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新日本プロレス:Best of 1996の分析


名勝負 UWAライト・ヘビー級王座戦:エル・サムライ(ch)vs.大谷晋二郎(1/21/96)
好勝負 IWGP王座戦:高田延彦(ch)vs.橋本真也(4/29/96)

@UWAライト・ヘビー級王座戦:エル・サムライ(ch)vs.大谷晋二郎(1/21/96)
 サムライが大谷のラフ・ファイトを全て受け止め
 左から右へと受け流していく。
 下手すれば相手にしていないように映るのだけど
 大谷への対抗心をこっそりと忍ばせている。
 序盤から技を織り交ぜるセンスといい
 これはサムライ独特の境地ですね。
 受身も素晴らしい。
 相手の技がヒットした際の反動を完全に一度掌握した上で
 受身に転じ、異名のリアクションに転じている。
 腕狙いに拘った見せ場のバランス感覚も驚天動地。
 プランチャのように技の迫力がいまいち他より劣りますが
 世界最高のJrだと私は信じて疑いません。
 追い込まれた大谷も泥臭い攻撃で戦局を切り開くと、
 スプリングボード式ミサイル・キックのような派手な技も
 脚に打ち込んだりして真っ向から理の一極攻め対決に突入。
 気持ちと技により攻防の価値が高められていきました。
 Jr.らしからぬ一極攻め対決をJr.にしかできない動きと才覚溢れる構成でモノにしました。
 文句なしに名勝負です。

AIWGP王座戦:高田延彦(ch)vs.橋本真也(4/29/96)
 橋本の重い蹴りvs.高田の連射の利く蹴り。
 レスリングにおいても橋本が理で返しており一進一退を繰り広げます。
 高田は間で仕切って橋本向きのドラマ仕立てにしつつも
 攻めの方法論が理詰めになっているところが素晴らしいですね。
 一方の橋本は意味なく間を空けている所も散見されます。
 魅力的な打撃とMMA的威力付けをしたサブミッションで後半は盛り上げる。
 橋本の手がつけられない圧力を描き出し、
 王座交代につなげる素晴らしい試合でしたが、
 この試合もまた高田が会社の歯車として従順に働いていて
 UWFレスラーの成れの果てとしては少々寂しいものがある。
 ぎりぎり好勝負。

BG1公式戦:橋本真也vs.長州力(8/2/96)
 長州が間を置いた大技を仕掛けて通用する空気を作り上げます。
 一方で私的な打撃も叩き込んでいてバランスを取っている。
 橋本はその雰囲気を作るのは完全に任せていますが、
 その中での潰しあいには喜んで応じるし、それで魅せるに足る重い攻めです。
 場外スポットを挟んだ後、リングに戻ってからは更にドラマ仕立てに見せていきました。
 尤も長州のvs.藤波やvs.天龍に比べると精度は落ちますけどね。
 中々良い試合でした。

CJ-CROWN決勝、8冠統一王座戦:グレート・サスケvs.ウルティモ・ドラゴン(8/5/96)
 ルチャの演舞から
 アサイ・ムーンサルトなど
 要所で同じ技を打って対抗していきます。
 高いクオリティを誇っていますが
 このトーナメントの中でそれぞれ激闘を見せてきたのですから
 それをわざわざ同質化させなくても良いように思いますね。
 また連戦ということで疲れから動きの崩れも目立ちました。
 またサスケの場外へのトペ・アトミコで大きく盛り上げた後の
 切り返しでのハリケーン・ラナ決着は弱く、
 数多くのJrの試合に埋もれてしまう内容であることは否めない。
 中々良い試合。

(執筆日:1/1/12)

注目試合の詳細

なし

試合結果

@UWAライト・ヘビー級王座戦:エル・サムライ(ch)vs.大谷晋二郎(1/21/96)
AIWGP王座戦:高田延彦(ch)vs.橋本真也(新チャンピオン!)(4/29/96)
BG1公式戦:橋本真也vs.長州力(8/2/96)
CJ-CROWN決勝、8冠統一王座戦:グレート・サスケ(新チャンピオン!)vs.ウルティモ・ドラゴン(8/5/96)