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新日本プロレス:Best of NJPW 1992の分析


名勝負 TOTSJ 決勝:獣神サンダー・ライガーvs.エル・サムライ(4/30/92)
好勝負 タッグ王座戦:ビッグ・ヴァン・ベイダー、バン・バン・ビガロ(ch)vs.馳浩、武藤敬司(5/1/92)

獣神サンダー・ライガーvs.ペガサス・キッド(8/12/92)

G1決勝、NWA王座戦:蝶野正洋vs.リック・ルード(8/12/92)

Jr.ヘビー級王座戦:エル・サムライ(ch)vs.ウルティモ・ドラゴン(11/22/92)

@TOTSJ 決勝:獣神サンダー・ライガーvs.エル・サムライ(4/30/92)
 今までジュニア級はハイ・フライングを見せ場とするが故に
 自ずとスポーツマン・シップ色の強い特色となっていました。
 そのため試合において優位に立つためのヒール・プレイはあっても
 憎しみ、怒りを持って相手を痛めつけるためのそれは存在しませんでし た。
 それを導入したのがこの試合。
 両者がマスクを引き裂く程(サムライは完全に素顔に)
 ベビー対ヒールの構図が極限に達し、
 お互いの感情が渦巻いたために
 途中から膨大なエネルギー量を持った空間は
 死闘にならねばならない運命を帯び始めます。
 これにより新日ジュニアの方向、派手な打ち合いの限界領域が大幅に引き上げられ
 リミッターを解除しての全力の打ち合いの結果、20分ものロング・マッチになったんですね。
 初っ端から一方的な攻めに持って行かなくても
 同じものをできたはず、という点が唯一惜しまれますが
 他は文句のつけようがなく文句なしに名勝負です。
 これはジュニア級のTOP5に入る名勝負でした。
 (執筆日:11/1/08)

Aタッグ王座戦:ビッグ・ヴァン・ベイダー、バン・バン・ビガロ(ch)vs.馳浩、武藤敬司(5/1/92)
 王者/挑戦者の立場が入れ替わることで
 ガイジン/日本人の関係性との兼ね合いもすっきり。
 前回を遥かに上回る一戦となりました。
 まず武藤がビガロの体当たり系の技をかわすと
 コンスタントな打撃で膝を突かせます。
 これは相手の意図を理解し、筋書き通りに動くビガロの良さ、
 打撃でリズムを作れる武藤の良さが出ていますね。
 続いて馳が相手を掌で転がすようにテクニックを見せ付ける。
 小兵が技術で体躯のでかいものを倒す可能性を一気に開きました。
 ベイダーが重い打撃を馳に叩き込みます。
 今回はその打撃をしっかり受けた上で、
 意地を試されれば打ち返していきます。
 むやみやたらと張り合わない分構図が活きてきますね。
 また前回は終盤に詰め込んだガイジンに対する投げも
 比較的早い段階から必要とあれば織り交ぜています。
 馳が額に傷口があるため、
 馳の孤立シーンは流血効果で更に盛り上がる。
 武藤が控えとして絡んだ戦略的スポットもガイジンの脅威性を強烈に描き出し、
 目の前でベイダーを追い込む武藤、馳に観る者は期待感、高揚感を覚える一方で
 ビガロが復活したら絶体絶命だ、という切迫感も同居している。
 見事なタッグ・マッチでした。
 文句なしに好勝負。
 (執筆日:4/?/13)

B獣神サンダー・ライガーvs.ペガサス・キッド(8/12/92)
 テキパキとセット・アップ。
 観客に対して凄いだろ、と言わずとも
 自分のやるべきことすれば自然と観客が注目すること分かっている、
 そういう間ですね。
 グラウンドで抑えますが
 予期せぬ動きが要所で見られる。
 2年前はフィニッシャーになった
 ダイビング・レッグ・ドロップなどが中盤に使いながら、
 一進一退を高い精度で実現させています。
 心地よいスピード・アップから華麗な大技を盛り込み、
 最後は雪崩式パワー・ボムでフィニッシュ。
 つけ入る隙のない完成品です。 
 文句なしに好勝負。
 (執筆日:4/15/13)

CG1決勝、NWA王座戦:蝶野正洋vs.リック・ルード(8/12/92)
 ルードが日本といういつもと違う環境にも関わらず
 試合前のマイク・アピールから完全に観客の心を掴んでいる。
 蝶野も技を大きく見せる意識が徹底されており、
 また珍しいことに腰を振ったりするアピールを適切に挟んでいました。
 序盤の観客に訴えかける攻防から
 蝶野のスリーパーを初めとしたサブミッション戦略に落とし込みました。
 オーソドックスなグラウンド・サブミッション・ベースの構築だが
 最初のつかみが成功していることにより敢えてロープに走らないその微細な動きに注目を集めることができている。
 続けて蝶野が脚攻め。
 ルードもパイル・ドライバーから反撃し正確にエスカレート。
 抑えてきたところで蝶野の体勢を入れ替えてのツームストンというインパクト。
 非常に印象的でしたが、それ以上にその後、序盤でも前振りしていた
 スリーパー返しにルードがつなげた上手さに唸らされた。
 ややずれもあるが一進一退の攻防は見応えがあった。
 日本人vs.外人、ベビーフェイスvs.ヒールというストーリーを優先する中で
 NWA王座、G1優勝という勝敗への鬩ぎあい、日本のプロレスの強みが薄くなっているは残念だが、
 それを差し引いても素晴らしい試合。
 文句なしに好勝負です。
 (執筆日:4/15/13)

DJr.ヘビー級王座戦:エル・サムライ(ch)vs.ウルティモ・ドラゴン(11/22/92)
 (序盤に1回カットあり。21分中13分)
カットのせいもあるけれど前半が少々意味性を疑わせる攻防でしたね。
 前半はカットのせいもあるけれど狙いが散逸、
 カバーを返した後に攻撃したりとダメージ観にも戸惑わされますね。
 ただ要所において4の字やスリーパーなどフィニッシャーにも使われるサブミッションでグラウンドに引きずり込むという構築は凄いセンスがあります。
 ウルティモがサブミッションを連続技の1つとして使う事でスピードを感を生み、
 サムライはそのスピード感にのりながら自在に変調。
 どんな技を使っても試合のインテンシティーが落ちないのだから驚き。
 これぞサムライにしか出来ない巧みの業です。
 予想のつかぬ熱い攻防で丸め込みながらしっかり締めた好勝負。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:9/21/09)