マッチとしては全然ダメでしたね。

 勿論不得意なことに挑戦せず、最小限の使い方に抑え、
 ただ風景、舞台装置としてタフマン・マッチに花を添えたのは
 今Noahが勢いあるからこそ、という気もしますけどね。

 金網ではなくヘッド・バットで両者流血。
 お互いの血がぽたぽたとリングに流れ落ちて、
 上記セントーンではリングの板が割れて、と
 かなり見応えのある潰し合いでした。

 また中嶋は観客に見せる/見せない使い分けつつ良い表情していましたね。

 ストーリーを大きく推し進め、
 Noahへの興味をかけたてビッグ・マッチとしては成功したといって良いでしょう。

 それでも金網の使い方はともかく、
 試合としては32分も行わず、もう少し絞って欲しかったか。

 試合時間を埋めるような試合運びがありましたし、
 結構血の流れ方という偶然に助けられた部分も大きかった。

 北宮は良い形に仕上がってきていますが、
 それでも30分超える試合時間は不向きだと思いますね。

 ぎりぎり好勝負。

CJr.ヘビー級タッグ王座戦:原田大輔、大原はじめ(ch)vs.覇王、Tadasuke(7/11/21)
 緩んでも締め直すことができて
 リアルタイムで補正をかけることが出来ていましたね。

 グラウンド、スピード感ある動き、タッグとしての動き。
 バランス良く組み合わせつつ、それぞれを丁寧に。
 
 Tadasukeが非常に良いキャラしていましたね。
 自身のキャラの力を信じて動けていて、
 それが覇王とのメリハリになっていてタッグとしても良い影響を与えています。
 覇王のシンプルな魅力にもスポットが当たっていて、
 Tadasukeの成長が本当に大きい。

 原田はスポットの強みを活かして
 試合の起点を作る役回りを務めます。
 覇王もセカンド受けで原田を最大化させていましたね。

 大原は潤滑油としての動きが相変わらずお見事。

 四者良いレスラーでしたが、
 相互に化学反応を生める閾値を遂に超えたという印象。
 試合の中でシングル/タッグ切り替わっても問題なし。
 複合的に素晴らしい試合に仕上がっています。

 予想をはるかに超える出来でした。

 文句なしに好勝負。

DGHCヘビー級王座戦:丸藤正道(ch)vs.杉浦貴(7/11/21)
 41歳と51歳。
 Noahの歴史を背負う2人による対決です。

 工夫した変化でフックをかけると丸藤は熟練味のある腕攻め。
 空間構成が上手いですね。

 杉浦も場外でのカウンター・スピアーからマットを剥いでネック・スクリュー。
 少し硬い試合運びでしたが、この攻撃性は杉浦ならではですね。

 間違いのないベテランの構成+印象に残るスポット。
 サブミッションの重ねも方法論がしっかりしています。

 両者の良さを倍増とはいかないまでも補い合うバランスの良い試合です。

 そして得意技も丁寧に保全されています。
 
 これまでの歴史を振り返る、この試合の主旨をしっかりこなしました。
 その点では意味があったものの
 今のNoahからしたら良くも悪くも足踏み感も覚える内容で、
 個人的には少し物足りなさも感じましたね。
 
 好勝負に少し届かず。

Eタッグ王座戦:マサ北宮、清宮海斗vs.中嶋勝彦、征矢学(7/22/21)
 王者のまま北宮、中嶋が仲間割れしたことで
 それぞれ新たにパートナーを持ち寄って王者決定戦に。
 
 控えが攻撃して遺恨を演出。
 序盤の雰囲気作りは的確ですね。

 中嶋と北宮の火花を散らしたハード・ヒットは
 ケージ・マッチを経てもこの遺恨がまだまだホットだということを示しているし、
 他の組み合わせも見応えあり。

 全ての場面で質量を伴った北宮に対して
 征矢もエネルギッシュにぶつかっていて
 この2人が絡むタッグは何度も見たいと思わせますね。
 
 清宮も躍動感あり、ストーリー的には4番手でもこの4人の一角を占めるに足るパフォーマンスです。

 タッグとしては凄い複雑ではありませんが、
 個の攻防に良いアクセントを加えていて、
 何よりストーリーとして適切に語るので、
 シチュエーションにはまった時の試合の勢いが素晴らしかった。

 文句なしに好勝負。
 (執筆日:7/?/21)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@ナショナル王座戦:杉浦貴(ch)vs.桜庭和志(5/31/21)
A清宮海斗vs.小川良成(6/13/21)
B髪切り金網デス・マッチ:中嶋勝彦vs.マサ北宮(6/26/21)
CJr.ヘビー級タッグ王座戦:原田大輔、大原はじめ(ch)vs.覇王、Tadasuke(7/11/21)
DGHCヘビー級王座戦:丸藤正道(ch)vs.杉浦貴(7/11/21)
Eタッグ王座戦:マサ北宮、清宮海斗(新チャンピオン!)vs.中嶋勝彦、征矢学(7/22/21)