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新日本プロレス:Best of NJPW 2024 part.2の分析


名勝負 ザック・セイバーJr. vs.ブライアン・ダニエルソン(2/11/2024)
好勝負 ウィル・オスプレイvs.オカダ・カズチカ(1/13/24)

HENARE vs.ゲイブ・キッド(2/4/2024)

@ウィル・オスプレイvs.オカダ・カズチカ(1/13/24)
 USA PPV。
 AEW入りが決まったオスプレイが最後になりえる数え歌。

 じっくりする前に軽く仕掛けていき、オカダが場外DDT。
 定番とはいえこのジャスト・タイミングぶりは見事です。

 頂上対決というよりかはこれまでの数え歌を振り返るような攻防を重ねていきます。
 その中でオスプレイが徐々に力強くヘビー級らしくなって、
 ライバリティが高まっていきます。

 終盤は得意技の応酬に加えて
 オカダが中指を観客に立てるなど
 送別されるオスプレイをフェイス化させる粋な演出も見せて盛り上げました。

 MOTY級ではないもののこの数え歌はやはり最高級です。

 文句なしに好勝負。

ANEVER無差別級6人タッグ王座戦:CHAOS(オカダ・カズチカ、石井智宏、棚橋弘至)(ch)vs.TMDK(藤田晃生、シェイン・ヘイスト、マイキー・ニコルズ)(1/24/24)
 フリーとしての試合は残っているものの
 所属としてはオカダのラスト・マッチ。

 オカダを見届けようと観客の盛り上がりは良いですね。

 TMDKとして新たなメンバーである藤田が
 オカダ含めて新鮮なマッチアップを提供する…のですが、
 正直このメンバーに交わるには力不足。
 TMDKの動きとしてはシェイン、マイキーのワークが先行しました。

 終盤はオカダが藤田相手に見せつけて一種のハッピー・エンド。

 好勝負に届かずも中々良い試合。 

B成田蓮vs.海野翔太(1/24/24)
 海野が制裁モード。
 成田はふらつきと共に環境を使った反撃を見せ、
 両者自分のスタンスを適切に表現できていますね。

 成田の声かけ、海野の無表情含めた表情の調整、と
 +αの見せ方も素晴らしいです。

 一方で入場ゲートやテーブルなどの演出を加えつつも
 試合時間が長すぎる感はありますね。

 その上でHoT軍団乱入。
 トンガが追い払うも元に戻るだけ。
 この演出で弾みをつけて押し立てる構成になっておらず、
 20分前半に凝縮してその出来で記憶に残したかった。

 好勝負に届かずも中々良い試合。

CHENARE vs.ゲイブ・キッド(2/4/2024)
 ゴングを待たずに激突。

 真っ向から打撃を打ち込み合う
 単純ながらテンションの高い攻防です。

 入場口上からフライを見せたり、
 ゲイブが胸を出して打たせたりと
 このスタイルのトップに躍り出たゲイブが
 軸をぶらさずにアクセントもつけます。

 最後はヘッド・バットで両者ダウン。
 ダウン・カウントの数え方とかその前の世界線の作り込みで
 この結末をもう少し受け入れやすいようにしたかったか。

 最後が呆気なく感じてしまうもののベースは充実で素晴らしかった。

 ぎりぎり好勝負。

Dザック・セイバーJr. vs.ブライアン・ダニエルソン(2/11/2024)
 相手をよく見て
 細かな動きに意味を持たせ、読み取り。

 グラウンドは動きのコントロール。
 最高速度だけが正義ではないことを証明します。

 仕切りつつのニュートラル・レスリングの中に
 ブライアンの脚攻めとセイバーの腕攻め。

 レスリングの領域は
 本来セイバーの土俵になりますが、
 スタイル・クラッシュの前に世界最高峰の継承試合的側面から
 ブライアンが余裕感を漂わせ、ザックは汗光る必至さを出します。

 一進一退の攻防の中にもそのニュアンスが徹底されています。

 アスリート的には高度ではないアクションもありますが、
 それこそがプロレスの本質の一面をついています。
 
 攻防のチェーン。
 意味性のつながり。
 一人ではできないストーリーです。

 そして2人で試合は紡ぐものですが、
 それがしばしば団体やリングによって
 制限を受けたり方向性を決められたりすることがあるのも現実。
 その中で日本的に寄せることもなく、
 やりたいことをやって、プロレスと向き合えたのは幸せなことですね。
 この2人の対決も本当にしかるべきタイミングで実現した、という実感があります。

 過去10年、これからの10年の節目として語られる試合。
 歴史的な名勝負です。

(執筆日:12/?/24)