Noah:Best of Noah 2011 part.5の分析
| 名勝負 | Jr.タッグ王座戦:金丸義信、KENTA(ch)vs.鈴木鼓太郎、青木篤志(10/16/11) |
| 好勝負 | GHC王座戦:潮崎豪(ch)vs.高山善廣 (9/23/11) #1コンテンダーズ・マッチ:KENTAvs.杉浦貴(10/10/11) |
@Jr.ヘビー級王座戦:鈴木鼓太郎(ch)vs.中嶋勝彦(9/23/11)
中嶋蹴りを連打し、いきなりブルー・デスティニーを炸裂させます。
この掟破りを不意打ちで食らったとはいえ鈴木がひたすら受ける展開に。
構成のためにもう少し抵抗するべきだと思うのですが本当に動かない。
エルボー・スイシーダまでミスする始末です。
中嶋が中々主導権を譲らない厳しい攻めを見せるので
一応展開として説明はつくものの
それ以上に鈴木のコンディションが気になりましたね。
これでは鈴木の価値が試合開始時からずっとどん底のままです。
2回目の自爆といった方が正確なトぺ・スイシーダからようやく反撃開始。
ただ技の価値が滅茶苦茶な状態での削り合いとなっています。
鈴木が復活して中嶋の立場まで戻りドラマチックな雰囲気に包まれる中、
衝撃的なKOフィニッシュでエンドでした。
前回の試合を良くも悪くも削り合いに特化させた内容。
個人的には余り入り込めるタイプの試合ではないですね。
好勝負に届かずも中々良い試合。
AGHC王座戦:潮崎豪(ch)vs.高山善廣 (9/23/11)
潮崎がひたすらにチョップを打ち高山は耐えて変化を見せる。
試合はこの一文に集約されます。
そこには一文で集約するには惜しい豊かさがあるのですが、
おそらくそれよりも欠点が大きく受け止められるのでしょう。
その欠点の話は後に回してまず両者の働きに目を向ける。
衰えきった高山は耐える強さと
腕攻めで支配しなければならない弱さを兼ね備えています。
様式にのらない潮崎のチョップを受ける中で
コンセプト・マッチであるが故に高山の上手さが最大限に試されました。
そしてこんなに上手かったか、とみていて感心する程
巧みな腕攻めを打撃とバランス良く織り交ぜ緩急も押さえています。
技の性質を使い分けていてエプロンからリングへのフルネルソン・スープレックス、
ニー・パッドを外すという特別なスポットも素晴らしい。
特に前者はダイブの流れを腕の痛みを絡めてエプロンの攻防に持っていたのが素晴らしかったですね。
一方の潮崎は一見無駄と思える行為を積み重ねる事で最終的に結実させるドラマ狙い。
腕の痛みを受けて左を使ったりヘッド・バッドを使ったりする工夫こそあるものの
基本的にはチョップのコントロール、全力打ちとではない無謀とも思える弱さと
痛がる素振りで試合に貢献しています。
問題点は同時にこの試合の作り方にある。
片方が懐広く変化させ、一方は真っ向からスターとしてぶつかる。
この試合の作り方に心当たりがあるはずです。
これは80年代のフレアーの試合の作り方と同じです。
そしてこういう機能分担的な構築を日本のファンは余り好まない。
更に言うなら絶対値の伴わない攻めにダメージを食らうのをNoahのファンは好まない。
そして行動にバリエーションがないと一口に下手と断罪する傾向もある。
特に王者が押さえ込まれる側だと手厳しい。
という事で観客がこの試合の特別性を十分に理解していない面があり寒々しい盛り上がり。
TVではなくライブで見るメリットが薄い内容だということを考えてもです。
一方でお金を払ったお客さんなのだから
観客の好み、ニーズを完全に無視した絵図を描く方にも当然問題がある。
Noahの試行錯誤による観客のずれが後楽園での初のGHC王座戦という
特別な舞台で最大値に達してしまい、
箱が小さくなったにも関わらず熱の密度がまったくない試合となってしまいました。
