TOP日本のプロレス新日本プロレス 80年代の大会 →新日本プロレス:Best of NJPW 1986

新日本プロレス:Best of NJPW 1986の分析


名勝負 IWGPヘビー級王座決定リーグ戦:藤波辰巳vs.前田日明(6/12/86)
好勝負 イリミネーション・マッチ:アントニオ猪木、藤波辰巳、木村健吾、星野勘太郎、上田馬之助vs.前田日明、藤原喜明、木戸修、高田延彦、山崎和夫(3/26/86)

Jrヘビー級王座戦:高田延彦(ch)vs.ザ・コブラ(6/17/86)

タッグ王座戦:藤波辰巳、木村健吾(ch)vs.前田日明、木戸修(8/5/86)

Jr.ヘビー級王座戦:高田延彦(ch)vs.越中詩郎(9/19/86)

@イリミネーション・マッチ:アントニオ猪木、藤波辰巳、木村健吾、星野勘太郎、上田馬之助vs.前田日明、藤原喜明、木戸修、高田延彦、山崎和夫(3/26/86)
 新日vs.UWF。
 打撃からのグラウンドが中心で、想像していたようなずれはありませんでしたね。
 只このジャンルはUWFの独壇場。
 前田は意図的に表出させてはいないもののカリスマ性を漂わせる。
 藤原は他を圧倒して素晴らしく技術の見せ方も良いしプロレスとしての見せ場も考えている。
 高田はとにかく蹴ってサブミッションで仕留めよう、という情熱的な格闘者としてのファイトを見せます。
 山崎はプロレスを意識しながら蹴れるレスラーですが前田、高田の存在故に軽い扱いになってしまったのが残念ですね。
 新日勢では唯一藤波が素晴らしいグラウンドを見せました。
 他のレスラーは猪木含め語るに足りません。
 それでも素晴らしい試合になったのは
 まず観客が熱狂していて各レスラーも一人一人高い意識を持っていたためですね。
 そして場外に落ちたり脱落というルールを使ったWWE並みのブッキングで
 仮初ながら上手く新日の面子を保った事にあります。
 まったく試合に関わってなかった上田が前田を道連れに自ら場外に転落したりして。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:9/20/09)

AIWGPヘビー級王座決定リーグ戦:藤波辰巳vs.前田日明(6/12/86)
 不完全燃焼であった前田に対し藤波がとことんつきあって受けた。
 そんな試合。
 21世紀にこういうのをやった場合、蹴りをひたすら打つのだろうけど
 前田はアキレス腱固めを重く見ていて
 情熱を格闘マシーンのような冷静さに包んだファイトを見せるのが違いますね。
 このために感情に惑わされる事無く等身大の闘いがずっしり響いてくる。
 その上で藤波の脚の痛みを耐え忍び、
 頭部に蹴りを食らっても起き上がる姿が心を打ちのせられます。
 ベースとなるグラウンドの攻防もこれまで通り藤波は素晴らしい仕事をします。
 欠点はフィニッシュ含め前田がそんなにダメージを受けてないはずなのにダウンするシーンが目立つ事ですね。
 これは勝負としてのリアリティに欠けます。
 しかし上述の通り別の形でのリアリティは充実しており
 どちらが勝つかはさほど重要でない境地にまで到達している。
 フィニッシュもシンボル性、絵になるという点ではこの上ない選択ですからね。
 ぎりぎり名勝負。
 (執筆日:9/?/09)

BJrヘビー級王座戦:高田延彦(ch)vs.ザ・コブラ(6/17/86)
 序盤は高田がグラウンドをベースに良い感じに試合を作っていきます。
 ロープに振られまいとしてコブラの技をスケール・アップさせたのも上手い。
 中盤からは高田が蹴りを解禁。
 前田vs.藤波を彷彿とさせる鋭い蹴りを胸に頭部にと叩き込んでヒート・アップします。
 同時に執拗なアキレス腱固めを重ねて一気に試合に引き込みます。
 コブラは中途半端な部分、決断するのに躊躇して上手く繋げない欠点が出ながらも
 日本人離れしたムーブで会場を熱狂させました。
 最後は両者転落、丸め込み合戦と対等に押し上げて描いたので
 両者リングアウトもふさわしい終わり方になっています。
 ただその両者リングアウトの仕方が
 道連れヒップ・トスから足を引っ張り合って、というのは弱い。
 ここはコブラの長所を活かして道連れクロス・ボディやビッグ・ダイブのようなスケールの大きなスポットで締めて欲しかったです。
 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:3/3/10)

Cタッグ王座戦:藤波辰巳、木村健吾(ch)vs.前田日明、木戸修(8/5/86)
 UWF vs.新日本プロレス。
 
 高い熱量の基に技術とプロレスの華をぶつけあいます。

 藤波vs.前田は有名なシングル戦と同じくらい
 噛み合って上質な攻防を見せてくれますし、
 木村vs.木戸も面白かったですね。
 木村の年度の高いグラウンドは見応えがありました。

 木村が顔に蹴りを食らい朦朧とするアクシデントも
 大きな仕掛けとはいかないまでもアドリブで試合展開に織り込んで見せました。

 ただタッグとしての全体構成はなく、
 シングルの出来高で勝負しているので、
 上記で木村vs.木戸も良かったと言いましたが、
 やっぱり藤波vs.前田=試合時間関係なくクライマックスという認識にならざるを得ず、
 木戸vs.木村で終わったのは木戸クラッチの性質もあって唐突な幕切れ感は否めなかった。

 それでもフィニッシュは単なる丸め込み以上の説得力を出していて良い締めくくりです。

 ぎりぎり好勝負。
 (執筆日:5/?/20)

DJrヘビー級王座戦:高田延彦(ch)vs.越中詩郎(9/19/86)
 前回の試合で一級品を作り上げるのは無理かと思われた両者ですが
 毎回律儀に組んでのアクション、牽制の打撃に対するリアクションで
 ストーリーを紡ぐ、という予想だにしない巧みの業を見せてきました。
 相手に決めさせない事で緊張感も生まれますね。
 そのストーリーの延長上に越中のサンドバック・シーンがあるので
 ただ盛り上がるだけでなく、非常の良い形で試合と盛り上がりが双方向にリンクします。
 また手を重ねる事の利点、攻防の完成度向上をしっかりと活かしているので
 前回は不自然に見えた越中の攻めも説得力があります。
 応援を一手に集めながら、その姿は負け犬ではありません。
 クライマックスの一上げも出来ており、文句なしに好勝負です。
 (執筆日:3/3/10)