正直試合後のユーモア溢れるマイク合戦の方が盛り上がっていましたね。
しかし私はこれをNoahのヘビー級で一番素晴らしかった試合として挙げます。
レスラーと観客がお互い歩み寄り完全に一致した形でこの試合を見たかった。
文句なしに好勝負。
B#1コンテンダーズ・マッチ:KENTAvs.杉浦貴(10/10/11)
KENTAの見得の切り方の上手さが際立っていますね。
杉浦は若干引き気味で対抗。
KENTAの上下を使い分けた試合運びは的確です。
杉浦も受けで多少貢献しながら
過激なスポットに頼らず着実に重厚感を積み重ねていきます。
仕掛け一発に頼らない姿勢は時に非効率でもあるのですけどね。
柵の外でダウンする杉浦にダイビング・ダブル・ストンプを決め後半へ。
カウント19で戻った直後に杉浦がカウンターのスピアーを決めたのは勿体ないですね。
それぞれのビッグ・スポットが直結したせいで片方の効果が最大限活かされていません。
エルボーの打ち合いを無意味に挟むまいと
流れが完全に活かされていないという点では同じ問題です。
しかし最後まで一進一退の完成度は高く、
技の個性を超えて気持ちでしか決着つかない攻防に入りました。
観客の期待が高く、内容も30分超え。
試合時間ではなく構成でもう一伸びして欲しかったですが
2011年のNoahヘビー級の試合の中では一番バランスの取れた試合。
ぎりぎり好勝負です。
CJr.タッグ王座戦:金丸義信、KENTA(ch)vs.鈴木鼓太郎、青木篤志(10/16/11)
序盤は序盤レベルで工夫を凝らす。
KENTAと青木が感情を交錯させるようになった事で
短絡的にすぐ打ち合うなんて事もなく豊かな変化がつきました。
4人の間で統一見解が生まれた事で
障壁なくそれぞれがより上の高みを目指す事が出来ています。
同じスポットも、その入り方は控えを絡めてより複雑になっており、
金丸の基本技の上手さは加えてエネルギッシュになっている。
孤立後も流れが凄く美しく、
1つ1つの技がちゃんと効果を為しているという点で
初戦で見えた課題点を完全に解決して見せている。
お互いの返すリズムも一致していて
様々なペース変化を見事に操っている。
時間配分も素晴らしく、総じて完成度が上がった内容。
ぎりぎり名勝負です。
Dグローバル・リーグ戦:杉浦貴vs.佐々木健介(11/14/11)
健介のラリアットから封を切った試合。
杉浦のエルボーに健介がチョップで打ち返した後、エルボーでダウンさせます。
その後も杉浦の負傷している首に壊れそうな攻撃を叩き込みます。
杉浦の反撃を許さない厳しい攻めを見せるも健介の攻撃はラリアットばかり。
技の強弱もなくまとまりがありません。
杉浦反撃の大きな流れだけで細かい部分は切り捨てていますね。
杉浦がコーナーへのジャーマンで決めた後は打ち合いをベースに構築。
エルボーとラリアットの耐えあい、
張り手の打ち合い、グー・パンチの打ち合いと続いてフィニッシュへ。
この2人ならではの絶対値のぶつかり合いですが、
様式的で川田vs.健介(1/4/01)程は振りきれていないし、
バチバチの池田vs.石川程狂ってもいない。
池田vs.石川はついてきたい者だけついてこい、というスタンスでバチバチの試合をやっているが
健介vs.杉浦は観客のために激しい試合をする、というスタンスでやっている。
メジャーの責任として内にではなく外に理由を求めるのも良い。
しかし観客の一人であるこちらが何故そういう激しさである必要があるのか、と尋ねても答えは返ってこない。
目の前の激しさとこちらの心との間をどう橋渡しすれば良いのか悩んでも答えは出ない。
欠点を無視して凄いと言わせるには今一歩足りません。
良く言えばNoahにしか出来ない試合。
しかし悪く言えばNoah(健介)しかしようとしない試合。
好勝負に少し届かず。
(執筆日:12/?/11)





